「染色体異常」とは?原因・検査について詳しく解説!【医師が監修】
更新日:2023/04/03
染色体異常は染色体の数や構造の異常が複数の常染色体や性染色体のいずれかまたはその両方で変化が起こる疾患です。
また、先天性異常と後天性異常もあり、先天性異常は受精卵の段階生殖細胞に異常が生じた場合で、後天性異常は、環境や長年の蓄積によって体細胞に変異が生じる染色体異常を言います。
今回は染色体異常について、症状、原因、検査・診断、治療法を解説します。
監修医師:
後藤 礼司(医師)
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藤田保健衛生大学医学部(現・藤田医科大学)卒業。その後、常滑市民病院、総合大雄会病院にて循環器内科医長、感染症科部長を経て2020年4月より愛知医科大学循環器内科助教。主な研究内容は冠動脈疾患、心不全、感染症。TBS「グッとラック!」、CBCテレビ「ゴゴスマ」などテレビ出演多数。雑誌、新聞などで多くの医療情報を発信している。日本循環器学会循環器内科専門医、日本内科学会総合内科専門医、インフェクションコントロールドクター。
目次 -INDEX-
染色体異常とは
染色体異常とは、どのような病気ですか?
染色体は細胞の中にあり、複数の遺伝子が記録されています。遺伝子は細胞の種類に応じて機能する特定タンパクの設計情報が記録されており、DNA=デオキシリボ核酸で作られています。
人間の正常細胞=デイプロイドは、常染色体が22対44本と性染色体1対2本を合わせて46本で構成されています。性染色体にはX染色体とY染色体の2種類があり、女性は2本のX染色体=XX、男性はX染色体とY染色体を各1本=XYを持っています。
染色体1本には約1000個の遺伝子が存在し、染色体分染法によるバンド内には1本当たり約50個の遺伝子が存在します。
染色体異常は、染色体の数に過剰や欠損が生じ、遺伝子群の量的不均衡により遺伝子の発現異常に起因する様々な症状が現れる疾患です。また量的不均衡ではなく構造異常でも染色体切断により遺伝子の発現障害を起こし、様々な障害症状を起こします。
染色体が1本以上余分にある場合(1本余分な場合=トリソミー、2本余分な場合=テトラソミー)と1本欠けている場合=モノソミーで、トリソミーは23対の染色体のいずれにも発生します。
染色体の数の異常として知られている異数体は、23対46本以外の染色体数を持っている場合で1から数個の染色体が増減します。また、三倍体、四倍体は胎児期に見られ、三倍体は染色体数が69本で生まれますが長くは生きられません。
三倍体はほとんどの場合が2精子受精により起こり、二倍体の卵子や精子が形成された場合でも起こる場合があります。父親由来の三倍体では異常な胎盤となり、母親に由来する三倍体では妊娠早期の自然流産となります。四倍体は染色体数が92本となり、この分裂が性染色体で起こるとXXXYやXYYYという性染色体が無い染色体となります。
また、染色体の構造異常には、染色体の一部に異常がある場合や、染色体の一部や全体が別の染色体と誤って結合する異常=転座、染色体の一部が欠けている=欠失する染色体欠失症候群、重複などがあります。
欠失は、2本ある染色体のうち1本の一部が無く、染色体の不均衡が見られます。本来染色体は2本とも同じ大きさで機能を発揮しますが、2本のうち1本の一部が無くなってしまうと機能しなくなり=ハプロ不全症状が出現します。症状の重症度は欠失した染色体の遺伝子の数と断片の大きさにより異なります。
染色体異常は、性染色体を含め全ての染色体で起こり、大きな異常では染色体分析や核型分析と呼ばれる検査で顕微鏡で観察できます。また、小さな染色体異常は、蛍光in situハイブリダイゼーション=FISHや専用の遺伝学的検査=染色体マイクロアレイ解析などで染色体をスキャンし過剰部分や欠損部分を探し出します。
染色体異常によって起こる病気として、ダウン症、ターナー症、がんが知られており、染色体の数的異常で最も多く見られるものは21トリソミー=ダウン症候群、13トリソミー、18トリソミーで、核型分析時に顕微鏡で確認可能です。
