目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 医科TOP
  3. 三大疾病
  4. がん
  5. 「悪性黒色腫(メラノーマ)が転移」した場合の「余命」は?ステージ別の生存率を医師が解説!

「悪性黒色腫(メラノーマ)が転移」した場合の「余命」は?ステージ別の生存率を医師が解説!

 公開日:2025/06/20
「悪性黒色腫(メラノーマ)が転移」した場合の「余命」は?ステージ別の生存率を医師が解説!

メラノーマと聞くと皮膚の病気という認識の方が多いのではないでしょうか。

転移のないメラノーマは生存率は高いですが、転移すると生存率が大きく下がってしまうことも少なくありません。

本記事ではメラノーマのステージ別の生存率や検査方法、治療方法を解説します。

山本 康博

監修医師
山本 康博(MYメディカルクリニック横浜みなとみらい)

プロフィールをもっと見る
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい院長
東京大学医学部医学科卒業 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医 日本内科学会認定総合内科専門医

悪性黒色腫(メラノーマ)とは?

メラノーマは皮膚がんの一種ですが、皮膚がんにもさまざま種類があり、皮膚メラノーマとそれ以外の基底細胞がん・扁平上皮がん・血管肉腫に大別されます。メラニンをつくる細胞ががん化したものだと考えられており、悪性度の高いがんです。見た目はほくろに似ており、黒く目立つ特徴があります。
紫外線が発症のリスクとなるため、頭部・顔面・頸部・手の甲などの紫外線を浴びやすい部位に発症します。しかし、日本人は足底部に好発することが少なくないです。

悪性黒色腫(メラノーマ)転移による余命

遠隔転移やリンパ節転移の有無、原発巣の大きさなどによって細かく分類されています。メラノーマの転移がほかの皮膚の部位なのかリンパ節なのかによっても生存率が大きく変わるため、一概に何%の生存率とはいえません。
遠隔転移やリンパ節転移がみられない場合、治療してから5年後に生存している確率は70〜90%程度と高いです。

リンパ節に転移すると余命が低くなる

リンパ節に転移した場合、がんがほかの臓器や組織にも広がる可能性が高くなるため、余命が低くなります。リンパ節転移があるかないかはがんの進行度を表す上で重要な指標です。リンパ節に転移があると、リンパ節を伝って遠隔転移を起こす可能性が高いです。

ステージによっては厳しい

リンパ節転移や遠隔転移があった場合ステージ4に分類され、治療法も限られてくるため生存率が下がります。
原発巣と呼ばれる転移するもとになったがんが小さくても、リンパ節転移や遠隔転移のあるステージ4ではメラノーマが全身に広がる可能性があるため、予後が厳しくなります。

転移のない状態だと生存率も高い

リンパ節転移や遠隔転移がない場合、ステージ1または2に分類され、生存率は70〜90%程度と高いです。転移がない場合、原発巣よりも広い範囲の皮膚を切除する手術が推奨されています。外科的手術以外には化学療法を用いた治療法があります。
治療が終了してもメラノーマは5年以内に再発する可能性が高いため、定期的に通院し経過観察が大切です。

悪性黒色腫(メラノーマ)の検査方法

メラノーマの検査方法は以下の3つがあります。

  • ダーモスコピー検査
  • 生検検査
  • センチネルリンパ節生検

3つの検査にはそれぞれ目的や方法が異なり、メラノーマの進行度によっても使い分けられています。

ダーモスコピー検査

ダーモスコピー検査は、顕微鏡で皮膚表面を拡大して観察する検査方法です。顕微鏡で拡大して観察するだけのため痛みがなく、費用が抑えられるので手軽に検査を受けることができます。ダーモスコピー検査では、皮膚表面の色素の観察ができてメラノーマなのか、ほくろなどの身体に影響のないものなのかを診断できます。
しかし、皮膚表面だけを拡大して観察するため、真皮の下のメラノーマの判別はできません。

生検検査

生検検査は、病変の一部を皮膚から切除して顕微鏡で組織を調べる方法です。ダーモスコピー検査でメラノーマなのかそれ以外の組織なのかを鑑別できなかった場合に用いられます。皮膚の一部を切除するため痛みを伴いますが、腫瘍が良性か悪性かの判別も可能です。
メラノーマの一部を切除するとがんが転移しやすくなるという考えもありましたが根拠が乏しく、今では転移する可能性が低いと考えられています。

