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突然死のリスクも?「閉塞性肥大型心筋症」の”3つの症状”となりやすい人を医師が解説!

 公開日:2026/04/14
突然死のリスクも?「閉塞性肥大型心筋症」の”3つの症状”となりやすい人を医師が解説!

閉塞性肥大型心筋症とは?メディカルドック監修医が閉塞性肥大型心筋症の症状・原因・なりやすい人の特徴・検査方法・治療法・予防法などを解説します。

佐藤 浩樹

監修医師
佐藤 浩樹(医師)

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北海道大学医学部卒業。北海道大学大学院医学研究科(循環病態内科学)卒業。循環器専門医・総合内科専門医として各地の総合病院にて臨床経験を積み、現在は大学で臨床医学を教えている。大学では保健センター長を兼務。医学博士。日本内科学会総合専門医、日本循環器学会専門医、産業医、労働衛生コンサルタントの資格を有する。

「閉塞性肥大型心筋症」とは?

閉塞性肥大型心筋症は、肥大型心筋症の1つの病型で、心臓の筋肉が一部厚くなることで、心臓の内腔が狭くなり、心臓から出る血液の流れが妨げられる疾患です。そのため、さまざまな症状が起こります。

閉塞性肥大型心筋症を発症すると心電図にどのような特徴が現れる?

心筋が異常に厚くなるため、心臓内の電気の伝わり方に変化が起こります。その結果、心電図にはさまざまな異常が現れます。

  • P波の異常:左室の拡張障害を反映し左房負荷の所見
  • QRS波の異常:
    • 心筋が肥大するため左側胸部誘導で高電位の所見
    • 異常Q波
    • 左軸偏位
  • ST-T変化:ST下降、陰性T波
  • QT時間の延長

閉塞性肥大型心筋症の代表的な症状

代表的な症状は、心臓の出口が狭くなることで、全身に十分な血液が送れなくなることにより起こります。運動などの労作で悪化しやすく、重症例では突然死のリスクもあります。症状の程度は個人差が大きいのも特徴です。

息切れ

心臓の出口が狭くなり、全身に十分な血液を送り出せないため、運動時や階段昇降時に息切れが起こりやすくなります。安静にすると一時的に落ち着くこともありますが、続く場合は早めに循環器科を受診してください。突然の息切れに、胸痛やめまいを伴う場合は救急車を要請し、救急科や循環器科を受診しましょう。

胸痛

心筋が厚くなり血流が妨げられるため、心筋への酸素不足により、胸痛が起こります。運動時や階段昇降時などの労作時に起こります。安静により軽快することが多いですが、継続する場合は、無理に動かず安静を保ちましょう。安静にしても軽快しない場合や胸痛が強い場合は、早めに循環器科を受診しましょう。胸痛に加え、冷や汗や意識消失を伴う場合は救急車を要請し、救急科や循環器科を受診してください。

めまい

心臓の出口が狭くなり、血流が一時的に減少することで、脳への血液が不足しめまいが起こることがあります。特に、立ち上がった時や運動中に起こりやすく、ひどい場合は失神することもあります。症状が出たらすぐに座るか横になり、体を安静に保ちましょう。繰り返す場合は循環器内科を早めに受診してください。重症化して失神の場合は救急車を要請し、救急科や循環器科を受診してください。

閉塞性肥大型心筋症の主な原因

閉塞性肥大型心筋症の多くは、心筋の収縮に関わるタンパク質をコードする遺伝子の変異が原因で発症します。したがって、主な原因は遺伝子の異常といえるでしょう。中でも、家族歴を有する場合は、常染色体優性遺伝形式をとる疾患であるため、片方の親に遺伝子異常があると、子供に50%の確率で受け継がれます。

β-ミオシン重鎖遺伝子(MYH7)の異常

MYH7は心筋の収縮を生み出す、エンジン部分を担う遺伝子で、その異常により心筋が過剰に働き厚くなります。心筋の肥大が進行すると、労作時の息切れや胸痛などの症状が現れます。疑わしい場合は循環器科で心エコー検査を受けましょう。

