「AGAの治療は何歳からできる?」AGAになりやすい年齢や治療方法も解説!
AGAという言葉が浸透していますが、「AGAといえば40代以降の男性がかかるもの」とお考えの方も多いのではないでしょうか。
AGAの発症頻度は全体で30%ほどといわれていますが、年齢別でみると20代で約10%、30代では約20%となっています。このように、若い頃から薄毛や脱毛で悩む方も多いのです。
そこで、この記事ではAGAについて年齢に注目して解説します。治療を開始できる年齢や発症しやすい年齢に加え、年代別の治療効果まで詳しくご紹介いたします。
年齢とともに変化する症状について知りたい方や自分の年齢に合った治療法をお探しの方は、ぜひ参考になさってください。
監修医師:
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)
目次 -INDEX-
AGAの治療は何歳からできる?
AGAは20代後半から30代にかけて目立つようになり、その後加齢とともに進行していきます。内服薬・外用薬・生活習慣の改善など、治療方法は様々ですが、基本的に20代以降を対象としたものが多いのが現状です。
一方で、「うす毛や抜け毛が気になり出した年齢」に関して、2.5%ほどが「10代で気になりだした」と回答しているデータもあります。そのような方はより若い年齢での治療開始を望まれているでしょう。そこで、AGA治療を開始できる年齢についてご紹介します。
治療は原則20歳から
前述の通り、AGAの発症率は20代後半以降に増加します。また、治療に用いられる薬の多くが、日本では20歳以上からの使用を想定しています。そのため、クリニックでの治療は20歳以上を対象としたものがほとんどです。
日本皮膚科学会が作成したガイドラインによると、AGAに特に有効な治療(有効度A又はB判定のもの)には以下のようなものがあります。
- フィナステリド内服
- デュタステリド内服
- ミノキシジル外用
- アデノシン外用
- 植毛術
- レーザー照射
このうちフィナステリド・デュタステリド・ミノキシジルがAGA治療に用いられる薬として一般的です。フィナステリドとデュタステリドは男性ホルモンの働きを抑制することで、AGAの進行を抑えます。これらの治療薬は日本では20歳以上を対象として有効性・安全性の検証が行われており、20歳未満の患者への投与は推奨されていません。
10代の場合には使用される薬が限定される
ご紹介したように、フィナステリドやデュタステリドは日本での有効性・安全性の検証が20歳以上を対象として行われています。また、男性ホルモンの働きを抑制する効果があるため、未成年の未成熟な身体には悪影響を与えてしまうかもしれません。そのため、10代での使用は難しいことが多いのです。
その代わりとして、ミノキシジルが配合された育毛剤で毛髪の発育を促すような治療が行われることがあります。一方でミノキシジルを配合した市販薬の中には、20歳未満の使用経験がないために使用を禁止している製品もあります。未成年で薄毛が気になる場合は自己判断で薬を使用せず、まずは生活習慣・洗髪の方法・食事などを見直してみると良いでしょう。
10代の治療には保護者の同意が必要
子どもに対する医療やインフォームド・コンセントについては、未成年でも「理解力・判断力を十分備えた者」については同意能力を認めるとする見解が多くなっています。
そのため、15歳程度の年齢で簡単な治療であれば、未成年でも本人の同意のみで行えます。一方で、現実には保護者の同意が求められることも多いです。特にAGAの治療については、
- 長期間にわたることが多い
- 費用が高額になる可能性がある
- 生活習慣や食生活の改善には家族の協力が重要となる
などの事情を考慮し、保護者の同伴や同意書が必要となるクリニックが多いようです。
AGAになりやすい年齢は?
ご紹介したように、AGAは若いうちから発症する可能性があります。「AGAを発症する時期について詳しく知りたい。」「発症しやすい年齢を知ってAGAに備えたい。」まだ毛髪の変化を感じていない方の中にも、そのように思われた方は多いのではないでしょうか。
AGAになりやすい年齢について詳しくみていきましょう。
基本的には20代以降
AGAの発症要因は遺伝的要因と男性ホルモンです。そもそもAGAは男性ホルモンが脱毛を促進するジヒドロテストステロンに変化することで、毛髪の正常な成長サイクルが乱れて起こります。ジヒドロテストステロンをつくり出す還元酵素の性質などは遺伝による部分も非常に大きいです。そのため、特に両親がAGAになりやすい遺伝子を持っている場合などは、20代でも発症する可能性は十分にあるのです。
また、生活習慣の乱れやストレスはホルモンバランスの乱れにつながります。ホルモンバランスが乱れると頭皮環境が悪化し、薄毛につながることもあるので注意しましょう。特に20代は就職で生活環境が大きく変化したり、今までにないストレスに晒されたりと頭皮環境が悪化しやすい時期でもあります。ストレスを溜め込みすぎず、なるべく生活習慣を整えるように心がけましょう。
気になり始める人が多いのは30代
20代後半に発症し始めるケースもみられるAGAですが、実際に毛髪の変化に気づくのは30代になってからのことが多いです。これは、正常な毛髪の成長期が6年、AGAで短縮されてしまったとしても数ヶ月〜1年であるためです。AGAは発毛サイクルとともに数年をかけて徐々に進行していくため、なかなか毛髪の変化に気づかず、実感するのは発症から数年後となります。
家族や近親者にAGAの方がいるなど、ご心配の場合は、特に自分の毛髪を注意して観察してみましょう。細い髪の毛が増えてきたり、ハリやコシが弱くなってきたと感じたりしたら、専門医に相談してみても良いでしょう。
