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「じゃがいものカロリー」はどれくらいかご存じですか?健康効果も管理栄養士が解説!

 更新日:2025/10/22
「じゃがいものカロリー」はどれくらいかご存じですか?健康効果も管理栄養士が解説!

じゃがいものカロリーはどれくらい?メディカルドック監修医がじゃがいも1個や100g辺りのカロリー・含まれる栄養素・健康効果・カロリーを抑えて摂取する方法などを解説します。

會田 千恵美

監修管理栄養士
會田 千恵美(管理栄養士)

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認定こども園で管理栄養士として給食管理・調理・食育を行っています。離乳食アドバイザー(一般社団法人母子栄養協会)・食育インストラクター1級(NPO日本食育インストラクター協会)・和食文化継承リーダー認定を取得し、子供たちが食に興味をもち、おいしいと笑顔で言ってもらえるように励んでいます。

じゃがいもとは?

じゃがいもとは?

じゃがいもは、ナス科の多年草で塊茎で、馬鈴薯(ばれいしょ)ともいいます。 原産地は南アメリカのアンデス山系地域で、16世紀の初めにヨーロッパに伝わり、1598年(慶長3年)にジャガタラ(現ジャカルタ)港からオランダ船によって長崎に伝えられたといわれています。ジャガタライモを略して、じゃがいもという名になったようです。 じゃがいもの種類は、男爵、メークイン、キタアカリなどがあります。

じゃがいも1個のカロリーはどれくらい?

じゃがいも1個のカロリーはどれくらい?

じゃがいも一個の大きさは、大きいもので260g以上、小さいもので20gと様々です。 一個のエネルギー量は、 Lサイズが110g~170gで、56kcal~87kcal(皮つき/生) Mサイズが70g~110gで、36kcal~56kcal(皮つき/生) です。 ※日本食品標準成分表(八訂)増補2023年より、各成分値を算出しています。

じゃがいも100gのカロリーはどれくらい?

じゃがいも100gのカロリーはどれくらい?

じゃがいも100gあたりのエネルギー量は、生の状態では皮つきで約51kcal、皮なしで約59kcalです。 皮なしのじゃがいもを水煮にすると約71kcal、蒸すと約76kcal、電子レンジで加熱すると約78kcalになります。 加熱したじゃがいものカロリーがやや高くなるのは、調理によって水分が減り、同じ重さあたりの栄養成分が濃縮されるためです。 また、加熱によってでん粉が糊化して消化されやすくなり、冷ますと一部が「レジスタントスターチ(難消化性でん粉)」に変わって食物繊維のように働くこともあります。

蒸したじゃがいものカロリーはどれくらい?

蒸したじゃがいものカロリーはどれくらい?

蒸したじゃがいもは、150gくらいの一個を食べた場合で114kcalになります。 因みに、ゆでた場合で107kcalに、電子レンジ調理で117kcalになります。

じゃがいもに含まれる栄養素

じゃがいもに含まれる栄養素

炭水化物

じゃがいもは、炭水化物の一種であるでん粉が豊富なので、エネルギー源となります。 そのため、じゃがいもが主食になる国もあります。 カレーライスを作るときに、じゃがいもを入れると、煮崩れたじゃがいものでん粉が、 カレーにとろみをつけることもできるので、カレールウだけでとろみをつけようとするよりも、カレールウを少ない量でとろみをつけることができます。そのため、ルウの塩分を抑えることもできます。 じゃがいも1個(150g)に含まれる炭水化物の量は、生の皮なしで26g、蒸したもので27.2g、市販冷凍食品のポテトを揚げたもので48.6gになります。 因みに、白ご飯1杯(150g)に含まれる炭水化物の量は、54.2gです。 炭水化物の食事摂取基準として、必要エネルギー量の50~65%を目標量として定められています。

ビタミンC

ビタミンCは加熱や水への溶け出しによって損失しやすい栄養素ですが、じゃがいもはでん粉に守られているため、他の野菜に比べて比較的保持されやすいのが特徴です。 水に溶けやすいため、ゆで汁や煮汁ごと食べる料理(カレーやシチューなど)では、溶け出した分も一緒に摂取することができます。 ビタミンCは、抗酸化作用を持ち、免疫機能の維持、コラーゲンの合成促進、鉄の吸収促進などに関わります。 じゃがいも1個(150g)あたりのビタミンC量は、生の皮なしで約42mg、蒸したものでは約17mg、市販の冷凍ポテトを揚げたものでは約60mgです。 参考までに、みかん1個(100g)には約32mgのビタミンCが含まれています(150gあたり約48mg)。 ビタミンCの1日あたりの推奨量は、成人で100mgとされています(厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」より)。

