目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 医科TOP
  3. 三大疾病
  4. がん
  5. 「咽頭がん」を発症するとどこに「痛み」を感じる?【医師監修】

「咽頭がん」を発症するとどこに「痛み」を感じる?【医師監修】

 公開日:2024/12/11
「咽頭がん」を発症するとどこに「痛み」を感じる?【医師監修】

咽頭で発生したがんは、隣接する器官に影響を及ぼし、さまざまな症状を引き起こします。

体内のどの部位にがんが発生しても、共通して起こる可能性があるのが痛みの症状です。

では、咽頭がんになった場合であっても、痛みは出るのでしょうか。また咽頭がんになると、痛みのほかにはどのような症状が現れるのでしょうか。

本記事では、咽頭がんの発生原因・痛みの有無・その他の症状・早期発見の方法について解説します。

がんによるのどの痛みが気になる方や咽頭がんの症状を知りたい方は、ぜひ参考になさってください。

山本 康博

監修医師
山本 康博(MYメディカルクリニック横浜みなとみらい)

プロフィールをもっと見る
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい院長
東京大学医学部医学科卒業 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医 日本内科学会認定総合内科専門医

咽頭がんとは?

のどは、口腔・鼻腔・食道・気管などをつなぐ空気と食物の通り道です。
のどは咽頭と喉頭の2つの部位でできており、なかでも咽頭は、上咽頭・中咽頭・下咽頭の3つに分けられます。これらの部位は複雑に作用して、呼吸・発声・嚥下などの重要な働きを行っています。
咽頭がんとは、その名のとおり咽頭にできたがんです。咽頭がんは、がんができた部位に合わせて上咽頭がん・中咽頭がん・下咽頭がんに分けられます。

咽頭がんの発生原因

咽頭がんの発生に関わる要因は、飲酒・喫煙です。
少量の飲酒で顔が赤くなったり、吐き気・動悸・眠気・頭痛が起きたりすることをフラッシング反応といい、この体質を持つ人をフラッシャーと呼びます。フラッシャーは、アルコールからできるアセトアルデヒドの分解が遅い体質です。
基本的に飲酒によって不快感を感じる方が少なくないため、フラッシャーの大酒家は少ない傾向にあります。しかしフラッシャーであっても、長年飲酒を続けると耐性を得て不快感を覚えにくくなります。
しかしフラッシャーの継続的な飲酒は、食道・咽頭の発がんリスクを高める原因です。またその他に、発生部位によって異なる原因もあります。上咽頭がんはEBウイルス、中咽頭がんはパピローマウイルスへの感染が、がんの発生に関与するとされています。

咽頭がんで痛みは出る?

咽頭がんになるとさまざまな症状が起こる可能性がありますが、痛みが出る方は少なくありません。ここでは咽頭がんによって起こる痛みの症状について解説します。

初期は痛みが出ないことも多い

咽頭がんの初期は、それ程強い症状が出ないことも珍しくありません。
初期の咽頭がんの方のなかには痛みが出ない方もおり、痛みがあっても軽い痛みのみで経過する方もいます。

進行すると咽頭痛の症状が出てくる

咽頭がんは、進行してがんが大きくなると咽頭痛の症状が出やすくなります。また、がんが食道近くの咽頭にできた場合には、嚥下時に痛みを感じる方もいます。

咽頭がんの症状

咽頭は、鼻腔・口腔・気管・食道など、複数の器官に隣接している部位です。
そのため咽頭にがんが発生すると、隣接する部位にもさまざまな症状を起こすことがあります。また上咽頭・中咽頭・下咽頭のなかで、どの部位にがんが発生するかによって起こる症状が異なる特徴があります。
ここでは、咽頭がんによって起こる症状について解説します。

のどの違和感

咽頭がんが発生するとのどの違和感が症状として現れることがあります。この症状は、ほかの症状と比べて咽頭がんの初期から自覚されやすい症状の一つです。

食事の通りにくさ

咽頭がんが食道の入り口付近に発生・進行し、がんが大きくなることで食事の通りにくさを感じる方もいます。このような場合、飲み込みにくさと合わせて嚥下時に痛みを感じることも少なくありません。