AGAの治療方法
AGAには有効とされる治療法がいくつかあります。中でも効果的で、痛みがないため始めやすいのが薬による治療です。
AGA治療薬には大きく分けて、内服薬と外用薬の2種類あり、それぞれに効果や目的が異なります。ご自分の症状によって使い分けると良いでしょう。両者の違いを解説します。
内服薬による治療
AGAはテストステロンという男性ホルモンが、5α還元酵素と結びつくことがきっかけで起こります。テストステロンは5α還元酵素の影響でジヒドロテストステロンというホルモンに変化するのです。ジヒドロテストステロンは毛髪の元となる毛母細胞の増殖を抑制し、脱毛を促してしまいます。
このジヒドロテストステロンの働きによって、毛髪が成長し生え変わるまでの期間(毛周期)が短くなり、毛髪が細く短くなっていくのです。AGA内服薬は5α還元酵素の働きを阻害することで毛周期を正常に近づけ、脱毛症の進行を抑えます。フィナステリドとデュタステリドという2種類の有効成分があり、それぞれの有効成分を含む内服薬は以下の通りです。
- フィナステリドを含む:プロペシア、フィナステリド錠
- デュタステリドを含む:ザガーロ
5α還元酵素にはⅠ型とⅡ型があり、フィナステリドはⅡ型にのみ有効です。一方でデュタステリドはⅠ型・Ⅱ型共に阻害できるため、治療の効果は高いとされています。どちらの薬も服用中のみ効果を発揮するため、服用を中止すると症状は再発します。
外用薬による治療
外用薬の有効成分として代表的なのがミノキシジルです。この薬はもともと、アメリカで血圧を下げるための薬として使われていました。
その臨床試験で偶然に多毛が発現したのが育毛剤としてのミノキシジルの始まりです。発毛を促進する作用には以下のようなものがあります。
- 毛乳頭細胞の増殖
- 毛母細胞退行の抑制
- 頭皮の血流改善
毛母細胞は毛髪のもととなる細胞で、毛乳頭細胞は毛母細胞に分化・増殖の指令や栄養を送る働きがあります。ミノキシジルはこの毛乳頭細胞を増やし、毛母細胞を活性化する作用があるのです。また、頭皮の血管を拡張する作用もあるため、血流改善効果も期待できます。これらの働きによって、毛髪の成長期間の短縮というAGAの症状を改善できるのです。ミノキシジルの外用方法は1日2回、患部に塗布します。市販されているものもありますが、濃度が低く効果が得にくい可能性もあります。
クリニックなどで医師に処方してもらうのがおすすめです。また、ミノキシジルは使用初期に脱毛を起こす場合があり、それによって使用を中止してしまう方がいらっしゃいます。効果を実感できるまでにはおよそ6ヶ月ほどかかるため、初期脱毛が起こっても粘り強く継続しましょう。
AGA治療の年代別効果は?
AGAは40代の半数近くが発症するといわれており、40代で治療を始める方も多いでしょう。しかし、効果を高めるには早期の治療開始が重要です。
一方で、AGAは継続的な治療が必要なため、いつ治療を始めようか迷われている方も多いのではないでしょうか。そこで、年代ごとの治療の効果についてご紹介します。
20代の効果の特徴
就職などによるストレス・生活習慣の乱れ・食生活の変化などがAGAを引き起こすことがあります。発症率は高くありませんが、一度発症すると徐々に進行してしまうので注意しましょう。20代ではほとんどの場合で治療による薄毛改善が期待できます。毛髪の変化を感じたら、一度、医師に相談してみても良いでしょう。
また、生活習慣を見直して頭皮環境やホルモンバランスが安定すると、症状も改善される場合があります。バランスの良い食事や十分な睡眠などを心がけましょう。
30代の効果の特徴
30代になると約3割の方がAGAを発症します。仕事での責任が大きくなる・飲酒や喫煙が増えて血行が悪化する・睡眠時間が短くなるなどの要因が、進行に拍車をかけてしまうかもしれません。
AGAは治療開始が40代以上になると、治療の効果が弱まる傾向にあります。そのため、30代のうちから自分の毛髪を観察し、ご心配な場合は受診しましょう。
40代の効果の特徴
AGAの進行が顕著になり、治療を考える方も多くなる年代です。しかし、40代になり、症状が進行してしまうと治療の効果が得にくくなる場合があります。
一方で、医師の処方する薬を用いて適切な治療を行えば、時間や程度の差はあれど薄毛に対して一定の効果は得られます。薄毛に悩んでおられる方はなるべく早く受診しましょう。
50代の効果の特徴
フィナステリドを5年間継続投与した検証において、軽度も含めると99%以上にAGAの改善がみられたというデータがあります。また、同様の検証で、進行抑制については100%の効果があったとされています。
50代では治療の効果が得にくいことも多いですが、継続することで進行を抑制し改善していけるのです。ただし、毛周期に改善の余地がないほどの変化が生じている場合は薬での改善が難しいこともあります。そのような場合には自毛植毛術などの治療に踏み切ることもできます。
編集部まとめ
AGAについて、年齢に着目してご紹介してきました。AGAは若い世代でも発症する可能性があり、一度発症すると徐々に進行していきます。
治療については、開始時期が早く、進行度が低いほど効果が得やすくなります。40代を過ぎると思うような効果が出ない可能性もありますので、早期の治療開始が重要です。
一方で、AGA治療は進行抑制を含めるとほぼ100%の効果があるともいわれています。治療開始が遅れてしまっても、今ある毛髪を守り、少しずつ改善していける可能性は十分にあります。
脱毛・薄毛・軟毛など、毛髪の変化をお悩みの際は、ぜひ一度、専門のクリニックに相談してみてください。