「20代でAGA」を発症する原因はご存知ですか?発症率・対策についても解説!
近年テレビCMでも露出度の多くなったAGAは、男性だけでなく、女性も含めて一般的になってきた脱毛症です。毛髪の薄毛や抜け毛の原因はさまざまですが、多くは遺伝的な要因であったり、ホルモン的な要因であったりします。
AGAは、高年齢から始まるわけではないので、20代でも悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。今回は、特に20代にポイントを当てて、20代だからこそのAGAとの向き合い方を考えてみましょう。
監修医師:
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)
目次 -INDEX-
20代のAGAは何が原因?
AGAの原因は、主に遺伝的およびホルモン的要因に関連しています。遺伝子的な要因とは、親や祖父母に同じような傾向が見られれば、子供も可能性が高まるというものです。
これは、ホルモンの代謝や毛髪の質などが遺伝情報として伝えられる情報に含まれていることを意味します。ホルモン的な要因は、テストステロンというホルモンが毛髪の育成に関与していることから、AGAの発症に大きな影響を与えると考えられるからです。
テストステロンは、特定の酵素によってジヒドロテストステロンへ変換されます。ジヒドロテストステロンは、毛包の細胞に作用して血液の循環を阻害し、毛根の縮小や衰退の原因となる可能性が指摘されています。
こういった一般的な原因に加えあげられるのが、環境要因です。これに関しては、20代と30代から40代・60代以降など年代によって条件が変わってくることが考えられます。
遺伝
遺伝は、AGAの発症と進行において非常に大きな影響を与えています。AGAは家族性傾向があり、両親や祖父母からの遺伝が特に影響を及ぼすことが多いです。
遺伝的要因によって、毛包の感受性やホルモンの代謝に関連する遺伝子が変異し、AGAのリスクを高めています。具体的には、母親から受け継いだX染色体上の遺伝子が毛包の感受性に影響を与えています。そのため、母方の家族にAGAの人がいる場合には、自分もそのリスクが高くなる可能性があると考えた方がよいでしょう。
遺伝的要因によって引き起こされるAGAでは、テストステロンがジヒドロテストステロンへ変換され、毛包の細胞に作用します。その結果、血液の循環が悪くなり、毛根の縮小や衰退を引き起こされます。
ストレス
現代人においては、さまざまな病気に精神的なストレスが影響しています。AGAにおいても同様で、長期間のストレスによってAGAが発症したり、進行したりすることが報告されています。
ストレスによって体内のホルモンバランスが崩れ、血行や毛根・毛髪の発育に影響を及ぼすからです。ストレスが増えると、副腎皮質からのコルチゾールの分泌が増え、テストステロンの代謝が変化する可能性があります。そして、テストステロンがジヒドロテストステロンへ変換され、AGAの進行を促進させます。
また、血行を悪くする要因のひとつはストレスです。血液の循環がスムーズにいかず、頭皮や毛根への血液の循環が悪くなることがあります。血行不良は毛根の栄養供給を妨げ、髪の成長によい影響を及ぼしません。
生活習慣
生活習慣の改善は、身体だけでなく髪の健康にも大切なことです。栄養不良や偏った食事は、髪の健康に影響を及ぼす可能性があります。
20代においては、つい自分の好きなも食事に偏りがちですが、バランスがよい栄養の摂取は、健康な髪の成長と維持に重要です。健康な髪に必要なタンパク質・ビタミン・ミネラルの不足は、AGA発症や進行を早める要因になります。
また、若いからといって睡眠を疎かにすることもAGAに影響します。睡眠不足で考えられるのは、ホルモンバランスの乱れや免疫機能の低下です。
おしゃれをしたいという気持ちは尊重できますが、過度のヘアスタイリングの使用やこてを使ったヘアケアは髪に負担をかけます。髪と頭皮に負担をかけるヘアケアを習慣にしていることは、AGAの進行を促す可能性があります。
間違ったヘアケア・頭皮ケア
間違ったヘアケアを行うと、逆に頭皮や髪に悪い栄養を与えます。髪や頭皮は日々の生活の中で汚れてしまいますが、だからといって、髪や頭皮を頻繁に洗いすぎるのはよくありません。
ヘアケアをしているようで実際は、必要な皮脂が取り除かれてしまい、頭皮が乾燥したり刺激を受けたりします。それによって毛根も痛み、よいサイクルで発毛を促進できません。
高温のヘアドライヤやヘアアイロンなどの熱を使ったスタイリングは、髪を乾燥させたり、傷つけたりしてしまいます。これはAGAの促進に繋がります。髪を乱暴にブラッシングしたり、引っ張ったりするのも同様です。
髪の毛や頭皮に負担がかかるケアは、逆に髪を抜けやすくし、頭皮を傷つけます。
20代のAGAの発症率は?
