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ユーイング肉腫の予後|検査方法・治療法などを解説

 公開日:2026/02/17
「ユーイング肉腫の予後」は転移でどう変わる?生存率を上げる早期発見のコツも解説!

ユーイング肉腫は、小児期から青年期にかけて、主に骨に発生する腫瘍です。

小児の骨に発生する悪性腫瘍のなかで、骨肉腫の患者さんが一番多く、次いでユーイング肉腫となります。

希少な疾患であるため、治療経験のある医療機関で検査と治療を受けることが重要です。

本記事では、発症した場合の予後、検査方法と治療法を解説します。

松繁 治

監修医師
松繁 治(医師)

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経歴
岡山大学医学部卒業 / 現在は新東京病院勤務 / 専門は整形外科、脊椎外科
主な研究内容・論文
ガイドワイヤーを用いない経皮的椎弓根スクリュー(PPS)刺入法とその長期成績
著書
保有免許・資格
日本整形外科学会専門医
日本整形外科学会認定 脊椎脊髄病医
日本脊椎脊髄病学会認定 脊椎脊髄外科指導医
日本整形外科学会認定 脊椎内視鏡下手術・技術認定医

ユーイング肉腫とは?

小児期や青年期(主に10歳代)の骨や軟部組織に発生する肉腫で、ユーイング肉腫ファミリー腫瘍(Ewing’s sarcoma family of tumors:ESFT)とも呼ばれています。
類似疾患も含め、日本での発症数は年間100人未満の希少な疾患です。

幼児や若い層がかかるがん

ユーイング肉腫は、骨肉腫に次いで2番目に多い小児の骨腫瘍です。患者さんのうち70%が、20歳までに発症します。30歳以上の患者さんはまれです。

病巣部分の痛みが特徴

症状として多いのは、病巣部分の痛みや腫れです。発熱を伴うこともあります。
骨盤に発症した場合、しこりを手に触れて感じることがないため、診断が遅れることもあります。
また、胸部に発症した場合も注意が必要です。胸に水がたまり、腫瘍が広がる胸膜浸潤を合併する可能性があるからです。
発症部位によっては、足が動かしにくくなり排尿障害が起こることもあります。
10歳代では、成長やスポーツ障害でも痛みが生じるため、症状だけで肉腫と診断することはできません。

骨や神経といった非上皮組織にできる

がんは粘膜や皮膚などの上皮組織に発生しますが、肉腫は骨・軟骨・筋肉・神経などの非上皮組織に発生する悪性腫瘍です。
肉腫が発生する場所は、四肢(大腿骨・上腕骨・腓骨・脛骨など)が41%・骨盤25%・肋骨12%です。
ユーイング肉腫の多くは、骨の端ではなく真ん中寄りである骨幹部に発生します。

ユーイング肉腫の予後とは?

この病気には限局性と転移性の2つの病期があり、限局性は腫瘍が原発部位または領域リンパ節を越えて広がっていない場合で、転移性は遠隔部に転移がある場合をいいます。
転移の有無で、予後は大きく異なります。転移のない限局性の生存率は高いですが、転移がある場合は予後不良です。

転移がないときの生存率は高い

遠隔転移のないときの5年生存率は約70%です。治療が適切に行われれば、生存率は高いとされています。
しかし、遠隔転移がある場合の5年生存率は20%以下であり、予後は不良です。

再発後の予後は不良の場合がみられる

再発したユーイング肉腫の予後は不良であり、 5年生存率は15%程度です。
再発例には確立された標準的な化学療法はなく、放射線治療や外科療法を組み合わせて行います。再発時には化学療法への抵抗性が強くなります。

ユーイング肉腫で実施する検査方法

ユーイング肉腫が疑われた場合、腫瘍の場所と大きさを確認するために行われるのが、X線検査・CT検査・MRI検査などの画像診断です。
また、病巣の一部を採取し、組織を詳しく調べる生検も必要です。
ユーイング肉腫のゲノム解析では、複数の染色体構造異常によるEWS-FLI1やEWS-ERGなどの融合遺伝子が高頻度で検出され、これが腫瘍の主な原因と考えられています。

画像検査

肉腫の診断のために、X線・CT・MRI・骨シンチグラフィー・PETなどの画像検査が必要です。
X線所見では、骨膜反応として弓状の反応性骨形成(オニオンピール)が特徴的にみられます。
肺への転移を調べるためにCT検査が行われ、別の骨への転移を調べるために骨シンチグラフィー検査が行われます。PET検査では、がん細胞の有無・場所・大きさの診断が可能です。

