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「乳がんのしこりがわからない」場合の確認方法はご存知ですか?医師が解説!

 更新日:2025/09/16
「乳がんのしこりがわからない」場合の確認方法はご存知ですか?医師が解説!
乳がんは日本人女性で最も多いがんで、現在では女性の9人に1人が一生のうちに乳がんになるともいわれています。乳がんは若い世代から発症し、早期発見できれば治る可能性が高いがんです。しかし、「胸にしこりを感じてもそれが乳がんなのかわからない」「良性のしこりとの違いが知りたい」と不安に思う方も多いでしょう。そこで本記事では乳がんのしこりの特徴や、セルフチェックの方法、その他乳がんの症状や乳がんになりやすい方の特徴について解説します。
西田 陽登

監修医師
西田 陽登(医師)

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大分大学医学部卒業。大分大学医学部附属病院にて初期研修終了後、病理診断の研鑽を始めると同時に病理の大学院へ進学。全身・全臓器の診断を行う傍ら、皮膚腫瘍についての研究で医学博士を取得。国内外での学会発表や論文作成を積極的に行い、大学での学生指導にも力を入れている。近年は腫瘍発生や腫瘍微小環境の分子病理メカニズムについての研究を行いながら、様々な臨床科の先生とのカンファレンスも行っている。診療科目は病理診断科、皮膚科、遺伝性疾患、腫瘍全般、一般内科。日本病理学会 病理専門医・指導医、分子病理専門医、評議員、日本臨床細胞学会細胞専門医、指導医。

乳がんのしこりの特徴

乳房にできるしこりには良性のものと悪性のものがあります。乳がんによるしこりには次のような典型的な特徴がみられます。

不規則な形をしている

乳がんのしこりは形がいびつで、触ったときに表面がゴツゴツしていたり、しこりの境界がはっきりしないことが多いとされています。丸く滑らかな良性のしこりとは異なり、左右不対称で不整形に感じられる場合があります。

硬い

触ったときに乳がんのしこりは大変硬いのも特徴です。しこりに弾力がなく石のように硬い感触がある場合、乳がんの可能性があります。一方、良性のしこりはやわらかい傾向があります。ただし、乳房は月経前に一時的に硬くなることもあるため、普段から自分の乳房の状態を知っておくことも大切です。

あまり動かない

乳がんのしこりは周囲の組織に癒着しやすく、指で押してもあまり動かないことも特徴です。良性のしこりは指で触るとコロコロとよく動くのに対し、乳がんのしこりは乳房内に固定されたような感触があります。鏡の前で腕を上げ下げしたときに、しこりのある部分の皮膚が引きつれる場合も注意が必要です。

乳がん以外に乳房にしこりができる病気

乳房にしこりがあるからといって、それが必ずしも乳がんとは限りません。乳房に触れるしこりの大部分は乳がんとは関係のない良性の病変です。乳房にしこりを生じる主な病気には次のようなものがあります。

  • 乳腺線維腺腫
  • 乳腺症
  • 乳腺炎

乳がんのセルフチェック方法

乳がんは自分で見つけられる場合が多いがんです。月に1回、自分で乳房の状態を確かめるセルフチェックを習慣にしましょう。セルフチェックの基本的な手順は次のとおりです。

1.目でチェック(視診)

鏡の前に直立し、まず腕を下ろした状態で両胸を観察します。続いて腕を上げてバンザイの姿勢をとり、正面・左右斜めなどいろいろな角度から乳房の様子を見ます。左右の乳房にくぼみやひきつれがないか、乳首が陥没していないか、乳頭・乳輪に湿疹やただれがないかをチェックしましょう。

2.手で触ってチェック(触診)

仰向けに寝るか入浴時に石けんをつけて、乳房全体を指の腹で丁寧に触れます。右胸は左手、左胸は右手の指を使い、4本の指をそろえて円を描くように乳房を隅々まで触りましょう。

3.脇の下を触る

乳房だけでなく、脇の下まで指を滑らせてみて、リンパ節の腫れによるしこりがないか確認します。しこりだけでなく痛みや違和感がないかも感じてみましょう。

4.乳頭を軽く絞る

乳首を軽くつまんでみて、血液の混じったような分泌物が出ないか確かめます。授乳中でもないのに血液様の分泌がある場合は異常の可能性があります。

セルフチェックは短時間で簡単にできます。普段から自分の乳房の状態を把握しておくことで、ほんの小さな変化にも気付きやすくなります。セルフチェックで異常を感じたら、できるだけ早く専門の医療機関を受診してください。

