カツオなどに含まれる「セレンの効果」とは?過剰摂取した際に現れる症状も解説!
公開日:2025/12/02

セレンの効果とは?メディカルドック監修医がセレンの効果・一日の摂取量・不足すると現れる症状・過剰摂取すると現れる症状・多く含む食品・効果的な摂取方法などを解説します。

監修管理栄養士:
荒井 佳奈恵(管理栄養士)
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委託給食会社勤務、栄養教諭、フィットネスジム栄養指導などを経て、現在は特定保健指導やスポーツ栄養、コラム執筆などに従事。予防栄養に関心が深くその分野を中心に活動範囲を広げている。食アスリート協会認定講師、健康食育シニアインストラクター。
目次 -INDEX-
「セレン」とは?

セレンの一日の摂取量

セレンの効果

甲状腺機能
甲状腺は体内の他の臓器よりもセレン濃度が高く、ヨウ素と同様に、セレンも甲状腺ホルモンの合成や代謝に重要な働きをしています。甲状腺疾患は女性に多い傾向があるため、女性にとって特に重要な効果があると言えるかもしれません。DNA生成
セレンはDNA生成に必要な栄養素とされています。また、セレンは抗酸化酵素の構成要素であり、この働きによってDNAは酸化ストレスから保護されると考えられています。生殖機能
セレンは男性の精巣の発達を促し、男性ホルモンの分泌を増やす働きがあります。また、精子の形成や運動能力にも関与しています。セレンが不足すると、男性不妊の原因となる可能性があると指摘されています。これは、セレンが精子を酸化ストレスから守る抗酸化作用を持つためと考えられています。酸化ストレスは精子の質を悪化させる要因の一つであり、セレンなどの抗酸化物質を適切に摂取することで、精子の状態が改善し、妊娠率の向上につながる可能性が示唆されています。胎児への影響
環境省の子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)の研究成果によると、妊婦の血中セレン濃度と4歳までの子どもの神経発達との関連が示唆されています。具体的には、母親の血中セレン濃度が高すぎても低すぎても、4歳までの子どもの粗大運動能力の発達の遅れや、問題解決能力の発達の遅れが見られる可能性が報告されています。肌の健康維持
セレンは、肌の健康維持にいくつかの影響を与える可能性があります。強力な抗酸化作用により、肌の老化の原因となる活性酸素を除去し、シミやシワの予防に役立つと考えられています。また、セレンは有害ミネラルの解毒を促す働きもあるため、肌の健康を間接的にサポートする可能性があります。一方で、セレンが不足すると皮膚炎や乾燥といった肌トラブルが生じることがあり、過剰に摂取した場合も発疹などの皮膚症状が現れることがあります。セレンが不足すると現れる症状

克山(けしゃん)病
克山病は、かつて中国の一部地域で多く見られたセレン欠乏による疾患で、心筋障害(心筋壊死や心筋症)を特徴とします。発症予防にはセレンの適切な摂取が重要ですが、既に症状がある場合には医師の診断と治療が必要です。心臓に関する症状が見られる場合は、循環器内科を受診してください。心血管疾患
心血管疾患では、心筋症、心不全、不整脈などの症状が現れることがあります。セレンは心筋の健康維持に関与しており、欠乏している場合には補給が検討されることがありますが、治療の基本は医師の診断に基づいた薬物療法や生活習慣の改善です。症状が見られる場合は、早めに循環器内科を受診し、適切な治療を受けましょう。甲状腺疾患
セレン不足は甲状腺機能低下や橋本病に関与します。特に女性でセレン(およびヨウ素)の血中濃度が低い人は、甲状腺に異常をきたすかもしれないことが示唆されています。倦怠感や体重変化などの症状がみられ、セレン補充療法や甲状腺ホルモン補充療法が行われます。内分泌科や甲状腺専門外来を受診し、食事やサプリメントの使用状況を伝えましょう。セレンを過剰摂取すると現れる症状

セレンの過剰摂取による症状として、脱毛が知られています。脱毛はさまざまな要因によって起こるため一概には言えませんが、セレン欠乏による脱毛の影響については明確なエビデンスが限られています。セレンの摂取は、過不足のない範囲で行うことが大切です。抜け毛が気になる場合は、皮膚科を受診し、食事やサプリメントの摂取状況を含めて相談しましょう。
爪のトラブル
セレン過剰摂取では爪の変形や脆弱化、セレン不足では爪の白色化や変形が見られることがあります。過剰摂取の場合は摂取を控え、不足の場合は医師の指示に従い補給します。爪のトラブルは皮膚科を受診し、食事やサプリメントの使用状況を伝えましょう。
胃腸障害
セレンの過剰摂取では吐き気、嘔吐、下痢などの胃腸障害が起こることがあります。対処法としては、サプリを中止し医療機関を受診してください。消化器内科を受診するのが適切です。
神経障害
セレン過剰摂取では神経障害やしびれ、欠乏では筋力低下などの神経症状が現れることがあります。過剰摂取の場合は摂取を控え、欠乏の場合は医師の指示に従い補給します。症状が見られる場合は神経内科を受診してください。
セレンを多く含む食品