息苦しさ

咽頭がんが大きくなると空気の通り道であるのどが狭くなるため、息苦しさを感じる方がいます。

片側の耳閉感

上咽頭がんでは、耳管という耳と鼻をつないでいる管が詰まってしまい、片側の耳が詰まった感じ(耳閉感)を感じることがあります。

鼻づまり・鼻血

鼻づまりや鼻血は、上咽頭がんの影響で起こる症状の一つです。上咽頭は、鼻腔の奥にあり咽頭のなかでも上部に位置しています。そのため上咽頭がんが発生すると、鼻づまり・鼻血・鼻水に血液が混ざったものが出るなどの鼻の症状が現れることがあります。

片側の扁桃の腫れ

中咽頭がんでは、片側のみ扁桃に腫れが起こったことをきっかけにがんが発見されることもあります。

声のかすれ

下咽頭がんでは、声がかすれる症状がでることがあります。これは咽頭がんが、声帯やその周辺の組織に影響を及ぼすために起こる症状です。また、がんが言語機能に関連する筋肉・神経に影響すると発話が不明瞭になったり、話しにくくなったりという症状がみられることもあります。

首のしこり

咽頭がんが首にしこりと触れる場合には、腫瘍が成長している可能性があります。また、咽頭がんが頸部のリンパ節へ転移した場合には、転移したリンパ節の部分にしこりとして触れることがあります。

咽頭がんの痛みについてよくある質問

ここまで咽頭がんの発生要因・痛みの有無・症状などを紹介しました。ここでは「咽頭がんの痛み」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

風邪によるのどの痛みと咽頭がんの痛みを見分ける方法はありますか?

山本 康博医師山本 康博(医師)

風邪によるのどの痛みと咽頭がんの痛みは、どちらも痛む場所が同じであるため起こっている症状から見分けるのは難しいとされています。これらの痛みを見分けるポイントは、痛みが続く期間です。一般的に風邪によるのどの痛みが起こっている場合には、罹患して2週間以内に症状が改善していくことがほとんどです。一方、咽頭がんによる痛みは、2週間以上経っても改善されず、その後も継続して症状が続くという特徴があります。また、場合によっては、経過とともに痛みが徐々に強くなっていくこともあります。このような症状がみられた場合には、咽頭がんの可能性があるため、医療機関へ相談しましょう。

咽頭がんを早期発見する方法はありますか?

山本 康博医師山本 康博(医師)

咽頭がんの初期は強い症状が出にくいこともあり、早期発見がしにくい状態です。しかしがんの早期発見には、初期症状に早期に気付くことが重要になります。咽頭がんの早期発見は、その後の治療成果を向上させます。あらゆる部位に発生するがんは、早期発見のために検診が大きな役割を果たしています。例えば乳がんや子宮がんは目的となる病気の定まった検診が行われますが、咽頭がんの発見だけを目的としたがん検診はありません。もし初期症状がみられた段階で初期の咽頭がんが発見できれば、治療の選択肢は広がって生存率の向上にもつながります。そのため、気になる症状が出たときには、速やかに医療機関で診察を受けることをおすすめします。

編集部まとめ

咽頭がんは、さまざまな症状が起こる可能性がある病気です。

がんができた部位によって上咽頭・中咽頭・下咽頭がんに分けられ、それぞれ現れる症状が異なります。

しかし痛みは、どの部位にできたがんにも共通して現れる可能性のある症状です。

咽頭がんは初期に強い症状が起こりにくい病気のため、早期発見のためには小さな異変も見逃さずに医療機関での診断を受けることが求められます。

咽頭がんについて正しい知識を持ち、気になる症状が見られたときには適切な医療機関で速やかに受診を受けることをおすすめします。

咽頭がんと関連する病気

「咽頭がん」と関連する病気は3個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

悪い生活習慣の影響は、さまざまな部位に発生するがんの発生要因です。がんが発生したとき、体内ではほかの部位も同じく影響を受けているため、異なる部位に同時にがんが発生する可能性があります。この状態を重複がんといい、口腔・咽頭・喉頭・食道は、同時にがんが現れることのある臓器です。またこれらの部位に発生するがんは、喫煙と過度の飲酒という共通の発生要因を持っています。

咽頭がんと関連する症状

「咽頭がん」と関連している、似ている症状は7個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • のどの痛み・違和感
  • 食べ物の飲み込みにくさ
  • 息苦しさ
  • 耳閉感
  • 鼻の違和感・鼻血・鼻づまり
  • 首のしこり・腫れ
  • 声のかすれ

咽頭がんは、のどに限らず隣接している部位の症状も現れる病気です。腫瘍ができた部位によって現れる症状はさまざまであるため、これらの症状のいずれかまたは複数が当てはまる場合には早めに医療機関を受診しましょう。

この記事の監修医師