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「女性の薄毛は遺伝する?」遺伝以外の原因や改善方法・治療薬も詳しく解説!

 更新日:2024/07/11
「女性の薄毛は遺伝する?」遺伝以外の原因や改善方法・治療薬も詳しく解説!

女性が薄毛に悩むようになるのは、一般的には30代後半〜40代前半頃が多いとされています。

年齢が上がるにつれて、薄毛に悩む女性の数も増加傾向の一途を辿るようです。しかし、薄毛になる原因は、年齢だけではありません。

生活習慣・ホルモンバランスの乱れなど、あらゆることが要因になっています。さらには、脱毛症・遺伝などの影響も少なからずあるようです。

そこでここでは女性の薄毛について、女性の薄毛は遺伝するのか・薄毛の原因・改善方法・治療薬についても解説していきます。

竹内 想

監修医師
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)

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名古屋大学医学部附属病院にて勤務。国立大学医学部を卒業後、市中病院にて内科・救急・在宅診療など含めた診療経験を積む。専門領域は専門は皮膚・美容皮膚、一般内科・形成外科・美容外科にも知見。

女性の薄毛は遺伝する?

女性の薄毛
よく男性の薄毛は遺伝するといわれます。しかし、女性の薄毛の場合は、意外にも遺伝の影響を受けることは少ないとされているようです。
これは、脱毛症・ホルモンの乱れ・生活習慣などさまざまな原因が考えられるため、遺伝との相対関係はなく、いわば環境要因が大きいことが大きな原因となっているからです。
では一口に環境要因といっても、具体的にはどのようなことがその大きな要因になっているのでしょうか?遺伝以外の女性の薄毛の原因を、次の章で詳しく解説します。

遺伝以外の女性の薄毛の原因

薄毛のチェック
女性の薄毛の原因に、遺伝があまり影響していないとするならば、遺伝以外ではどのようなことが原因になっているのでしょうか。主に6つの原因にまとめてみます。

  • ホルモンバランスの乱れ
  • 膠原病など脱毛を伴う病気
  • ストレス
  • 過度のダイエット
  • 生活習慣の乱れ
  • 髪が引っ張られる髪型

上記のように女性特有の生活習慣なども関係しています。

ホルモンバランスの乱れ

ホルモンバランスの乱れは、主に40代〜50代頃から現れていきます。その原因は、年齢的にも更年期に入っていくためです。女性の場合、更年期に入ると個人差はありますが、閉経を迎える方が多くなってきます。
この閉経を迎える頃からそれまであったエストロゲンという、女性らしい体をつくる成分が減少するのです。エストロゲンが減少するとどのようなことが起こるのか、具体的にまとめてみました。

  • 髪にハリ・コシがなくなり、髪質が軟毛化する
  • 女性ホルモンの濃度が下がり髪の成長が遅くなるため、退行期・休止期という髪の毛が抜ける時期が早くなる
  • 女性ホルモンの減少に伴う、びまん性脱毛症になり薄毛が広がる可能性がある
  • もともと女性にもある男性ホルモンの割合が、女性ホルモンの減少に伴い相対的に高くなっていくため、薄毛が多くなる
  • 加齢に伴い、発毛量が遅くなる上に髪質が細く柔らかくなるため、結果として薄毛が目立っていく

このように、女性ホルモンの減少により男性ホルモンとの割合アンバランスになることが主な薄毛の原因といえるでしょう。
エストロゲンともう1つプロゲステロンというのも女性ホルモンの総称の1つで、この2つのホルモンの減少などによって脱毛や薄毛が引き起こされる原因となっているのです。

膠原病など脱毛を伴う病気

薄毛の原因には、膠原病(こうげんびょう)を伴う症状の1つの脱毛があります。そもそも膠原病とはどのような病気なのでしょうか。

  • 全身の皮膚・血管・肉・関節などに見られる炎症の総称
  • 女性に多い病気で、比較的若い女性の不明熱という原因不明の発熱により膠原病が確認されることが多い

脱毛は、膠原病の症状の1つです。その他には、不明熱・湿疹・関節の痛み・口内炎などがあります。また、これらに共通して見られる症状の1つにレイノー現象と呼ばれる手・足先の循環障害もあるのです。
レイノー現象とは、寒い冬の朝や冷たい水につけたとき、手足の先が白くなりしびれるような症状が見られることです。

