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「心臓発作と心筋梗塞の違い」はご存知ですか?それぞれの原因・症状も医師が解説!

 公開日:2024/10/11
「心臓発作と心筋梗塞の違い」はご存知ですか?それぞれの原因・症状も医師が解説!

心臓発作と心筋梗塞の違いとは?Medical DOC監修医が心臓発作と心筋梗塞の違い・原因・症状・予防法などを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。

佐藤 浩樹

監修医師
佐藤 浩樹(医師)

プロフィールをもっと見る
北海道大学医学部卒業。北海道大学大学院医学研究科(循環病態内科学)卒業。循環器専門医・総合内科専門医として各地の総合病院にて臨床経験を積み、現在は大学で臨床医学を教えている。大学では保健センター長を兼務。医学博士。日本内科学会総合専門医、日本循環器学会専門医、産業医、労働衛生コンサルタントの資格を有する。

「心臓発作」とは?

心臓発作はさまざまな心臓疾患が原因となりますが、その中でも頻度が高い狭心症に焦点を絞って説明いたします。狭心症は虚血性心疾患の1つです。心臓を栄養する血管である冠動脈が狭くなる(狭窄)することによって胸痛などの胸部症状を起こす疾患です。

「心筋梗塞」とは?

心筋梗塞も虚血性心疾患の1つです。狭心症と似ていますが、冠動脈が詰まる(閉塞)することで胸痛などの胸部症状が継続する疾患です。冠動脈が塞がっているため、心臓には酸素や栄養が途絶えますので、心臓の筋肉が壊死します。

「心臓発作」と「心筋梗塞」の違いとは?

両疾患とも、冠動脈に障害を来たす点で共通していますが、大きな違いがあります。狭心症は冠動脈が狭くなる疾患ですが、心臓への血流は少ないながらも確保されていますので、心臓の筋肉が壊死することはありません。一方、心筋梗塞は冠動脈が詰まるので、心臓への血流は途絶えます。したがって、心臓に栄養や酸素が行き届かなくなり、心臓の筋肉は壊死します。発症から時間が経過するほど、心臓のダメージは大きくなりますので、できる限り早期の治療が必要です。

心臓発作の主な原因

心臓発作(狭心症)は心臓を栄養する冠動脈が狭くあることが原因です。動脈硬化が主な要因ですが、特殊な要因もあります。

脂質異常症

脂質異常症の中でも、LDL-コレステロール高値は要注意です。過剰なLDL-コレステロールは冠動脈の血管壁に蓄積して、プラークという塊を形成し、動脈硬化を進めます。そのため、冠動脈が狭くなり、心臓発作を起こすリスクを高めます。脂質異常症は自覚症状を伴うことはほとんどありません。健診等で発見された場合は、内科を受診し、食事指導も含め適切な指導を受けて下さい。

喫煙

タバコに含まれている有害物質は、血管の収縮、血栓の形成などを促進して血管を傷めます。そのため、動脈硬化が進展し心臓発作を起こしやすくします。タバコは百害あって一利なしです。

精神的ストレス

心臓発作(狭心症)の中には、冠動脈が痙攣(攣縮)を来たして狭くなるものがあります。冠攣縮性狭心症と呼ばれ、安静時に起こることが多いです。要因として、精神的ストレスが指摘されています。通常は短時間で軽快しますが、続く場合はすみやかに循環器科を受診して下さい。

心筋梗塞の主な原因

心臓を栄養する冠動脈が詰まる(閉塞)ことが原因です。冠動脈を閉塞させる原因(危険因子)は、高血圧、高脂血症、糖尿病が代表的です。以下に各々の要点を説明します。

高血圧

高血圧は動脈壁に過剰な圧力をかけるため、長期間にわたって冠動脈にダメージを与えます。結果、動脈硬化が促進され、冠動脈が狭くなります。そのため、心臓への血流が不足し、心筋梗塞を起こす原因となります。高血圧は、一般的に自覚症状がほとんどありません。そのため、あっても放置している方が多いです。でも、長期間の放置は非常に危険で、重大な血管病を起こし命にかかわることもしばしばあります。健診等を利用して自分の血圧値を評価することが大切です。高い場合は、内科や循環器科を受診して、食事指導や薬物療法などの適切な指導を受けましょう。