カリウム

カリウムは、細胞内液の主要な陽イオンであり、体液の浸透圧を決定する重要な因子です。 酸・塩基平衡を維持する作用があり、神経や筋肉の興奮伝導にも関与しています。 高血圧を中心とした生活習慣病の発症予防の効果があります。 水に流れてしまうので、じゃがいもの、色の変化を防ぐために水に漬けて置いたり、 茹でてしまうと、カリウムは減ります。 じゃがいも1個(150g)に含まれるカリウムの量は、生の皮なしで620㎎、蒸したもので630㎎、茹でたもので510㎎、市販冷凍食品のポテトを揚げたもので990㎎になります。 因みに、バナナ1本(可食部100g)に含まれるカリウムの量は360㎎です。(150g中540㎎) カリウムの食事摂取基準として、成人の男性で3,000㎎/日、女性で2,600㎎/日を目標量としています。

食物繊維

食物繊維は、生活習慣病の発症率やがんの発症率を下げてくれると報告されている栄養素です。食物繊維の摂取量が多いと、体重や収縮期血圧、総コレステロール値が低いことも報告されています。また、排便の頻度が高くなり、慢性便秘の改善に効果的です。 じゃがいも1個(150g)に含まれる食物繊維の量は、生の皮なし1.8gで、蒸したもので2.6g、市販冷凍食品のポテトを揚げたもので4.7gになります。 因みに、生のごぼう(可食部100g)に含まれる食物繊維の量は5.7gです。(150g中8.6g) 食物繊維の理想的な目標量は成人では25g/日以上と考えられていますが、食事摂取基準はそれよりも低く設定されています。 ※日本食品標準成分表・プロスキー変法食物繊維総量の数値参照

葉酸

葉酸は、酵素の補酵素として機能します。DNAやRNAの合成に重要な役割を果たし、欠乏するとDNA合成が抑制され巨赤芽球性貧血が起こったり、不足すると動脈硬化の引き金となる血清ホモシステイン値を高くします。 胎児の神経管閉塞障害発症の予防のために、妊娠を計画している段階から葉酸を400㎍/日摂取すると良いとされています。 じゃがいも1個(150g)に含まれる葉酸の量は、生の皮なし30㎍で、蒸したもので32㎍、市販冷凍食品のポテトを揚げたもので53㎍になります。 因みに、生のほうれん草(可食部100g)に含まれる葉酸の量は210㎍です。(150g中320㎍) 葉酸の食事摂取基準として、成人で240㎍/日とることを推奨されています。また、耐容上限量も定められていて、成人900㎍/日(30~64歳は1000㎍/日)となっています。 サプリメント等での取り過ぎに注意しましょう。

じゃがいもの健康効果

じゃがいもの健康効果

コラーゲンの生成・美肌効果

じゃがいもに多く含まれるビタミンCは、コラーゲンの合成に関わり、血管や皮膚、粘膜などを健康に保つ働きがあります。 ビタミンCが不足するとコラーゲンの生成が妨げられ、血管がもろくなり、出血しやすくなる壊血病などを引き起こすことがあります。また、ビタミンCにはメラニンの生成を抑える作用があり、肌のくすみや色素沈着を防ぐのに役立ちます。 さらに、じゃがいもには皮膚や粘膜の健康維持に関与するビタミンB1やナイアシンなども含まれています。

血圧をさげたり、貧血を予防する効果

食物繊維やカリウムが豊富なので、糖質や脂質、ナトリウムの体外への排泄を促し血圧を下げてくれます。 ビタミンCは、鉄分の吸収を助け、鉄欠乏性貧血の予防や、葉酸も豊富なので、巨赤芽球性貧血などを予防する効果があります。 また、血圧を下げたり貧血を予防する、鉄やマグネシウムもじゃがいもには含まれています。

免疫力の向上や抗酸化作用

エネルギー代謝に必要な補酵素となるビタミンも含まれています。代謝があがれば、免疫力が向上し、さまざまな感染症や病気から身を守ってくれます。また、食物繊維によって、腸内環境がよくなると、老廃物を排泄してくれます。

