「AGAの女性の治療方法」はご存知ですか？医師が監修！

AGAの女性の治療方法

AGAは「Androgenetic Alopecia」の略で、男性型脱毛症のことです。かなり広く知られているワードなので、耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。AGAを発症すると、毛髪の減少や脱落といった症状が現れます。男性ホルモンの影響による毛周期の異常が大きな原因のひとつと考えられている病気です。男性型脱毛症という名称ですが、女性ホルモンの減少などにより女性もAGAを発症する場合があることをご存知でしょうか。
女性のAGAは、男性のAGAと比べて薄毛の現れ方などに特徴があり、特にFAGA(女性男性型脱毛症)という呼び名で男性のAGAと区別されることもあります。FAGAは女性型脱毛症（female pattern hair loss）であり、男性ホルモンとの関連性が男性のAGAほど強くない点にも注意が必要です。FAGAの特徴に留意し、適切な治療法を選択することが重要であるといえるでしょう。AGAは生活の質の低下などにつながる場合もあり、適切な早期治療が大切です。
AGAの原因や症状の特徴についてしっかりとした知識を持って、適切な治療方法を選択しましょう。女性のAGAの治療にあたっては、内服薬や塗り薬のほか毛髪の移植法などが用いられる場合もあります。脱毛の予防・残っている毛髪の維持・発毛の促進など個々人の状態にあわせて適切な治療法を選択することが必要です。なお、各薬剤や治療法の有効性には個人差があります。また、副作用などにも注意が必要です。女性のAGA治療を希望する場合は、医師への相談のもと適切な薬剤や治療方法を選択するようにしましょう。ここからは、女性のAGA治療における代表的な方法をご紹介します。

内服用

女性のAGA治療では、内服薬の使用も効果的です。特に、ホルモンに作用する薬がしばしば使用されます。AGAの大きな原因として、男性ホルモンの一種である「テストステロン」の影響があります。テストステロンが脱毛ホルモンに変換され薄毛を引き起こすのです。FAGAの場合男性ホルモンの影響は男性のAGAほど強くはありませんが、女性ホルモンが減少することでテストステロンなどの影響が強く出るようになります。
したがって、ホルモンバランスにアプローチする内服薬によって脱毛の抑制などが期待できるのです。具体的な内服薬としては、「スピノロラクトン」などです。男性ホルモンを抑制する作用があり、AGAの改善が見込めます。また、ホルモンに作用する内服薬のほか血流の増加等の効果をもたらす薬もあります。しかし男性には推奨されている薬でも、女性には副作用が重く推奨されていない場合などもあるため注意が必要です。それぞれの薬の特徴や副作用などに留意しながら治療を受けましょう。

外服用

内服薬だけでなく、外服薬でもAGAの治療ができます。代表的なもののひとつは「ミノキシジル」で、血管を拡張して血流に作用し、毛髪の根元部分を強化する効果がある薬です。発毛効果が期待できるため、活用することでAGAの改善につながる場合があります。外用の場合は頭皮に塗り込むのが一般的です。きちんと効果を発揮するためには頻度などを守って適切に使用してください。
なおミノキシジルは外用と内服の双方が存在しますが、国内では内服のミノキシジルは未承認です。内服薬の方がより強い効果を発揮するといわれていますが、副作用が起こりやすいといった危険性があり、既往症などにも特に注意が必要です。個々人の症状や体質などによっても適切な治療方法は異なります。医師に相談しながら、それぞれの効果やリスクについて正しい知識を身に付けておきましょう。

女性の薄毛の原因

ここまで女性のAGAの代表的な治療方法についてご紹介しました。一口に薄毛といっても、その原因はさまざまです。正しい知識を持って適切にアプローチし、効果的な治療を目指しましょう。ここからは、女性の薄毛の原因について解説します。

ホルモンの影響

ホルモンは、女性の薄毛に大きな影響を及ぼす原因のひとつです。特に女性の場合は、女性ホルモンであるエストロゲンの減少が薄毛と密接な関係性を持っています。エストロゲンは女性特有の体つきなどを形成するほか、毛髪や皮膚の状態にも関係しているのが特徴です。加齢によるエストロゲンの減少などでホルモンバランスが乱れると、男性ホルモンの影響が強くなります。
男性ホルモンが過剰に作用することで、男性のような薄毛や髭の成長につながる可能性があるのです。エストロゲンの減少の原因は、加齢だけに留まりません。妊娠・出産・甲状腺機能の低下などの病気・手術や、薬の副作用によっても引き起こされる場合があるため注意が必要です。ホルモンは薄毛と深い関係性を持っているため、適切な薬などを用いてホルモンバランスを整えることで、薄毛の改善につながる場合があります。

