気管支喘息治療薬であるモンテルカストの効果と使用法:アレルギー治療の新たな選択肢
モンテルカストは気管支喘息・アレルギー性鼻炎の治療に使用される薬です。服用によって咳・息苦しさ・くしゃみ・鼻水・鼻づまりなどの不快な症状を予防・緩和する効果が期待できます。
病気の治療に有効な薬ですが、副作用についても把握しておくことが重要です。
この記事ではモンテルカスト10mgの効果・副作用・注意事項などを解説します。モンテルカストを服用している人・服用を検討している人は参考にしてみてください。
監修薬剤師:
佐孝 尚(薬剤師)
北海道医療大学薬学部 卒業 現在はセンター薬局グループに薬剤師として勤務しながら株式会社イヤクルを創業。不動在庫医薬品取引プラットフォームアプリ【イヤクル】を運営。
保有免許・資格
薬剤師免許
目次 -INDEX-
モンテルカストの効果
モンテルカストは主に気管支喘息・アレルギー性鼻炎の治療に使用される薬です。
気管支喘息を予防し、くしゃみ・鼻水・鼻づまりなどアレルギー性鼻炎に伴う症状を緩和する効果があります。モンテルカストはロイコトリエン受容体拮抗剤のひとつです。ロイコトリエンは気管支喘息・アレルギー反応を引き起こす物質で、気管支においてロイコトリエン受容体に作用し、気管支を収縮させ気道を狭くすることで咳を起こします。
このロイコトリエンの作用を阻害する成分が入っているのがロイコトリエン拮抗剤です。ロイコトリエンの働きを阻害することで、アレルギー反応を抑える・気管支を広げるなどの作用が働き、咳などの症状を予防する効果があります。
モンテルカスト錠10mg基本情報
モンテルカスト錠10mgは円形・明るい灰黄色のフィルムコーティング錠です。
成分
モンテルカスト錠10mgの主成分は、気管支喘息・アレルギー性鼻炎に有効なモンテルカストナトリウムです。
添加剤として含まれているのは、乳糖水和物・結晶セルロース・ヒドロキシプロピルセルロース・クロスカルメロースナトリウム・ステアリン酸マグネシウム・ヒプロメロース・酸化チタン・三二酸化鉄・黄色三二酸化鉄・カルナウバロウです。
効果
モンテルカスト錠10mgは気管支喘息の予防・アレルギー性鼻炎の緩和などに効果があります。モンテルカストは喘息やアレルギー反応を引き起こす物質であるロイコトリエンを阻害し、炎症を抑える・気管支を広げるなどの作用があります。
服用する目的は喘息の発作を止めるためではなく、あらかじめ予防することです。
アレルギー性鼻炎の症状については炎症・過敏症を抑制し、くしゃみ・鼻水・鼻づまりを改善する効果が期待できます。
用法・用量
気管支喘息の予防が目的で成人が服用する場合、モンテルカスト錠10mgを1日1回就寝前に経口投与します。
アレルギー性鼻炎の治療が目的で成人が服用する場合、モンテルカスト錠5mg〜10mgを1日1回就寝前に経口投与します。
気管支喘息・アレルギー性鼻炎を合併し、気管支喘息の予防が目的で成人が服用する場合は、1日1回就寝前にモンテルカスト錠10mgの経口投与してください。
気管支喘息の予防が目的で6歳以上の小児が服用する場合、モンテルカストチュアブル錠5mgを1日1回就寝前に投与します。
気管支喘息の予防が目的で1歳以上6歳未満の小児が服用する場合、モンテルカスト細粒4mgを1日1回就寝前に投与します。
使用上の注意・併用禁忌
モンテルカスト錠10mgは喘息発作を止める薬ではなく、発作が起きないよう予防する薬です。効果がみられない場合は服用を継続しないよう注意してください。
モンテルカスト錠10mgを服用し大発作が起きた場合は、気管支拡張剤あるいはステロイド剤の投与が必要な可能性もありますので、医師に相談してください。
モンテルカルト錠10mgの成分に対して過敏症になったことがある患者さんは服用することができません。また、薬が原因で発疹などのアレルギー症状が出たことがある人・妊娠中の人・モンテルカストのほかに薬を服用している人は医師・薬剤師に相談してください。
モンテルカスト錠10mgの服用を始めるにあたり、ステロイド維持量を減量した患者さんが服用を中止すると原疾患再発の可能性があります。ロイコトリエン拮抗剤を服用しながらステロイド剤の減量・中止を行うと、血管炎が生じる可能性があります。特にしびれ・発熱・関節痛などの血管炎症状に注意が必要です。ステロイドの減量は医師の指示を守りながら徐々に行いましょう。
うつ病・自殺念慮・自殺および攻撃的行動を含む精神症状が現れた場合も医師に相談してください。
フェノバルビタールと併用すると作用が弱まる可能性があります。
また、モンテルカストフィルムコーティング錠5mgを服用する際は、モンテルカストチュアブル錠5mgと併用してはいけません。
モンテルカスト錠10mgの副作用
