声がかすれて喉がイガイガする…「声帯ポリープ」を疑ったら何科を受診する？【医師監修】

声帯ポリープとは？概要と初期症状を解説

声がかすれたり（嗄声、させい）、喉がイガイガすることがあると思います。もしかしたら声帯ポリープの症状かもしれません。この章では声帯ポリープの概要と初期症状を解説します。

声帯ポリープの概要

声帯ポリープは、喉の声帯にできる良性の腫瘍です。声帯の表面に炎症が起こり、血管が損傷して出血し、その血の塊や組織が隆起してポリープが形成されます。大きさは米粒大から栗粒大程度までさまざまで、通常は左右どちらか一方の声帯に発生します。声帯ポリープは長期間にわたり大声を出し続けたり、喫煙したりする方に起こりやすいとされています。

声帯ポリープの初期症状

声帯ポリープができると、最初に喉に何かが引っかかったような異物感を自覚することがあります。喉がイガイガするような軽い痛みや違和感が続く場合もあります。進行すると声がかれる、声がかすれて出しにくくなるなどの症状が顕著になります。

声帯ポリープが疑われるときは耳鼻咽喉科を受診

声帯ポリープが疑われる症状がある場合は、早めに耳鼻咽喉科の受診が重要です。声がかすれている原因が声帯ポリープなのか、それとも別の疾患なのかは、ご自身で判断するのは難しい場合があります。特に声帯ポリープと症状が似ている喉頭がんなど悪性疾患でも声のかすれが起こりえるため注意が必要です。決して自己判断せず、1～2週間以上声の不調が続く場合は耳鼻咽喉科で診断を受けるのがよいでしょう。

声帯ポリープの受診の目安と治療法

ご自身の喉の違和感や声のかすれの原因が声帯ポリープかもしれないと思ったらいつ受診すればよいのでしょうか。また、どのような治療が行われるか気になる方もいるでしょう。本章では声帯ポリープの受診の目安と治療法を解説します。

こんな症状があれば受診を

声のかすれや喉の違和感が1～2週間以上続く場合は、声帯ポリープの可能性があるため耳鼻咽喉科を受診しましょう。普通のかぜや一時的な声枯れであれば、声を使わず安静にしていれば多くは1週間程度で改善します。しかし、2週間以上たっても良くならない場合は、声帯ポリープなど器質的な異常が生じているおそれがあります。耳鼻咽喉科での診察を受け、原因を特定してもらいましょう。

声帯ポリープの治療法

声帯ポリープの治療は大きく保存的治療と手術治療に分けられます。患者さんの声の状態やポリープの大きさ・症状の程度に応じて、まずは保存的治療で様子をみて、改善が難しければ手術を検討する流れが一般的です。具体的には以下のような方法があります。

保存的治療

ポリープが小さい場合や症状が軽い場合、まずは手術をせずに経過をみる保存的治療が試みられます。第一に声帯の安静（沈黙療法）が重要です。可能な限り声を出さずに喉を休ませることで、ポリープの縮小や消失が期待できます。 加えて、保存療法では薬物療法を行うこともあります。声帯の炎症を抑えるためにステロイド薬（副腎皮質ステロイド）を短期間用いることで、ポリープ周囲の腫れがひき、創傷治癒を促進することがあります。

手術療法

ポリープが大きかったり、保存療法では改善が見込めない場合、また早期治療を希望する場合には、手術で声帯ポリープを切除します。麻酔下で口から喉頭鏡を挿入し、顕微鏡下でポリープを切除します。手術によるポリープ切除は根治的な治療法であり、多くの場合、手術後は声の通りが改善し嗄声も大幅に軽減します。ただし、ポリープを除去した後も声帯を酷使し続けると新たなポリープが再発する可能性があるため、手術後も適切な声のケアが必要です。

声帯ポリープの治療期間

声帯ポリープの治療に要する期間は、選択される治療法やポリープの状態によって異なります。保存療法の場合、一般的には数週間から数ヶ月程度は経過観察と喉の安静が必要であり、その間は定期的に喉頭内視鏡などで声帯の状態を確認します。保存的に治癒が見込めない場合や、一定期間経過しても改善が乏しい場合には手術治療への切り替えが検討されます。

手術療法の場合、声帯という反射が強い部位の手術になり、基本的に全身麻酔が必要となります。手術自体にかかる時間は短く、多くは1時間以内で終了します。入院期間は病院や症例によりますが、数日以内の短期間入院で行われることがほとんどです。手術当日は麻酔の影響がありますが、手術後の経過が安定すれば早期に退院可能です。術後1週間程度から徐々に発声を再開し、術後約2週間～1ヶ月で日常会話程度の声は安定して出せるようになることが多いです。 手術による傷跡が声帯に完全に落ち着き、声の質が最良の状態に戻るまでには個人差がありますが、おおむね術後2~3ヶ月程度と考えてよいでしょう。声帯は大変デリケートな組織のため、手術後しばらくは無理な発声を避け、医師の指導のもとリハビリや生活上の注意を守ることが大切です。