「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」によると、日本人におけるAGAの発症頻度は、全年齢平均で約30%となっています。20 代だけでみると約10%・30 代で 20%・40 代で 30%・50 代以降で 40%を超えます。
全体平均に比べ20代はそれほど多くないという判断もできますが、年齢が上がることで症状が顕著に出てくることを考えると楽観視できません。気づかないだけで初期のAGAである可能性があります。
20代でAGAを発症した場合の対策は?
AGAを疑った場合は、まず専門医を受診して、AGAかどうかの診断を受けます。AGAの専門医は、皮膚科医です。AGAの進み具合などを確認したのちに、専門医に今後の対策についてアドバイスをもらいます。
病院やクリニックで行う治療は、投薬治療になります。その効果は、発毛を促進したり、脱毛を遅らせたりすることなどです。薬物療法は、必ず専門医の指導のもとで行います。
また、 AGAの進行が進んでいるときには、縮毛手術などが考えられます。ですがリスクが伴いますし、20代の場合の多くは、その必要はありません。
多くの20代の患者は、生活習慣に課題を持っていることが多いので、そこから改善していくことをおすすめします。食事・睡眠・ストレス管理・ヘアケアの見直しなどです。
クリニックでの投薬治療
20代のAGA患者に推奨される一般的な投薬治療には、2種類の薬があります。
まず、多くのAGA患者に使われているのは、ミノキシジルです。ミノキシジルは塗布するタイプの外用薬として、1日1回から2回、頭皮に利用します。ミノキシジルの期待できる効果は、薄毛の進行を遅らせて、毛髪の成長を促進することです。
ミノキシジルは即効性はなく、効果は数ヶ月後に出ると報告されています。定期的にし続けなければならず、やめた場合は悪化する可能性もあります。
もう1種類がフィナステリドです。フィナステリドは内服薬で、ジヒドロテストステロンの体内生成を阻害します。これにより得られる効果は、AGAの進行の遅延です。
フィナステリドは長期的な使用が必要となり、副作用もあるため、専門医との相談をしながら決めていきます。
メソセラピー
メソセラピーは、微細な針や特殊な器具を使って、頭皮に栄養素や薬剤を直接注入することで治療を行います。
注入するのは、ビタミン・ミネラル・アミノ酸・抗酸化物質・成長因子などです。この治療は、頭皮に直接作用しますので、毛根の血行を促進し、毛母細胞を活性化させ毛母細胞分裂を促します。
一般的には、ビタミン・ミネラル・アミノ酸・抗酸化物質・成長因子などが含まれた特別なカクテルが使用されます。これらの成分がサポートするのは、頭皮と毛包に栄養を供給することで実現する毛髪の成長です。
メソセラピーは通常、複数回のセッションで行われます。セッション間隔は個人によって異なり、1週間から1か月ごとに行われるのが一般的です。
治療の効果には個人差がありますが、数ヶ月後から結果が実感できるといわれています。メソセラピー治療後は、特別なアフターケアが必要なので、医師との密な連携は不可欠です。
植毛
植毛は、AGAの永久的な解決方法となる対策です。植毛は、自分の健康な髪を別の部位から取り出して、薄毛や抜け毛のある部位に移植する手術になります。自分の髪を使うので、自然な髪の成長を期待できます。
まず候補となる部位から髪を取り出す手術が行われることが多いです。その後、移植をする部位につけた細かな切開や穴に移植します。手術後すぐに元通の成長をするわけではなく、しばらくはそのまま部位を休ませます。
髪が成長を始めるのは数ヶ月後です。植毛の手術は、患者の状況によってどのように行われるかが変わってきます。また、手術のリスクや合併症の心配もありますので、しっかりと検討しましょう。