海産物
マグロ、カツオ、イワシ、エビ、カニ、貝類、海藻類などセレン豊富な魚介類を偏りなく積極的に摂ることがお勧めです。煮汁も活用できる煮付けや鍋物、刺身や焼き魚もおすすめです。旬のものを意識し、週に数回食べる習慣で効率的にセレンを摂取できます。肉類
豚肉や牛肉の腎臓(ホルモン)や赤身肉に、鶏肉では肝臓にセレンが多く含まれます。調理法としては、豚や牛は焼肉や炒め物など、肉の旨味を活かす料理が良いでしょう。鶏肉は鶏は蒸し茹でるのがお勧めです。様々な種類の肉をバランス良く摂ることが大切です。卵
卵黄に多く含まれており、半熟卵(温泉卵やポーチドエッグなど)にすると栄養を効率よく摂取できます。パン、シリアル、その他の穀物製品
全粒粉パンやセレン強化パン、全粒穀物シリアルなどの穀物製品からもセレンを摂取することができます。ただし、セレンの含有量は原料となる小麦や穀物が栽培された土壌中のセレン量に大きく左右されるため、必ずしも全ての穀物製品がセレンを豊富に含んでいるとは限りません。 パスタやマカロニ(乾麺)も比較的セレンを含む食品の一つとされます。調理法としては、パンはそのまま食べたり、サンドイッチやトーストにするのが手軽です。シリアルは牛乳やヨーグルトをかけて簡単に摂取でき、パスタやマカロニは茹でてソースと組み合わせることで、主食としても効率的に取り入れられます。豆類
レンズ豆や大豆はセレンを多く含む豆類です。レンズ豆はスープやカレー、サラダに、大豆は煮物や炒め物、豆乳や豆腐としてなど、様々な料理に活用できます。乾燥豆を水で戻して調理するのが一般的ですが、水煮缶などを利用すると手軽に摂取できます。セレンの効果的な摂取方法

セレンを多く含む食品の摂取
上記の項目でも挙げている通り、以下に多く含まれます。 ・マグロ(特に赤身)、カツオ、イワシ、エビ、カニ、貝類、 ・豚肉(腎臓、ヒレ赤身)、牛肉(腎臓)、鶏肉(肝臓) ・鶏卵(卵黄) ・マカロニ(乾)、スパゲッティ(乾)、全粒粉、パン粉セレンと一緒に摂取すると効果を高める栄養素・食品
・ビタミンEはセレンの抗酸化作用を相乗的に高めます。小麦胚芽油、アーモンド、ひまわりの種、ほうれん草、アボカドなどを、マグロなどのセレン豊富な食品と一緒に摂りましょう。細胞の酸化を防ぎ、老化や生活習慣病予防に役立つ可能性があります。 ・ビタミンCもセレンの抗酸化作用をサポートします。オレンジ、いちご、パプリカ、ブロッコリー、トマトなどを、焼き魚や魚介のマリネといったセレンを含む食品と一緒に摂りましょう。活性酸素を除去する働きが期待されます。 ・亜鉛は免疫機能やビタミンAの働きを助け、セレンは抗酸化作用や甲状腺機能をサポートします。セレン同様に亜鉛も健康維持に不可欠なミネラルです。牡蠣、赤身肉、鶏肉、豆類、ナッツ類などをバランス良く、セレンを含む食品と一緒に摂取することで免疫力の強化をサポートします。セレンの効果を高める摂取タイミング
セレンの効果を高める特定の時間帯については、明確な科学的根拠は見当たりません。 ドリンクタイプや粉末タイプのセレンサプリの摂取タイミングについては、一般的にミネラルの吸収率を考慮すると食後がお勧めです。食後に摂取することで、消化器官への負担を軽減し、食事に含まれる成分との相互作用で吸収が促進される可能性があります。ただし、製品によっては摂取タイミングの指示がある場合、それがサプリであれば、製品の指示に従うようにしてください。「セレンの効果」についてよくある質問

ここまでセレンの効果を紹介しました。ここでは「セレンの効果」についてよくある質問に、メディカルドック監修管理栄養士がお答えします。
セレンのデメリットを教えてください。
荒井 佳奈恵
セレン不足は特定のがんリスク上昇、心臓病、筋力低下、爪の異常を招く可能性があり、過剰摂取は吐き気、脱毛、爪の変形、神経障害、呼気がにんにく様の臭いになる現象などを引き起こします。大量に摂取した場合、重症の胃腸障害、神経障害、心筋梗塞、急性の呼吸困難、腎不全、心不全などを引き起こし、最悪の場合には死に至る可能性もあります。
まとめ
セレンは活性酸素を無害化する抗酸化作用を持つ、重要な微量ミネラルです。女性の甲状腺機能の維持やDNAの生成、男性の生殖機能にも深く関わっています。不足すると心臓病や甲状腺の病気、過剰になると脱毛や胃腸障害などが起こることがあります。また見た目にも関連する肌や爪、毛髪にも影響が大きいです。バランスの取れた食事から、海産物、肉類、卵、穀物、豆類などを通して摂取することが大切です。まずは通常の食事をしながら、身体の状況に応じてサプリを検討するなどして推奨量を守ることが大事です。「セレン」と関連する病気
「セレン」と関連する病気は7個ほどあります。 各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。関連する病気
- 心筋症
- 筋炎
- 甲状腺機能障害
- 神経障害
- 皮膚症状
- 脱毛
- 爪の異常
「セレン」と関連する症状
「セレン」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。 各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。関連する症状
- 脱毛(毛髪)
- 爪のトラブル
- 吐き気
- イライラ
- 疲労
- 軽度の神経障害
