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「ミノキシジルの副作用」はご存知ですか?内服薬と外用薬の違いも解説!【医師監修】

 公開日:2024/12/15
「ミノキシジルの副作用」はご存知ですか?内服薬と外用薬の違いも解説!【医師監修】

ミノキシジルは毛髪の成長を促す効果があり、男性型脱毛症(AGA)治療においては重要な薬です。しかし、添付文書には副作用があることについても記載されています。

またミノキシジルには薬局で購入できる外用薬と、一部の医療機関で処方されている内服薬があります。この2つには、どのような違いがあるのでしょうか。

ミノキシジルの副作用にはどのようなものがあるか・外用薬と内服薬の違いは何か・外用薬の使用上の注意点について、解説していきます。

高藤 円香

監修医師
高藤 円香(医師)

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防衛医科大学校卒業 / 現在は自衛隊阪神病院勤務 / 専門は皮膚科

ミノキシジルの副作用は?

頭皮
ミノキシジルに副作用があることは、添付文書にも記載されていることです。副作用を大まかに分けると、以下のようなものがあります。

  • 皮膚に出る副作用
  • 精神神経系の副作用
  • 循環器系の副作用
  • 代謝系の副作用

それぞれの副作用の症状について、具体的にどのようなものなのか説明しましょう。

皮膚に出る副作用

ミノキシジルの皮膚に出る副作用としては、以下のようなものがあります。

  • 使用部位の熱感
  • 発赤
  • かぶれ
  • 発疹

ミノキシジルは塗布した部位の毛細血管を拡張し、血流を促進させる薬剤です。使用部位の熱感・発赤は血行が良くなることに伴うものとみられます。かぶれ・発疹はミノキシジルによって引き起こされるものと、溶剤などほかの成分が原因となっているものがあります。
ミノキシジル以外の成分が原因ならば、その成分を含まない薬剤を使うようにすれば問題ありません。一方、ミノキシジルが体に合わない場合は使用を中止することになります。

精神神経系の副作用

精神神経系の副作用は、以下のようなものです。

  • 頭痛
  • めまい
  • 気が遠くなる

ミノキシジルはもともと、血圧を下げるための血管拡張薬として開発されたものです。添付文書にも、薬剤を飲むと血圧が下がる恐れがあると記載されています。
ミノキシジルによって頭皮の血管が拡張されることで、全身の血圧に影響が出る可能性があるのです。めまい・気が遠くなるといった症状は、血圧の低下に起因するものとみられます。頭痛についても、血圧の変化が影響しているとみていいでしょう。

循環器系の副作用

ミノキシジルによる血圧の変化は、以下のような循環器系の副作用にもつながります。

  • 心拍数増加
  • 胸の痛み

ミノキシジルによる血圧低下が心拍数の増加につながり、これに伴う心臓への負担が胸の痛みに関係しているとみられます。
添付文書では心臓病・腎臓病の患者さんは使用にあたって医師に相談することが推奨されているのです。ミノキシジルとの関連は不明ですが、薬剤の使用者が急性心不全で死亡したケースが国会で報告されています。循環器系の副作用が出た場合にはリスクが高いため即座に使用を中止し、医療機関の判断を仰いでください。

代謝系の副作用

ミノキシジルの代謝系の副作用は、以下のようなものです。

  • 手足のむくみ
  • 急激な体重増加

むくみは、血液やリンパの流れが悪くなることによって起こります。ミノキシジルは血圧低下に伴う循環器系の副作用が報告されており、精神神経系の副作用もこれに起因するものです。
ミノキシジルによる血圧低下が血流の悪化を引き起こし、むくみにつながっているとみてよいでしょう。急激な体重増加については、添付文書でも原因不明と記載されています。

内服薬と外用薬の違い

薬
医療機関で処方されるミノキシジルには、内服薬と外用薬があります。血管拡張薬として開発されたミノキシジルは内服薬で、外用薬として使われているのはその溶液です。つまり内服薬と外用薬は、成分としてはまったく同じものです。ただ内服薬は外用薬に比べて効果が強いため、循環器系をはじめとする副作用のリスクも高くなります。
このためミノキシジル内服薬はAGA治療薬としては認可されておらず、処方しているのも一部の医療機関にすぎません。日本皮膚科学会のガイドラインでも推奨されているのはミノキシジル外用薬の処方のみで、内服薬の処方については行わないことを強く推奨しています。
なお、医療機関による未承認薬の処方そのものは必要だと判断すれば可能です。ミノキシジル内服薬の個人輸入も違法ではありませんが、副作用への対処が自己責任になるなどリスクが高すぎるためおすすめできません。

ミノキシジル(外用薬)の注意点は?

