アストミンの効果とは?アストミン錠10mgの基本情報や副作用について解説
アストミンという薬の名前を聞いたことはあるでしょうか。
アストミンは鎮咳薬(ちんがいやく)の1つで、上気道炎・肺炎・急性気管支炎・肺結核などの疾患による咳を抑えてくれる薬です。
咳止めの薬として病院で処方されます。ドラッグストアでも販売されているので、見たことがある方もいるのではないでしょうか。
この記事では薬の効果に加え、注意すべき点についてお伝えしていきます。初めて使用する場合でも薬の特性を知れば、安心して使用できるでしょう。
監修薬剤師:
佐孝 尚(薬剤師)
北海道医療大学薬学部 卒業 現在はセンター薬局グループに薬剤師として勤務しながら株式会社イヤクルを創業。不動在庫医薬品取引プラットフォームアプリ【イヤクル】を運営。
保有免許・資格
薬剤師免許
アストミンの効果とは?
アストミンは脳の咳中枢に直接作用し、つらい咳を鎮めてくれます。咳は咳中枢と咽頭にある知覚神経によって引き起こされます。呼吸器系疾患による咳は、日常生活に支障をきたす場合もあります。
つらい咳により仕事や勉強に集中できなくなってしまうこともあるでしょう。咳が長く続くと体力が消耗されて疲れやすくなってしまいます。
また、自分が咳をすることで周囲に迷惑をかけているのではないかと心配になってしまう人もいるかもしれません。心身の安定のためにも、早めに咳を抑えることが大切です。
アストミン錠10mgの基本情報
アストミンは製薬会社オーファンパシフィックから販売されている鎮咳薬で、一般名をジメモルファンリン酸塩錠といいます。1錠10mgの錠剤で、錠剤の大きさは直径6.9mm・厚さ3.4mm・質量は140mgです。
白色の糖衣錠なので苦みを感じにくく、薬の苦さが苦手な人でも服用しやすいでしょう。錠剤だけでなく、シロップ剤・散剤もあります。
そのため、用途や希望にあわせて選択することが可能です。より安心して服用するために、ここからはアストミン錠10mgの成分・効果・用法・用量・使用上の注意を詳しく解説していきます。
成分
有効成分として1錠あたり、ジメモルファンリン酸塩が10mg含まれています。主な添加剤には、無水リン酸水素カルシウム・結晶セルロース・軽質無水ケイ酸・カルメロースカルシウムなどが配合されています。ほかにも以下の添加剤が使われています。
- タルク
- ステアリン酸マグネシウム
- 白糖
- 乳酸カルシウム水和物
- マクロゴール
- アラビアゴム末
- ゼラチン
- 酸化チタン
- カルナウバロウ
非麻薬性の鎮咳薬なので、身体的依存・精神依存はありません。
効果
アストミンの効果についても見ていきましょう。アストミンには、上気道炎・肺炎・急性気管支炎・肺結核・肺癌などによる咳を改善する効果があります。ほかにも以下の疾患などに効果を発揮します。
- 慢性気管支炎
- 珪肺および珪肺結核
珪肺はあまり聞きなれない疾患かもしれません。仕事中に有害物質を吸入することで、職業性肺疾患と呼ばれる呼吸器疾患を発症することがあります。珪肺もそのひとつです。
鉱山・トンネル・窯業などの職場で、シリカ(石英)の粉塵を吸入することで、呼吸器疾患を発症しやすくなります。
用法・用量
成人(15歳以上)は、1回10~20mg(1~2錠)を1日に3回服用しますが、年齢や症状によって用量などが変わる場合もあります。用法・用量はその都度、医師の指示に従いましょう。
使用上の注意
咳中枢に作用して、つらい咳を鎮めてくれるアストミンですが、次の人は服用する際に注意が必要です。
- 糖尿病またはその疑いのある人
- 薬物過敏症の人
- 妊婦または妊娠している可能性のある人
- 高齢者
例えば、糖尿病もしくはその疑いのある人がアストミンを服用した場合、血糖値を正常に保つ耐糖能に異常が現れることがあるでしょう。また、アストミンを服用したことで空腹時に血糖値が上がったという報告もあります。
