”高齢者”が「慢性骨髄性白血病」になると進行はどうなる?症状や治療法を医師が解説!

慢性骨髄性白血病は、高齢者でも発症する場合があり、その治療と管理は重要です。
本記事では、高齢者の慢性骨髄性白血病について以下の点を中心にご紹介します!
・慢性骨髄性白血病の診断・検査
・慢性骨髄性白血病の治療
・慢性骨髄性白血病の患者さんの年齢層
高齢者の慢性骨髄性白血病について理解するためにもご参考いただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

監修医師:
山本 佳奈(ナビタスクリニック)
目次 -INDEX-
慢性骨髄性白血病とは?
慢性骨髄性白血病(CML)は、血液中の白血球、赤血球、血小板などを作り出す造血幹細胞に異常が生じ、これらの細胞が過剰に増殖する病気です。
CMLは、遺伝子が作り出すタンパク質が常に活性化し、白血病細胞が増殖する原因となります。
CMLは、慢性期、移行期、急性転化期の3つの段階を経て進行します。
慢性骨髄性白血病の症状
慢性骨髄性白血病の症状は、病気の進行段階によって異なります。
初期の慢性期では、症状が軽微であることが多い傾向にあります。しかし、病気が進行すると、白血球の増加に伴い、脾臓の腫大が起こり、左上腹部の痛みや満腹感を感じることがあります。
また、貧血による倦怠感や息切れ、食欲不振、体重減少なども現れることがあります。病気が進行すると、発熱や関節痛が生じる場合もあります。急性転化期になると、感染症や出血のリスクが高まり、より重篤な症状が現れます。
これらの症状は徐々に進行する場合が多いため、定期的な健康診断や血液検査が早期発見に重要です。
慢性骨髄性白血病の原因
慢性骨髄性白血病の主な原因は、造血幹細胞での遺伝子異常です。
具体的には、9番染色体と22番染色体の一部が相互に入れ替わる転座が起こり、フィラデルフィア染色体と呼ばれる異常な染色体が形成されます。この染色体上でBCR-ABL融合遺伝子が生じ、異常なタンパク質を産生します。
異常なタンパク質は白血球の異常増殖を引き起こし、病気の発症につながります。
放射線被ばくが発症リスクをより高めますが、大多数の患者さんでは明確な原因は特定できません。
慢性骨髄性白血病の診断・検査
いくつかの検査を経て、慢性骨髄性白血病の診断がつけられます。
血液検査
慢性骨髄性白血病(CML)の診断では、血液検査は重要な役割を果たします。
まず、血球検査では、血液中の赤血球、白血球、血小板の数を調べます。
CMLでは、白血球の異常増加が特徴です。好中球や好塩基球の増加が見られ、白血病の疑いが高まります。
次に、生化学検査では、ビタミンB12の値が高くなっていないか確認します。
さらに、分子遺伝学的検査では、BCR-ABL融合遺伝子の量を測定し、CMLに特有の遺伝子異常を確認します。
この遺伝子検査は、診断の補助や治療効果の確認で重要です。
画像検査
慢性骨髄性白血病の診断・検査では、画像検査も重要な役割を果たします。主に腹部超音波検査やCT検査が用いられ、脾臓の腫大を確認するために行われます。
脾臓の腫大は慢性骨髄性白血病の特徴的な所見の一つであり、病気の進行度を評価する上で重要な指標となります。
また、これらの画像検査は、肝臓の腫大や腹水の有無、リンパ節の腫れなど、ほかの臓器への影響を確認するためにも使用されます。
CT検査は、全身の状態を詳細に把握するのに役立ちます。
画像検査は診断時だけでなく、治療経過の観察や効果判定にも用いられ、脾臓のサイズの変化を追跡することで、治療の効果を評価する一助となります。
骨髄検査
慢性骨髄性白血病の診断では、骨髄検査は重要な役割を果たします。この検査では、腰の骨や胸骨から骨髄液を採取し、顕微鏡で観察します。
骨髄検査により、白血病細胞の割合や成熟度、染色体異常の有無を確認できます。
なかでも重要なのは、フィラデルフィア染色体の検出です。9番と22番染色体が転座と呼ばれる構造異常を起こします。
フィラデルフィア染色体と呼ばれる異常な染色体の形成は慢性骨髄性白血病に特徴的で、9番と22番染色体の一部が入れ替わったものです。
また、BCR-ABL融合遺伝子の存在も確認されます。
骨髄検査は診断時だけでなく、治療効果の判定や病気の進行状況の確認にも用いられます。
慢性骨髄性白血病の治療
慢性骨髄性白血病の治療では薬物療法や移植があります。
分子標的薬
慢性骨髄性白血病の治療では、分子標的薬は主要な役割を果たしています。主にチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)と呼ばれる薬剤が用いられます。これらの薬は、BCR-ABL融合遺伝子が作り出す異常なタンパク質の働きを抑制し、白血病細胞の増殖を抑えます。