じゃがいもの選び方

じゃがいもの選び方

じゃがいもには種類がいろいろあり、料理によって、使い分けをするとよいでしょう。 男爵芋は、加熱するとホクホクするので、つぶして使う、ポテトサラダやコロッケを作るときに、メークインは、煮崩れしにくいので、シチューや肉じゃが、カレーなどを作るときに、選ぶとよいです。 また、新じゃがは、皮が薄く、皮のまま調理して食べることができます。 購入するときは、皮が緑色のものは避けて、芽が出ていないものを選びます。表面に傷があるものは、そこから傷みやすいので、傷がないか確認して選びましょう。 大きくて軽いものは、中が空洞になっている場合もあります。ずっしりと重みのあるものを選ぶとよいです。

じゃがいものカロリーを抑えて健康的に摂取する方法

じゃがいものカロリーを抑えて健康的に摂取する方法

こふき芋やマッシュポテト

油は1gで9kcalあるため、油を使う調理方法ではその分、エネルギー量が高くなってしまいます。 蒸したり、電子レンジで加熱し、こふき芋にしたり、つぶして少量のバターや牛乳を入れてマッシュポテトにすると、エネルギー量を抑えることができます。

ポテトサラダ

ポテトサラダを作る際に、マヨネーズを使わずに、お酢を効かせたフレンチドレッシングや、ヨーグルトを使ってつくると、エネルギー量を抑えることができます。 また、カレー粉を少し入れてカレー風味にすると、塩分も抑えることができます。

肉じゃが

テフロン加工の鍋で、油をあまり使わずに、炒めて煮込みます。 肉じゃがに入る人参は油と一緒にとることで、ビタミンAを吸収しやすくなるので、 全くとらないよりは、少量使うとよいです。 バラ肉を使う場合は、お肉の脂で油分を補うことができるので、炒め油は使わないようにしましょう。 一人分と少量でつくるより、多めに作った方が、野菜からの旨味が出て、調味料も抑えて作ることができます。

フライドポテト

エアフライヤーを使用し、少量の油で作るとエネルギー量は抑えられます。 切り方を細くせずに、大き目に切って、一度レンジで加熱してから、油で揚げると 短時間で揚げることができ、油の吸収も少なくてすみます。 また、青のりをふったり、カレー粉をまぶすと、味つけする塩の量を抑えることもできます。

カレーライス

使用するお肉は、脂身の少ない豚肉や鶏肉の皮なしを選び、炒める油は使用せずに、調理します。カレールウもカロリーオフと書いてあるものを選ぶか、自分でカレー粉から作るとエネルギー量が抑えられます。

「じゃがいものカロリー」についてよくある質問

「じゃがいものカロリー」についてよくある質問

ここまでじゃがいものカロリーについて紹介しました。ここでは「じゃがいものカロリー」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

じゃがいもはダイエット中に食べてもいいのでしょうか?

會田 千恵美會田 千恵美

食べても大丈夫です。食事を減らすダイエットは、あまりお勧めできません。栄養バランスが崩れてしまい、肌が荒れてしまったり、貧血になってしまったり健康を害してしまう可能性があるからです。じゃがいもは、ビタミンCも豊富で美容効果の高い食べ物なので、食べ過ぎには注意し、いろいろなものをバランスよく食べてください。

じゃがいもと白米どちらの方がカロリーが高いのでしょうか?

會田 千恵美會田 千恵美

蒸したじゃがいも1個(150g)は、114kcalで白ご飯茶碗1杯(150g)234kcalになります。よって、白米のほうが、高いです。

まとめ

じゃがいもは、炭水化物やビタミン、ミネラルが豊富です。たんぱく質は少ないので、たんぱく源と一緒にとると、バランスよく食べることができます。からだの調子を整え、免疫力を高めてくれます。じゃがいもに限らず、身体によいからといって、同じものをずっと食べ続けるのではなく、いろいろな食材を食べるようにしてください。

「じゃがいも」と関連する病気

「じゃがいも」と関連する病気は5個ほどあります。 各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

循環器系の病気

  • 生活習慣病(高血圧・糖尿病・心筋梗塞など)
  • 貧血 (鉄欠乏性貧血・巨赤芽球貧血)
  • 壊血病 

婦人科の病気

  • 神経管閉鎖障害

「じゃがいも」と関連する症状

「じゃがいも」と関連している、似ている症状は4個ほどあります。 各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 疲労やうつ
  • 発疹
  • 腹部の不快感や、腹痛

この記事の監修管理栄養士