【漫画付き】アフターピルって絶対避妊できる? 費用や副作用は?
妊娠を望まないにも関わらず、性交渉時に、コンドームが破れたり、はずれたりした場合など、どうしたらいいのでしょうか。そんな時の最終手段として使用するのが、アフターピルと呼ばれる薬です。いくつかの種類がありますが、薬による違いも含めて、どれくらいの確率で避妊ができるのか、どうして避妊できるのか、また副作用、費用などについて、実際に取り扱っている、麻布十番まなみウィメンズクリニックの今井愛院長にお伺いをしました。
監修医師:
今井 愛(麻布十番まなみウィメンズクリニック 院長)
北里大学医学部卒業後、同大学の産婦人科に入局。横須賀共済病院、東京逓信病院への出向、ナポリ大学(イタリア)留学などを経て、平成22年に開業。「女性にとって婦人科をより身近に感じてもらえるように」と想いこめて、日々の診療にあたっている。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本産科婦人科学会専門医、日本臨床細胞学会細胞診指導医、点滴療法委員会認定医、医学博士。
アフターピルは絶対の避妊法ではない
編集部
まずはどんな薬か教えてください
今井先生
アフターピルは、緊急避妊薬やモーニングアフターピルと呼ばれており、避妊を目的としたホルモン剤です。薬に含まれている女性ホルモンの作用で、排卵を遅らせることができます。排卵を遅らせることで子宮内膜への着床、つまり妊娠を阻害します。ただし、性交渉後72時間以内に服用をする必要があります。中絶薬ではないため、着床をした後で飲んでも効果はありません。
編集部
避妊に失敗してしまった場合でも、アフターピルを使えば100%妊娠を防ぐことができますか?
今井先生
100%避妊できる方法ではありません。主に日本で多く使われているものは「ヤッペ法」と「ノルレボ錠」の2種類があり、ヤッぺ法が約60%、ノルレボ錠が約85%の確率で妊娠を防ぐとされています。
避妊確率の高い「ノルレボ錠」は1万2000円~2万円が相場
編集部
それぞれの違いについて教えてください
今井先生
まず、飲む回数が異なります。ノルレボ錠の方が新しい薬になり、性交渉後72時間以内に1回の内服が必要です。ヤッぺ法は性交渉後72時間以内に1回、その12時間後に2回目の内服が必要になります。
編集部
副作用はありますか?
今井先生
とくにヤッペ法は吐き気が強く出ます。ノルレボ錠の方が比較的副作用は少ないようです。
また、ノルレボ錠は厚生労働省の薬機法承認薬となるため、副作用が強く出た場合には、医薬品副作用被害救済制度の対象になります。この制度は、医薬品等を適正に使用したにもかかわらず発生した副作用による健康被害を受けた場合に、医療費等の給付を行うことで、被害を受けた方の迅速な救済を図ることを目的として創設された公的な制度です。
そのため、当院では8割がたの方が、ノルレボ錠を選ばれています。
編集部
それぞれの値段も教えてください
今井先生
一般的にはヤッぺ法が5000円~1万円、ノルレボ錠は1万2000円~2万円が相場です。当院では診察費も含めた料金となっていますが、医療機関によっては別途診察費用がかかる場合もあるようです。
中絶となりますと、身体への負担も大きく、15万円はかかりますので、心配な時は飲まれることをお勧めします。
また、レイプなどの暴行を受けた場合は、警察などの行政に相談をしますと、費用も含めて行政が対応をしてくれるところもあるようです。
当院にも、まれにレイプが原因でいらっしゃる方もおりますが、警察に届けたかどうかを確認しますと、届けていないという方が多いですね。
編集部
実際には、どのようなケースでの処方が多いですか?
今井先生
妊娠を望まない方が、妊娠をするような行為をした時ですね。
具体的な事例としては、性交渉の時にコンドームを使用しなかった場合や、コンドームが破れた場合、外れてしまった場合になるでしょうか。
普段は低用量ピルで避妊をされている方が、ピルを飲み忘れたため、処方を希望される場合もあります。
飲んだ後は生理周期の乱れに注意
編集部
100%避妊できるわけではないのであれば、妊娠しているかどうかが気になるところです。アフターピルを飲んだ場合、妊娠をしているかどうかは、いつ頃から分かりますか?
今井先生
服用から3週間後に妊娠反応検査をすすめています。
次の周期の生理が通常の出血量であれば、妊娠の可能性は少ないのですが、不正出血や妊娠初期の出血と、月経の区別がつかないこともあり得るため、検査を受けたほうがよいでしょう。
編集部
飲んだ後の生理は、通常の生理と異なる点はありますか?
今井先生
周期通りに次の生理が来ることもありますが、周期に関係なくアフターピルを服用した7日後くらいに出血することが最も多くなります。早い場合は3日後、遅い場合は2週間後に生理が始まることもあります。
一般的に排卵前や排卵期に服用すると、生理予定日より早く生理が来る傾向があります。ただし、この場合の生理は、アフターピルによって生じた生理、すなわち薬効によって起こった生理ですので、本来の自然な生理ではありません。
自然な生理は周期通りの日に来ることが多いため、排卵前や排卵期に服用すれば、月に2回生理が来ることもあります。
編集部
月に2回も生理がきたら、身体に負担がかかりそうですね。何度も飲むことは問題がありますか?
今井先生
最近のピルは副作用も小さくなっており、続けて飲むことが、すぐに重大なリスクにはなりません。海外では薬局などで気軽に購入できる国も少なくありませんし、中絶の身体的リスクを考えれば、躊躇なく飲むべき薬です。
編集部まとめ
アフターピルは確実に避妊できるわけではありませんし、身体に負担も少なくないなど、「飲んでいれば避妊をしなくてもいい」と短絡的に考えるのはよくありませんね。
最後に、日本で主に使用されている2種類について比較をしてみましょう。
【ヤッペ法】
・性交後72時間以内に1回、その12時間後に2回目を内服
・約60%の妊娠を防げる
・副作用が強いとされている
・自費のため費用は医療機関ごとに異なるが、相場は5000円から1万円
【ノルレボ錠】
・性交後72時間以内に1回内服
・約85%の妊娠を防げる
・ヤッペ法に比べ副作用は弱く、副作用が強く出た場合にも、医薬品副作用被害救済制度の対象となる
・自費のため費用は医療機関ごとに異なるが、相場は1万2000円から2万円
医院情報
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