乳がんの症状

乳がんで現れる症状にはさまざまなものがあります。代表的な症状である乳房のしこりのほか、乳頭からの分泌物や皮膚の変化など、以下に主な症状を解説します。

しこりができる

乳房のしこりは乳がんでよく知られる症状です。痛みの有無に関わらず、乳房に今までなかった塊を触れたら注意が必要です。

分泌物が出る

乳頭からの異常な分泌物も乳がんの症状の一つです。特に血液の混じった分泌物(血性乳頭分泌)は注意が必要です。乳がん以外でも血性の分泌が出ることがありますが、いずれの場合も早めに乳腺外科を受診してください。

皮膚に変化が生じる

乳がんが皮膚近くに及ぶと、乳房の皮膚に変化が現れることがあります。代表的なのは皮膚のくぼみやひきつれです。これは腫瘍が周囲の組織を引っ張るために起こります。また、乳頭や乳輪のただれ・びらんが見られる場合もあります。

その他の症状

上記以外にも乳がんではさまざまな症状が現れます。乳首の形の変化も乳がんのサインとなることがあります。また、乳房自体の痛みは初期には少ないものの、胸の痛みや違和感を自覚することもあります。

乳がんにかかりやすい方

乳がんにはいくつか知られている危険因子があります。以下に該当する方は、そうでない方に比べて乳がんになるリスクが高いとされています。

40歳以上の方

加齢は乳がんの特に大きな危険因子です。乳がんの発症率は30代から増加し始めます。そのため、日本では40歳以上の女性に対して2年に1度の乳がん検診(マンモグラフィ)が推奨されています。若い世代でも乳がんになることはありますが、40代以降は特に注意が必要です。定期検診を受け、胸の異常があれば早めに受診するよう心がけましょう。

出産経験がない方

一般に、出産を経験していない女性の乳がんリスクは、出産経験のある女性より高いことがわかっています。日本人女性の場合、出産経験のない方の乳がん発症リスクは、ある方の約2.2倍との研究報告があります。

授乳歴がない方

授乳歴がない女性は、授乳経験のある女性に比べて乳がんの発症リスクが高いことが明らかになっています。また、授乳期間が長いほど乳がんリスクは低下することもわかっています。これは授乳によって乳腺の働きが抑えられ、排卵回数が減ることでエストロゲンへの曝露が減少するためと考えられます。

血縁者が乳がんにかかった方

母親、姉妹、娘など近い血縁のなかに乳がんになった方がいる女性は、そうでない女性に比べて約2倍以上乳がんになりやすいことがわかっています。家族に若年発症の乳がん患者さんが複数いるような場合は遺伝性乳がん(BRCA1/2遺伝子の変異によるもの)も疑われます。

乳房のしこりについてよくある質問

ここまで乳房のしこりや症状について紹介しました。ここでは「乳房のしこり」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

乳がんが疑われるときは何科を受診すればよいですか?

乳房の病変を診る診療科は主に乳腺外科です。乳腺外科は乳房を扱う外科の一分野です。また、乳がん検診を実施している婦人科や外科でも相談できます。

乳がん検診は何歳から受けるべきですか?

日本では40歳以上の女性に対して2年に1回の乳がん検診受診が推奨されています。40歳未満の方への乳がん検診は現時点では推奨されているわけではありませんが、家族歴がある方や不安が強い方は40歳未満でも自主的に検診を受けることは可能です。一度も検診を受けたことがない方は、40歳になったら忘れずに受診しましょう。

マンモグラフィーと超音波検査のどちらを受ければよいですか?

マンモグラフィと超音波検査は、ともに乳がんを調べる画像検査です。マンモグラフィは石灰化の有無など微細な所見を写し出せます。一方、若い方は乳腺が発達していてX線では腫瘤が見つけにくい場合があるため、高濃度乳腺の多い20~30代では超音波検査が有用です。日本乳癌学会のガイドラインでは、マンモグラフィ検診を基本としつつ、必要に応じて超音波を追加する方針がとられています。

まとめ

乳がんのしこりは硬く不規則で動きにくいといった特徴がありますが、自分で良性か悪性か判断するのは困難です。乳房にしこりや異常を感じたら自己判断せず専門医を受診することが重要です。幸い、乳がんは自分で発見できる可能性が高いがんです。日頃からセルフチェックで乳房の状態に関心を持ち、40歳を過ぎたら定期的に検診を受けましょう。

関連する病気

  • 乳腺線維腺腫
  • 乳腺症
  • 乳腺炎
  • 乳腺嚢胞
  • 脂肪腫

関連する症状

  • 乳房のしこり
  • 乳頭からの異常な分泌物
  • 乳房の形状や大きさの変化
  • 乳房の痛みや違和感
  • 腋窩や鎖骨上のリンパ節の腫脹

この記事の監修医師