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「白血病」ってどんな病気?症状・原因について詳しく解説!

 更新日:2023/03/27
「白血病」ってどんな病気?症状・原因について詳しく解説!

「白血病」はドラマや映画でもよく取り上げられる病気ですが、詳しくはよくわからないという方も多いのではないでしょうか。白血病は若い人がなるというイメージがもたれていますが、どの年齢層にもみられる病気です。全年齢層では、とくに高齢者に多くみられます。
今回は、白血病の概要や症状、原因などについて解説します。

武井 智昭

監修医師
武井 智昭(高座渋谷つばさクリニック)

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【経歴】
平成14年慶應義塾大学医学部を卒業。同年4月より慶應義塾大学病院 にて小児科研修。平成16年に立川共済病院、平成17年平塚共済病院(小児科医長)で勤務のかたわら、平成22年北里大学北里研究所病原微生物分子疫学教室にて研究員を兼任。新生児医療・救急医療・障害者医療などの研鑽を積む。平成24年から横浜市内のクリニックの副院長として日々臨床にあたり、内科領域の診療・訪問診療を行う。平成29年2月より横浜市社会事業協会が開設する「なごみクリニック」の院長に就任。令和2年4月より「高座渋谷つばさクリニック」の院長に就任。

日本小児科学会専門医・指導医、日本小児感染症学会認定 インフェクションコントロールドクター(ICD)、臨床研修指導医(日本小児科学会)、抗菌化学療法認定医
医師+(いしぷらす)所属

白血病とは

白血病とは

白血病とはどういった病気ですか?

白血病は血液中に存在する血球のがんです。血液中には、細菌やウイルスなどから体を守るはたらきを持つ白血球、体の組織に酸素を運ぶ赤血球、出血をおさえる血小板の3つの血球が存在します。
これらの血球が骨髄内でつくられるときに、血球をつくりだす細胞ががん化し、限りなく増える病気が白血病です。血球を作り出す細胞は造血幹細胞といい、がん化した細胞は白血病細胞と呼ばれます。
白血病は、短い期間内に白血病細胞が増える急性白血病と時間をかけて増える慢性白血病とに分けることができます。

白血病の症状

白血病ではどういった症状がみられますか?

白血病細胞が骨髄内で増えると、血球がつくられにくくなって白血球、赤血球、血小板が減ってしまいます。これらの血球が減ることで以下の症状がみられます。
  • 赤血球が減って貧血になり、立ちくらみ、労作時の息切れ、めまい、ふらつき、頭痛、胸の痛みなどの症状が出る
  • 血小板が減ると出血しやすくなり、鼻出血、歯肉出血、皮下出血などが生じる
  • 白血球が減ると感染しやすくなり、発熱、肺炎、敗血症などが生じる
  • 肝臓、脾臓、リンパ節にまで白血病細胞が入り込むと、肝臓、脾臓、リンパ節が腫れる
また、急性白血病と慢性白血病では、症状の現れ方や進み方に違いがあります。

急性白血病の症状

急性白血病の症状はどのような経過で現れますか?

短期間で白血病細胞が増えるため、症状が速く進行します。診断や治療の開始が遅れると重篤化して、命にかかわることもあります。すみやかに、診断と治療の開始につなげることが重要です。

慢性白血病の症状

慢性白血病の症状はどのような経過で現れますか?

時間をかけて白血病細胞が増えるため、初めのころは自覚症状がみられない場合もあります。健康診断や血液検査などで、思いがけず見つかる場合も少なくありません。
進行すると、やがては急性白血病と同様の症状がみられるようになります。進行途中で発熱などの症状とともに急性白血病へと変わる場合もあり、注意が必要です。

白血病の原因

白血病は何が原因で発症するのでしょうか?

白血病の原因ははっきりと解明されていません。細胞ががん化するのは、遺伝子に傷がつくためと考えられています。
正常なはたらきの細胞は、体の状態に応じて増えたり増えなかったりして体を良い状態に保っています。ところが、がん化した細胞は体の状態を無視して増え続けます。そればかりか組織を壊して周囲の組織にも入り込み、がん化した細胞を増やします。
細胞の遺伝子に傷をつける要因としては、次の物質や病気、副作用が挙げられます。
  • たばこに含まれる発がん物質
  • 放射線の大量被ばく
  • 成人T細胞白血病(HTLV-1)、バーキットリンパ腫(EBウイルス)
  • 抗がん剤を使用した後の副作用
  • 染色体異常がみられる一部の先天性疾患
  • ベンゼンなどの化学物質が体の中に入る
  • 骨髄異形成症候群(高齢者に多く、急性白血病を早期に発症する要因となる)

白血病の代表的な病気

白血病の代表的な病気について教えてください。

白血病細胞が増えるスピードと、がん化した細胞の種類によって、以下の4つに分類されます。
  • 急性リンパ性白血病
  • 慢性リンパ性白血病
  • 急性骨髄性白血病
  • 慢性骨髄性白血病

急性骨髄性白血病

急性骨髄性白血病

急性骨髄性白血病はどういった病気ですか?

