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「アスペルガー症候群の特徴や症状」はご存知ですか?大人と子どもの症状の違いも解説!

 公開日:2024/11/29
「アスペルガー症候群の特徴や症状」はご存知ですか?大人と子どもの症状の違いも解説!

アスペルガー症候群は、対人コミュニケーションや社会的スキルに課題を抱える発達障害の一つです。具体的な症状には、会話や対話の際の空気の読みにくさ、興味の偏り、繰り返し行動などが挙げられます。
本記事ではアスペルガー症候群の症状について以下の点を中心にご紹介します。

・アスペルガー症候群とは
・アスペルガー症候群の症状
・アスペルガー症候群の症状が現れた場合

アスペルガー症候群の症状について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。

伊藤 有毅

監修医師
伊藤 有毅(柏メンタルクリニック)

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専門領域分類
精神科(心療内科),精神神経科,心療内科。
保有免許・資格
医師免許、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医

アスペルガー症候群とは

アスペルガー症候群とは

アスペルガー症候群はどのような障害ですか?

アスペルガー症候群は、自閉症スペクトラムの一部に分類される発達障害で、知的能力や言語発達に遅れがないにも関わらず、対人関係や社会的スキルに困難を抱えることが特徴です。

具体的には、”その場の空気を読む”ことや”暗黙の社会的ルール”を理解するのが難しく、会話では自己中心になったり、相手を無意識に傷つけることがあります。外見や言語能力に問題がないため、障害に気付かれにくく、後年になって診断されることも多いとされています。

アスペルガー症候群と自閉スペクトラム症は同じですか?

アスペルガー症候群と自閉スペクトラム症(ASD)は、かつては異なる診断名で区別されていました。しかし、現在では同じ障害としてとらえられています。
そのため、現在はアスペルガー症候群という名前は正式な診断名ではなく、すべて自閉スペクトラム症に含まれます。

アスペルガー症候群とADHDの違いを教えてください

アスペルガー症候群と注意欠如多動症(ADHD)は、どちらも発達障害に分類されますが、特徴や症状に違いがあります。

アスペルガー症候群(現在は自閉スペクトラム症の一部として扱われる)は、主に対人関係やコミュニケーションに困難を感じ、社会的ルールや暗黙の了解を理解するのが難しい特徴があります。また、自身の興味や行動に強くこだわる傾向があります。

一方、ADHDは主に注意力の欠如や衝動的な行動、過度の活動性などの特性が見られ、じっとしていられなかったり、集中力を持続できなかったりする傾向が目立ちます。

アスペルガー症候群と注意欠如多動症(ADHD)はしばしば混同されますが、診断が難しい場合もあるため、正確な判別には医師の診断が必要です。

アスペルガー症候群の原因を教えてください

アスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)の原因は、まだ解明されていませんが、主に遺伝要因と環境要因が複合的に関与していると考えられています。

遺伝的要因
研究によれば、ASDの遺伝率は37〜90%程度とされており、遺伝が影響していると考えられます。具体的な遺伝子はまだ特定されていませんが、遺伝子の相互作用が症状に影響を与えると考えられています。

環境要因
胎児期や出生時の要因も影響することが示唆されています。例えば、両親の高年齢や低出生体重、バルプロ酸などの薬剤への胎児期の曝露がASDのリスクを高める可能性があるとされていますが、発症を引き起こすとはいい切れないため、研究が進められている段階です。

なお、ASDの原因は親の育て方とは無関係であるとされています。

アスペルガー症候群の症状

アスペルガー症候群の症状

アスペルガー症候群の特徴や症状はどのようなものがありますか?

アスペルガー症候群(現在は自閉スペクトラム症の一部)は、以下の特徴や症状が見られます。

社会的コミュニケーションの困難
アスペルガー症候群の方は、表面的には会話ができても、暗黙のルールや行間を読むのが苦手です。そのため、言葉を文字どおりに解釈してしまい、誤解が生じやすく、相手を意図せず傷つけてしまうことがあります。また、複数人がいる場面で誰が話しかけているのかを理解しづらい場合もあります。

対人関係の困難
周囲の感情やその場の雰囲気を読み取るのが難しく、相手に寄り添った言動ができないことが多いようです。そのため、意図せずに自己中心的と思われたり、場違いな発言をしてしまうことがあり、結果として対人関係がうまくいかないことがあります。

こだわりの強さ
一部の物事に強いこだわりを持ち、それに過度に集中する傾向があります。興味を持ったことに対しては熱中し、ほかのことが目に入らなくなることも多いとされています。また、規則性やパターンを好み、変化や予定の変更に対して強い不安や混乱を感じることがあります。

感覚の偏り
五感に対して過敏または鈍感であることが多く、音や光、匂いに敏感だったり、服の肌触りに強いこだわりを持つことがあります。感覚の過敏さが日常生活に影響を及ぼすこともあります。

