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「構音障害」の主な3つの原因はご存知ですか?医師が解説!

公開日:2022/07/12  更新日:2022/10/12
「構音障害」の主な3つの原因はご存知ですか?医師が解説!

構音障害は子どもにも大人にもみられます。発音がはっきりとしないため、相手に伝わりにくい、自分の言いたいことを伝えられない、などのコミュニケーション面での障害をきたします。子どもの場合は発音の誤りがあると、読み書きに影響がおよぶ場合もあります。
今回は、構音障害の症状や原因、検査、治療方法など、構音障害について知識を深められる内容を説明しています。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(国家公務員共済組合連合会大手前病院)

プロフィールをもっと見る
2007年大阪市立大学医学部医学科卒業、2009年大阪急性期総合医療センター外科後期臨床研修医、2010年大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、2012年国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、2013年大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、2014年国家公務員共済組合連合会大手前病院救急科医員、2021年国家公務員共済組合連合会大手前病院救急科医長。 著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など多数。 日本外科学会専門医 日本病院総合診療医学会認定医など。

構音障害とは

構音障害とはどのような病気ですか?

肺から出された息が声帯を震わせて声になり、唇をすぼめる、舌の形を整えるなどの口の動きや位置関係によって発したい言葉の音がつくられる過程が構音です。
構音障害はうまく発音ができないために、話している言葉がはっきりせず、相手に話が伝わりにくい、相手が発音を不自然に感じるなどが生じます。話している内容や話の理解に問題はありません。食べることや飲み込みに関する嚥下障害を伴う場合もあります。

構音障害の症状

構音障害ではどのような症状がみられますか?

構音障害では次のような症状がみられます。
  • 発音がはっきりしない、ろれつが回らない
  • 声が小さくなる、か細い声になる
  • 音が長く続かず、終わりが小さくなる
  • 絞り出すような声になる
  • 声が高くなる、または低くなる
  • かすれた声やしゃがれた声になる
  • 鼻にかかった声になる
  • 声が裏返る
  • 発話の速度が遅すぎる、または速すぎる
  • リズムが不自然
  • 抑揚がない
  • 「さしすせそ」が「しゃししゅしぇしょ」になるなど、音の誤りがある

構音障害の原因

構音障害の原因

構音障害の原因は何でしょうか?

構音障害は原因によって次の3つに分けられます。
  • 構音器官の形態の問題である「器質性構音障害」
  • 構音器官の運動機能の問題である「運動性構音障害」
  • 形態や運動に問題がないにもかかわらず、構音の障害がみられる「機能的構音障害」

器質性構音障害

器質性構音障害の原因は何ですか?

けがや病気などによって、言葉の発音に関係する構音器官がはたらきにくいことが原因です。

舌がんの治療のために舌や口腔・顔面の一部を切除した場合や、くちびるや口蓋が割れている口唇口蓋裂、のどちんこが割れている粘膜下口蓋裂、鼻咽腔閉鎖不全、舌小帯が短いなどの場合にみられます。

声を出すときに一時的に閉じるはずの鼻咽腔がうまく閉じない鼻咽腔閉鎖機能不全症も原因となります。鼻咽腔閉鎖機能不全症は、先天的な異常に伴ってみられるほか、脳卒中や神経筋難病、口蓋の一部である軟口蓋が手術やけがで短い場合にも起こります。

運動性構音障害

運動性構音障害の原因は何ですか?

言葉の発音に関係する神経が病気などではたらきにくくなり、構音器官である舌や頬、口などをうまく動かすことができず、音をつくりにくいことが原因となります。
麻痺性構音障害、ディサースリアとも呼ばれます。脳卒中、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性球麻痺、延髄腫瘍脊髄、延髄空洞症、小脳梗塞、小脳変性症、小脳腫瘍、多発性筋炎進行性筋ジストロフィーなどの病気でみられます。

機能性構音障害

機能性構音障害の原因は何ですか?

子どもによくみられる構音障害で、はっきりとした原因はありません。

運動機能や音を判別する力が未熟であることや、音や言葉を覚える環境に問題がある、発音を誤って覚えている、発音の誤りを自分でただすことが難しいなどが原因として考えられます。
誤った発音のまま発達すると、コミュニケーションへの影響もあるため、発音の訓練の開始は日本語のほとんどの音を発音できるようになると言われている4~5歳が目安とされます。

構音障害の受診科目

構音障害の症状が見られたら何科を受診すればよいでしょうか?

