「胃腸炎」を発症したら「何日」休んだ方がいいの?症状や原因も解説!【医師監修】
公開日:2025/09/18

胃腸炎は、腹痛や下痢、嘔吐などの症状を伴い、日常生活に大きな影響を与えることがあります。特にウイルス性胃腸炎やストレス性胃腸炎は、原因が異なるため、休養期間や治療方法も変わります。
本記事では胃腸炎は何日休むべきなのかについて以下の点を中心にご紹介します。
- ウイルス性胃腸炎について
- ストレス性胃腸炎について
- ウイルス性胃腸炎とストレス性胃腸炎の休む日数
胃腸炎は何日休むべきなのかについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。

監修医師:
林 良典(医師)
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名古屋市立大学卒業。東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、 NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。医学博士。公認心理師。日本専門医機構総合診療特任指導医、日本内科学会総合内科専門医、日本老年医学会老年科専門医、日本認知症学会認知症専門医・指導医、禁煙サポーター。
消化器内科
呼吸器内科
皮膚科
整形外科
眼科
循環器内科
脳神経内科
眼科(角膜外来)
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目次 -INDEX-
ウイルス性胃腸炎について
どのような感染経路がありますか?
ウイルス性胃腸炎は、さまざまなウイルスによって引き起こされ、その感染経路は多岐にわたります。主な感染経路には、以下のようなものがあります。
・便や嘔吐物との接触
ウイルスは感染者の便や嘔吐物に多く含まれており、これらに触れることで感染が広がります。感染者の排泄物に触れた手を介して、食品やお口に触れることでウイルスが体内に入ることがあります。
・食品や飲料を介しての感染
感染者が触れた食べ物や飲み物を摂取することで、ウイルスがお口から体内に入り感染が成立します。特に生食の貝類など、感染源となる可能性がある食品には注意が必要です。
・汚染された物品や表面からの感染
感染者が触れた物品や表面(ドアノブ、タオル、トイレのフラッシュボタンなど)にはウイルスが付着していることがあり、それに触れた手がお口に触れることで感染する場合もあります。
・接触感染
感染者との直接的な接触や、感染者が使用した物品を共有することで感染が広がります。なかでも、集団生活をしている環境では、感染が一気に拡大することがあります。
ウイルス性胃腸炎の主な症状を教えてください
ウイルス性胃腸炎の主な症状には、いくつかの特徴的な症状が見られます。
以下で解説します。
・吐き気と嘔吐
ウイルス性胃腸炎では、吐き気や嘔吐がよく見られます。特に嘔吐が繰り返されることがあり、水分が摂取できない程ひどくなることもあります。長期間続くと脱水症状を引き起こすことがあるため、注意が必要です。
・下痢
ウイルス性胃腸炎では、水っぽい便や軟便が頻繁に出ることがあります。下痢は数日続くとされていますが、1週間以上続くこともあります。血便は見られませんが、痔核がある場合などには血が混じることがあります。
・腹痛と腹部不快感
腹部の痛みや不快感もよく見られる症状です。痛みは軽度から中程度で、腹部全体に広がることが特徴です。痛みの場所が特定の箇所に限られている場合、別の病気の可能性も考えられます。
・発熱
ウイルス性胃腸炎による発熱は、38度未満の微熱であることが多いようです。高熱が出ることはあまりなく、解熱剤や冷却で対応できることがほとんどだといわれています。
・全身の倦怠感
胃腸炎に伴って、全身がだるく感じることがあります。これはウイルスによる全身の炎症反応によるもので、十分な休養が必要です。
ウイルス性胃腸炎の潜伏期間はどのくらいですか?
ウイルス性胃腸炎の潜伏期間は、感染したウイルスの種類によって異なります。潜伏期間とは、ウイルスが体内で増殖しているものの、まだ症状が現れない期間を指します。ウイルス性胃腸炎の場合、次のような潜伏期間が考えられます。
・ノロウイルス
潜伏期間は1~2日間程です。感染してから症状が出るまでの時間は短く、感染力も強いため、発症前からほかの方に感染するリスクがあります。
・ロタウイルス
潜伏期間は1~3日間程となります。特に乳幼児に見られ、発症前からウイルスが広がることがあるため、注意が必要です。
・アデノウイルス
潜伏期間は2~10日間程です。このウイルスは、症状が現れるまでの時間がやや長いため、感染していることに気付くのが遅れることがあります。
ストレス性胃腸炎について
ストレス性胃腸炎の主な症状を教えてください
ストレス性胃腸炎にはどのような症状があるのでしょうか。
以下で解説します。
・腹痛と不快感
ストレスがかかることで、胃腸の働きが乱れ、腹痛やみぞおちの不快感を引き起こすことがあります。特にストレスが溜まっているときに痛みが強くなる傾向があります。
・便秘と下痢
便秘と下痢が交互に現れることが多く、消化不良が原因で便の状態が不安定になります。ストレスによって引き起こされるため、感情的な影響も大きく関与しています。
・嘔気とめまい
ストレス性胃腸炎では、吐き気を感じたり、めまいが起こることがあります。これらの症状は消化不良や胃腸の機能低下と関連しており、精神的な疲れが身体に影響を与えます。
・頭痛と不安感
ストレスが続くことで、頭痛や不安感が伴うことがあります。心身のストレスが身体に現れた結果であり、体調不良を引き起こす原因となります。
・疲労感と肩こり
強い疲労感や肩こりを感じることがあり、これもストレスの影響で筋肉の緊張が高まるためです。長時間の精神的な負担が身体に現れやすくなります。
・血便や吐血(重症時)
重症の場合には、血便や吐血が現れることがあります。胃腸の内部に深刻な影響を与えている兆候であり、早めに主治医の診察が必要です。
ストレス性胃腸炎は何が原因で引き起こされますか?