市販の育毛剤を使ったケア
20代の若い世代であれば、まずは市販の育毛剤を使用すること選択肢のひとつです。市販の育毛剤は、頭皮や髪の健康を促進して、脱毛を遅らせるための成分を含んでいます。
お店に行くとさまざまな育毛剤が並べられています。これらからどれを選べばいいのでしょうか。
まずは、商品の成分や効果についての情報をメーカーのサイトなどから入手し、自分の症状に合ったものを選びます。また、信頼性の高いメーカーや担当医のおすすめを参考にするのもよい方法です。
育毛剤の効果を実感するには、継続して育毛剤を使うことが大切です。決められた方法と頻度を守りケアをします。
生活習慣の見直し
AGAの症状の進行を少しでも遅らせるためには、生活習慣の見直しが有効です。健康的な食事は、栄養バランスが取れるだけでなく、髪や頭皮の健康にも直結しています。
特に気にしたいのは、ビタミン・ミネラル・タンパク質・オメガ-3脂肪酸といった栄養素です。これらを新鮮な果物・野菜・魚・豆などから摂取するようにしましょう。
また、日々のストレスも頭皮に悪影響を及ぼします。適度な息抜きが必要です。そのためには、適度な運動・趣味の活動などのリラクスゼーションの時間を取ることが大事になります。
特に適度な運動は頭皮や髪も健康にもよいといわれています。有酸素運動・ウォーキング・ジョギング・サイクリングなどを定期的に行う習慣をつけましょう。
AGA治療の費用相場はどのくらい?
AGA治療の費用は、行う治療によって異なります。最初に行うのは、AGAであるかどうかの判断をするための診断です。
初回の診断では、医師の相談料や検査の費用が含まれます。これは一般的に数千円程度になります。診察の結果内服薬の投与で治療する場合に必要なのが薬代です。
薬代は処方箋を出してもらいますが、保険が適用される場合と自己負担になる場合によって金額は大きく変わります。自己負担の場合は、月額で数千円程度が必要です。治療の方法でメソセラピーを選んだ場合、その費用がかかります。
メソセラピーはセッションの間隔や回数をまずは計画して実行しますが、その回数や使用する薬によって金額が違います。セッションあたりの相場は、数千円から数万円です。
最後に植毛手術ですが、これは個人の状態によって全く違ってきます。一般的には、 植毛で使う髪の量や手術の難易度によって費用が変わります。そのためかかる費用は、数十万円から数百万円以上と幅が大きいです。
20代のAGAの主なタイプは?
20代のAGAでは、初期の段階にみられる、生え際の薄毛化と抜け毛の増加が特徴的です。AGAの症状が進んでいくと、M字型の脱毛パターンになる場合と、全体的に薄毛になる場合があります。
他にもいくつかのパターンがありますが、どのパターンで症状が現れるかか個人差があり、AGAの症状の進行度合いによっても変わります。
M型
M型のAGAは、男性の多くが経験する脱毛パターンの代表的なものです。生え際が後退してM字型の脱毛パターンになります。
生え際が少しずつ後退していき、額の中央部からMの形状に髪が薄くなっていくのが特徴です。
O型
O型のAGAは、最も多い脱毛パターンです。頭頂部の髪が少しずつ薄くなり、毛髪の密度が低下していきます。頭頂部に円形状の薄毛領域ができ、髪が透けて見えるようになってくるのが特徴です。
U型
U型のAGAは、生え際が後退し頭頂部が薄くなるところに特徴があります。U型では、生え際が少しずつ後退し頭頂部が薄くなっていき、U字型の脱毛パターンが作られます。
頭頂部の薄毛は進行しますが、側頭部や後頭部の髪は比較的そのまま残ることが特徴です。
編集部まとめ
20代のAGAは初期の場合が多く、正しい治療を行うことで対処できます。まずは、普段の生活習慣を改善し、気になる症状は専門医師に早めに相談しましょう。