モンテルカスト錠10mgの重大な副作用はアナフィラキシー・血管浮腫・劇症肝炎・肝炎・肝機能障害・黄疸・中毒性表皮壊死融解症・皮膚粘膜眼症候群・多形紅斑・血小板減少などです。
血小板減少の初期症状として、鼻出血・歯肉出血・紫斑(血管の破壊によって皮膚の内部で出血すること)などが挙げられます。異常がみられた際は服用を中止し、医師に相談してください。
モンテルカスト錠10mgの副作用は以下のようなものがあります。副作用だと気付かず放置すると症状が重症化することもあるので早めに対処しましょう。
- 下痢
- 胃部不快感
- 嘔吐
- 悪心
- 浮腫
- 皮疹
それぞれの副作用について詳しく解説します。
下痢
下痢はモンテルカストの投与開始後1~2週間以内に発症することが多いです。症状が続いた場合、脱水症状を起こさないよう水分を多く摂るようにしてください。
放置すると口が渇く・尿の量が減る・脈が速くなる・血圧が低下する・意識がはっきりしないなどの症状が現れることがあります。特に注意が必要なのは小児・高齢者です。
胃部不快感
モンテルカストの副作用に胃部不快感があります。
胃に違和感がある・胃が苦しい感じがする・胃がむかつく・胸やけがする・げっぷがよく出るなどの症状が挙げられます。胃部不快感は一時的なものなら心配いりませんが、症状が続くようなら注意が必要です。薬の副作用だとしても病気につながる場合があるので放置しないようにしましょう。
嘔吐
嘔吐も注意が必要な副作用です。発熱・下痢・腹痛・頭痛・胃部不快感などが同時に起こることもあります。
モンテルカストの服用後に嘔吐したり、激しい嘔吐がある・嘔吐を繰り返してしまう場合は早めに医師・薬剤師に相談しましょう。
悪心
悪心(おしん)は吐き気・むかつき・胸やけなどの症状をさします。
胸部・みぞおち・咽頭にかけて不快な感覚が生じ、寒気・顔面蒼白・冷や汗・下痢などの症状を伴うことがあります。多くは嘔吐の前に起こる症状ですが、悪心のみで嘔吐を伴わない場合・悪心を伴わずに嘔吐する場合があります。症状が長引く場合は注意が必要です。
浮腫
浮腫(ふしゅ)は、皮下組織に余分な水分が溜まることが原因で起こる症状でむくみと同義です。
モンテルカストを服用すると、顔・舌・喉の腫れなどの症状が現れることがあります。喉の腫れは気付きにくい症状ですが、息苦しくて窒息する危険性があるため、重症化した場合・呼吸困難に陥った場合は早急に救急車を利用してください。
皮疹
モンテルカストを投与された一部の人に皮疹がみられることがあります。皮疹とは皮膚が炎症することで発疹と同義です。皮疹の見た目・原因はさまざまですが、アレルギー反応によって起こる場合が多いようです。症状が改善しない場合・重症化した場合は医師・薬剤師に相談しましょう。
このほかに眠気・傾眠・ふらつき・口が渇く・頭痛などの症状がみられることもあります。特に気をつけたいのが傾眠です。傾眠は意識障害のひとつで外部からの刺激がないと眠ってしまうことです。モンテルカルトは就寝前に服用する薬なのでそのまま眠ってしまっても問題はありませんが、覚醒後も眠気が残る・集中力が低下するなどの症状が現れた場合は注意が必要です。
また、モンテルカストとの関連性は明らかになっていませんが、情緒不安・強迫性症状・攻撃的行動など精神神経系の症状が現れることもありますので注意が必要です。
症状が改善しない場合は医師・薬剤師に相談してください。
モンテルカスト錠10mgの添付文書
モンテルカスト錠10mgの添付文書は医薬品医療機器総合機構・医薬品情報データベースなどのWebサイトからダウンロードできます。
添付文書にはモンテルカルトの効果・副作用だけではなく、薬の組成・性状・注意事項・相互作用・薬物動態・薬効薬理・臨床成績などの情報が詳細に記されています。モンテルカストの効果・効能だけではなく、副作用・注意事項について把握しておくとよいでしょう。基本情報を把握せず服用を続けると緊急時に適切な対処ができない恐れがあります。
体調不良になった際も副作用の影響か否か判断できないかもしれません。モンテルカストを服用している人・服用を検討している人は、添付文書を確認してみてください。
まとめ
この記事ではモンテルカストの効果・副作用などを紹介してきました。
モンテルカストは気管支喘息の予防・アレルギー性鼻炎の緩和に効果がある薬ですが、副作用にも注意する必要があります。
薬を処方してもらう際は副作用・注意事項について薬剤師に確認してみるのもよいかもしれません。
副作用が現れたら自己判断で減薬・断薬せず、医師に相談することも重要です。
とりわけアナフィラキシーなど重大な副作用が現れた場合は早急に受診しましょう。
モンテルカストについてわからないことがある人は、Webサイトの添付文書を確認してみてください。
疑問に感じていること・心配していることを解決したうえで服用を続けましょう。