ストレス

日常生活において、ストレスとは切り離せないものです。このストレスもさまざまなことが原因になっています。ストレスとなる主な原因をみてみましょう。

  • 不規則な生活
  • 睡眠不足
  • 過労

このあとに解説する生活習慣の乱れとも関係するものですが、ストレスがたまると神経が過敏な状態になります。これは、いわゆる神経が一種の緊張状態にあることを指します。
緊張状態は交感神経が副交感神経より強く働くことで起こる現象です。この緊張状態が続くと血管や筋肉が収縮し、心拍数も上がります。通常はそうした状態になっても、うまくストレスを発散できれば副交感神経が働き、血管や筋肉の収縮が緩み、心拍数も安定するのです。つまりリラックスした状態になります。
普段はこの交感神経と副交感神経がバランスよく働いているので健康的に暮らせているわけです。しかし、ストレス発散のはけ口がなく、連日のように上記のような項目が続くと、この2つの神経がアンバランスになってきます。
つまり、交感神経の働きが副交感神経より高くなるのです。こうしたことからストレスが蓄積されて、結果成長ホルモンの分泌が悪くなるので、脱毛・薄毛の原因につながっていきます。

過度のダイエット

女性にありがちなのが、過度のダイエットです。「綺麗に痩せたい」「夏までにあと何キロ」と頑張るあまり、ついダイエットの取り組み方が過度になってしまう女性は多くいます。
具体的に、過度なダイエットとはどのようなものでしょうか。

  • 食事制限(カロリー制限)
  • ジョギング・ウォーキングなどのしすぎ
  • 補正下着で必要以上にウエストなどを締め付ける

これらのダイエット法は、適度に行うには非常に効果のあるダイエット法です。しかし「あと何キロ」「あと何センチ細く」など目標を持つと欲が出るので、過度に頑張りすぎる傾向にあります。
特に食事制限などはあまり制限しすぎると、必要な栄養素が髪まで行き届かなくなるので注意が必要です。人は、食べたものから栄養を摂取し、血液の流れに乗って栄養が全身に運ばれていきます。
しかし、カロリー制限をしすぎると運ぶ栄養素の量が少ないので十分な栄養を受けられず、髪の成長を抑え込んでしまうのです。

生活習慣の乱れ

先に解説したホルモンバランスの乱れ・ストレス・過度のダイエットにも直結することですが、ストレスや過度のダイエットが習慣になってしまうとホルモンバランスの乱れを起こす原因になるのです。
主な生活習慣の乱れとはどのようなものでしょうか。

  • 連日のように仕事で帰りが遅くなる
  • 食事の時間が不規則
  • 睡眠時間が短い

こうなる原因が仕事にあるとすると、「仕方がない」と諦めている方も多いでしょう。上手にストレスを発散して先に解説した交感神経・副交感神経のバランスを整えるように努力が必要です。

髪が引っ張られる髪型

女性に多いのがこの「髪が引っ張られる髪型」になります。例えば、まとめ髪などの後ろでお団子にするヘアスタイルのことです。
日常生活ではあまりしないヘアスタイルかもしれませんが、髪を引っ張る髪型にせざるを得ない職業の女性もいますね。髪を引っ張る髪型にする職業を以下に挙げてみます。

  • キャビンアテンダント
  • 女性看護師・女性医師
  • ブライダルサロンのスタッフ(受付など)
  • 呉服店店員

髪が長い女性の場合は、上記のような職業だと髪はアップにしていた方が清潔感もあります。では、なぜ薄毛につながるのでしょうか。実は、まとめ髪にすると、どうしても全体の髪を後ろや上に引っ張るようにまとめます。
このとき、いつも頭の同じ場所で縛ったり留めたりしているでしょう。薄毛の原因はここにあるのです。こういったヘアスタイルが原因で薄毛になる場合、「牽引性脱毛症(けんいんせいだつもうしょう)」になる場合があります。これは血行不良や髪が引っ張られることで、髪の毛が引き抜かれるといった物理的負荷がかかるためです。
それにより、切れ毛・枝毛の原因にもなります。職合柄、まとめ髪が必須な場合は、あまり強く引き詰めないように緩めにまとめたり、縛る位置を変えたりなどの工夫をしてみてください。
また、エクステなども髪が引っ張られる原因になりますので、エクステを使う頻度を減らすなどしてみましょう。

