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「低用量ピルで生理は遅らせられる?」生理を遅らせるメリットも解説!

 更新日:2023/03/27
「低用量ピルで生理は遅らせられる?」生理を遅らせるメリットも解説!

大事なイベントや旅行の日などに生理が来ると、痛みで思い切り楽しめない可能性があります。

女性であれば、誰しも一度は生理を遅らせられないかと考えたことがあるのではないでしょうか。

実は、生理は低用量ピルで遅らせることができます。そこで本記事では、どのようにして遅らせられるのかを解説します。

生理を遅らせるメリットとその方法についても詳しくご紹介するので、参考にしてください

郷 正憲

監修医師
郷 正憲(徳島赤十字病院)

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徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。

低用量ピルで生理は遅らせられる?

カレンダーと時計とペン
生理は一定の周期で訪れるものですが、旅行や大切なイベント日などに重なると非常に大変であり、思い切り楽しめないと感じたことがある方もいるでしょう。中には、生理を遅らせられないかと考えたことがある方も多いのではないでしょうか。
しかし、一般的に遅らせる方法というと基本的には中用量ピルなどを思い浮かべますが、副作用などが心配と感じる方もいます。できれば副作用の心配が少ない方法で、生理を遅らせたいものです。
そこで有効と考えられるのが低用量ピルです。低用量ピルを正しく服用すれば、おおよそ1週間程度生理を遅らせることができます。低用量ピルで生理を遅らせられる理由は、低用量ピルによって女性ホルモンを補うためです。
通常、生理は卵巣から分泌される卵胞ホルモン黄体ホルモンの働きによって起こります。卵胞ホルモンは子宮内膜を作り、黄体ホルモンは受精卵が着床しやすいように子宮内膜を安定させるなどの状態を整える働きがあるのです。しかし、黄体ホルモンは一定期間の間に受精しなかった場合、徐々に減少します。そのため、次第に子宮内膜が維持できなくなり、生理として血液とともに体外に排出されるのです。
低用量ピルは、この卵胞ホルモンや黄体ホルモンの量をコントロールするため、生理をずらすことができます。黄体ホルモンを補うと、脳では女性ホルモンを自力で分泌する必要がないと判断します。その結果、排卵が止まって子宮内膜を安定化させる黄体ホルモンの働きが抑えられ、通常よりも経血の量が少なくなるのです。
このようにして、生理を遅らせることができるようになります。生理をずらすためのピルといえば基本は中用量ピルですが、低用量ピルは中用量ピルに比べると副作用が少ないメリットがあります。一方で、効果が得られない可能性があることも押さえておきましょう。

低用量ピルで生理を遅らせる3つのメリット

メリット
低用量ピルで生理を遅らせられるということをご紹介しましたが、なぜ低用量ピルが良いのでしょうか。実は低用量ピルならではのメリットがあるのです。きちんと効果を把握するためにも、低用量ピルで生理を遅らせるメリットをご紹介します。

生理日をずらせるために日程調整が可能

低用量ピルで生理を遅らせるメリットとして大きいものが、生理日をずらせるために日程調整が可能な点です。生理日を何日か移動させることを月経移動と呼びます。低用量ピルを服用すると、大切な予定に合わせて生理を計画的にずらせるのです。
例えば、旅行・スポーツ・結婚式などの変更できない予定がある場合、その日に生理が重なると非常に大変です。旅行などであれば、十分に楽しめない可能性もあるでしょう。
その際に、低用量ピルによる月経移動ができれば、日程調整が可能となり大切な予定も思い切り楽しむことができます。

安全性が高い

低用量ピルで生理を遅らせるメリットには、安全性が高い点も挙げられます。低用量ピルなどを服用する際に心配となるのが、次の生理がきちんと訪れるのかという点です。人為的に生理を遅らせるために、いつもの生理と同じように起こるのか不安になる方は多いです。
しかし、低用量ピルによって遅らせた生理と通常の生理との違いはありません。低用量ピルによって遅らせたとしても、次回以降の生理は通常通り訪れるので安心して服用できるのです。

低用量なため、体への負担が少ない

低用量なため、身体への負担が少ないことも大きなメリットです。低用量ピルは中用量ピルと比べると副作用が軽い傾向です。中用量ピルの副作用には次のようなものが挙げられます。

  • 不正出血
  • 吐き気
  • 頭痛
  • 下腹部の違和感・痛み

不正出血とは、月経以外のタイミングで出血することです。また、中用量ピルの効果でホルモンバランスが変化し、下腹部の違和感や痛みを伴うこともあります。低用量ピルにおいても、同様の副作用が起きる可能性はあります。
しかし、中用量ピルに比べると卵胞ホルモンが含まれる量が少ないため、これらの副作用が起きる可能性も低いのです。安全性が高いことで低用量ピルは選択しやすくなるため、大きなメリットといえるでしょう。

低用量ピルで生理を遅らせる方法とは

水と錠剤
低用量ピルで生理を遅らせるメリットをご紹介しましたが、実際にどのようにして生理を遅らせるのでしょうか。正しい飲み方を行わなければ遅らせることはできないため、具体的な方法を押さえておきましょう。
まず次回の生理日を把握することが大切です。これまでの周期をもとに、次回の生理がいつ頃になりそうかはっきりさせましょう。そして、次回生理の予定日の5日前から服用を始めます。そうすることで、生理のタイミングを予定日よりも後に遅らせることができます。服用は1日1錠を守り、生理を避けたい期間服用を続けることが必要です。
また、毎日同じ時間帯に飲むことも、服用における大切なポイントです。生理を遅らせる必要がなくなった場合には、服用をやめましょう。服用をやめると、2日~3日後に生理が訪れます。
また、注意点として、生理を遅らせられる期間には限りがあることを押さえておきましょう。遅らせられる期間は、長くても7日~10日程度となります。例えば、次の生理予定が12月15日頃の場合には、12月10日から低用量ピルを服用します。そこから服用している間は生理は訪れません。
しかし、仮に12月13日に服用をやめた場合には、12月15日~12月16日頃に生理が訪れます。また、遅らせられる期間は長くても12月22日~12月25日程度です。それ以降は、いくら低用量ピルを飲み続けても生理は訪れるため、飲まないようにしましょう。また、低用量ピルによって生理周期は変化しません。そのため、次回の生理は遅らせた生理日が基準となり、普段通りの周期で訪れます。

低用量ピルで生理を遅らせることの注意点はある?