ミオシン結合タンパクC遺伝子(MYBPC3)の異常

MYBPC3は心筋の動きを調整する役割があり、異常があると心筋の収縮が不均一になるため、心筋の肥大が進みやすくなります。無症状の時期が長いこともありますが、進行するとめまいや動悸が出現します。循環器科での定期的な経過観察が重要です。

トロポニンT遺伝子(TNNT2)の異常

TNNT2は心筋の収縮をカルシウムで調整する遺伝子で、異常があると心臓が不規則に動きやすくなります。心筋の厚さが軽度でも、不整脈、失神、突然死のリスクが高いのが特徴です。失神などの前兆がある場合は、緊急性を持って循環器科を受診してください。

閉塞性肥大型心筋症になりやすい人の特徴

閉塞性肥大型心筋症は、主に心筋たんぱく質をつくる遺伝子の変異が原因となるため、家族に同じ病気の人がいる場合に起こりやすいのが特徴です。

家族内に同じ病気の人がいる場合

遺伝子異常によって発症することが多い疾患なので、家族内で受け継がれる特徴があります。親から子へ約50%の確率で遺伝するとされ、家族に同じ病気の人がいる場合は注意が必要です。自覚症状がなくても、循環器内科で心エコーを含む検査を受けることが推奨されます。

若い頃から動悸や息切れを感じやすい人

閉塞性肥大型心筋症は、心臓の出口が狭くなり血液が流れにくくなるため、運動時に血流不足が起こりやすくなります。そのため、階段や軽い運動で動悸、息切れなどの症状が出やすいのが特徴です。単なる体力不足と考えて放置されることもあります。繰り返す場合は早めに循環器内科で検査を受けましょう。

健康診断で心電図に異常を指摘された人

自覚症状がない場合でも、学校検診や職場健診で心電図異常(左室肥大・ST-T変化・異常Q波など)が見つかることがあります。電気の流れが変化するため、心電図に異常所見が出やすいです。心電図異常を指摘された場合は放置せず、心エコーが可能な循環器内科で精密検査を受けることが重要です。

閉塞性肥大型心筋症の検査法

閉塞性肥大型心筋症を診断するためには、心臓の形や動き、血液の流れ方、電気信号の異常を調べることができる検査が必要です。

心エコー検査

超音波を使って心臓の状態を観察する検査です。痛みなどの体への負担はほとんどなく、繰り返し検査できます。心臓の壁がどれくらい厚くなっているか、血液がスムーズに流れているかなどが診断できます。循環器科で行う検査で入院は不要です。一般的に20~40分程度で終了します。

心臓カテーテル検査

細い管(カテーテル)を血管から心臓まで進めて、心臓内の圧力や動き、血流の状態を調べる検査です。特に、心臓の出口の閉塞の程度を詳細に評価できます。その結果は、手術を含む今後の治療方針に役立ちます。循環器科入院のうえ、1~2日程度の入院期間が必要です。

心筋生検

カテーテルを使って心臓の筋肉の小さな組織を採取し、顕微鏡で詳しく調べる検査です。心筋がどのように変化しているか、別の病気が関わっていないかなどを判断します。アミロイドーシスなどの他疾患の除外も可能です。循環器科入院のうえ、2~3日の入院が一般的です。

閉塞性肥大型心筋症の治療法

治療法として内科治療と外科治療があります。一般的には薬物投与による内科的治療が主体となります。

内科的治療(βブロッカー)

βブロッカーは、心臓の収縮を穏やかにしたり、脈を落ち着かせたりする薬です。治療は循環器科で行われ、外来で処方されますので入院は不要です。数週間かけて量を調整し、息切れや胸痛などの症状をコントロールします。心臓リハビリテーションを併用することもあります。

内科的治療(カルシウム拮抗薬)

カルシウム拮抗薬は心筋の緊張を和らげ、心臓からの血液をスムーズに送りやすくする薬です。主に循環器内科で処方され、βブロッカーが合わない場合などに使用します。外来治療が基本で入院は不要です。定期的な通院による血行動態の確認が必要です。

