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「ナルコレプシーの診断方法」はご存知ですか?症状や原因も解説!【医師監修】

 公開日:2024/12/06
「ナルコレプシーの診断方法」はご存知ですか?症状や原因も解説!【医師監修】

日中の強い眠気に悩まされていませんか?
突然の睡眠発作や日常生活に支障をきたす程の眠気は、ナルコレプシーという病気の症状かもしれません。
本記事ではナルコレプシーの診断について以下の点を中心にご紹介します。

・ナルコレプシーとは
・ナルコレプシーの検査と診断
・ナルコレプシーの治療

ナルコレプシーの診断について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

伊藤 有毅

監修医師
伊藤 有毅(柏メンタルクリニック)

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専門領域分類
精神科(心療内科),精神神経科,心療内科。
保有免許・資格
医師免許、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医

ナルコレプシーの診断に至るまで

ナルコレプシーの診断に至るまで

ナルコレプシーとは何ですか?

ナルコレプシーは、日中に突然強い眠気に襲われ、場所や状況に関係なく眠りに落ちてしまう過眠症の一種です。日本では600人に1人程度の割合で見られ、思春期から青年期にかけて発症することが多いとされています。

この疾患の特徴は、普通の状況下でも急に眠気が生じることです。例えば、会議や運転中に眠ってしまうことがあり、日常生活や社会活動に大きな支障をきたすことがあります。さらに、笑ったり興奮したりすると全身の力が抜けるカタプレキシーや、金縛り、幻覚なども伴うことがあります。

ナルコレプシーはどのような症状が現れますか?

ナルコレプシーの主な症状は、以下のような症状です。

睡眠発作
日中の突然の強い眠気や居眠りです。運転中や会話中でも制御できない程の眠気に襲われることがあり、30分程度の短時間の居眠りでスッキリ目覚めることがありますが、すぐに眠気が起こります。

情動脱力発作(カタプレキシー)
喜びや驚きなどの感情が高まると、体の力が抜けたり呂律が回らなくなったりする発作です。脱力時間は数秒から2分程度とされ、意識消失はありません。

睡眠麻痺(金縛り)
入眠時のレム睡眠の頻度が増えることで、浅い眠りで意識はあるけれど身体が動かなくなる症状です。

入眠時幻覚
入眠時に幻覚を生じる症状で、80%程度の患者さんに現れるとされています。睡眠麻痺と同時に起こることも少なくなく、患者さんは怖い体験として生々しい幻覚を経験します。

その他
夜間の睡眠の質が低下し、浅い睡眠が多くなるため、熟睡感が得られにくくなったり、集中力ややる気が低下するという問題も発生します。

ナルコレプシーの原因は何ですか?

ナルコレプシーの主な原因は、脳の視床下部にあるオレキシンという物質の分泌が不十分であることです。オレキシンは、脳の覚醒状態を維持し、レム睡眠を制御する重要な役割を果たしています。オレキシンが不足すると、覚醒状態が安定せず、突然の眠気やレム睡眠の乱れが生じ、さまざまな症状が引き起こされます。
さらに、ストレスや頭部外傷、ウイルス感染といった外的要因が引き金となり、ナルコレプシーを発症しやすい体質を持つ方に症状が現れることもあります。

ナルコレプシーの診断・検査方法

ナルコレプシーの診断・検査方法

ナルコレプシーの診断は何科を受診すればよいですか?

ナルコレプシーの診断を受ける際には、まず睡眠障害を専門に扱う睡眠外来を受診してみるとよいでしょう。1ヶ月以上日中の眠気や突然の居眠りが続く場合は早めに医療機関へ相談し、睡眠外来などが近くにない場合は、精神科や神経内科も対応しています。
また、原因の特定が難しい場合は、かかりつけ医を通して適切な診療科に紹介してもらうのもよい方法です。

ナルコレプシーの検査方法を教えてください

ナルコレプシーの主な検査について、以下に述べます。

終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)
脳波、筋電図、眼球運動、心電図などを一晩かけて記録し、睡眠時無呼吸症候群などほかの睡眠障害を除外するために行います。

反復睡眠潜時検査(MSLT)
日中の眠気の強さを評価するため、2時間ごとに5回、20分間の短い睡眠テストを実施し、眠りに落ちるまでの時間を測定します。この検査で、特発性過眠症など類似する病気との区別も行います。

髄液オレキシン検査
腰椎穿刺を行い、脳脊髄液中のオレキシン濃度を確認する侵襲的な検査で、ナルコレプシーの確定診断に有効とされています。情動脱力発作を伴う患者さんでは、オレキシンの濃度が低いことが確認されます。

ヒト白血球抗原(HLA)検査
白血球の血液型であるHLAを検査し、遺伝子型の組み合わせを確認します。ただし、この検査は参考値として用いられ、確定診断には使われません。

これらの検査は、組み合わせて行われることがあります。

ナルコレプシーはどのように診断されるのですか?

