「声帯ポリープの検査費用」はどのくらい?治療費用も含めて徹底解説!【医師監修】
公開日:2025/07/20


監修医師:
小島 敬史(国立病院機構 栃木医療センター)
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慶應義塾大学医学部卒。医師、医学博士。専門は耳科、聴覚。大学病院および地域の基幹病院で耳鼻咽喉科医として15年以上勤務。2年間米国で基礎研究に従事の経験あり。耳鼻咽喉科一般の臨床に従事し、専門の耳科のみならず広く鼻科、喉頭、および頭頸部腫瘍疾患の診療を行っている。日本耳鼻咽喉科学会専門医、指導医。日本耳科学会、日本聴覚医学会、日本耳鼻咽喉科臨床学会の各種会員。補聴器適合判定医、補聴器相談医。
目次 -INDEX-
声帯ポリープの検査方法
声帯ポリープではいくつかの検査と診断を行います。本章では、ファイバースコープ、間接喉頭鏡検査、ストロボスコープを解説します。
ファイバースコープ
ファイバースコープ(喉頭内視鏡)検査は、直径3~4mm程度の内視鏡を鼻腔または口から挿入し、喉頭を直接カメラで観察する方法です。局所麻酔薬を鼻や喉にスプレーして行うため、検査中の痛みや不快感はほとんどありません。約1~2分で終了し、カメラに映った高画質な映像をその場で確認できます。声帯ポリープはもちろん、喉頭がんや声帯結節など声帯のあらゆる異常の発見に有効な検査です。間接喉頭鏡検査
間接喉頭鏡検査は、細長い柄のついた小さな鏡を喉の奥に入れて、鏡に反射した光で声帯を観察する方法です。患者さんには舌を軽く引き出してもらい、医師が鏡越しに喉頭(声帯)を直接目視します。短時間で済み、特別な機器を必要としない利点がありますが、嘔吐反射が強い方や喉の奥が見えにくい場合には観察が難しいこともあります。また、近年はファイバースコープの普及により、間接鏡のみで診断するケースは減っています。ストロボスコープ検査
声帯ポリープの診断や治療方針決定において、声帯の振動様式を詳細に調べるストロボスコープ検査が有用です。ストロボスコピーでは、先述のファイバースコープに特殊な点滅光源(ストロボ光)を組み合わせます。患者さんに発声してもらい、その声の周波数に同期してストロボ光が点滅することで、声帯の高速振動をあたかもスローモーション映像のように観察できます。通常光ではとらえきれない声帯粘膜の細かな振動異常まで確認でき、ポリープが声帯の動きに与える影響や、初期の声帯病変の評価に大変役立ちます。検査時間は2~3分程度です。声帯ポリープ検査の種類別費用
声帯ポリープの診断に用いられる各検査は、保険適用のもとで実施されるため、実際にかかる費用は患者さんの自己負担額で抑えられます。この章では、ファイバースコープ検査、間接喉頭鏡検査、ストロボスコープ検査のそれぞれにを、保険点数をもとにした具体的な費用負担を詳しく解説します。
ファイバースコープ検査の費用
ファイバースコープ検査は保険点数では喉頭ファイバースコピーとして600点に設定されています。1点は10円に相当するため、患者さんの自己負担3割の場合は約1,800円の負担となります。これはあくまで検査そのものの費用で、別途初診料や診察料が加算されますが、通常の外来での声帯内視鏡検査なら総額でも数千円程度の自己負担で受けられます。間接喉頭鏡検査の費用
間接喉頭鏡検査の費用は特別な機器代がかからないため、健康保険診療の範囲内で初診料や再診料程度(数百円~千円台の自己負担)で実施されることがほとんどです。間接鏡検査自体に明確な点数設定はありませんが、簡便な観察として診察料に含まれる形で行われます。ストロボスコープ検査の費用
喉頭ストロボスコピーは音声言語医学的検査という項目で保険収載されており、点数は450点です。自己負担3割なら約1,350円になります。必要に応じて音響分析や音声機能検査(発声持続時間測定や声域測定など)も併せて行うことがありますが、それぞれ450点で保険算定されます。これらを組み合わせても数千円程度の負担です。ストロボスコピー検査は高度な設備を要するため実施できる医療機関が限られますが、必要な場合は対応可能な病院に紹介してもらえます。声帯ポリープの治療費用