女性の薄毛を改善する方法

頭皮マッサージをしながら笑顔を浮かべる女性
女性の薄毛には、実にさまざまなことが原因になっていることがお分かりになったでしょうか。では、これらの原因を改善するには、どのような対策を取れば良いのか、その改善策を大きく3つに分けてご紹介していきます。

睡眠不足の解消をする

睡眠不足の解消をすることは、ストレスを解消するのにも役立つ方法です。しかし、睡眠時間の解消といってもやみくもに寝ても寝疲れするだけですので、それでは逆にストレスになります。
睡眠不足を解消するためには、睡眠時間よりも睡眠の質を高めることが望ましいでしょう。睡眠の質を高められると、短い睡眠時間でも深い眠りにつくことができ、すっきりと目覚められます。
では、質の良い睡眠はどのようにするか、以下に挙げてみましたので、参考にしてみてください。

  • 寝る前にパソコンやスマホでの動画視聴・ゲームなどは控える
  • 本などを読んでリラックスする
  • 寝る前の暴飲暴食はやめる
  • 寝る前の飲酒は控える

主に以上のような点を意識してください。最後の「寝る前の飲酒は控える」ですが、ほろ酔い程度に飲むだけならすんなり睡眠に入っていけるのではと思うでしょう。確かに眠りに入りやすいようですが、深い眠りの妨げになることがありますので注意してください。
寝る前のパソコンやスマホでの動画視聴・ゲームも、脳が興奮状態になります。できれば、寝る前の1時間前にはやめてリラックスするように本を読むなどして、脳の興奮を鎮める工夫をしてみましょう。髪の毛の抜け毛を抑え薄毛を予防し、髪の健康を育むための成長ホルモンは眠りに入ってから3時間以内に分泌されます。
ということは、少なくとも4時間以上は眠ることが重要です。忙しくてまとまった睡眠時間が取れないという方は、前述したようにゲーム・暴飲暴食などを控える努力をしてみましょう。寝る1時間前にホットミルクを飲むと体が温まって、楽に入眠できますのでぜひ試してみてください。

適度な運動をする

薄毛を改善するためにおすすめしたい適度な運動は、有酸素運動です。有酸素運動とは、運動していても誰かと会話しながらでもできる軽度な運動方法のことをいいます。有酸素運動に当てはまる運動を見てみましょう。

  • ウォーキング
  • サイクリング
  • エアロビクス
  • 水泳
  • ダンス
  • ストレッチ

これらもやりすぎると、無酸素運動といって会話もできない息が上がるほどの運動になってしまいます。ポイントは「会話できる程度の運動」を心がけましょう。
運動不足が直接的に薄毛に影響するわけではありませんが、薄毛を誘発する要因にはなるということを覚えておきましょう。

頭皮ケアをする

一般的には、シャンプーが頭皮ケアに有効です。頭皮には、1日の間だけでも皮脂・汗・埃などが付着します。特に夏の暑い日は、髪の毛に覆われた頭皮は汗をかきやすいです。そのためシャンプーはこれらの汚れを綺麗に洗い流してくれるので、大変有効とされています。
しかし、シャンプーの成分は界面活性剤という洗浄成分であるため、洗いすぎには注意してください。洗いすぎると頭皮の皮脂を落としすぎてしまいます。皮脂は、落としすぎると頭皮の乾燥を招く原因になるのです。皮脂は適度に残すことで、乾燥・紫外線から髪を守ってくれます。
そして、シャンプーに含まれる洗浄成分界面活性剤は、3つのタイプに分かれています。

