目次 -INDEX-

  1. Medical DOC TOP
  2. 医科TOP
  3. 三大疾病
  4. がん
  5. 「慢性骨髄性白血病の骨髄移植後」はいつ仕事復帰できる?移植の流れと副作用も医師が解説!

「慢性骨髄性白血病の骨髄移植後」はいつ仕事復帰できる?移植の流れと副作用も医師が解説!

 公開日:2026/04/17
「慢性骨髄性白血病の骨髄移植後」はいつ仕事復帰できる?移植の流れと副作用も医師が解説!

慢性骨髄性白血病(Chronic Myeloid Leukemia:CML)は、発症して数年は症状があまり見られないことが特徴の白血病です。
慢性骨髄性白血病(CML)は、現在の治療の第一選択肢になったイマチニブの開発により、治らない病気ではなくなっています。

しかしイマチニブでは効果が得られない場合の選択肢として重要なのが、造血幹細胞移植です。

ここでは慢性骨髄性白血病(CML)について解説するとともに、造血幹細胞移植について詳しく解説していきます。

武井 智昭

監修医師
武井 智昭(高座渋谷つばさクリニック)

プロフィールをもっと見る
【経歴】
平成14年慶應義塾大学医学部を卒業。同年4月より慶應義塾大学病院 にて小児科研修。平成16年に立川共済病院、平成17年平塚共済病院(小児科医長)で勤務のかたわら、平成22年北里大学北里研究所病原微生物分子疫学教室にて研究員を兼任。新生児医療・救急医療・障害者医療などの研鑽を積む。平成24年から横浜市内のクリニックの副院長として日々臨床にあたり、内科領域の診療・訪問診療を行う。平成29年2月より横浜市社会事業協会が開設する「なごみクリニック」の院長に就任。令和2年4月より「高座渋谷つばさクリニック」の院長に就任。 日本小児科学会専門医・指導医、日本小児感染症学会認定 インフェクションコントロールドクター(ICD)、臨床研修指導医(日本小児科学会)、抗菌化学療法認定医
医師+(いしぷらす)所属

慢性骨髄性白血病とは

慢性骨髄性白血病(CML)は、血液中にある赤血球・白血球・血小板を含む血液細胞のもととなる造血幹細胞に異常が起きることによって発症します。
慢性骨髄性白血病(CML)は、発症してから数年は慢性期といわれるあまり症状の出ない状態が続き、移行期を経て急性転化へと病状が進む白血病です。

慢性骨髄性白血病の骨髄移植

慢性骨髄性白血病(CML)は現在では、慢性期に治療を始めることができれば、イマチニブという薬を使うことで普段と変わらない生活が送れるようになってきています。
症状がほとんどないといわれる慢性期を過ぎ、急性転化を迎えるとイマチニブが効きにくいことが多いため、そこで必要になるのが造血幹細胞移植(骨髄移植)です。

自家造血幹細胞移植

患者さん本人の造血幹細胞を使って治療を行う移植方法です。まず患者さんの造血幹細胞を採取し、凍結保存します。凍結保存した造血幹細胞に大量化学療法を行って移植前処置をし、解凍したものを静脈に点滴することで体に戻します。これは移植前処置によって、白血病細胞を減らすことが主な目的の治療です。
自分の造血幹細胞を使うため、免疫抑制剤の必要がないというメリットがあります。一方で造血幹細胞の採取時に白血病細胞が混入する可能性があり、再発のリスクがデメリットといえます。

同種造血幹細胞移植

白血球の型の合うドナーから造血幹細胞を提供してもらい、移植する治療方法です。まず患者さんに大量化学療法・全身放射線療法などの移植前処置を行います。移植前処置によって白血病細胞を減少させ、免疫機能を抑制することが目的です。移植前処置の後でドナーの造血幹細胞を移植することで、ドナーのリンパ球が白血病細胞を攻撃し、再発を防止します。
この治療によって、急性転化まで進行した慢性骨髄性白血病(CML)や、イマチニブの効果が期待できない慢性骨髄性白血病(CML)の完治を目指します。健康な人の造血幹細胞を移植するため、白血病細胞の混入のリスクはありません。
一方で患者さんの免疫細胞がドナーの血液細胞を攻撃する拒絶反応や、ドナーの免疫が患者さんの臓器を攻撃する可能性があるため、免疫抑制剤を使用する必要があります。また、免疫機能が低下するため、感染症のリスクが高くなります。

造血幹細胞の種類

造血幹細胞を採取するにはいくつかの方法があります。それぞれの採取部位と、採取する際のドナーの負担について解説します。

骨髄

骨髄は骨の中心に位置し、赤血球・白血球・血小板などの血液細胞をつくっています。骨髄のなかにあるのが骨髄液であり、ここに血液細胞をつくる造血幹細胞が含まれます。骨髄液を採取するのは、骨盤の骨から採取するのが一般的です。
骨髄移植は骨髄液を採取するためには全身麻酔が必要であり、採取後に痛みがある点など、ドナーに負担が大きいことがデメリットです。

