「AGAの進行速度」はご存知ですか?進行パターンや治療薬についても解説!
最近髪の毛が薄くなってきたと感じる方は、AGAが進行しているかもしれません。
日本の成人男性に多くみられるAGAですが、進行速度はどのくらいなのでしょうか。まだ大丈夫と安心していると気づくと症状が進行しているケースがあります。
そこで本記事では、AGAの進行速度が知りたい方に向けてAGAの進行速度・進行パターン・進行を抑える薬・予防法ついて詳しく解説します。
薄毛の進行が気になってきたという方は、ぜひ参考にしてください。
監修医師:
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)
目次 -INDEX-
AGAの進行速度はどのくらい?
AGAの進行速度は個人差によるところが大きく、次のような特徴があります。
- 進行は個人差が大きい
- 急激に進行することは少ない
- 若年で発症した場合は進行が速い
ここでは、AGAの進行速度について詳しく解説していきます。
進行は個人差が大きい
AGAの進行速度は明確に数値化されていないため、個人差によるところが大きいです。
AGAは、男性ホルモンから生成される「ジヒドロテストステロン(DHT)」とよばれる物質が髪の周期を乱し、成長する前に抜けて落ちてしまう男性型脱毛症です。
発症の原因は、ジヒドロテストステロンが作り出す「5aリアクターゼ」とよばれる酵素の活発度や毛根細胞の感受性の強さが関わっています。
また、以下の原因もAGAの進行速度は個人差が大きいとされている理由です。
- 生活習慣の乱れ
- 栄養バランスの偏った食事
- 運動不足
- ストレス
- 誤ったヘアケア
- 遺伝による抜け毛
遺伝による抜け毛はコントロールできませんが、運動不足・偏った食事・誤ったヘアケアなどは個人の生活習慣の乱れが関係しています。
ですが、個人の要素が強い分改善もできます。適度な運動・バランスのとれた食事・正しいヘアケアなどを行うことで、AGAの進行速度を遅らせられるでしょう。
急激に進行することは少ない
AGAは慢性経過の脱毛症のため、急激に進行することは少ないと考えられています。
日本皮膚科学会が定めるガイドラインによると、AGAは思春期以降に発症して徐々に進行する脱毛症と定義されています。そのため、発症したからといって一気に大量の髪が抜け落ちるわけではありません。
しかし、進行が遅い分症状が進むまで気づきにくいという点があります。仮に1ヶ月で急激に症状が進行した場合は、AGA以外の脱毛症の可能性があるため専門の医師の診察を受けるようにしましょう。
若年で発症した場合は進行が速い
AGAは若年で発症した場合、進行が速いと考えられています。10代後半〜20代前半に発症する脱毛症は若年性脱毛症です。
若年性脱毛症になる原因としては、次のようなものが挙げられます。
- 乱れた生活習慣
- 過度なストレス
- 頭皮環境を悪化させる習慣
若年でAGAを発症した場合に進行が速い理由として、生活習慣の乱れや過度なストレスなどが考えられるでしょう。
髪は日々の食事や睡眠による成長ホルモンの分泌によって作られます。そのため、生活習慣が乱れていると健康的な髪は育ちません。
過度なストレスは自律神経の乱れにつながり、髪を生成する毛乳頭や毛母細胞の機能低下を招くでしょう。
また、1日に何度もシャンプーをしたり、整髪料をつけたまま寝たりする習慣は頭皮環境を悪化させます。頭皮環境の悪化は抜け毛につながるため、注意が必要です。
AGAの進行パターン
AGAの進行パターンは薄毛の進行箇所によってM字・U字・O字の3つのパターンに別れます。
主に額や頭頂部から薄毛が進行するケースが多いです。薄毛の進行速度には個人差がありますが、初期症状には次のような症状がみられます。
- 髪にコシがなくなる
- 髪の毛が細くなる
- 抜け毛の量が増える
- 頭頂部が透けてみえる
- 額が広がる
ここでは、AGAの3つの進行パターンについて解説します。
