「舌がんができやすい場所」はどこ?”口内炎と見分けにくい初期症状”も医師が解説!

舌がんができやすい場所とは?メディカルドック監修医が初期症状・原因・治療法・リハビリ・セルフチェック法や何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。

監修歯科医師:
手塚 充樹(ヘルシーライフデンタルクリニック)
目次 -INDEX-
「舌がん」とは?
舌がんとは、口腔がんという口腔内で発症するがんの中でも、およそ半数以上を占める舌にできる悪性腫瘍のことです。
舌がんができやすい場所
舌がんは、舌縁(ぜつえん)という舌の側縁にできることが多いです。
舌縁(舌の側面)
舌がんは、舌の横の部分にあたる舌縁に発生する頻度が非常に高いです。特に、奥歯に接している部分などは、歯との接触による刺激を日常的に受けやすいため、注意深く観察する必要があります。
舌がんの前兆となる初期症状
最初は口内炎に似た症状を呈することが多いです。もしくは、前がん病変といわれる、白板症(はくばんしょう)という白くなった状態や、紅板症(こうばんしょう)という赤くつるっとした状態についても今後舌がんに移行する可能性があります。また、扁平苔癬といって、びらんのような粘膜の炎症を起こした状態についても前がん状態といってがんの発症につながる可能性があるので経過観察が必要とされています。
口内炎であれば、ステロイド軟膏や粘膜の炎症を落ち着ける効果のある含嗽剤などで治癒させることが可能です。前がん病変や前がん状態などの、短期間での改善が難しいものについては中長期にわたって、口腔清掃や口腔内の金属アレルギーの対処、含嗽剤の使用などを行いながら経過観察をするケースが少なくありません。
また、適合が悪い義歯(入れ歯)や歯や詰め物・被せものなどが鋭くとがっている箇所がある場合には義歯の調整や丸めるなどして対処します。
症状が気になる場合には、大学病院や地域病院などの歯科口腔外科、もしくは日本口腔外科学会専門医・認定医を標榜している歯科医師、または歯科口腔外科領域の診察経験があり、その領域に長けている歯科医師を受診しましょう。
初期症状が口内炎である場合には、しっかり治癒するまでは受診を続けましょう。
口内炎に似た症状
舌がんの初期は、一般的な口内炎と見分けがつきにくい「赤み」や「小さなしこり」として現れます。通常の口内炎であれば1〜2週間程度で自然に治りますが、2週間以上経過しても治らない、あるいは徐々に大きくなっている場合は、歯科口腔外科を受診し、精査を受けることが重要です。
舌がんの主な原因
歯にとがっている箇所があったり、義歯(入れ歯)の金具が日常的に舌に傷をつけてしまっているような場合に引き起こされるケースが多いとされています。また、アルコールの常飲や喫煙などもリスクとなります。
しかし、発症には複雑な機序(ステップ)がかかわっているため、明らかな原因については不明です。
慢性的な機械的刺激
舌がんの大きな要因の一つとして、とがった歯や適合の悪い入れ歯による、舌への慢性的な刺激が挙げられます。常に同じ場所がこすれて傷ついている状態は、細胞の異常を引き起こすリスクを高めます。痛みを感じる箇所がある場合は放置せず、早めに歯科医院で調整を受ける必要があります。
舌がんの治療法
治療を行う場合には入院設備が必要となることが多いです。そのため、地域の医院ではなく、入院設備を備えた病院に受診することになります。専門の科で、視診や触診、超音波(エコー)検査や、CT検査・MRI検査・PET-CT検査などの画像診断を用いてがんのサイズや進行範囲、ほかの組織への転移の有無などを診断していきます。
主な治療法は外科手術
舌がんの治療においては外科手術が選択されるケースが多いです。そのほかお薬での治療や放射線による治療が選択肢にあります。診療科は、耳鼻咽喉科の頭頸部外科領域を専門とする診療科、もしくは歯科口腔外科の顎顔面領域の口腔がんの診療を専門とする診療科を受診してください。
舌がんに対して外科手術が必要になる場合には、がんの大きさやリンパ節への転移の有無によって治療の対象となる範囲が大きく変わります。舌がんのサイズが2cm以下の小さい場合には部分切除といって、がんの部分から安全域をとって少し大きめに切除する治療法が選択されます。がんの範囲が大きくなるにつれて舌を切除する範囲が大きくなりますので、最大で舌亜全摘、全摘などの広範囲な外科処置、さらには頸部のリンパ節周囲の手術や、必要に応じて前腕部や胸部・腹部などの手術も必要となります。