末梢血幹細胞

通常の状態では骨髄のなかにある造血幹細胞ですが、白血球を増やす薬剤を使用し、造血幹細胞が血液中に出てくる状態をつくります。
この血液に造血幹細胞が流れ出たものが末梢血幹細胞です。ドナーには白血球を増やす薬剤を投与し、その後に採血した血液を血液成分分離装置を使って末梢血幹細胞(造血幹細胞)を採取します。ドナーに全身麻酔は必要ありませんが、白血球を増やす薬剤の投与が必要になります。

臍帯血

臍帯とは一般的にへその緒といわれる部分です。へその緒は母体と胎児をつなぐ管であり、母体から胎児に栄養と酸素を送り、胎児から母体に老廃物や二酸化炭素を送っています。
臍帯血とは、この臍帯や胎盤から採血された血液で、造血幹細胞が多く含まれています。臍帯血は出産の際にしか採血できないですが、ドナーへの負担なく採血が可能です。

造血幹細胞移植の流れ

実際に造血幹細胞を移植する際にはどのような治療が必要なのか。なかなか想像できないという人も少なくないでしょう。ここでは造血幹細胞移植とそれに伴う治療について解説します。

移植前処置

患者さんに強力な化学療法と全身放射線治療の両方を組み合わせて、白血病細胞の死滅を目指します
これによって患者さんの免疫機能も抑制され、移植された造血幹細胞が生着(患者さんの体のなかで新しい血液を作り始めること)できるようになります。

輸注

採取した造血幹細胞を静脈から点滴することで移植します。

生着

移植された造血幹細胞が体のなかで機能し始めること。患者さんの体内で新しく血液が作り始められた状態です。

退院

予後によっては入院期間は変わりますが、退院に必要な期間は、一般的に2〜4ヵ月程度が必要です。退院に必要な容態としては以下の3つの条件があげられます。

  • 患者さんの体のなかで血液がつくられるようになっている
  • 食事がとれるようになり、点滴が不要になっている
  • 大きな合併症がない

退院のためには、体調などの様子を見ながら、食事や運動などのリハビリが必要です。

経過観察

退院しても、数年の通院は必要になります。最初は1週間に1回程度から、予後によって間隔を開けて行くことになります。通院時には、以下のようなチェックを行います。

  • 体温チェック
  • 体重に変化はないか
  • 血圧の測定
  • 薬は飲めているか
  • 食事は取れているか(味覚に異常はないか)
  • 感染症はないか
  • 再発はないか

移植後半年〜1年程度で学校や仕事に復帰する人が多い傾向です。

慢性骨髄性白血病の骨髄移植についてよくある質問

ここまで慢性骨髄性白血病の骨髄移植・造血幹細胞の種類や移植の流れなどを紹介しました。ここでは「慢性骨髄性白血病の骨髄移植」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

造血幹細胞移植にはどのような副作用がありますか?

武井 智昭医師武井 智昭(医師)

移植前処置には強力な化学療法と放射線治療が行われます。化学療法で使用される薬剤の種類によっても起こりやすい副作用は変わりますが、よく見られる症状は以下のようになります。

  • 嘔吐・吐き気
  • 脱毛
  • 口内炎
  • 食欲低下
  • 味覚障害
  • 下痢
  • 貧血
  • 出血
  • 感染症
  • 敗血症

赤血球や血小板が減ることで見られるのが貧血や出血などの症状です。具体的な症状としては、動機・息切れ・倦怠感・頻繁にあざができる・出血が止まらない、などがあり、消化器官や脳に出血が見られる場合は命に関わることもあります。また、免疫力の低下に伴い、感染症のリスクが上がります。その他、頻度は低いけれど可能性のある副作用の症状は以下のような症状です。

  • 急性腎不全など
  • 肝中心静脈閉塞症など
  • 心不全・出血性心筋炎
  • 特発性肺炎症候群など
  • 意識障害
  • 薬剤アレルギー

このような兆候が見られた場合にはすぐにかかりつけ医を受診しましょう。

造血幹細胞移植をする場合の入院期間はどのくらいですか?

武井 智昭医師武井 智昭(医師)

病状や進行具合などにより個人差がありますが、一般的に必要な入院期間は2〜4ヵ月程度です。学校や職場に復帰するまでに必要な期間は、こちらも個人差がありますが、およそ半年〜1年程度と考えましょう。

編集部まとめ

慢性骨髄性白血病(CML)とその造血幹細胞移植について解説してきました。

慢性骨髄性白血病(CML)は発症初期にはあまり症状が見られないため、健康診断などで偶然発見されることも少なくない白血病です。

血液中の白血球の増加から診断につながることが多く、診断には骨髄穿刺が必要です。

しかし近年、慢性骨髄性白血病(CML)は慢性期に発見されれば8年生存率が90%という程治療できる病気になっています。

正しい知識を持ち、早期発見を心がけましょう

慢性骨髄性白血病と関連する病気

「慢性骨髄性白血病(CML)」と関連している、似ている病気は6個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

白血病に関連する疾患

白血病に分類される病気には上記のようなものがあります。急性・慢性など、進行の速さに違いがあったり、原因に違いがあったりします。

慢性骨髄性白血病と関連する症状

「慢性骨髄性白血病(CML)」と関連している、似ている症状は4個程あります。
各症状の詳細についてはリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

慢性骨髄性白血病のサイン

この記事の監修医師