ストレス性胃腸炎は、慢性的なストレスが原因で発症します。脳と腸は密接に関連しており、ストレスを受けることで腸の運動や感覚に変化が生じ、胃や腸に不調が現れます。よって、胃酸の分泌が過剰になったり、胃や十二指腸の知覚過敏が起こることがあります。
また、慢性的なストレスは食生活や生活習慣にも影響を与えます。不規則な食事、睡眠不足、過労、過度なカフェインやアルコールの摂取などが、胃腸の働きに悪影響を及ぼし、胃腸炎を引き起こす原因となります。
ストレス性胃腸炎を引き起こす具体的な原因は、以下のようなものが挙げられます。
・身体的ストレス(ケガや病気)
・精神的ストレス(疲労や睡眠不足)
・食生活の乱れ(不規則な食事や過度な飲酒、喫煙)
・感染症やアレルギー反応(アニサキスなどの寄生虫やピロリ菌)
・生活習慣の乱れ
特にストレスに敏感な方に発症しやすいのですが、ストレスに強いと感じる方でも過度なストレスが続くと胃腸に不調が現れることがあります。ストレスが生活習慣病にも関与することがあるため、日常的なストレス管理が重要です。
ストレス性胃腸炎を放置するとどうなりますか?
ストレス性胃炎を放置すると、症状が進行して胃潰瘍が発生したり、食欲不振や消化機能の低下が引き起こされ、結果、栄養不足に陥る可能性があります。
ウイルス性胃腸炎とストレス性胃腸炎の治療・休む日数
ウイルス性胃腸炎の治し方を教えてください
ウイルス性胃腸炎の治し方は以下のとおりです。
・水分補給
ウイルス性胃腸炎では、嘔吐や下痢により体内の水分が失われやすくなるため、こまめな水分補給が重要です。水分が十分に摂取できない場合には、点滴で脱水対策を行うこともあります。
・整腸剤の服用
腸内の環境を整えるために、整腸剤を服用することがあります。腸内フローラを改善し、回復を早める効果が期待できます。
・下痢止めの使用は避ける
ウイルス性胃腸炎では、嘔吐や下痢が体内からウイルスを排出しようとする防御反応です。したがって、下痢を止める薬(下痢止め)はウイルスの排出を妨げる可能性があり、推奨されません。
・安静と食事療法
症状がひどい間は安静にし、必要に応じて絶食しますが、絶食中も小まめな水分補給は必須です。症状が落ち着いてきたら、消化にいい食べ物を少しずつ摂取することが推奨されます。
ストレス性胃腸炎の治し方を教えてください
ストレス性胃腸炎の治し方は以下のとおりです。
1.薬物療法
薬物療法は、症状に合わせてクリニックが処方する薬を使用します。胃腸の症状を緩和するためには、消化管の運動機能を改善する薬や胃酸分泌を抑える薬が処方されることがあります。また、ストレスや緊張を和らげるために、抗不安剤や漢方薬が有効な場合もあります。
2.生活習慣の改善
薬物療法と並行して、生活習慣の見直しも重要です。食事の内容や生活のリズムが、胃腸炎の原因になっている場合があります。例えば、暴飲暴食や喫煙、飲酒、カフェインの摂取などが胃腸に負担をかけることがあります。
3.安静を保つ
胃腸に不調が現れた場合、まずは安静を保つことが大切です。ストレスが原因で胃腸が敏感になっているときは、外的な刺激を避けることが重要です。
ウイルス性胃腸炎とストレス性胃腸炎は何日仕事や学校を休むべきですか?
ウイルス性胃腸炎やストレス性胃腸炎では、体調の回復を優先し、無理なく休養を取ることが重要です。症状により、どれくらいの期間休むべきかは異なりますが、以下の指針を参考にして、しっかり期間を決めることが大切です。
・ウイルス性胃腸炎の場合
ウイルス性胃腸炎は、嘔吐や下痢などの症状が伴い、感染力が高いため、感染拡大を防ぐためにも症状が治まってから48時間以上休養することが推奨されます。
・ストレス性胃腸炎の場合
症状の重さや回復具合によって、休養期間が異なりますが、重要なのはストレスの原因を特定し、無理なく休養することです。そのため、発症から少なくとも3日間は休養が必要です。症状が軽くなり心身が回復したと感じるまで、無理せず休みましょう。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
胃腸炎は症状が辛く、回復には十分な休養が必要です。ウイルス性胃腸炎やストレス性胃腸炎のそれぞれにおいて、正しい休養期間を守ることが回復の鍵となります。無理に仕事や学校に復帰することは、症状の悪化や再発を招くこともあるため、自身の体調を考え、無理なく療養を続けてください。
編集部まとめ
ここまで胃腸炎は何日休むべきなのかについてお伝えしてきました。胃腸炎は何日休むべきなのかの要点をまとめると以下のとおりです。
- ウイルス性胃腸炎は、便や嘔吐物との接触、食品や飲料を介して感染する
- ストレス性胃腸炎は、腹痛と不快感、便秘と下痢などの症状が見られる
- 症状によって異なるが、ウイルス性胃腸炎の場合は一週間、ストレス性胃腸炎の場合は少なくとも3日間休むことが必要
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。




