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「低用量ピルのデメリット」はご存知ですか?医師が監修!

 更新日:2023/03/27
「低用量ピルのデメリット」はご存知ですか?医師が監修!

低用量ピルは、避妊の効果のある薬として有名ですが、それ以外にも生理痛の改善や生理周期の改善で使用する方は多いです。

しかし、使用するのであればデメリットもしっかりと把握したうえで利用したいと考えている方もいるでしょう。

そこで本記事では、低用量ピルのデメリットを解説します。効果やメリット・服用できない人の特徴についても合わせてご紹介するので参考にしてください。

前田 裕斗

監修医師
前田 裕斗(医師)

プロフィールをもっと見る
東京大学医学部医学科卒業。その後、川崎市立川崎病院臨床研修医、神戸市立医療センター中央市民病院産婦人科、国立成育医療研究センター産科フェローを経て、2021年より東京医科歯科大学医学部国際健康推進医学分野進学。日本産科婦人科学会産婦人科専門医。

低用量ピルの効果

調べものをする看護師
代表的な薬の効果は、避妊です。ピルは卵胞ホルモンと黄体ホルモンの2種類の成分を配合した薬であり、中でも低用量の物は卵胞ホルモンの配分が少ない薬のことをいいます。経口避妊薬とも言われる薬であり、排卵が行われなくなるため服用をきちんと行った場合、99.7%の避妊効果があるのです。また、その他にも薬の効果としてはホルモンバランスを整える効果もあります。そのため、バランスが整うことで生理周期が改善したり、その他の病気の改善や予防などにつながる効果があるのです。

低用量ピルのデメリット

デメリット
低用量ピルの主な効果についてご紹介しましたが、利用するにあたってはデメリットについてもしっかりと把握して服用したいと考えている方もいるでしょう。副作用の内容はもちろんですが、服用できない場合もあるためそれらのポイントを抑えておく必要があります。ここでは、デメリットについてご紹介します。

服用できない場合がある

デメリットの1つとして、状態によっては服用できない場合があることが挙げられます。場合によっては、健康状態の悪化を招く可能性があるため服用できない可能性があるのです。服用できないケースとしては、次のような方が挙げられます。

  • 肥満の方
  • 子宮頸癌・乳癌などを患っている方
  • 肝機能の働きが悪い方
  • 喫煙者

肥満の方は高血圧にかかりやすいことや血栓症を起こしやすいことから、服用ができない場合があります。また、子宮頸癌や乳癌を患っている方は、服用によって症状が悪化する可能性があるため服用できない場合があるのです。肝機能の働きが悪い方は、薬を代謝する機能が低下している恐れがあります。そのため、薬を飲むことが肝臓への負担を増大させる可能性があり、服用できない場合があるのです。喫煙者も服用できない場合があります。しかし、必ずしもこの条件に当てはまる方が、全員服用できないというわけではありません。度合いによって服用の可否は異なるため、医師との相談を行って服用できるかどうかを確認しましょう。

副作用が起こる場合がある

服用によって副作用が起こる場合があり、具体的な副作用としては次のような内容です。

  • 吐き気
  • むくみ・胸の張り
  • 不正出血
  • 気分の落ち込み・抑うつ症状・眠気

服用した場合、比較的多くの人に出やすい症状が吐き気です。低用量ピルに含まれるエストロゲンによる副作用であると考えられています。生理周期始めの数日間で感じる場合が多く、服用3ヶ月後には落ち着く傾向です。体全体にむくみを感じたり胸の張りを感じたりする場合もあります。こちらも服用後3ヶ月で症状が落ち着く傾向です。度合いとしては、生理前の胸の張りと同程度となります。不正出血とは、本来の生理周期以外の期間で出血する症状です。低用量ピル服用に体が慣れていない時期などで出やすいといわれています。出血する期間は個人差がありますが、多くの場合3ヶ月程度で治まる症状です。また、服用によって気分が落ち込んだり・抑うつ症状・眠気が生じる可能性があります。服用後数日して不安にかられる場合があるのです。服用期間が長くなれば落ち着くケースもありますが、人によっては長期間にわたって症状が現れる方もいます。