染色体の過剰や欠損は妊娠する女性の年齢が高くなると発生率が上がり、染色体異常を持った子供が生まれるリスクが高くなりますが、男性の年齢が高くなっても染色体異常を持つ子供が生まれるリスクは、ほとんど変わりません。
染色体異常の種類により、生まれる前の胚や胎児の段階で死に至る場合や、知的障害、低身長、けいれん発作、心臓疾患、口蓋裂などの異常が起きることもあります。
染色体異常の原因は、偶然の場合や抗がん剤や放射線などがあり、異常により発現する症状は多様となり、強すぎる染色体異常では出生が困難となり流産が起こることもあります。
人間の正常細胞=デイプロイドは、常染色体が22対44本と性染色体1対2本を合わせて46本で構成されています。性染色体にはX染色体とY染色体の2種類があり、女性は2本のX染色体=XX、男性はX染色体とY染色体を各1本=XYを持っています。
染色体1本には約1000個の遺伝子が存在し、染色体分染法によるバンド内には1本当たり約50個の遺伝子が存在します。
染色体異常は、染色体の数に過剰や欠損が生じ、遺伝子群の量的不均衡により遺伝子の発現異常に起因する様々な症状が現れる疾患です。また量的不均衡ではなく構造異常でも染色体切断により遺伝子の発現障害を起こし、様々な障害症状を起こします。
染色体が1本以上余分にある場合(1本余分な場合=トリソミー、2本余分な場合=テトラソミー)と1本欠けている場合=モノソミーで、トリソミーは23対の染色体のいずれにも発生します。
染色体の数の異常として知られている異数体は、23対46本以外の染色体数を持っている場合で1から数個の染色体が増減します。また、三倍体、四倍体は胎児期に見られ、三倍体は染色体数が69本で生まれますが長くは生きられません。
三倍体はほとんどの場合が2精子受精により起こり、二倍体の卵子や精子が形成された場合でも起こる場合があります。父親由来の三倍体では異常な胎盤となり、母親に由来する三倍体では妊娠早期の自然流産となります。四倍体は染色体数が92本となり、この分裂が性染色体で起こるとXXXYやXYYYという性染色体が無い染色体となります。
また、染色体の構造異常には、染色体の一部に異常がある場合や、染色体の一部や全体が別の染色体と誤って結合する異常=転座、染色体の一部が欠けている=欠失する染色体欠失症候群、重複などがあります。
欠失は、2本ある染色体のうち1本の一部が無く、染色体の不均衡が見られます。本来染色体は2本とも同じ大きさで機能を発揮しますが、2本のうち1本の一部が無くなってしまうと機能しなくなり=ハプロ不全症状が出現します。症状の重症度は欠失した染色体の遺伝子の数と断片の大きさにより異なります。
染色体異常は、性染色体を含め全ての染色体で起こり、大きな異常では染色体分析や核型分析と呼ばれる検査で顕微鏡で観察できます。また、小さな染色体異常は、蛍光in situハイブリダイゼーション=FISHや専用の遺伝学的検査=染色体マイクロアレイ解析などで染色体をスキャンし過剰部分や欠損部分を探し出します。
染色体異常によって起こる病気として、ダウン症、ターナー症、がんが知られており、染色体の数的異常で最も多く見られるものは21トリソミー=ダウン症候群、13トリソミー、18トリソミーで、核型分析時に顕微鏡で確認可能です。
染色体の過剰や欠損は妊娠する女性の年齢が高くなると発生率が上がり、染色体異常を持った子供が生まれるリスクが高くなりますが、男性の年齢が高くなっても染色体異常を持つ子供が生まれるリスクは、ほとんど変わりません。
染色体異常の種類により、生まれる前の胚や胎児の段階で死に至る場合や、知的障害、低身長、けいれん発作、心臓疾患、口蓋裂などの異常が起きることもあります。
染色体異常の原因は、偶然の場合や抗がん剤や放射線などがあり、異常により発現する症状は多様となり、強すぎる染色体異常では出生が困難となり流産が起こることもあります。
染色体異常の症状
染色体異常の症状はどのようなものですか?