薬によってアレルギー反応が出たことがあるなど、薬物過敏症の人も注意してください。薬物過敏性の症状はさまざまで、軽い発疹から命に関わるアナフィラキシーまであります。
妊娠中・妊娠している可能性のある人も薬を服用する前に医師・薬剤師に相談しましょう。妊娠初期に薬を使用することで胎児の形態異常の問題が起きる可能性があるためです。特に最終月経から14週目の妊娠初期は要注意です。胎児の神経系は2〜4週、心臓は3〜6週で四肢は4〜7週目に作られます。
そのためこの期間に薬を服用すると、まれに胎児に影響が出てしまう場合があります。注意しましょう。薬の投与の必要性が高い場合は、妊娠周期なども考え医師の判断で処方されることもあります。高齢者は身体機能の低下とあわせ、肝臓や腎臓の働きが弱くなっていることが多いです。
そのため薬の量を調整するなどの配慮が必要です。高齢者の場合は、受診の際に家族が付き添って薬の使用方法や用量などを一緒に聞くといいでしょう。
アストミン錠10mgの副作用
アストミンの副作用についても見ていきましょう。薬は血液とともに全身を回るため、本来効いて欲しいところだけでなく、必要のない場所にも働きかけてしまう場合があります。そのため、予期せぬ副作用が起きるのです。
副作用は、年齢・性別・体質・体調などによって起こりやすい人・そうでない人がいます。アレルギー体質の人・高齢者・肝臓や腎臓に病気を持っている人は特に注意が必要です。肝臓や腎臓が弱っていると薬の代謝がうまくいかず、作用が強く出てしまうことがあるからです。
アストミンの副作用として、悪心・嘔吐・食欲不振・眠気・頭痛・めまい・下痢などがあります。ここからはこれらの副作用について説明します。薬を安全に使用するために参考にしてください。
悪心・嘔吐
嘔吐の前に起きる吐きたいという感覚が悪心です。吐き気ともいいますが、この不快感を経てから嘔吐をきたす場合と、ほぼ同時に起きる場合があります。
この症状は約7割が消化器疾患によるもので、胃腸炎を起こしている場合が多いです。薬を飲んだ後にこれらの症状が現れたら、その副作用を疑う必要があるでしょう。
しかし何かの病気が要因となっている場合も考えられるので、このような症状が出たら医師に相談してください。
食欲不振
アストミンを服用するようになってから、食欲不振になっている人は薬の副作用を疑いましょう。薬の副作用によって胃腸障害を起こしている可能性があります。
食事がきちんと摂れないと栄養不足になり、体力の低下につながってしまうので、軽視はできません。
眠気
十分な睡眠をとっていて、特に疲労感もないのに眠くなってしまう場合も、薬が影響しているのかもしれません。このようなときは判断能力も低下しているので、安全のために車の運転は避けて、医師や薬剤師に相談した方がよいでしょう。
頭痛
つらい頭痛は日常生活に支障をきたしてしまいます。風邪を引いている・肩こりがある・ストレスがある・睡眠不足といった原因がないのに頭痛が起きているときは、飲んだ薬が影響しているとも考えられます。
めまい
急に立ち上がったときに、めまいを感じることがあります。それはグルグル回っている感じだったり、ふわふわした感覚だったりさまざまです。貧血や風邪といった原因が見当たらないのにめまいが起きるときは、飲んだ薬の副作用かもしれません。
下痢
薬の副作用で下痢を起こす場合もあります。お腹をこわしているわけでもないのに下痢をしている場合は注意してください。原因となる食べ物や飲み物に心当たりがないのに下痢を起こしている場合は、医師や薬剤師に確認してみるといいでしょう。
編集部まとめ
日常生活や睡眠をも妨げるつらい咳ですが、アストミンは鎮咳作用によってその苦痛から救ってくれます。
一方、服用によって副作用が出たり、投与を慎重に考えなければならない人もいます。病院から薬を処方されたら、まずはその効果や副作用を知っておくことが大切です。
投薬中にもし身体に不調をきたしても、副作用の知識を持っていれば慌てることはないでしょう。
アストミンという薬の正しい使い方を知っていただき、安心して治療に専念していただきたいと思います。