脂質異常症

脂質異常症の中でもLDL-コレステロール高値は要注意です。LDL-コレステロールが高いと、余分なLDL-コレステロールが血管の内壁に溜まり、血管内に瘤のようなものを形成します。プラークといいます。プラークは血管内腔を狭め、さらに、破れて血栓を形成することで冠動脈を閉塞させ心筋梗塞を起こします。脂質異常症の初期で症状を伴うことはほとんどありませんので、健診等で異常が見つかった場合は、内科や循環器科を受診して適切な指示を受けて下さい。

糖尿病

高血糖が続くと、血管の内壁を覆う内皮細胞を傷つけ機能が低下します。内皮細胞は、血管の収縮や拡張を調節し、血液をスムーズに流す役割を担っています。そのため、機能が低下すると、血管が硬くなり、血圧が上昇しやすくなり、動脈硬化が促進されます。結果、冠動脈が狭くなり、心筋梗塞の原因となります。糖尿病の初期は自覚症状を伴うことは少ないです。健診等で血糖値が高いと指摘された場合は、内科を受診して血糖値を下げるための適切な指導を受けましょう。

心臓発作の代表的な症状

心臓を栄養する冠動脈が狭くなっているため、心臓に負担がかかる状態になると、血流不足となりさまざまな症状が起こります。以下が代表的な症状です。

胸痛

胸の中央部や左側に痛みが出ます。でも、多くは安静にしていると15分以内で改善することが多いです。症状が起きた場合は、動作をすぐに止めて、安静にすることが大切です。数分で痛みが消えることがほとんどですが、症状が継続する場合は、循環器科を受診して下さい。

胸部圧迫感

胸の中央部や左側に圧迫感が起こるこがたびたびあります。重石をのせられた感じと表現する人も多いです。胸痛と同様、安静にしていると15分以内で改善することが多いです。継続する場合は、循環器科を受診して下さい。

動悸

これまでとは異なり、少し動くと動悸が起きる場合は要注意です。冠動脈が狭くなり、心臓への酸素供給が不足することにより、心臓がより多く拍動して適応しようとするためです。このような場合は、心臓を休ませるために、安静にすることが大切です。続く場合は、循環器科を受診して下さい。

心筋梗塞の代表的な症状

急性心筋梗塞は一刻を争う緊急を要する疾患であり迅速な対応が必要です。そのため、初期症状は重要です。以下に記載する3つが見られましたら早期に医療機関を受診して下さい。

胸痛や胸部圧迫感

胸の中央部や左側に締め付けられるような痛みや圧迫感が起こります。この痛みは、数十分継続し、安静にしても改善しないことが特徴です。これらの症状が起きた場合は、すぐに安静にして下さい。加えて、早急に救急車を呼び、循環器科や救急科を受診して下さい。

息切れ

胸の痛みや圧迫感とともに現れることが多いですが、単独でも起こります。心臓が十分な酸素を供給できなくなったためです。息切れが起こったら、すぐに活動を停止して安静にすることが重要です。深呼吸をして、リラックスすることをお勧めします。息切れが継続する場合は、早期に、循環器科、呼吸器科、救急科を受診して下さい。

冷や汗

突然、誘因も無く冷や汗が出る場合は要注意です。交感神経の活性化や痛みに対する反応が原因です。このような症状が起こった場合、すぐに活動を中止して安静にして下さい。心臓の負荷を軽減するためです。冷や汗とともに他の症状がある場合は、早急に救急車を呼び、循環器科や救急科を受診して下さい。