頭痛い
ミノキシジル外用薬は薬局では第1類医薬品として取り扱われており、副作用のリスクを承知のうえで使用するものです。このため、以下のような点に注意しなければなりません。

  • 20歳未満は使用できない
  • 妊娠中・授乳中は使用できない
  • 高血圧・低血圧の人は使用に注意が必要
  • 心臓・腎臓に疾患のある人は使用に注意が必要
  • 65歳以上の人は使用に注意が必要
  • 効果があらわれるまでには時間がかかる

注意が必要となる理由などについて、説明しましょう。

20歳未満は使用できない

ミノキシジルは臨床試験が20歳以上しか行われていないので、20歳未満の人が使用しても問題がないかどうか確認できていません。
このため、添付文書には20歳未満への処方は行わないよう記載されています。ただし海外の臨床試験は成人年齢の関係で18歳以上で行われており、日本の医療機関でも18歳以上なら問題がないとの見解を取るところもあります。

妊娠中・授乳中は使用できない

妊娠中・授乳中の女性もミノキシジルは使用できません。有効成分が血液や母乳を通じて子どもに行く可能性があり、問題があるかどうか確認できていないためです。
ただしフィナステリド・デュタステリドとは違い、ミノキシジルの女性への処方自体は問題ありません。日本皮膚科学会のガイドラインでも、強く推奨されています。

高血圧・低血圧の人は使用に注意が必要

ミノキシジルは血圧に影響を及ぼす可能性があるため、高血圧・低血圧の人は注意して使用しなければなりません。これはミノキシジルが降圧剤として開発されたという経緯が関係しています。
高血圧の患者さんは降圧剤を使用しており、ミノキシジルの影響で薬剤の効果が変化することが考えられるのです。また低血圧の人はミノキシジルによって血圧が下がりすぎ、心臓への負担が増加するリスクがあります。

心臓・腎臓に疾患のある人は使用に注意が必要

ミノキシジルは血圧に影響を与える可能性があるため、心臓・腎臓に疾患がある人も使用にあたって注意が必要です。血圧が必要以上に下がると、正常な状態に戻すために心臓の働きが活発になります。
副作用として心拍数が増加するのはこのためで、結果として心臓に負担がかかります。心臓に疾患がある人は、血圧低下から生じる負担による悪影響が大きいのです。腎臓も血圧を調整する働きがあり、ミノキシジルによる血圧低下の影響を受ける可能性があります。腎臓疾患があると、悪影響が出やすいのは心臓と同じです。

65歳以上の人は使用に注意が必要

65歳以上の人も、ミノキシジル使用には注意が必要です。ミノキシジルは使用上のリスクがゼロではなく、添付文書にも副作用があることが書かれています。
皮膚に出る副作用の発生確率は5%程度ですが、添付文書には高齢者は好ましくない症状が出る可能性が高いと記載されています。医療機関と綿密に相談しながら使用するのがおすすめです。

効果があらわれるまでには時間がかかる

ミノキシジルは使い始めてから効果が出るまでに時間がかかる薬です。添付文書には、効果が判明するまで最低でも4ヵ月間使用することが推奨されています。
国内で行われた臨床試験では、6ヵ月間の使用が目安となっています。ミノキシジルの効果があるかどうか判断できるまで、6ヵ月が必要なのです。ただし、使用期間が6ヵ月を超えても効果がみられない場合は、その後についても期待はできません。ミノキシジルの添付文書では、6ヵ月使用して効果が確認できなければ医師・薬剤師に相談することが推奨されています。AGA以外の脱毛症・毛根死滅で手遅れなどの可能性があるためです。

編集部まとめ

医者
ミノキシジルは外用薬・内服薬とも成分的には同じで、ともに同じ副作用のリスクを抱えています。特に内服薬は効果が強く、副作用のリスクも高くなります。

このため、日本皮膚科学会のガイドラインではミノキシジル内服薬の処方を推奨していません。個人輸入での使用も、リスクが高すぎるためおすすめできるものではないのです。

いずれにしても、ミノキシジルの副作用が出た場合には医療機関に相談してください。AGA治療のノウハウが豊富で、的確な対処が期待できるためです。

この記事の監修医師