血球のもととなる造血幹細胞が成長するときに、早期に成長が止まってしまった細胞が、骨髄内で限りなく増える病気です。進行が速く、症状が急に現れる場合も少なくありません。

急性リンパ性白血病

急性リンパ性白血病はどういった病気ですか?

白血球のうち、リンパ球へと成長する途中で異常を生じた細胞が骨髄内で増える病気です。フィラデルフィア染色体という異常な染色体が認められ、脳や脊髄などの中枢神経に入り込みやすい特徴があります。
中枢神経に入り込むと、頭痛や吐き気がみられます。進行が速く、多くの場合は急に症状が現れます。

慢性骨髄性白血病

慢性骨髄性白血病はどういった病気ですか?

血球をつくるときに異常が起こり、白血球の一種の顆粒球が必要以上に増える病気です。血液中や骨髄内で成長前の細胞が増えて、正常な血球が少なくなり、倦怠感、発熱、出血などの症状がみられます。フィラデルフィア染色体が認められるのが特徴です。
慢性期、移行期、急性転化期の順に経過します。慢性期においては症状はほぼみられず、あっても軽度です。移行期には発熱や貧血、脾臓の腫れなどがみられます。急性転化期に入ると、急性骨髄性白血病と似た症状が出ます。

慢性リンパ性白血病

慢性リンパ性白血病はどういった病気ですか?

白血球の一種のリンパ球が必要以上につくられる病気です。成長したリンパ球ががん化し、血液中や骨髄内で増えます。進行すると、肝臓や脾臓、リンパ節の中でも増えます。
初めのころはほとんど症状がみられず、時間をかけて進行します。やがて、倦怠感、リンパ節の腫れ、発熱、体重減少、寝汗、脾臓の腫れによるお腹の張りなどの症状が現れます。

白血病の受診科目

白血病と思われる症状が現れたら、何科を受診すればよいでしょうか?

白血病の貧血や出血傾向、発熱などの症状のみでは、はっきりと白血病だとはわかりません。気になる症状が現れたら、まずはかかりつけ医や近くの病院を受診しましょう。
無症状であっても、健康診断や血液検査でみつかる場合もあるため、定期的な健診を受けて、早期発見と適切な治療の開始につなげることが大切です。
急性白血病は日単位で進行し、早期に治療しなければ命の危険も伴います。白血病だと疑われる場合は、すみやかに血液内科を専門とする医療機関を受診しましょう。

白血病で行う検査

白血病で行う検査

白血病ではどういった検査を行いますか?

問診で白血病が疑われる場合に行われるのは血液検査です。血液中の血球の数の異常を血液検査で確認し、異常な血球がみられたら、精密検査を行います。精密検査で行うのは骨髄検査です。骨髄に針を刺し、白血病細胞を採取して形の特徴から白血病のタイプを判断します。

白血病の性差・年齢差など

白血病は性別差や年齢差などはあるのでしょうか?

国立研究開発法人 国立がん研究センターによると、2018年では男性8359例、女性5928例が白血病と診断されています。白血病と新たに診断された患者の人口10万対あたりの割合(罹患率)を男女別にみると、男性13.6 例、女性9.1 例で男性にやや多い傾向がみられます。
白血病は全年齢層において罹患が確認できますが、年齢階級別の罹患率では、高齢者でより罹患率が高いがんです。
また、2009年~2011年のデータによると、0歳~19歳までの若年層においては、すべてのがんの種類の中で最も罹患率が高いのは白血病です。白血病は総数でみると高齢者で多く発症しますが、若年層がかかるがんの中ではいちばん発症しやすいがんだといえます。

編集部まとめ

白血病は血球がつくられるときに、骨髄内などでがん化した細胞が限りなく増える病気です。急性白血病は治療が遅れると命を落とす危険性もあります。慢性白血病も、病状が進むと急性白血病と同じような症状がみられるため、早期に発見して適切な治療を早く開始することが大切です。
自覚症状がなくても、検査で見つかることもあるため、日頃から定期的な検査を受けて早期発見に努めましょう。

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