血栓症のリスクがある

服用によって血栓症のリスクがあることも注意が必要な点です。血管が血管内で詰まることで臓器などに必要な血液が十分行き届かず、その結果様々な障害を引き起こす病気を引き起こすこととなります。また、この血栓症は先述したようにもともと肥満の方や肝臓などの機能が低下している方などが起こしやすい傾向です。低用量ピルによっての副作用だけでなく、既存の病気や健康状態によっても発症リスクが高まるため注意が必要なのです。

低用量ピルのメリット

低用量ピルのデメリットについてご紹介しましたが、避妊以外の効果も多数あります。そのため、他の治療に使われる場合もある程です。ここでは、低用量ピルを使用するメリットについてご紹介します。

婦人系疾患・癌などの発症予防

婦人系疾患や癌などの発症予防につながる点が大きなメリットの1つです。婦人系疾患とは生理痛などのものから子宮内膜症・子宮筋腫などをいいます、癌には卵巣癌・子宮体癌などがあります。低用量ピルにはこれらの発症予防に繋がるのです。薬の効果により排卵の抑制や子宮内膜を薄く保つ効果があります。そのため、子宮内膜症や子宮筋腫の進行を予防することが可能なのです。また、卵巣癌は卵巣への負担が原因で引き起こされる病気です。卵巣への負担は排卵によってもたらされます。薬の効果には排卵抑制効果があるため、卵巣癌を予防する効果があるのです。さらに、先述したように子宮内膜を薄く保つ効果があるため、長期的な服用をすれば子宮体癌の予防にもつながります。

生理周期が安定する

生理周期が安定する点も大きなメリットです。先述したように低用量ピルは女性ホルモンのバランスを整える効果を持っています。生理不順の原因は、この女性ホルモンバランスの急激な変化によって引き起こされます。そのため、薬を服用することで生理周期の安定化が図れるのです。生理周期が安定すると、精神的・肉体的な安定がもたらされます。例えば精神的な安定がもたらされた場合、イライラや不快感が軽減されます。また、肉体的な場合は、ニキビなどの肌荒れなどが改善されるでしょう。このように生理周期が整うだけでなく、それによって影響する健康状態も改善されるのです。

PMS症状を緩和できる

PMSとは月経前症候群のことです。生理3~10日前位から精神的・肉体的な不調があらわれます。この病気の原因も、女性ホルモンの急激な変化にあります。そのため、薬の効果によって女性ホルモンのバランスが整うことで症状の緩和が見込めるのです。

月経量を減らせる

薬の効果としては、子宮内膜の厚みを減らせる効果もあります。そのため、子宮内膜の厚みが関係する月経量を減らすことが可能です。また、子宮内膜が薄く保てることや月経量が減ることで、生理痛の緩和にも繋がります。

低用量ピルの飲み方

ピルの飲み方
薬の効果・メリット・デメリットなどを正しく把握できましたが、きちんと服用しなければ得られる効果も薄くなってしまいます。適切な効果を得るためにも、飲み方も把握しておきましょう。正しい飲み方としては、毎日1錠ずつで同じ時間帯に飲むことが基本です。低用量ピルは、4週間を1サイクルと考えて飲むのが基本的です。生理前初日から毎日1錠ずつ、同じ時間帯に飲み続けます。そして、この飲み方を3週間続けて、翌週の1週間は薬の服用を行いません。薬を服用しない期間は出血が起こります。しかし、この時の出血は無排卵出血であり問題はありません。この周期を繰り返していくことが正しい飲み方となります。