  • 高級アルコール系:洗浄力が強い
  • アミノ酸系:比較的、洗浄力が穏やか
  • 石けん系:自然由来の原料で作られている

乾燥肌・敏感肌などで肌にお悩みがある方は、アミノ酸系を使うことも有効です。もう1点、注意したいのは洗い方です。頭皮ケアになる洗い方のポイントを紹介しましょう。

  • ぬるめのお湯で髪を予洗いする
  • 大まかにお湯だけで汚れを落としたら、よく泡立てたシャンプーを頭につける
  • 指の腹を使い、頭皮マッサージをする要領で洗う
  • 最後は洗い残しがないように、十分に洗い流す

シャンプーで洗いすぎると乾燥や紫外線からのダメージを受けやすくなりますが、シャンプー液の洗い残しもダメージになるため、時間をかけてシャンプー液が残らないように洗い流してください。

女性の薄毛の治療薬

屋内にいる男性医師と女性患者
ここからは、女性の薄毛に有効な治療薬について解説していきます。女性の薄毛の治療薬は以下の3つです。

  • ミノキシジル
  • スピロノラクトン
  • パントガール

それぞれの詳しい治療薬の効果を見ていきましょう。

ミノキシジル

ミノキシジルとは、発毛成分として日本で唯一認められている薬品になります。ミノキシジルは、頭皮に直接塗るタイプの薬です。ここで少し注意してほしいのは、市販の発毛剤の中にも、このミノキシジルが配合されている薬はあります。
しかし、市販の発毛剤の場合、女性が使用するには注意が必要であるため、医師に相談の上、自身に合った薬を処方してもらう方が安心です。万が一、副作用が出ても処方してもらった担当医の指示を受けられるため、大きなメリットになります。

スピロノラクトン

スピロノラクトンは、もともと利尿薬で高血圧・心不全の治療薬として用いられていました。その副作用として女性化乳房・多毛などがあったのです。
この作用を用いて、「FAGA」という女性男性型脱毛症の治療で用いられるようになりました。スピロノラクトンは、抜け毛の抑制となる作用があります。

パントガール

パントガールは、内服薬で1番おすすめの治療薬になります。ケラチン・シスチンという頭皮に大切な栄養素が多く含まれているからです。3つの治療薬の中で1番おすすめな理由として、この薬を服用している方の7割が抜け毛の減少を実感しています。
この薬は、女性の抜け毛・薄毛の改善を目的に作られ、副作用が起こりにくいというメリットがあるのです。そのため、医薬品でありながらどちらかというとサプリメントの方が近いといえるでしょう。

薄毛が気になる女性は専門クリニックで治療を受けよう

整骨院でカウンセリングする整体師・医者
女性の場合、薄毛を人に相談するのは恥ずかしいものなので、それが返ってさらなるストレスになってしまいます。手っ取り早く対処するには、帽子を被ったりウィッグをつけるとすぐ隠せて便利でしょう。
しかし、この方法の場合、長時間つけていることで頭皮が蒸れることがあります。特に夏の暑い日などは、頭皮も体と同じく汗を掻くのです。帽子などの場合は、ときどき帽子を外して風にさらすなどして蒸れないようにしましょう。
エクステやウィッグの場合はなかなか外すことは外出時にはできないかもしれません。この場合は、なるべく毎日の使用や長時間の使用は避けるように工夫してください。
薄毛で悩んでいるのであれば、専門のクリニックで治療を受ける方が、薄毛に有効な薬を処方してもらえるので、薄毛の改善も短期間で実感できるといえます。ぜひ、ご自分の薄毛の原因にアプローチした薬を手に入れるためにも、すぐ専門のクリニックを受診してみてください。

編集部まとめ

薄毛に悩む女性
今回は、女性の薄毛について遺伝が関係するのか遺伝以外ならどのようなことが原因になっているのかなどを解説してきました。

女性の薄毛は実にさまざまなことが要因になっていることが、お分かりになったかと思います。加齢によるものと諦めてしまう必要はありません。

要は髪に必要な栄養素をきちんと届けられるように、日々の生活習慣の中で食事・運動・睡眠に特に気を付けていくだけでも、髪に違いが出てくるでしょう。

髪が元気になると、自身の心のケアにもつながります。ぜひ、薄毛が気になる方は思い切って専門クリニックを訪ねてみてください。

この記事の監修医師