声帯ポリープの治療は、大きく分けて保存療法(非手術的治療)と手術療法があります。ポリープの大きさ・状態や患者さんの職業・希望によって治療方針が決まります。いずれの方法でも健康保険が適用されるため、高額な自由診療ではなく、必要な治療を受けることができます。
声帯ポリープの保存療法にかかる費用
ポリープが小さく発症して間もない場合や、症状が軽い場合には、声をできるだけ使わないことでポリープが小さくなったり消失したりする場合があります。通常1〜2週間程度、会話や発声を極力控えます。また、必要に応じて発声の言語聴覚士による発声指導・音声治療を行います。そして、消炎薬(抗炎症薬)やステロイド薬を使った治療が行われることがあります。 これら保存療法にかかる費用は、使用する薬剤にもよりますが、いずれも保険適用です。例えばステロイド吸入器の薬剤費は自己負担3割で数百円~千円台程度、胃酸分泌抑制剤などの内服薬も1ヶ月分で数千円程度でしょう。音声リハビリは保険診療として算定されるため、数回の指導でも高額にはなりません。保存療法全体の自己負担費用は、外来受診料と薬代を合わせても月に数千円から多くても1万円前後に収まることがほとんどです。声帯ポリープの手術療法にかかる費用
保存的療法で改善しない場合、手術によるポリープ摘出が検討されます。手術は麻酔下で喉頭顕微鏡を口から挿入し、顕微鏡下でポリープを直接切除します。 声帯ポリープ切除術は公的医療保険が適用されます。費用の目安は手術方法によって異なりますが、患者さんの自己負担3割の場合でおおよそ以下のとおりです。全身麻酔+短期入院による手術
約7~10万円です。ただし、この金額には手術料・麻酔料・入院基本料などが含まれており、病院やポリープの程度によって多少変動します。局所麻酔の日帰り手術
片側のポリープ切除で約15,000円、両側同時の場合で約30,000円。全身麻酔に比べて安価です。 上述の費用は高額療養費制度適用前の自己負担額です。ただし、多くのケースでは声帯手術の自己負担額が高額療養費制度の上限を超えることは少ないため、7~10万円程度が実際の負担となるでしょう。声帯ポリープの検査費用についてよくある質問
ここまで声帯ポリープの検査費用について紹介しました。ここでは「声帯ポリープの検査費用」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
声帯ポリープ検査は健康保険が使える?
小島 敬史 医師
はい。通常、声帯ポリープの検査や治療には健康保険が適用されます。ただし、検査の種類や病院によっては一部自由診療となる場合もあるため、事前に担当医や受付でご確認ください。
声帯ポリープの検査は痛みや苦しみを伴う?
小島 敬史 医師
ファイバースコープ検査(喉頭内視鏡検査)やストロボスコープ検査は、局所麻酔のスプレーを使いながら鼻や口から細い内視鏡を挿入して、声帯を直接観察する方法です。一般的に、検査中の強い痛みはありませんが、鼻や喉に違和感を覚えたり「おえっ」となる嘔吐反射を感じたりする場合があります。
声帯ポリープの検査や手術費用が高額になるときにどのような助成を受けられる?
小島 敬史 医師
医療費が高額になった場合、国や自治体の高額療養費制度などが利用できます。また、各自治体独自の医療費助成制度がある場合もあるため、住んでいる地域の福祉課や医療機関の窓口への相談をおすすめします。これにより、自己負担額が軽減される場合があります。
まとめ
本記事では、声帯ポリープの検査方法や治療費用、具体的な検査手法からその費用、さらには健康保険の適用や高額療養費制度の利用方法まで、幅広くご紹介しました。各検査の特徴や注意点を理解することで、声帯ポリープに関する診断や治療の流れを把握し、安心して医療機関を受診できる一助となれば幸いです。
関連する病気
関連する症状
そして、声帯ポリープに関連する症状はいくつかあります。これらの症状があれば声帯ポリープの恐れがあります。関連する症状
- 嗄声
- 長引く咳
- 喉の異物感