症状別の低用量ピル

生理不順の女性
低用量ピルにもいくつか種類があり、それぞれによって効果が異なります。避妊用に適したものもあれば、月経移動用に適したものなどもあるのです。必要な効果を得られる薬選びを行うためにも、代表的な薬を症状別でご紹介します。まず避妊用としては、トリキュラーマーベロンといった薬が代表的です。生理不順用としては、マーベロンがあります。この薬であれば連続服用も可能なので、長期にわたって生理を止めることも可能です。月経移動用にはシンフェーズなどがあります。低用量ピルの場合は主に早めたい場合に有効です。

低用量ピルを服用できない人の特徴

血圧測定
誰でも服用できるわけではありません。次のような病気や体質を持っている方は服用できません。

  • 血栓症を患っている方・リスクが高いと診断されている方
  • 高脂血症の方
  • 高血圧症を薬でコントロールできない方
  • 35歳以上で1日15本以上の喫煙を行う方

血栓症は、血管が固まってしまい必要な臓器などに血液が行き届かなくなる病気です。すでに血栓症を患っている方やリスクが高いと診断されている方は服用できません。また、高脂血症の方も、血栓を作りやすい体質であるといえます。そのため、低用量ピルの影響で血栓が生じやすくなってしまうため服用は避けなければなりません。高血圧症を薬でコントロールできない方も服用不可能です。具体的な数値としては160mmHg/100mmHg以上の方が服用できないこととなっています。これはピルの作用で血圧が高くなってしまうリスクがあるためです。高血圧をさらに悪化させてしまいます。さらに、喫煙者も注意が必要です。特に35歳以上で1日15本以上の喫煙を行う方は、煙草の影響で血流の流れが悪くなっている可能性があります。服用によってさらに症状悪化を招く可能性もあるため服用できません。この他にも薬に過敏症を起こしてしまう方など服用できない人の特徴は様々です。

低用量ピルのデメリットに関するよくあるQ&A

疑問を抱く女性
メリット・デメリットのある薬ですが、デメリットが気になって服用をご検討中の方は多いです。そこで、デメリットについてよくある質問をご紹介します。Q&Aを参考に、薬のデメリットに関する疑問を払拭しましょう。

低用量ピルを服用すると太りやすくなるのでしょうか?

服用することで太りやすくなるといったイメージを持たれることが多いですが、薬によって太りやすくなる医学的証拠はありません。しかし、誤解を与えてしまうような要素が全くないわけではありません。薬に含まれるプロゲステロンとエストロゲンと呼ばれるホルモンが、この誤解の原因だと考えられています。これらのホルモンは、体内に水分をためやすくする作用があります。そのため、体重に変化は無くとも一時的にむくんだ症状は出やすくなるのです。その結果、太ったように感じる方が多いようです。また、プロゲステロンは食欲を増進させる作用があります。この作用によって、食事量に気をつけず食べてしまうと体重増加を招く可能性があります。

低用量ピルで吐き気が治まらないときの対処法を教えてください

薬を服用して吐き気が治まらない場合は、市販の吐き気止めを使用しましょう。症状が軽減する可能性があります。しかし、市販の薬を飲んでも治らない場合は、医師へ相談しましょう。

保険が適用されない場合があると聞いたのですが…

保険適用の場合と適用外の場合があります。避妊目的の場合は、保険適用外です。自由診療として扱われ、診察料・検査料・薬代全てが自己負担となります。しかし、月経困難症や子宮内膜症などの病気の治療目的となれば保険適用となります。

編集部まとめ

医師の解説
低用量ピルは、避妊効果のある薬です。また、その他の病気の予防や治療にも効果を持っている重要な薬となります。

正しく効果を理解して服用すれば、生理の時期をずらせたり生理不順を整えたりと非常に役立つ薬なのです。

しかし、デメリットや服用できない場合があるなど、詳細に把握して利用する必要があります。

本記事を参考にして、正しく薬の特徴を理解して利用しましょう。

参考文献

この記事の監修医師