M字タイプ
M字タイプは、AGAでもっとも多い進行タイプです。額のこめかみから頭頂部にかけて生え際がアルファベットのMのように徐々に後退していくのが特徴です。
生まれつき額が広い方もいますが、自分がM字タイプかどうか判断する基準として次のような確認方法があります。
- 眉を上げたときにできるシワと後退している生え際との間隔の長さ
- 頭頂部と耳の間の頭頂線から生え際の先端部分の距離
額のシワの位置から生え際の後退度を確認する方法です。眉を上げたときにできるシワと後退している生え際との間に指が2本入る場合、M字タイプの可能性があるでしょう。
入る指の本数が多いほど、生え際が後退しているといえます。もう1つは、頭頂線からの距離で生え際の後退度を測る方法です。
頭頂部と耳の間の頭頂線から生え際の先端部分までの距離が2cm未満の場合、生え際が後退してきているためM字タイプと判断できるでしょう。
U字タイプ
U字タイプは、前頭部と頭頂部の両方からアルファベットのUのように薄毛が進行していきます。前と後ろのどちらからも薄毛の状態が確認できるため、周囲から薄毛の印象をもたれる可能性が高いでしょう。
また「M字タイプ」と後述する「O字タイプ」が併発している場合もあります。U字タイプは前頭部から頭頂部にわたって広範囲に薄毛が進行しますが、血液が循環しやすい側頭部や後頭部までは薄毛が進行しにくいのが特徴です。
O字タイプ
O字タイプは、頭頂部のつむじから徐々に進行していき、アルファベットのOのように頭頂部全体に薄毛が広がるタイプです。目視では確認しづらいため、鏡などを使うか触ったときの毛量の変化で確認できます。
他人から指摘されて気づくケースもあるかもしれません。そのため、初期症状に気づきにくい点が挙げられます。症状が進行すると地肌の見える面積が広がっていき、最終的には頭頂部全体に薄毛が広がっていきます。
AGAの進行を止める薬
AGAの進行はAGA治療薬を服用することで進行を抑えられる効果が期待できるでしょう。AGA治療薬には次の3つがあります。
- プロペシア
- フェナステリド
- ザガーロ
ここでは、それぞれの薬について詳しく解説します。
プロペシア
プロペシアとは、フィナステリドを有効成分としたAGA治療薬です。AGAの原因の1つである5aリアクターゼを阻害し、ジヒドロテストステロンの変化を防ぐ働きがあります。
その結果、髪が生え変わる周期であるヘアサイクルを正常な状態に戻す効果が期待できるでしょう。
ですが、プロペシアの服用には次のような副作用がみられる場合があります。
- 性機能障害(リビドー減退・勃起機能不全・射精障害)
- 肝機能障害
- 抑うつ
これらの副作用は、フィナステリドの男性ホルモンを抑制する作用が関係していると考えられます。中でも性機能障害がもっとも表れやすいです。
性機能障害は子作りに影響するため、子どもが欲しいと考えている方は、事前に医師に相談すると良いでしょう。
フィナステリド
フィナステリドとは、乱れたヘアサイクルを正常な状態に戻し、AGAの進行を抑える効果が期待できる有効成分です。プロペシアのジェネリック医薬品で「フィナステリド錠」としても処方されています。
ジェネリック医薬品と聞いて、不信感を抱く方も少なくないでしょう。ジェネリックは、先発品と同等の効果が期待できる薬を低価格で購入できる点がメリットです。
そのためフィナステリド錠は、プロペシアよりも低コストでAGAの進行を抑えられるでしょう。しかし、後発品のフィナステリド錠を販売している製薬メーカーは多く、それぞれ信頼性も異なります。
購入する際は、信頼できる製薬メーカーかどうかを確認しましょう。
ザガーロ
ザガーロとは、デュタステリドを有効成分としたAGA治療薬です。ジヒドロテストステロンと5aリアクターゼの働きを抑制することでAGAの進行を抑える効果が期待できます。
ザガーロにも他の治療薬と同様に以下のような副作用がみられる場合があります。
- 肝機能障害
