「EDが治るきっかけ」はご存知ですか?症状・原因も解説!
EDとは満足な性交渉をするための十分な勃起力を発現できない、あるいは維持できない状態のことを指す言葉です。状態により中程度EDや完全EDといった程度が知られています。
原因は年齢的なもの・心因的なもの・生活習慣病など多岐に渡ります。かつてであればさまざまな精力剤に頼ったり、諦めてしまったりということが多かったかもしれません、
しかし一躍有名となったバイアグラの登場により、EDの治療は薬で行うようになります。このような薬のことを踏まえつつ、EDが治るきっかけについて詳しくみていくことにしましょう。
監修医師:
郷 正憲(徳島赤十字病院)
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EDが治るきっかけとは?
現在、全国にはEDの患者さんが1000万人を超えるといわれています。EDになってしまう原因はいくつもあるものですが、治るきっかけを探ることを考えた場合、治療を行うということに尽きるかもしれません。
風邪のように数日で治るものではないので、治したいという意欲がきっかけとなるでしょう。治療方法で主流なのはPDE5阻害剤と呼ばれる内服薬を用いる方法です。
EDを発症する原因
EDかどうかの判断を個人で行うことはできませんが、EDの診断についてはED専門医が行います。EDと診断された場合、適切な治療を行うことになりますが、治療とともにEDになってしまう原因を探るのは必要なことでしょう。治療が完了してもEDになってしまった原因を取り除かない限り、EDを再発させてしまう可能性が高くなってしまうかもしれないからです。
そこでここでは、EDになってしまう原因をピックアップして、その原因ごとに詳しくみていくことにしていきます。現在EDになっていない人でも原因について思い当たる場合には、予防のためにも参考にしてください。
心因性
心因性のEDとは身体的な機能に問題はなく、心理的な問題または精神的な問題が要因となって起こるEDのことです。特に精神的な問題でEDになる場合はストレスを抱え込みやすい30〜40代の男性に多いとされています。
精神的なストレスがあると神経の精神的な興奮がうまくペニスに伝わらないため、勃起不全となってしまうことがあるでしょう。精神的な問題による例としては、仕事や夫婦関係などの日常生活におけるストレスや、性交がたまたまうまくいかなかったことによるトラウマなどがあります。
こうしたトラウマによるEDでは「また次も失敗してしまうのではないか」といった不安が大きなストレスになってEDを悪化させてしまうことにもなりかねません。そのほかにも、うつ病・総合失調症といった精神疾患や幼少期に受けたトラウマといったものも、EDの心因的な原因となりうるものです。
器質性
心因性のEDとは違い、身体的な問題が原因になるのが器質性のEDです。血管・神経・内分泌環境などのほか、喫煙の習慣・肥満・運動不足・糖尿病・心不全・高血圧・脂質代謝異常・動脈硬化といったものも器質性のEDの原因になる要素です。
病気が原因となるものは生活習慣病のほかに、直腸がんや前立腺がんの手術といったものでは高確率でEDになる可能性があるでしょう。こうした病気の治療が原因になるものでは、後述する薬剤のものも該当します。
混合性
混合性のEDとは、心因性のEDと器質性のEDが混じったタイプのEDです。EDの実際の状況をみてみると、心性だけや器質性だけといったEDの発症は実は少ないものであり、心因性の原因と器質性の原因を合わせた形で症状が現れるというEDが多いのです。
混合性のEDとしてどういった組み合わせが多いのかといえば、糖尿病・高血圧・外傷といった器質性の原因に、精神的な原因が合わさるパターンが最も多いといわれています。
薬剤性
薬剤性のEDはその言葉の通り、薬剤によってEDになるタイプのものです。代表的な薬剤としては高血圧の治療に使われる降圧剤があります。ある種の降圧剤の成分にはEDが副作用として現れてしまうものがあります。もともと高血圧と高血圧から引き起こされやすい動脈硬化は、どちらもEDのリスクがある病気です。
その上にEDの副作用の可能性がある降圧剤を使うとなれば、EDへのリスクがさらに高くなってしまうでしょう。また抗うつ剤・精神安定剤・睡眠薬・向精神薬などを服用している場合もEDになってしまう可能性があります。抗うつ剤はうつ病の人が使用する薬であり、うつ病そのものもEDへのリスクを持っています。降圧剤と同じようなパターンで、病気と薬によってEDになるリスクが高くなってしまう可能性を持っているといえるでしょう。
薬剤性のEDではこのほかにも男性ホルモン抑制剤や、前立腺がんの治療に使われる抗アンドロゲン剤なども副作用としてEDを発症してしまう可能性のある薬剤です。薬剤性のEDでは、かかっている病気とその治療に使う薬剤のどちらもが、EDになってしまう可能性があります。これがEDへのリスクをさらに高めてしまうという傾向があるといえるでしょう。
EDを発症でみられる症状
EDの症状は勃起障害です。かつてはインポセンス(男性性交不能症)と呼ばれていましたが、最近ではED(Erectile Dysfuncionの略で意味は勃起不全)が一般的になってきました。症状は名前の示す通りですが、EDの定義では「性交時に有効な勃起が得られないために満足のいく性交が行えない状態で、通常性交のチャンスにおいて75%以上で性交ができない状態」となっています。
どのような原因であっても、定義のような症状がある場合ならEDということができるでしょう。
ED治療で用いられるに代表的な治療薬
