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「ミネラルの多い食品」は何かご存じですか?不足すると現れる症状も解説!

 公開日:2025/11/03
「ミネラルの多い食品」は何かご存じですか?不足すると現れる症状も解説!

ミネラルの多い食品とは?メディカルドック監修医が一日の摂取量・効果・不足すると現れる症状・過剰摂取すると現れる症状・効率的な摂取方法などを解説します。

神尾 澄恵

監修管理栄養士
神尾 澄恵(管理栄養士)

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病院、介護老人保健施設、特別養護老人ホーム、介護付き有料老人ホームにて15年にわたり給食管理業務に従事。管理栄養士取得後は病院で栄養管理業務に従事。栄養指導、特定検診保健指導、他NST、褥瘡回診など幅広く活躍中。東京都糖尿病療養指導士取得。患者さん、入居者さんが楽しめる食事提供を心がけています。

「ミネラル」とは?

「ミネラル」とは?

ミネラルとは、体を構成する主要な4元素(酸素・炭素・水素・窒素)以外のもので、無機質ともいいます。
糖質、たんぱく質、脂質にビタミン、ミネラルを加え5大栄養素ともいわれ、体を構成するために大切な栄養素です。現在、日本人の食事摂取基準で対象とされているミネラルは下記のように多量ミネラルと微量ミネラルに分かれます。
多量ミネラル:ナトリウム・カリウム・カルシウム・マグネシウム・リン
微量ミネラル:鉄・亜鉛・銅・マンガン・ヨウ素・セレン・クロム・モリブデン

ミネラルの一日の摂取量

ミネラルの一日の摂取量

・一日の摂取量について 18歳~64歳
多量ミネラル
ナトリウム:食塩相当量として、男性7.5g未満、女性6.5g未満(ナトリウムとしては約3000mg前後)
カリウム:男性3000mg/日以上 女性2600mg/日以上
カルシウム:男性600〜650mg/日 女性550mg/日 
マグネシウム:男性280~310mg/日 女性230~240mg/日
リン:男性1000mg/日 女性800mg/日

微量ミネラル
鉄:男性7.0~7.5mg/日 女性7.0~7.5mg/日(月経あり10.0~10.7mg/日)
亜鉛:男性9.0~9.5mg/日 女性7.5~8.0mg/日
銅:男性0.8~0.9mg/日 女性0.7mg/日
マンガン:男性3.5mg/日 女性3.0mg/日
ヨウ素:男性140µg/日 女性140µg/日
セレン:30~35µg/日 女性25µg/日
クロム:男性10µg/日 女性10µg/日
モリブデン:男性30µg/日 女性25µg/日
フッ素:男性3.8mg/日、女性3.1㎎/日
コバルト:ビタミンB12に重なるため、推奨量は定められていない。

ミネラルの効果

ミネラルの効果

ナトリウムの具体的な効果

ナトリウムはカリウムと共に体内の水分バランスや細胞外液の浸透圧を維持しているほか、筋肉の収縮、神経の情報伝達、栄養素の吸収・輸送に関与しています。また、水分を保ちながら循環血液の量を維持し、血圧の調整をしています。ナトリウムを過剰にとると、血圧が上がったり、むくみを生じたりします。

カリウムの具体的な効果

カリウムはナトリウムと共に細胞の浸透圧を維持しています。神経刺激の伝達、心臓機能や筋肉機能の調節の働きをしてます。また、カリウムは腎臓でのナトリウムの再吸収を抑制して、尿中への排泄を促進するため、血圧を下げる効果があります。

カルシウムの具体的な効果

カルシウムは主に小腸で吸収されます。吸収率は成人で25〜30%とあまり高くありません。活性型ビタミンD,副甲状腺ホルモン、カルシトニンなどの影響によって、腸管の吸収、血液から骨への沈着、骨から血液への溶出、尿中への排泄などが抑制され、細胞や血液中のカルシウムは一定の濃度に保たれています。
カルシウムは、骨や歯の主要な構成成分になるほか、細胞の分裂・分化、筋肉収縮、神経興奮の抑制、血液凝固作用の促進に関与しています。

マグネシウムの具体的な効果

食品として摂取したマグネシウムは主に小腸で吸収され、腎臓で排泄されます。腸管での吸収はビタミンDによって促進され、過剰なカルシウムやリンによって抑制されます。腎臓でのマグネシウムの血中の濃度を一定に保っています。また、エネルギー産生に深く関与しており、栄養素の合成・分解過程のほか、遺伝情報の発現や、神経伝達などにも関与しています。カルシウムと拮抗して筋収縮を制御したり、血管を拡張させて血圧を下げたり、血小板の凝集を抑え血栓を作りにくくしたりする作用もあります。