センチネルリンパ節生検

メラノーマは早い時点でリンパ節に転移する場合が少なくありません。がん細胞から流出したリンパ液が最初に入り込むリンパ節をセンチネルリンパ節といいます。
センチネルリンパ節生検検査には色素法やラジオアイソトープ法などがあり、薬液をがん細胞周囲に注射し、リンパシンチグラフィーで撮影してリンパ節への転移の有無を調べる検査方法です。組織を生検し、がん細胞が発見できなければリンパ節への転移の可能性はほとんどないと推察されます。

悪性黒色腫(メラノーマ)のステージ別生存率

メラノーマはリンパ節転移や遠隔転移、原発巣の大きさなどの指標によってステージが分けられています。ステージ分類はがんの進行度合いを表していて治療方針を決めるうえで重要な情報です。ステージによって生存率も変わってくるため、生存率とステージごとにがんがどのような状態なのかも合わせて解説します。

ステージ1

メラノーマのステージ1の生存率は95〜98%と高く、ステージ1はさらにAとBに分類されます。
ステージ1はリンパ節や遠隔転移がなくメラノーマの大きさも2mm以下で小さく、転移がないため、メラノーマを外科的手術で切除する治療が可能です。ステージ1で発見できた場合、早期治療が可能なため生存率が高くなります。

ステージ2

メラノーマのステージ2の生存率は70〜90%程度です。ステージ1よりも生存率は下がりますが、高い傾向にあります。ステージ2は遠隔転移やリンパ節転移がないものの、メラノーマ周囲の組織に浸潤していて広がっている状況です。このまま放っておくと血管やリンパ節にまで浸潤して転移する可能性が高まるため、早期の治療が必要になることが少なくありません。
ステージ2では外科的な手術が主な治療法ですが、化学療法が手術後の補助的な治療で用いられる場合もあります。

ステージ3

メラノーマのステージ3の生存率は40〜70%程度です。ステージ1やステージ2と比べて生存率が下がります。ステージ3からはメラノーマ周囲の組織にだけ浸潤しているのではなく、リンパ節への転移があるからです。リンパ節への転移があるステージ3は原発巣のメラノーマがどのような大きさであれ、リンパ節への転移があった場合ステージ3に分類されます。
リンパ節に転移した場合、リンパ節を伝って全身に広がる可能性が高いです。リンパ節転移はセンチネルリンパ節生検で検査して確認します。ステージ3も外科的手術がメインですが補助的に化学療法を用います。

ステージ4

メラノーマのステージ4の生存率は15〜20%程度です。ステージ4ではリンパ節転移に加えて遠隔転移している状態を指します。
遠隔転移していると治療が難しくなり、生存率が下がりますが近年、新しい薬物療法が出てきて生存率が改善しつつあります。全身に転移した場合、外科的手術は困難になるため、薬物療法が主流で放射線治療も選択肢の1つです。

メラノーマの転移による余命についてよくある質問

ここまでメラノーマの余命・検査方法・生存率などを紹介しました。ここでは「メラノーマの転移による余命」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

メラノーマは再発しやすい病気ですか?

山本 康博医師山本 康博(医師)

メラノーマは再発しやすい病気です。特に手術後5年以内の再発が多いです。また、進行も早いため、一度メラノーマになると転移やリンパ節転移を起こす可能性があります。転移した場合、再発のリスクも高まります。メラノーマをきれいに切除したとしても再発しない保証はありません。そのため、定期的な経過観察が重要です。

メラノーマの好発年齢はありますか?

山本 康博医師山本 康博(医師)

メラノーマは50歳以上の方に好発します。メラノーマを発症する誘因に外的刺激や紫外線があります。加齢により、細胞修復能力の衰え・免疫機能の低下・ホルモンバランスの変化などの影響も加わり、がん化しやすくなるからです。

編集部まとめ

本記事ではメラノーマに関する生存率や検査方法、治療法を解説しました。

メラノーマは転移がない場合、生存率が高いですが転移がある場合生存率が下がるのが特徴です。

近年、新しい薬物療法によって生存率が上がってきているとはいえ、メラノーマは悪性度の高い病気なので適切で早い治療が大切です。

メラノーマと関連する病気

「メラノーマ」と関連する病気は3個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する病気

皮膚がんは皮膚表面に症状がでるため、臓器のがんと比べると発見しやすいのが特徴です。皮膚がんの種類は多いですが、皮膚のリンパ腫とは区別されます。

メラノーマと関連する症状

「メラノーマ」と関連している、似ている症状は2個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

メラノーマはほくろに似ていることから見過ごされやすい皮膚がんです。しかし、かたちが非対称であったり爪に黒い筋状の線が入り広がったりと特徴的な症状があるので、メラノーマを疑う症状を見つけたら早めに医療機関を受診しましょう。

この記事の監修医師

注目記事