イマチニブが最初に開発されたTKIでは、現在も第一選択薬として使用されています。
その後、ニロチニブやダサチニブなどの第二世代TKIも登場し、イマチニブに抵抗性を示す患者さんや副作用が強い患者さんに対して使用されています。
これらの薬剤により、長期的な病気のコントロールが可能となり、生存率が大幅に改善しました。
抗がん剤
慢性骨髄性白血病の治療で、抗がん剤は主に分子標的薬が効果を示さない場合や、急性転化期に用いられます。
従来の抗がん剤には、ヒドロキシウレアやブスルファンなどが使用されてきました。これらは白血病細胞の増殖を抑制する効果が期待できますが、正常な血液細胞にも影響を与えるため、副作用が強いのが特徴です。
急性転化期では、急性骨髄性白血病と同様の強力な化学療法が必要となることがあります。この場合、複数の抗がん剤を組み合わせた多剤併用療法が行われ、白血病細胞の急速な減少を目指します。
ただし、多剤併用療法は患者さんの全身状態や年齢を考慮して慎重に選択されます。
抗がん剤治療は、造血幹細胞移植への橋渡しのために重要な役割を果たします。
造血幹細胞移植
造血幹細胞移植は、慢性骨髄性白血病の治療で、若年患者さんや分子標的薬が効果を示さない患者さんに対して考慮される選択肢です。
造血幹細胞移植では、患者さんの異常な造血幹細胞を健康なドナーの造血幹細胞に置き換えることで、病気の根本的な治療を目指します。
移植前には強力な化学療法や放射線療法を行い、患者さんの造血機能を抑制します。
その後、ドナーの造血幹細胞を患者さんに移植し、新しい健康な造血システムを構築します。
慢性骨髄性白血病の患者さんの年齢層
慢性骨髄性白血病(CML)は、主に中高年の方に多く見られる血液のがんです。40~60歳の年齢層で発症する場合が多いとされています。
しかし、CMLは年齢を問わず発症する可能性があり、若年層や高齢者でも診断されることがあります。
高齢者の慢性骨髄性白血病についてよくある質問
ここまで高齢者の慢性骨髄性白血病を紹介しました。ここでは高齢者の慢性骨髄性白血病についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
慢性骨髄性白血病と急性骨髄性白血病の違いを教えてください
山本 佳奈 医師
慢性骨髄性白血病と急性骨髄性白血病は、病気の進行速度と症状の現れ方に大きな違いがあります。
慢性骨髄性白血病は、初期段階では症状が乏しく、ゆっくりと進行し、健康診断などで偶然発見されることがよくあります。
一方、急性骨髄性白血病は、急速に進行し、発熱や貧血、出血傾向などの症状が早期から現れます。
また、慢性骨髄性白血病では、白血病細胞がある程度成熟しているのに対し、急性骨髄性白血病では未熟な白血病細胞が急激に増殖します。
そのため、治療アプローチも異なり、慢性骨髄性白血病では長期的な管理が求められますが、急性骨髄性白血病では迅速かつ強力な治療が必要となります。
慢性骨髄性白血病のステージ分類はありますか?
山本 佳奈 医師
慢性骨髄性白血病(CML)には、固形がんで使用されるようなステージ分類はありません。代わりに、CMLは病気の進行度に応じて3つの病期に分けられます。
まず”慢性期”は、症状が軽微で、白血病細胞がある程度成熟している段階です。
次に”移行期”は、白血病細胞の増加が進み、症状が現れ始める時期です。
最後に”急性転化期”は、未熟な白血病細胞が急激に増加し、症状が顕著になる段階です。
まとめ
ここまで高齢者の慢性骨髄性白血病についてお伝えしてきました。
高齢者の慢性骨髄性白血病の要点をまとめると以下のとおりです。
⚫︎まとめ
慢性骨髄性白血病の診断には血液検査、画像検査、骨髄検査が用いられる
慢性骨髄性白血病の治療法には分子標的薬、抗がん剤、造血幹細胞移植がある
慢性骨髄性白血病は40~60歳の年齢層で発症する場合が多い
慢性骨髄性白血病と関連する病気
慢性骨髄性白血病と関連する病気は8個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法などの詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
血液内科の病気
- 真性多血症
本態性血小板血症 - 原発性骨髄線維症
- 慢性好中球性白血病
- 慢性好酸球性白血病
- 急性骨髄性白血病
- 急性リンパ性白血病
- 慢性リンパ性白血病
具体的な症状や治療法については、担当の医師と相談しましょう。
慢性骨髄性白血病と関連する症状
慢性骨髄性白血病と関連している、似ている症状は10個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
これらの症状が持続する場合、または新たにあらわれた場合、医師の診察を受けることが大切です。