構音器官のはたらきを専門としているのは、耳鼻咽喉科や頭頸部外科、歯科です。口腔の形態に問題がある場合は形成外科も対象となります。脳卒中やパーキンソン病の症状のひとつとして構音障害がみられる場合は、脳神経内科や脳神経外科、神経内科などで診療し、必要に応じてリハビリテーションが行われます。

ある程度の年齢になっても発音がはっきりしないなどの子どもの発音に関する受診は、小児科や言語聴覚士のいる発達センターが窓口です。発音を獲得している年齢をすぎても誤った発音がみられる、発音がはっきりせず話が伝わりにくい、周りから発音についてからかわれて本人が傷ついている、本人自身が発音を気にしているなどの場合は受診し、相談しましょう。

構音障害で行う検査

構音障害ではどのような検査を行いますか?

構音器官の形態や聴力の確認、構音検査を行います。

構音器官の確認や聴力の検査

構音器官や聴力の検査では何を行いますか?

口腔、鼻腔、口唇などの構音器官の形態を確認し、口蓋裂などの異常がないかを確認します。
聞こえの状態に問題がないかを調べるために、鼓膜の状態の確認や聴力検査を行います。

構音検査

構音検査はどのような検査ですか?

構音障害の有無や、構音障害の種類、重症度などを判定する検査です。主に言語聴覚士(ST)が行います。
発せられた言葉が正常かどうか、正常の構音発達の範囲内に入るか、発音しているときに舌や唇がどのような動きをしているかなどを評価します。ほかにも、声の印象、どれだけ長く声を出し続けられるか、発音時に息が鼻から漏れていないか、発話速度、リズムの異常なども評価し、治療方針を決定します。

構音障害の性差・年齢差など

構音障害の性差・年齢差など

構音障害は性別差や年齢差などはあるのでしょうか?

子どもにも大人にも見られます。機能性構音障害は子どもに多い傾向があります。
子どもの構音障害は幼児の5%、学童・青年期の1%で29万人の推定です。子どもの器質性構音障害の主な原因となる口唇口蓋裂は出生400人に1人の割合です。
大人の構音障害は口腔咽頭がんによる構音障害が1万6,000人と推定されています。神経系の機能低下に伴う構音障害は脳卒中や頭部外傷などの脳の病気やけがによるものが多く、12万4,000人程度と推定されます。

構音障害の治療方法

構音障害の治療方法

構音障害の治療をする場合、どのような治療方法がありますか?

手術、補綴装置の利用、リハビリテーションがあります。

手術

手術では何を行いますか?

構音障害の原因となっている構音器官の形態的な異常に対して行う手術です。

口蓋裂や頭頸部がんの手術、けがなどによって穴が生じ、口腔と鼻腔がつながって空気が漏れる状態に対しては、開いている穴を閉じる口腔瘻孔閉鎖術を行います。

話をするときに口の中の息が鼻に漏れてしまう状態に対しての手術として、口蓋の粘膜を咽頭側に移動させる口蓋後方移動術や、咽頭粘膜を引き寄せて軟口蓋と縫合する咽頭弁移植術があります。

舌の裏側についている舌小帯が短い舌小帯短縮症がある場合に、舌の運動制限を解除するために行われる舌小帯を切開して延長する手術は舌小帯延長術です。

顎の骨の大きさや形の異常が著しく、構音障害をきたしている場合は、あごの骨を切って適切な位置に移動する外科的顎矯正術がおこなわれます。

補綴装置

補綴装置の治療では何を行いますか?

口蓋裂や手術によって上あごの一部を切除した場合、鼻から息が漏れる場合に、上あごや軟口蓋をふさぐ装置をつける治療を行います。舌がんで舌を切除した場合には、上あご部分を厚くする装置を入れて発音しやすくする治療法もあります。

リハビリテーション

リハビリテーションでは何を行いますか?

言語聴覚士による構音訓練を行います。訓練の内容は、構音障害を起こす課題に対する呼吸や発声の練習、口の体操、発音の練習などです。
具体的には、次のような練習が行われます。
  • 鼻から息が漏れる場合に、口から息を出してコップに入れた水をぶくぶくとストローでふく練習をする。
  • 舌の使い方に癖がある場合に、正しい音の出し方を知って身につける練習をする。舌の動きの練習や正しい位置で発音できるように練習する。
  • 代替え手段として、文字表や機器などの利用の検討や練習、話しやすくするためのアドバイスなども行う。
  • 子どもの場合は、日常生活で無理に間違っている発音を言い直させたり、指摘させたりせずに正しい発音を聞かせるようにする。

編集部まとめ

構音障害は発音がはっきりとしない状態で、相手が話の内容を聞き取れなかったり、発音が不自然に感じたりする状態です。音をつくる構音器官の形態的な異常、脳などの中枢神経の病気やけがで構音器官の運動機能が障害されている場合、構音機能が未熟な子どもが原因となります。

コミュニケーションが障害される場合や本人が気にしている場合は受診し、適切な治療を受けましょう。子どもでは、日常生活において発音の間違いを無理に言い直させることや、間違っていることを指摘しないことも大切です。