入院が必要かどうかについては、外科的な治療法、化学的な治療法、放射線を用いた治療法などの選択肢によって変わります。
舌がんの後遺症を軽減するリハビリ
舌がんは口腔領域のがんなので、構音機能(言葉をしゃべる機能)や咀嚼機能(食べ物をすりつぶす機能)などが低下することが多いです。そのため家族や周囲の方はコミュニケーションの方法を工夫したり、食べ物の形状について工夫をしてあげる必要があります。
咀嚼機能や嚥下機能、発音機能のリハビリ
舌がんを治療した後には口腔内の咀嚼機能や嚥下機能、発音機能の回復が必要となる場合が多いため、歯科領域でのリハビリを行うことが一般的です。舌がんの範囲が2cm以下のような比較的小さいがんの場合には、それほどハードなリハビリをする必要がないことが多いです。日常生活をしているうちに慣れていくようにサポートをしていきます。
舌がんの範囲が比較的大きい場合には、がんの切除範囲に歯や骨を含めることがありますので、義歯(入れ歯)やインプラントなどの治療法にて歯を補う治療を行うことがあります。また、舌の切除範囲が大きい場合には、前腕部や胸部、腹部などから筋肉組織や表皮組織などを皮弁(ひべん)という形で採取し、舌の代わりとするような手術を行う場合があります。そういった場合には、移植した舌の代わりとしていくための組織をうまく使いこなせるように、徐々に慣らしていくことになります。
リハビリ時の注意点ですが、がんが発症する要因となりそうな生活習慣(過度な飲酒、喫煙など)は控え、がんの再発や他のリンパ節や組織への転移などを防ぐようつとめることが大切です。
仕事や学校に復帰するまでの期間は、がんの大きさによって治療法やリハビリ方法が大きく異なるため一概にお伝えすることは難しいです。
舌がんのセルフチェック法
舌縁に注目
まずは鏡でご自身の舌を見て、白いできものやふくらみ、真っ赤な部分などがないかどうかを確認しましょう。特に、がんの場合には硬結(こうけつ)といって、コリコリとしたしこりのような状態になることが多いため、そのようなところがないかどうかもチェックしましょう。
舌の特に側縁の奥のほう(舌縁)が好発部位ですのでとくに注意しましょう。
「舌がんの場所」についてよくある質問
ここまで舌がんの場所などを紹介しました。ここでは「舌がんの場所」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
舌がんの見分け方について教えてください。
手塚 充樹(歯科医師)
初期の状態では医師・歯科医師でも見分けることは難しいため、ご自身だけで判断をすることは避けてください。前がん病変のような、視診だけでは見分けを付けることが難しい場合には生検(せいけん)といって、病変の一部を切除して病理組織検査というものを行うと確定診断をつけることができます。現在の状態が、がんになっているのか、もしくはがんに近い状態を呈しているのかがわかります。がんが進行してくると大きく増大して形が変わってきたり、がんの中心部が壊死(えし)してグジュグジュしてきたり、硬結(こうけつ)といって組織が硬くなったりします。
まとめ
以上、舌がんの概要についてお伝えしました。ご自身で「おや?」と気づくことも重要です。一方で、前がん病変や前がん状態などの今後がんに移行するかもしれないような、非常に病態があいまいな場合もありますのでご自身だけでの判断は控えましょう。また、がんの発症は生活習慣とも深く関連しますので、生活習慣で悪習慣と思われるものは正していくよう心掛けることをおすすめします。
「舌がん」と関連する病気
「舌がん」から医師が考えられる病気は5個ほどあります。
各病気の詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
舌がんは進行すると転移する場合もあり、首のリンパ節や肺に転移することもあります。逆に、他臓器のがんが舌に転移することもあり得ます。
「舌がん」と関連する症状
「舌がん」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状の詳細についてはリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
痛みを伴う場合や、硬さやざらつきなどの表面性状が変化する場合、膨らむなど形が変化してくる場合もあります。
参考文献