リンの具体的な効果

リンは骨や歯の正常な発達に不可欠な成分で、カルシウムと共にハイドロキシアパタイトとして骨や歯を構成しています。また、リン脂質として、細胞膜の構成成分になるほか、遺伝情報を伝達するうえで重要なDNAやRNAなどの核酸、生体内でのエネルギー貯蔵物質であるATP、リンたんぱく質など、生体内で重要な成分の構成要素として、さまざまな代謝反応に関与しています。そのほか、体液と酸とアルカリのバランスや浸透圧の調節、心臓や腎臓の機能の維持、神経伝達などにも関与しています。

ミネラルの多い食品

ミネラルの多い食品

ナトリウムを多く含む食品

ナトリウムは、塩、醤油、味噌などの食塩を含む調味料の他、ハム、ウインナー、練り製品、即席めんなどの加工食品や野菜の漬物にも多く含まれています。また、うま味調味料などの食品添加物の多くは、ナトリウム塩の形で含まれています。汁物にも食塩は多く含まれるので、ラーメンやうどんなど食べるときは、汁物を残すようにすると摂取量が少なくなります。

カリウムを多く含む食品

カリウムは海藻、果実類、芋及びでんぷん粉類、豆類、肉類、魚介類、野菜類などに多く含まれます。生鮮食品に多く、加工や精製が進むと原料は減少します。カリウムは水溶性で、煮たりゆでたりすると水に溶けだします。サラダで摂ったり、生の果物で摂ったりすれば、効率よく摂取することができます。

カルシウムの多い食品

カルシウムは、魚介類、藻類、乳類、豆類、種実類、野菜類に多く含まれています。効率的にカルシウムを摂取するのには牛乳や乳製品が最適です。小魚、海藻、豆類、野菜などからバランスよくとりましょう。

マグネシウムの多い食品

マグネシウムは、藻類、魚介類、穀類、野菜類、豆類などに多く含まれています。主な食品は、藻類では、あおさ・わかめ・刻み昆布。魚介類では干しエビ・しらす干し・あさり。穀類では、発芽玄米・ライ麦パン・そば。野菜類では、切り干し大根・ほうれん草・えだまめ。豆類では、きな粉・蒸し大豆・糸引き納豆などです。

リンを多く含む食品

リンは、魚介類、穀類、卵類、乳類、豆類などに多く含まれています。魚介類では、かたくちいわし・干しエビ・しらす干し。穀類では、発芽玄米・車ふ・ライ麦パン。卵類では、鶏卵・うずら卵。乳類では、ナチュラルチーズ・ヨーグルト。豆類では、いり大豆・きな粉・油揚げなどです。

ミネラルが不足すると現れる症状

ミネラルが不足すると現れる症状

ナトリウムの不足

ナトリウムは通常の食生活では欠乏することはありません。しかし、多量の発汗、激しい下痢の場合には欠乏し、疲労感、食欲不振を起こします。熱中症対策としては、水分だけでなく適度な塩分の摂取も必要です。

カリウムの不足

カリウムは動物性食品や植物性食品に豊富に含まれているので、通常の食事ではほとんど欠乏症は見られません。しかし、激しい嘔吐や下痢の場合、利尿作用剤の長期使用の場合では、カリウムの排泄が過剰になり、体内のカリウムが欠乏することがあります。欠乏の主な症状は、脱力感、筋力低下、食欲不振、骨格筋麻痺などです。

カルシウムの不足

カルシウムが不足すると、骨や歯が弱くなります。幼児では骨の発育障害が起こり、成長が悪くなります。不足が続くと、骨密度の低下が進行し、骨がもろくなり、高齢期、特に閉経後の女性では、骨粗鬆症が起こりやすくなります。また、テタニー(筋肉の痙攣)やてんかん(全身の痙攣)が起こります。

ミネラルを過剰摂取すると現れる症状

ミネラルを過剰摂取すると現れる症状

ナトリウムの過剰摂取

日本人の食生活では、ナトリウムの摂取不足よりも過剰摂取が問題となっています。日本高血圧学会では、食塩摂取量として1日6.0g未満が推奨されています。また、腎臓に障害がある場合は、無理な減塩は食欲不振や脱水症状を起こすことがありますので、極端な塩分制限は注意が必要です。

カリウムの過剰摂取

カリウムは多くの食品に含まれていますが、腎機能が正常であり、サプリメントなどを使用してない限り、過剰摂取になる危険性は低いと思われます。
腎機能が低下している場合はカリウムの過剰摂取に注意が必要です。腎不全などで腎機能が低下するとカリウムがうまく排泄されなくなり、高カリウム血症になります。筋収縮が調節できなくなったり、四肢のしびれ、心電図異常などの症状が現れ、重篤な場合は心停止を起こすこともあります。