生活習慣

薄毛の原因を考えるにあたっては、生活習慣も無視できません。食生活の乱れやストレスによって、薄毛になってしまう場合があります。例えば過度なダイエットの最中や大きなストレスを感じた場合などに、普段よりも毛が抜けやすくなった経験はないでしょうか。栄養バランスが偏った食事やストレスによるホルモンバランスの乱れは、薄毛を引き起こす可能性があります。貧血も脱毛の原因となります。
また、睡眠不足も薄毛につながりかねない危険な要因のひとつです。日頃の生活習慣を見直し根本から改善することで、薄毛が改善できる可能性があります。好ましくない生活習慣は女性のAGAの症状を加速させる危険性もあるため、積極的な対処が必要です。医師に相談しながら、生活習慣を改善することが望ましいでしょう。なお、普段のヘアスタイルなどが思いがけず薄毛の原因となることもあります。ご自身では想定していなかった原因を洗い出すためにも、まずは医師への相談がおすすめです。

AGAの治療費用の目安

AGAにはさまざまな治療法があり、個々人の体質・既往症・治療期間などについても配慮しながら治療を進めていくことになります。
AGAの進行度合によってもアプローチの方法は異なるので、医師に相談しながら最適な治療方法を探ることが必要です。
治療方法は千差万別のため一概に治療費用を示すことは困難ですが、代表的な治療方法の目安を以下にご紹介します。

内服用

内服薬にはさまざまな種類があり、薬の種類や服用機関によって価格は異なります。
女性のAGAを改善するための代表的な内服薬のひとつであるスピロノラクトンの処方を受ける場合、月額で5,000円～10,000円前後が一般的です。

塗り薬

塗り薬も、製品やクリニックによって価格は異なります。
代表的な育毛薬であるミノキシジルを塗り薬として使用する場合は、1か月あたり10,000円～15,000円程度の価格を想定しておくとよいでしょう。
ミノキシジルが含まれている濃度などによっても価格は変動するためご注意ください。

自毛植毛

AGAの治療にあたっては、内服薬や塗り薬のほか「自毛植毛」という選択肢もあります。自毛植毛は、読んで字の通り自らの毛髪を植毛する治療方法です。
頭皮から抜き取った毛髪を脱毛が気になる部位などに移植する施術で、自然な印象の薄毛改善効果が期待できます。自毛植毛は短期間で効果的に薄毛を改善しやすいため人気の施術ですが、内服薬や塗り薬よりも治療費が高額になる傾向があります。
クリニックや施術範囲によって価格は異なりますが、おおむね数十万円～百数十万円程度の費用は必要になると考えておいた方がよいでしょう。
事前に医師に十分相談して、納得した上で施術に臨むようにしてください。

自己流での治療方法はおすすめしない

インターネットや書籍には、薄毛に関するさまざまな情報が溢れています。
民間療法やサプリメントなどを用いて、自己流でAGAを改善したいと考えている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、自己流での治療には多くの危険性があるため注意が必要です。
民間療法やサプリメントなどには、効果や安全性が確認されていないものが数多く含まれています。自己流の治療は想定していた通りの結果が得られない可能性が高く、不確実な方法であるといえるでしょう。また、専門的な知識やスキルがない状態で治療を試みることで、深刻な副作用などを引き起こしてしまう可能性もあります。
AGA治療においては、専門的な知見に基づき個々人の状態にあわせた適切な治療が必要です。生活習慣の改善など、長期的な視点から息の長いアプローチを続けていくことも欠かせません。副作用などのデメリットを軽減するためにも、専門的な知識を持った医師にアドバイスを求めるようにしましょう。

薄毛が気になったら早めの治療を

薄毛には、早めの治療が極めて重要です。「薄毛が気になりだしたけれど、まだ大丈夫かな……」と、治療を先延ばしにしていませんか？
AGAは進行性の疾患なので、初期の段階で治療に着手することで治療効果が出やすくなったり、費用を抑えられたりするメリットがあります。
AGAは、放置していて治る病気ではありません。治療を先延ばしにすると毛髪の生え変わりが異常なまま時が経ってしまい、薄毛の進行が続きます。高い治療効果を得るためにも、薄毛が気になりはじめた方は早めに専門の医療機関に相談するようにしましょう。