心臓発作の予防法

狭心症は主に冠動脈の動脈硬化が原因です。したがって、動脈硬化を進展させるような食べ物・飲み物を減らすことが大切です。具体的に3つをあげて説明いたします。

高脂肪食品

高脂肪食品の摂取は血中のLDL-コレステロール(悪玉コレステロール)を増やし、HD-Lコレステロール(善玉コレステロール)を減らします。その結果、動脈硬化が促進し、狭心症のリスクが上がります。揚げ物、クッキー、バターなどの過剰摂取は気をつけましょう。

高塩分食品

高塩分食品の摂取は、ナトリウムが過剰に体内に入るため、高血圧になりやすくなります。高血圧は動脈硬化の進行を促進する代表的な疾患です。そのため、狭心症のリスクを高めます。塩辛、漬物、即席ラーメン、ポテトチップスなどの過剰摂取は気をつけましょう。

アルコール

過度のアルコール摂取は血圧の上昇を来し、さらに心臓の働きを弱めます。これにより心血管系のリスクが増加し、狭心症を起こしやすくなります。ビール、ワイン、ウィスキーの過剰摂取は禁物です。1日の適量は、男性で1合、女性は0.5合です。

心筋梗塞の予防法

野菜と果物

野菜と果物は、ビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富です。加えて、抗酸化作用があります。その結果、血圧や脂質が良好にコントロールされ、動脈硬化の進展を防ぎます。具体的には、 ブロッコリー、ほうれん草、トマト、リンゴ、バナナなどが良いでしょう。

魚は、不飽和脂肪酸であるEPAやDHAを豊富に含んでいます。これらは、LDL-コレステロール(悪玉コレステロール)を減らし、HD-Lコレステロール(善玉コレステロール)を増やす効果があります。加えて、血液をサラサラにして血流を改善します。そのため、心筋梗塞の発症を防止します。具体的な食品名として、 サーモン、マグロ、サバ、イワシなどが該当するでしょう。

運動

運動の中でも、有酸素運動(ウオーキング、ジョギング、自転車など)がお勧めです。強度は、中等度を目標にして、毎日30分以上(少なくとも週に3日)行いましょう。中等度の運動の目安は、自覚的に「きつい」と感じない程度です。人によって運動強度の感じ方は異なりますので、自分に合った運動強度を実践することが重要です。

「心臓発作と心筋梗塞の違い」についてよくある質問

ここまで心臓発作と心筋梗塞の違いなどを紹介しました。ここでは「心臓発作と心筋梗塞の違い」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

心筋梗塞を発症しやすい人の特徴について教えてください。

佐藤 浩樹佐藤 浩樹 医師

主に生活習慣病に罹患している人です。具体的には、高血圧、脂質異常、糖尿病を有している人です。その他、肥満は生活習慣病のリスクを高めますので減量に努めましょう。また、タバコに含まれる有害物質は、血管を傷つけて、動脈硬化を進めますので、禁煙しましょう。

編集部まとめ 心臓発作と思われる症状があれば循環器科へ!

この記事では、心臓発作と心筋梗塞について解説してきました。いずれも虚血性心疾患に属します。虚血性心疾患は早期発見、早期治療が必要な疾患です。突然死に至ることもあります。生活習慣病が原因となることが多いので、自分の日常生活を見直して良い生活習慣を送ることに心がけて下さい。また、心臓発作と思われる症状があれば、循環器科を受診しましょう。

「心臓発作と心筋梗塞」と関連する病気

「心臓発作と心筋梗塞」と関連する病気は6個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

循環器科の病気

  • 急性心筋炎
  • 急性心外膜炎
  • 解離性大動脈瘤

呼吸器科の病気

心臓発作と心筋梗塞は命に関わる場合もあります。症状が似た疾患もさまざまありますので、これらの疾患を疑った場合は、早めに医療機関を受診して下さい。

「心臓発作と心筋梗塞」と関連する症状

「心臓発作と心筋梗塞」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 胸痛
  • 胸部圧迫感
  • 息切れ
  • 冷や汗
  • 疲労感
  • 血圧低下

記載した症状は心臓発作と心筋梗塞以外でも起こります。早期の診断が重要です。これらの症状が起こりましたら、できるだけ早く医療機関を受診して下さい。

この記事の監修医師