メチコバールの副作用とは?基本情報や添付文書についても解説
手足の痺れなどの末梢性神経障害の治療薬として、メチコバール錠が処方されることがあります。
メチコバールは薬効分類上ビタミン剤として分類されており、禁忌となるケースや副作用も少ないとされ、広く処方されている薬剤です。
ただし、どんな薬剤であっても、必ず服用するうえで注意すべきポイントが存在します。
薬を安全かつ効果的に利用して、少しでも早くお悩みの症状を改善できるよう、薬の基本情報・注意事項を理解しましょう。
監修薬剤師:
佐孝 尚(薬剤師)
北海道医療大学薬学部 卒業 現在はセンター薬局グループに薬剤師として勤務しながら株式会社イヤクルを創業。不動在庫医薬品取引プラットフォームアプリ【イヤクル】を運営。
保有免許・資格
薬剤師免許
メチコバールの基本情報
メチコバールは、ビタミンなどの栄養不足によって生じる末梢神経障害に適応されることが多い薬です。
眼精疲労用の赤色の目薬にも同じ有効成分が含まれることがあります。末梢神経障害の原因は、患者さんの状態・疾患などにより異なります。
ご自身が処方される治療薬に対し、基本的な理解を持つことは大切です。メチコバールを服用するうえで知っておきたい基本情報を解説します。
成分
メチコバールはメコバラミンを有効成分とする、末梢性神経障害の治療に用いられる処方薬です。
ビタミンB12の一種であるメコバラミンは人間の体内では合成できず、通常は食事から摂取をする必要があります。また、造血過程において重要な役割を持つビタミンの一つであり、不足すると貧血や神経機能にも影響を及ぼします。
主に肉や乳製品のような動物由来の食品に豊富に含まれており、しじみ・レバー・サンマ・チーズ・牛乳などは日常的に摂取しやすいでしょう。
日常的に適量の動物性食品を摂取していれば、ビタミンB12不足の可能性は低いと考えられます。しかし、ビタミンB12の体内吸収率は低く、健康な成人であっても約50%程度まで減少してしまうことがあります。
菜食主義などの極端な食事制限をしている場合、欠乏状態に陥るケースもあるため注意が必要です。
効果
通常、末梢神経は再生能力を持っていますが、患者さんの病状によっては薬物投与によるサポートが必要な場合があります。
神経組織の修復サポートに対し、メチコバールを含むビタミンB12が非常に重要な役割を果たします。
メチコバールは、ビタミンB12の中でも独自の形態を持つビタミンです。その性質は、体内で重要な代謝反応を促進し、神経系の働きをスムーズにさせる効果に優れています。
メチコバールは、痺れ・疼痛などに明らかな効果がある薬ではありませんが、糖尿病・多発性神経炎などから生じる症状を軽減させる効果が臨床試験によって証明されています。
用法・用量
基本的に1日1回の服用です。最大用量は1日1,500μgで、1日3回に分けて経口投与します。
1錠あたりの含有量は250μg・500μg、細粒タイプは1g中1,000μgです。このように、薬の形状・成分含有量は、患者さんの年齢や症状などにより微調整しやすいように工夫されています。処方された際は、必ず医師の指示に従い内服しましょう。
使用上の注意
処方後、一定期間の服用で改善が見られないからといって、漫然と長期間使用することは推奨されていません。
診察時に治療効果が現れていないことを伝え、医師の指示に従いましょう。ほかにも、水銀を取り扱う職業に従事している方は、メチコバールを長期間服用することは避けることが望ましいとされています。
これは、社会問題となった水俣病(メチル水銀中毒)からの教訓に基づくものです。また、薬を保管する際は錠剤の色や含量に影響を与えないよう、室温の場所で湿気・光を避けましょう。
メチコバールは、薬効分類上ビタミン剤として分類されており、基本的に飲み合わせに注意が必要な薬は特にありません。ただし、服用中の薬や日常的に服用しているサプリメントなどがある場合は、念のため担当の医師にご相談ください。
メチコバールの副作用とは?