染色体異常の症状は、ダウン症、ターナー症、クラインフェルター症候群などで、その結果、心疾患、精神発達遅滞、消化器系異常、成長障害、不妊症など様々な症状が現れます。具体的に現れる症状として息切れ、呼吸困難、哺乳障害などの心不全症状、便秘、嘔吐、けいれんなどの全身症状があります。
また、染色体異常はがん細胞に生じることがあり、白血病や肺がんなどの悪性腫瘍が発症する場合もあります。さらに薬に対する反応を決定する要因となることもあります。
また、染色体異常はがん細胞に生じることがあり、白血病や肺がんなどの悪性腫瘍が発症する場合もあります。さらに薬に対する反応を決定する要因となることもあります。
染色体異常の原因
染色体異常の原因はどのようなものですか?
ヒトの体細胞=デイプロイドには、1から22番までに割り振られた22対44本の常染色体と、X染色体、Y染色体の1対2本の性染色体を合わせた計46本の性染色体があり、その中に人の細胞が正常に機能するために必要な遺伝子が含まれています。
染色体異常では、46本の染色体数に異常があり、ダウン症では21番目の染色体が3本あり、その結果、様々な全身症状が現れます。また、染色体の構造異常の例では、がん特有の遺伝子変化があり、がんの発生に繋がります。
染色体異常では、46本の染色体数に異常があり、ダウン症では21番目の染色体が3本あり、その結果、様々な全身症状が現れます。また、染色体の構造異常の例では、がん特有の遺伝子変化があり、がんの発生に繋がります。
染色体異常の検査・診断
染色体異常の検査と診断はどのようにしますか?
染色体異常の検査・診断は、血液サンプル、血液、口腔粘膜、がん細胞などを用いて実施します。代表的な方法として、G-bandeing=Gバンド染色法があり、染色体の本数を診断します。
染色体異常検査の実施は、赤ちゃんが子宮内にいる時点で出生前検査として行ったり、がんの発生時に行ったりなど様々です。
出生前検査として羊水穿刺や繊毛採取で得た細胞により胎児の特定の染色体異常を検出します。胎児に異常が見られた場合は、先天異常を特定するために、妊婦の血液サンプルを分析し胎児に特定の遺伝子疾患が無いか判定するスクリーニング検査を行うなど、さらに詳しい検査を実施します。
この検査は、妊婦の血液中に少量の胎児由来のDNAが含まれていることから実施される検査で、非侵襲的出生前検査=NIPTと呼ばれています。非侵襲的出生前検査により、21トリソミー=ダウン症候群、13トリソミー、18トリソミー、その他の染色体異常症リスクを特定できますが診断まではできず、さらなる検査を行う必要があります。
染色体異常検査の実施は、赤ちゃんが子宮内にいる時点で出生前検査として行ったり、がんの発生時に行ったりなど様々です。
出生前検査として羊水穿刺や繊毛採取で得た細胞により胎児の特定の染色体異常を検出します。胎児に異常が見られた場合は、先天異常を特定するために、妊婦の血液サンプルを分析し胎児に特定の遺伝子疾患が無いか判定するスクリーニング検査を行うなど、さらに詳しい検査を実施します。
この検査は、妊婦の血液中に少量の胎児由来のDNAが含まれていることから実施される検査で、非侵襲的出生前検査=NIPTと呼ばれています。非侵襲的出生前検査により、21トリソミー=ダウン症候群、13トリソミー、18トリソミー、その他の染色体異常症リスクを特定できますが診断まではできず、さらなる検査を行う必要があります。
染色体異常の治療
染色体異常の治療はどのようなものですか?
染色体異常の治療は、現時点では根本治療が難しく、発生した症状に応じた対症療法を行います。例えばダウン症候群で生じる心疾患では、手術や内科的治療、精神発達遅延では、療育的治療を行います。不妊症が生じた際には体外受精を行う場合もあります。
染色体異常により悪性腫瘍が発生した場合は、病変の広がりを評価した後、手術、化学療法、放射線などの治療を実施します。
染色体異常により悪性腫瘍が発生した場合は、病変の広がりを評価した後、手術、化学療法、放射線などの治療を実施します。
編集部まとめ
染色体異常は発症した本人だけでなく、次世代へ遺伝する可能性もあり、遺伝カウセリングを行う場合もあります。
染色体異常の根本治療は現代医療ではまだできませんが、神経管閉鎖不全を予防するための葉酸の摂取や、両親が特定の遺伝子異常のキャリアかどうかを調べるスクリーニング検査、体外受精で得られる胚について母体の子宮に移す前に遺伝子異常の検査を行うなど、一部の先天異常は場合によって予防が可能ですので、医療機関への相談が重要です。