男性医療従事者
具体的な生理の遅らせ方やメリットから、低用量ピルが非常に有用であると感じた方は多いでしょう。しかし、どのような薬であっても服用にあたっての注意点はあるものです。
正しく服用しなければ効果も得られないため、ここでは低用量ピルで生理を遅らせることの注意点についてご紹介します。

生理の直前には飲まない

低用量ピルで生理を遅らせることの注意点として、生理の直前には飲まないことが挙げられます。急遽外せない予定ができたからと低用量ピルを飲み始める方もいますが、生理の直前に飲んでも生理を遅らせることはできません。
先述した通り、低用量ピルの服用は、生理予定日の5日前から始めなければなりません。5日程度の猶予がなければ、正しく効果が得られないのです。そのため、大切な予定と生理が重なってしまったからといって、生理直前に服用しないようにしましょう。

生理予定日を把握する

生理予定日を把握することも、重要な注意点です。先述したように、生理を遅らせるには、生理予定日の5日前から低用量ピルを飲む必要があります。そのため、生理予定日を把握できていなければ、計画通りに遅らせられない可能性があるのです。先述したような直前の服用となれば、低用量ピルの効果を得られず遅らせることができません。
また、5日前より早く服用してしまうと、大切なイベントに生理が訪れてしまう可能性もあります。生理予定日の把握は、正確にできた方がより計画も立てやすくなるため、非常に重要なのです。また、生理予定日によっては、生理を早める方が向いている可能性もあります。
どのような方法を選択するかにおいても重要であるため、可能な限り正確に生理予定日を把握しましょう。

休薬期間を理解する

注意点として、休薬期間を理解することも挙げられます。低用量ピルは、通常21日の服用期間と7日の休薬期間で1サイクルとなっています。休薬期間を設けずに服用を続けると、予想できないタイミングで出血するといったトラブルを招く可能性があるのです。
また、定期的な休薬期間を設けることで、一定の時期に消退出血を起こすことができます。消退出血とは生理のような出血であり、あえて起こすことで生活をより快適にすることができるのです。
このように低用量ピルの休薬期間には、生理に伴うトラブルを避けたり生活を快適にしたりする意味があるため、しっかりと理解しておくことが大切です。特に、普段から避妊目的で低用量ピルを使用している方もいるでしょう。
その場合、休薬期間を考えながら服用することが非常に重要です。また、通常低用量ピルは1シートが21錠で構成されているか、ホルモン成分が含まれていない偽薬を含む場合は1シート28錠で構成されています。
低用量ピルを服用中の方が生理を遅らせるのであれば、7日間の休薬期間は設けず、遅らせたい日数分を次のシートから服用することで効果が得られます。そして、生理日を遅らせた後は、休薬期間を設けてさらに次のシートの1日目から服用を始める流れになります。休薬期間を正しく理解できていないと、思い通りに遅らせることができないため注意しましょう。

市販やネット通販には十分注意

低用量ピルを購入するにあたっての注意点もあります。それが、市販やネット通販に十分注意することです。
低用量ピルは、薬局やドラッグストアなどの市販薬を販売するお店では購入できません。専門の医療機関を受診して処方箋をもらう必要があるのです。なお、ネット通販などでも購入することは不可能ではありません。ネット通販では、海外製のピルなどを販売していることもあるためです。
しかし、ネット通販での購入には十分な注意が必要です。中身が偽物である場合や、品質が悪かったり安全面が保証されていなかったりする場合があります。大変危険であるため、たとえ購入できる情報を見かけても市販やネット通販での購入はせず、医療機関から処方してもらいましょう。

低用量ピルで生理を遅らせることを気になったら

錠剤と時計
低用量ピルは、生理を遅らせることができる薬です。どうしても動かせない予定や大切なイベントがある際には、非常に役立ってくれる薬といえるでしょう。しかし、遅らせたい場合には、きちんと用法を守ることが大切です。
服用方法や休薬期間などをきちんと把握していなければ、効果を正しく得ることができません。また、購入方法にも注意が必要です。ネット通販などで簡単に手に入れられるなどの情報を見かけることがあるかもしれませんが、中身は偽物の可能性があります。
身体に異常が現れるかもしれないため、生理を遅らせたいと思ったら決してご自身で購入はせず、専門の医療機関にて処方箋をもらって薬を受け取りましょう。

編集部まとめ

ピルを持っている人の手元
低用量ピルを正しく服用すれば、生理を遅らせることができます。しかし、服用には注意すべき点があるため、きちんと把握しておきましょう。

また、服用を続けたからといっていつまでも遅らせられるわけではありません。長くても7日~10日であり、次回の生理予定日から5日前には飲み始める必要があります。

正しい服用方法を押さえ、計画的に使用しましょう。低用量ピルの購入をお考えの方は、専門の医療機関への受診や相談を行い、安全性の高い薬を処方してもらいましょう。

この記事の監修医師