これまではEDになる原因や症状について詳しくみていきましたが、ここからは治療に使うED治療薬について調べていくことにしましょう。現在日本では「レビトラ」・「バイアグラ」・「シアリス」という3種類の薬剤がED理治療薬とて認可され、使われています。
これらのED治療薬は製造された時期や特徴がそれぞれ違っていて、どういったEDに向いているのかもわかれています。それぞれの薬剤について解説していく前に、EDの診察について説明しましょう。治療を行うため、とりわけED治療薬を処方するためには専門医による診断が不可欠です。EDがどのようなものかを鑑別診断するのはED専門医が行います。診断では問診が行われることになるでしょう。
EDの診断では問診が最も重要です。一般的に問診では国際勃起機能スコアIIEF5が用いられます。IIEF5で21点以下であればEDを疑うことになるでしょう(IIEF5は最低1点から最高30点)。
また問診のほかに身体所見とホルモン検査なども合わせて行われることになります。このきに心因性のEDが疑われる場合、精神科や心療内科をお願いすることもあるでしょう。
レビトラ
日本では2番目に発売されたED治療薬です。発売開始は2004年6月からとなりました。レトラの添付文書には性行為の1時間前に内服するように書かれています。内服してからの性交の結果はレビトラ10mgでは10分(成功割合21%、失敗割合79%)、レビトラ20mgでは、11分(成功割合23%、失敗割合77%)という結果でした。なおレビトラは内服した4回のうち、1回成功すれば性交できたことになっています。
レビトラはほかのED治療薬と比べて内服してから効果が現れるまでの時間が短いのがレビトラの特徴といえるでしょう。また食事に関係なく内服できるのもレビトラの特徴です。服用後、血中濃度最大になるまでの時間は0.7〜0.9時間です。したがって添付書類の通り、最も効果が発揮される1時間前に内服するのが最適と考えられるでしょう。
効果の持続時間は約4時間です。これらのことから、聖行為の1〜3時間前に内服すればレビトラというED治療薬の効果が期待できるといえます。
バイアグラ
日本で最初に発売され、最も有名といえるED治療薬です。1999年3月より発売が開始されました。内服の仕方には注意事項があり、それを間違うと効果が現れません。その注意とは空腹時に服用することです。満腹時に服用すると吸収が悪くなり、効果が現れなくなってしまうでしょう。
また過度の飲酒もバイアクラの効果を低くしてしまう原因になります。試験結果はバイアグラ50mgではデータなし、バイアグラ100mg(この量は国内で未承認)では14分(成功割合34.8%、失敗割合65.2%)でした。なおバイアグラでは8回試したうち1回性交できれば成功とみなしています。服用後に血中濃度が最大になるまでにかかる時間はおよそ0.8時間です。
バイアグラは性行為の1時間前に服用するとよいでしょう。効果の持続時間はレビトラとほぼ同じで約4時間となっています。こうした結果から、バイアグラはやはりレビトラと同じく性行為の1〜3時間前に服用すると、効果を期待できるED治療薬ということができます。
シアリス
シアリスは3つのED治療薬の中では1番新しいもので、日本での発売は2007年0月から開始されました。シアリスの特徴は効果持続時間の長さといえるでしょう。その効果が持続する時間は約36時間とされています。
なお服用してから効果が現れるまでの時間は約2時間ということなので、性行為の2時間前に服用しておくとよいでしょう。試験結果はシアリス10mgでは30分まで有意差なし、シアリス20mgでは16分(成功割合32%、失敗割合68%)となっています。シアリスはレビトラと同じく、性行為4回のうち1回成功すれば、成功とみなしています。
服用後の血中濃度は2時間後が最大です。レビトラやバイアグラと比較すると効果が現れるまでに時間がかかりますが、効果の持続時間が36時間という長さがメリットだといえるでしょう。したがってシアリスの服用は性行為の2時間より前でも構わないことになります。
またバイアグラのように食事の影響を受けないですみます。こうしたメリットを持つシアリスは、ED治療薬の世界シェアが1位といわれています。
EDの治療方法と薬服用の注意点
EDの治療方法としては治療薬以外にもカウンセリング・ED治療薬以外の内服薬(ビタミン剤・漢方薬・血管拡張剤・高プロラクチン治療薬など)・勃起補助具などがあります。
特に心筋梗塞・低血圧・高血圧・脳梗塞・脳出血・肝硬変などの重度の肝障害・網膜色素変性症といった症状を持つ人はED治療薬を使用できないので、上記のような治療法を行うことになるでしょう。ED治療薬を服用するにあたっても注意が必要です。レビトラ・バイアグラ・シアリスの各解説部分でも触れていますが、服用するタイミングを間違うと十分効果が出ませんし、バイアグラでは空腹時に服用しないとやはり効果が出ません。
効果が出ないといって指定された量以上の服用は危険です。さらに服用によって副作用が出ることがあります。こうした点を踏まえて服用には注意してください。なおED治療薬の効果がない場合では、陰茎海綿体にプロスタグランジンE1を注射するという方法もあります。
編集部まとめ
EDの治療にはED治療薬が効果的ですが、ED専門外来や泌尿器科などの診察を受け処方箋を出してもらう必要があります。処方された治療薬は使用方法を守って服用してください。
またED治療薬が使用できない病気や症状を持つ人には、治療薬以外での治療もあります。EDを克服したい人は専門医への相談をしてみましょう。
なお昨今ではED治療薬のジェネリック薬というものが購入できるようですが、海外で製造された偽薬品が出回っています。医師による診断を受け、処方箋によって正しいED治療薬を使用してください。
参考文献