メチコバールには、いくつかの副作用が報告されています。ただし、ここで解説する副作用には個人差があり、必ずしも全ての人に該当するわけではありません。
現在、明確な発現頻度・初期症状に関する詳細な資料はなく、安全性に関する情報提供は十分ではないのが現状です。そのため、服用の際は用法・用量を守り、医師の指示に従うことが重要です。
副作用が少ない
メチコバールは、薬効分類上ビタミン剤に分類されており、副作用が少ない薬です。
ほかの薬剤との飲み合わせに関する注意事項も、現在は設けられていません。しかし、食物と医薬品との相互作用によっては予期せぬ副作用の出現や、副作用そのものに影響が出ることがあることも考えられます。
担当の医師・薬剤師の指示に従い、安全な使用を心がけることが大切です。
食欲不振
通常、食物の消化吸収は、胃などの消化器官によって分解・吸収されます。これらの代謝には、消化液や酵素の力が必要です。
メチコバールを摂取した際は、通常の代謝過程に加えて、胃内の内分泌と呼ばれる物質との結合が生じます。この結合が胃の活動に一時的な変調をもたらし、一部の方に食欲不振の症状を引き起こすことがあります。
悪心
悪心も食欲不振の症状が生じるプロセスと同様に、メチコバールと胃内の内因子との相互作用によるものと考えられます。
ビタミンB12の結合による胃内活動の変化や、胃酸による刺激が悪心を誘発することがあります。
嘔吐
嘔吐とは、胃の内容物が逆流し、体外に排出される現象を指します。通常は、吐き気(悪心)と主に現れることが多いです。
メチコバール服用後に嘔吐の症状が現れた場合、早めに担当の医師に相談しましょう。薬による直接的な刺激なのか、別要因で生じた刺激によるものか、発症の原因を特定し処置を行います。急性発症であればより迅速な対処が必要です。
下痢
メチコバール摂取後は、胃の内因子と呼ばれる物質が薬の有効成分と結合し、小腸で吸収される仕組みです。
副作用の少ない薬ですが、メチコバールの摂取が腸内環境に変調を与え、稀に下痢を引き起こすことがあります。
人はそれぞれ独自の腸内生態系を持っており、この吸収までのプロセスが一部の方に対しては、消化管運動の異常を引き起こす可能性があると考えられます。
発疹
薬の用法・用量に従い、正しく服用しても、稀に薬物アレルギーが起こることがあります。
アレルギー反応の一例としてよく見られるのは、蕁麻疹のような発疹です。何かしらのアレルギーがあれば、事前に医師・薬剤師に相談することが大切です。
投与に際し、より注意深く慎重に行ってくれるでしょう。しかし、なかには短時間で命に関わる急性のアレルギー反応(アナフィラキシー)で、緊急治療が必要になるケースもあります。
服用から約5分〜30分以内に皮膚症状・消化器症状・呼吸器症状などのショック症状が出現した場合は、直ちに医師・薬剤師に連絡し、速やかに受診してください。
メチコバールの添付文書
メチコバールの添付文書は医薬品を処方された際、薬剤師に確認してもらうことが可能です。
現在メチコバールには、錠剤タイプ・細粒タイプの2つの形状が存在します。微調整しやすいよう成分含有量も工夫されているため、ご希望があれば担当の医師・薬剤師にご相談ください。
現在、痺れ・痛みを主な症状とする末梢神経障害の治療方法は、症状軽減のための薬物療法・患部固定などの保存的な治療が一般的です。
ビタミンB12の一形態であるメチコバールの効果や利点は、未だ十分に解明されていない領域を多く残しています。今後の研究結果や新たな発見によって、メチコバールの添付文書の情報がさらに充実していくことが期待されます。
編集部まとめ
メチコバールの基本情報や副作用についてご紹介しました。ビタミンB12の一形態であるメチコバールは、赤血球の形成や神経機能に必要な栄養素です。
メチコバールはビタミンB12の中でも独自の性質を持っており、痺れ・痛みなどの神経症状を軽減する働きは臨床的に証明されています。
現在は、末梢神経障害の治療に使用されることが中心です。しかし、メチコバールにおける未開の効果や安全性については、日々継続的な研究が行われています。
個人差はありますが、メチコバールは副作用が少ない薬剤です。ただし、患者さんの状態や食物との相互作用によっては、副作用が強く現れる可能性もあります。
服用の際は用法・用量を守り、医師・薬剤師の指示に従い安全に使用することが重要です。メチコバールの新しい情報については、公的機関により発行される添付文書などを確認しましょう。