- 性機能障害(勃起機能不全・射精障害・性欲減退)
- ごくまれに乳房障害
肝機能障害は、ザガーロに限らず多くの医療薬でみられる可能性がある副作用です。性機能障害に関しては、男性ホルモンへの影響が考えられます。
100人に1人以下の割合で乳房障害が表れる方もいるため、いつもと違う症状を感じたら医師へ相談しましょう。
また、ザガーロを服用して効果が表れる期間には個人差があります。通常、6ヶ月間は薬を服用する必要があります。効果が感じられない場合でも、自身の判断で服用を止めずに継続しましょう。
薬以外でAGAの進行を止める方法
AGAは治療薬以外にも次のような方法で進行を抑えられます。
- 食生活の見直し
- 生活習慣の改善
- 禁煙
ここでは、それぞれの方法について詳しく解説します。
食生活の見直し
1つ目は、食生活の見直しです。朝の慌ただしい時間帯や忙しかった日の夕食は栄養バランスが乱れがちです。健康な髪を育てるためには、バランスの良い食事が欠かせません。
AGAの進行を抑えるために取り入れたい栄養素や食材には次のようなものがあります。
- タンパク質:肉・魚・卵・大豆など
- 亜鉛(ミネラル):レバー・牡蠣・魚介類など
- ビタミン:緑黄色野菜・豚肉・大豆など
- アミノ酸:魚・かつおぶし・ごまなど
タンパク質とアミノ酸は髪の毛の原料になるため、日頃からなるべく摂取するように心がけましょう。亜鉛やビタミンは、新陳代謝を促進して髪の成長をサポートしてくれます。
生活習慣の改善
2つ目は、生活習慣の改善です。乱れた生活習慣はヘアサイクルに悪影響を与えてしまうため見直したいところです。
改善したい生活習慣には次のようなものがあります。
- 睡眠
- ストレス
- ヘアケア
良質な睡眠は髪の成長に欠かせません。成長ホルモンは入眠から約3時間の間にもっとも多く分泌されます。最適な睡眠時間には個人差がありますが、最低でも5時間以上は睡眠時間を確保した方が良いでしょう。
過度なストレスは、頭皮の血管を収縮させて血行が悪くなります。血液の循環が悪くなると、髪の成長に必要な栄養素などを十分に届けられなくなるのです。
そのため、ストレスを溜めにくい環境作りが大切です。先述した誤ったヘアケアの習慣がある方は、正しいヘアケアを行いましょう。
誤ったヘアケアは頭皮にダメージを与え、薄毛の原因になります。シャンプーは1日1回に留め、しっかりと乾かしてから就寝するようにしましょう。
禁煙
3つ目は、禁煙です。タバコに含まれるニコチンなどの成分には血管を収縮させる効果があります。そのため、髪の成長に必要な栄養素が届きにくくなってしまいます。
栄養不足になった髪は抜け毛のリスクが高くなるでしょう。タバコは依存性が強くAGA以外にも健康に広く影響を与えるため、禁煙を心がけることが大切です。
既に依存度が高く禁煙が難しい方は、ニコチンガムやニコチンパッチなどの禁煙補助薬もありますので、医療機関に相談することをおすすめします。
AGAの進行が気になるときは早めに治療を始めよう
AGAは慢性経過の脱毛症のため進行速度は遅いですが、何もせずに放っておいても症状は良くなりません。AGAの進行が気になり始めたら、すぐに治療を始めた方が良いでしょう。
一度死滅してしまった毛根は元には戻らないため、目視できるところまで症状が進んでからでは後悔してしまうかもしれません。
症状が浅い段階で適切な治療を行うことで、AGAの進行を抑えられます。ご自身の髪の毛の状態に合った治療法を行いましょう。
編集部まとめ
AGAの進行速度について解説しました。
AGAは慢性経過の脱毛症のため、比較的進行速度は遅く個人差が大きいです。そのため自身の症状をしっかりと把握し、適切な治療を行うことが必要になります。
AGAの治療法には、以下のものがあります。
- AGA治療薬
- 食生活の見直し
- 生活習慣の改善
- 禁煙
一気に実践するのは難しいでしょう。無理のない範囲で少しずつ改善してください。
本記事がAGAに悩む方の参考になれば幸いです。