病理検査

生検は針を刺して組織を採取しますが、骨の肉腫の場合には正確な診断のために、手術により組織を採取した方がよいとされています。
採取した組織について、免疫組織化学的染色を行い、診断を確定します。
しかし、これだけでは診断が困難な場合があり、その場合は分子生物学的検索を行い融合遺伝子の検出による診断確定が必要です。

血液検査

ユーイング肉腫では、血液検査で特徴的な異常は認められませんが、LDH(血清乳酸脱水素酵素)の軽度な上昇や血沈(赤血球沈降速度)の上昇がみられる場合があります。
また、診断に有効な腫瘍マーカーもありません。

ユーイング肉腫の治療法

ユーイング肉腫の治療は、外科療法・放射線治療・薬物療法を組み合わせて行います。抗がん剤による治療(化学療法)を行い原発巣の腫瘤を縮小し、その後、外科治療や放射線治療を組み合わせて行う治療が標準的です。

外科療法

肉腫の発生部位が四肢の場合は手術を行いますが、脊椎といった部位は手術が難しい場合もあります。
外科療法では腫瘍細胞を取り残さないために、腫瘍とその周囲の正常な組織(骨や筋肉)も一緒に切除(広範切除)しなければなりません。
可能な限り四肢を温存する手術(患肢温存術)を行いますが、腫瘍が神経や血管を巻き込んでいる場合は、切断が必要になることもあります。
四肢を温存できた場合でも、人工関節や自分の骨を再利用する再建術が必要になることも少なくありません。

放射線治療

ユーイング肉腫は放射線が効果的とされています。脊椎や骨盤に発生し手術ができない場合は、放射線照射を行うこともあります。
放射線治療を行う場合は、照射部位・手術での切除範囲・抗がん剤の効果などにより、照射線量を変更しなければなりません。

薬物療法

薬物療法の進歩により、治療成績も改善しています。外科療法と放射線治療を組み合わせた集学的治療が重要です。
現在使用可能な薬剤はドキソルビシン・シクロホスファミド・ビンクリスチン・イホスファミド・エトポシド・アクチノマイシンの6剤があります。
また、骨や骨髄への転移が認められた場合、大量化学療法を併用した造血細胞移植が行われることもあります。

ユーイング肉腫の予後についてよくある質問

ここまでユーイング肉腫の予後、検査方法と治療法などを紹介しました。ここでは「ユーイング肉腫の予後」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

ユーイング肉腫は再発しやすいですか?

ユーイング肉腫は再発リスクが高い腫瘍で、治療後3年以内に再発する場合が多いですが、まれに15年以上経過してから再発することもあります。このため治療終了後3年間は2〜3ヵ月ごと、その後5年までは6ヵ月ごと、それ以降は少なくとも1年に1回の経過観察が必要です。

ユーイング肉腫の寛解は望めるでしょうか?

ユーイング肉腫の寛解は望めます。遠隔転移がない場合、5年生存率は約70%です。転移の有無が、予後に大きく関わります。ほかにも予後不良因子として以下があげられます。
  • 腫瘍が領域リンパ節を越えて広がり、転移がある
  • 骨盤や肋骨などの体幹に発症している
  • 腫瘍容積が100mL以上
  • 年齢が15歳以上
  • 診断時から2年以内に再発している

3〜5年の無病生存率は、局所例では70%前後、転移例では20%前後です。

編集部まとめ

ユーイング肉腫は、小児期から青年期にかけて、主に骨に発生する腫瘍です。

転移がない場合は、5年生存率は約70%と報告されています。しかし、転移がある場合は、5年生存率は20%以下にまで下がります。

ユーイング肉腫は、初期の段階の診断が重要です。

足の痛みから整形外科を受診し、レントゲン検査やCT、MRI検査をするだけでは診断ができません。生検や遺伝子診断が必要となります。

成長期の痛みだと放置せず、気になる症状がある場合は、早めの受診をおすすめします。

ユーイング肉腫と関連する病気

「ユーイング肉腫」と関連する病気は、3個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する病気

  • 未分化神経外胚葉腫瘍
  • アスキン腫瘍

ユーイング肉腫と神経外胚葉腫瘍、アスキン腫瘍は、共通の遺伝子異常を持つことがわかっています。この3疾患は同じ仲間の病気として、ユーイング肉腫ファミリー腫瘍(ESFT)と呼ばれています。骨肉腫とユーイング肉腫は、どちらも小児に発生する骨腫瘍です。

ユーイング肉腫と関連する症状

「ユーイング肉腫」と関連する症状は、3個程あります。
各症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

症状が痛みのみの場合、成長痛やスポーツによる痛みと誤認されることもあるため、注意が必要です。発熱といった症状が伴う場合は、すぐに受診しましょう。

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