ナルコレプシーの診断は、まず詳細な症状の聞き取りから始まります。患者さんの睡眠習慣や日中の眠気、金縛りや情動脱力発作の有無といった過去の症状を丁寧に確認し、発症の時期や頻度を把握します。しかし、これだけでは確定診断には至らないため、精密検査が必要です。

診断に用いられるのは、先述した終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)と反復睡眠潜時検査(MSLT)が主となり、ナルコレプシー特有の早期のレム睡眠(入眠時レム睡眠期)の有無が確認されます。

また、情動脱力発作を伴うナルコレプシーの場合、脳脊髄液中のオレキシン濃度を測定することで確定診断が可能とされています。これらの検査を通じて、ほかの過眠症との鑑別を行い、最終的な診断が下されます。

ナルコレプシーと診断された際の治療法

ナルコレプシーと診断された際の治療法

ナルコレプシーと診断されたら、注意すべきことは何ですか?

ナルコレプシーと診断された場合、まずは規則正しい生活を送ることが重要です。毎日同じ時間に寝起きし、夜間の睡眠時間を十分に確保することが症状改善の基本となります。
また、日中に短時間の昼寝を取ることで、眠気を軽減し、日中の活動を快適に過ごせるようになります。なかでも、職場や学校では、適切な休憩時間を確保できる環境を整えることが大切です。さらに、日々の睡眠リズムを把握するため、睡眠日記をつけることも症状管理に役立ちます。

ナルコレプシーは薬剤での治療を行いますか?

ナルコレプシーの治療には、症状に応じて、異なる治療薬を組み合わせて使用します。
例えば、日中の過度な眠気には覚醒作用を持つ精神刺激薬が処方され、脳の覚醒を助けます。情動脱力発作や金縛り、入眠時幻覚には、レム睡眠を抑制する効果が期待できる抗うつ薬が用いられます。夜間の不眠や熟睡感の欠如が強い場合には、睡眠導入剤が使用されることもあります。
症状に応じた適切な薬物治療が、生活の質を向上させる重要な要素です。

ナルコレプシーと似ている病気を教えてください

ナルコレプシーと似ている病気には、以下のような病気があります。

特発性過眠症
ナルコレプシーと同様に日中の強い眠気を訴えますが、情動脱力発作や入眠時幻覚がない点が異なります。

睡眠時無呼吸症候群
睡眠中に10秒以上の呼吸停止を繰り返すことで、昼間の過度な眠気を引き起こします。

起立性調節障害
日中や午前中に眠気が強く、自律神経の不調が原因とされています。

その他
その他、反復性過眠症やPMS(月経前症候群)なども、日中の眠気などの類似の症状が現れることがあります。

これらの病気はナルコレプシーと症状が重なるため、鑑別診断が重要です。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

ナルコレプシーの症状である日中の突然の眠気や情動脱力発作などは、日常生活に支障をきたすことが多く、つらい思いをされているかもしれません。ですが、ナルコレプシーは適切な治療と生活習慣の工夫で症状を和らげ、充実した生活を送ることが可能とされています。

また、ナルコレプシーの治療では、あなたの状態を理解し、支えてくれる人たちに頼ることも大切です。職場や学校で昼寝を取ることが難しい場合でも、少しの休憩を工夫して取り入れるようにしましょう。

編集部まとめ

ナルコレプシー 診断
ここまでナルコレプシーの診断についてお伝えしてきました。ナルコレプシーの診断の要点をまとめると以下のとおりです。

・ナルコレプシーは、日中に突然強い眠気に襲われ、場所や状況に関係なく眠りに落ちてしまう過眠症の一種
・ナルコレプシーの診断は、症状の聞き取りだけでは確定診断には至らないため、精密検査が必要
・ナルコレプシーの治療は、規則正しい生活と薬物療法によって生活の質を向上させる

症状が重い場合は、適切な薬物療法を受けることも重要です。医師と相談し、症状に合った治療法を選ぶことで、生活の質の向上を目指しましょう。

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修医師