経皮的中隔心筋焼灼術(PTSMA/ASA)

心臓の出口を狭くしている心筋の一部にアルコールを注入して縮ませ、血流を改善するカテーテル治療です。循環器専門病院で行われ、通常約5〜7日の入院が必要です。薬物治療で症状が改善しない場合に検討されます。退院後は段階的な日常生活への復帰リハビリを行います。

閉塞性肥大型心筋症の予防法

主に遺伝子の異常が原因で発症するため、生活習慣だけで完全に予防することはできません。ただし、症状の悪化を減らすことは可能です。

家族歴がある場合は早めの検査を

遺伝が関係する疾患のため、家族内に同じ疾患や若くして突然死した人がいる場合、症状がなくても循環器科を受診しましょう。早期発見により、適切な管理と突然死の予防が可能になります。定期的な心エコーや心電図検査を受けることが最大の予防策です。

過度な運動や脱水を避ける

過度の運動は心臓に負担をかけ、症状を悪化させる可能性があります。運動は軽い有酸素運動にとどめ、心臓への過負荷を避けることが重要です。また、脱水は血液濃縮により心臓の出口をより狭くし、不整脈を引き起こしやすくなるため、こまめな水分補給が必須です。

症状の変化に早く気づく

息切れ、動悸、胸痛、めまいなどの症状の変化に敏感になりましょう。以前より疲れやすくなったと感じるなど、小さな変化で受診することが重症化の予防につながります。日常生活での脈拍や血圧のセルフチェックも有効です。

「閉塞性肥大型心筋症」についてよくある質問

ここまで閉塞性肥大型心筋症について紹介しました。ここでは「閉塞性肥大型心筋症」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

閉塞性肥大型心筋症の生存率はどれくらいでしょうか?

佐藤 浩樹医師佐藤 浩樹(医師)

日常生活に注意することに加え、治療の進歩とともに生存率は一般的に同年代と大差ないです。ただし、不整脈による突然死のリスクが一部の患者さんにあるため、定期的な検査や症状の変化に早く気づくことが重要です。

閉塞性肥大型心筋症は完治するのでしょうか?

佐藤 浩樹医師佐藤 浩樹(医師)

閉塞性肥大型心筋症の原因は遺伝子異常によることが多いため、完治は現時点では難しい病気とされています。ただし、治療の進歩とともに、日常生活を問題なく送れるようにすることは可能です。

閉塞性肥大型心筋症の禁忌事項について教えてください?

佐藤 浩樹医師佐藤 浩樹(医師)

特に注意すべき日常生活は、激しい運動、無酸素運動、強いいきみを伴う動作(重い荷物を持ち上げるなど)です。これらの行動は、心臓の収縮力を高めます。その結果、もともと心臓の出口が狭くなっている状態を、さらに悪化させることになるので禁忌事項となるでしょう。

まとめ

閉塞性肥大型心筋症は、心臓の筋肉が遺伝的な要因で厚くなり、血液の流れが妨げられる病気です。完治は難しいですが、薬物療法や手術によって症状を和らげ、日常生活に支障を来さない生活を送ることは可能です。そのためには、日常生活に注意するとともに、循環器科での定期的受診が重要となります。

「閉塞性肥大型心筋症」に関連する病気

「閉塞性肥大型心筋症」から医師が考えられる病気は5個ほどあります。
各病気の詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

循環器系

心筋が肥大する疾患

  • 大動脈弁狭窄症
  • 高血圧性心疾患
  • アミロイドーシス
  • ファブリー病
  • ミトコンドリア病

心筋が肥大する疾患は多いです。原因によって治療法が異なるため、心肥大を指摘された場合は、循環器科を受診し、診断してもらうことが重要です。

「閉塞性肥大型心筋症」に関連する症状

「閉塞性肥大型心筋症」に関連する症状は6個ほどあります。
各症状の詳細についてはリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

閉塞性肥大型心筋症はさまざまな症状を伴います。重症化すると突然死する疾患でもあるので、これらの症状をみとめた際は、自己判断で放置せず、循環器科を受診してください。

この記事の監修医師