このような特徴から、アスペルガー症候群の方は対人関係や社会的状況で困難を抱えることが多く、そのために適切なサポートが必要です。

アスペルガー症候群の併存症について教えてください

アスペルガー症候群の患者さんは、ほかの精神疾患や身体的な疾患を併存していることが多いとされています。約70%以上の方が1つの精神疾患、約40%以上の方が2つ以上の精神疾患を持つとされています。なかでも、ADHDや発達性協調運動症、学習障害がよく見られます。

さらに、医学的な併存症としては、睡眠障害、便秘、てんかんなども合併しやすい傾向があります。

アスペルガー症候群の大人と子どもの症状の違いを教えてください

アスペルガー症候群の症状は、子どもと大人で共通している部分もありますが、年齢によって表れ方に違いがあります。

子どもの頃は、対人関係やコミュニケーションの難しさから、友達ができにくかったり、同じことにこだわり続けたりすることで、学校生活でのいじめや孤立を経験することがあります。しかし、周囲の大人や学校からのサポートを受け、一定のルーティンにしたがって生活することで問題が目立ちにくいこともあります。

一方、大人になると、就職や職場でのコミュニケーションが増え、上司や同僚との対話や場の空気を読む能力が求められます。そのため、元々の症状が職場での人間関係や仕事に影響を与えることが多くなり、大人になって初めて問題に気付くケースもあります。

アスペルガー症候群の症状が現れた場合

アスペルガー症候群の症状が現れた場合

アスペルガー症候群はどのように診断されますか?

アスペルガー症候群は、診断基準に基づいて医師が行います。診断には、まず社会的コミュニケーションや対人関係における持続的な欠陥、そして興味や行動の限定性や反復性が見られるかどうかが確認されます。

また、DSM-5に基づき、ほかの精神疾患や知的能力障害と区別するために心理検査や生理学的な検査も行われます。診断には、患者さん自身の現在の困難や幼少期からの特徴を詳細に聞き取ることが含まれ、医師が総合的に評価して判断を下します。

ただし、診断には時間がかかることもあり、複数回の問診や検査が必要なことも少なくありません。

アスペルガー症候群は治療できますか?

アスペルガー症候群は、根本的に治癒できませんが、適切な支援と環境調整により、症状を緩和し生活の質を向上させることが可能とされています。治療方法には、療育やソーシャルスキルトレーニングがあり、対人関係や社会生活のスキルを向上させられます。

また、症状に合わせた薬物療法や認知行動療法が用いられることもあります。なかでも、不安や抑うつなど二次的な症状には、医師の指導のもと行われる薬物療法の効果が期待されています。

アスペルガー症候群の方への接し方を教えてください

アスペルガー症候群の方との接し方では、相手の特性を理解し、具体的で明確なコミュニケーションを心がけることが大切です。なかでも、曖昧な表現や抽象的な指示は混乱を招きやすいので、できる限りわかりやすく具体的に伝えるとよいでしょう。例えば、日常の活動でも”何を”、”いつまでに”行うかを明確に示すことで、ストレスなく進められます。

また、アスペルガー症候群の方は周囲の感情を推測するのが難しいため、トラブルが起きた際には感情を伝えるのではなく、具体的に”どうすればよいか”を説明するのがおすすめです。

さらに、段取りやスケジュールの変更に敏感なことが多いとされているため、予定変更時は事前に伝え、視覚的なサポート(メモや図示)を取り入れると安心です。お互いの負担を軽減しながら、ゆっくりと関係を築いていくことが大切です。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

アスペルガー症候群はコミュニケーションの難しさやこだわりの強さに悩むこともあるかもしれませんが、その特性を理解し、自身に合った方法で対応することで、より生活が楽になり、充実した日々を送れます。無理をせず周囲にサポートを求め、あなた自身のペースで進んでいくことが大切です。

編集部まとめ

アスペルガー症候群 症状
ここまでアスペルガー症候群の症状についてお伝えしてきました。アスペルガー症候群の症状の要点をまとめると以下のとおりです。

・アスペルガー症候群は、自閉症スペクトラムの一部に分類される発達障害のことである
・アスペルガー症候群の症状は、社会的コミュニケーションの困難、対人関係の困難、こだわりの強さ、感覚の偏りなどが挙げられる
・アスペルガー症候群は、根本的には治癒できないが、適切な支援と環境調整により、症状を緩和し生活の質を向上させられる

アスペルガー症候群は、自閉スペクトラム症の一部であり、対人関係や社会的スキルに困難を抱える発達障害ですが、適切なサポートを受けることで、日常生活での困難を減らし、生活の質を向上させられます。

これらの情報が少しでもアスペルガー症候群の症状について知りたい方のお役に立てば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修医師