カルシウムの過剰摂取

カルシウムの過剰によっても、高カルシウム血症、軟組織の石灰化、泌尿器系結石、前立腺がん、鉄や亜鉛の吸収障害、便秘などの健康障害が起こります。日本人の通常の食品からの摂取では上限量を超えることはまれと思われますが、カルシウム強化食品やサプリメントを使用する場合にはとりすぎに注意が必要です。

ミネラルの効率的な摂取方法

ミネラルの効率的な摂取方法

ミネラルと一緒に摂取すると効果を高める栄養素・食品

ビタミンやたんぱく質を組み合わせて食べると効率よく摂取することができます。
・鉄とビタミンC、ほうれん草とレモン。ビタミンCが鉄の吸収を高めてくれます。ほうれん草のサラダにレモンを含んだドレッシングをかける。スムージーなどで摂取することができます。
・カルシウムは、ビタミンDと一緒に摂取することで吸収率が高まります。ビタミンKはカルシウムを骨に取り込む過程に関与し、骨の健康維持に役立ちます。これらのビタミンとカルシウムを一緒に摂れる料理として、ビタミンDを多く含む鮭と、カルシウム豊富な乳製品を使った「鮭のクリームパスタ」や「鮭のチーズ焼き」などがおすすめです。

ミネラルと一緒に摂取すると効果を下げる栄養素・食品

カルシウムの吸収は、他の成分の影響を受けることがあります。 たとえば、植物性食品に含まれるシュウ酸(ほうれん草に多い)やフィチン酸(豆類・穀類に多い)は、カルシウムと結合して吸収を妨げる可能性があります。ただし、これらは通常の食事量であれば大きな問題になることは少なく、全体として健康によい成分でもあります。
また、リンについても過剰に摂取した場合にカルシウムとのバランスが崩れ、吸収や骨代謝に影響を及ぼすことがありますが、適量であれば骨の構成に必要な大切なミネラルです。
食物繊維も、カルシウムの吸収に影響を与えることがありますが、便通改善や腸内環境の維持など、健康に役立つ働きがあるため、極端に避ける必要はありません。
食事はバランスが大切であり、特定の栄養素の吸収を気にしすぎるよりも、さまざまな食品を組み合わせてとることが重要です。

ミネラルの効果を高める摂取タイミング

ミネラルは調理法によって失われることもあります。調理法を工夫して食べることも大切です。
野菜のミネラルは水に溶けやすいため、茹でるよりも、蒸す、炒める方が効率よく摂取できます。また、スープや煮物の汁には、野菜から溶け出したミネラルが多く含まれているため、煮汁も食べるようにすると、損失が少なくなります。
偏った食事にならないよう、野菜、果物、穀類、肉類、魚介類を食事に取り入れることを意識してみましょう。
食事からの摂取が難しい場合はサプリメントの利用も効率的ですが、過剰摂取のリスクがあるため、注意が必要です。

「ミネラルの多い食品」についてよくある質問

「ミネラルの多い食品」についてよくある質問

ここまでミネラルの多い食品などを紹介しました。ここでは「ミネラルの多い食品」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

ミネラルの多い野菜について教えてください。

神尾 澄恵神尾 澄恵

野菜にはカリウムが多く含まれています。特に多い食品は海藻、果実、イモ類、豆類です。
(可食部100gあたり)
海藻:刻み昆布・8,200mg・1食分10g
果実類:バナナ生・360mg・1本200g
イモ類:さつまいも蒸切干・980mg・1食分100g
豆類:蒸し大豆 黄大豆・810mg・1パック100g
野菜類:切り干し大根・3500mg・1食分・10g

ミネラル多く含むお茶について教えてください。

神尾 澄恵神尾 澄恵

ミネラルが多いお茶は、抹茶と玉露など日本茶に多く含まれています。
お茶抽出液100mlの成分は下記のようになっています。
抹茶:ナトリウム0.1mg、カリウム54mg、カルシウム8mg、マグネシウム5mg、鉄0.3mg
玉露:ナトリウム2mg、カリウム340mg、カルシウム4mg、マグネシウム15mg、鉄0.2mg
紅茶:ナトリウム1mg、カリウム8mg、カルシウム1mg、マグネシウム1mg、鉄0mg
麦茶:ナトリウム1mg、カリウム6mg、カルシウム2mg

まとめ

ミネラルは、主に多量ミネラルと、微量ミネラルに分類されます。その多くは遺伝情報や神経伝達など、体内のバランスを整える機能に働く物質です。食事では、野菜、果物、穀類、豆類、藻類などに多く含まれています。食事をバランスよく摂取することで、過剰摂取や不足を防ぐことができます。また、調理法や食べ合わせによっても損失が大きくなる場合が場合がありますので、工夫して摂取することで効率よく取り入れることができます。

「ミネラル」と関連する病気

「ミネラル」と関連する病気は4個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

循環器系の病気

消化器系の病気

整形外科の病気

「ミネラル」と関連する症状

「ミネラル」と関連している、似ている症状は4つほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

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