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進行が早い「肺がん」はどのタイプ? ”4つの種類の特徴”と主な症状を医師が解説!

 公開日:2026/02/12
進行が早い「肺がん」はどのタイプ? ”4つの種類の特徴”と主な症状を医師が解説!

がんは細胞が持つ特徴により、いくつかの種類に分けられます。がんの種類は、がんの進行速度や治療効果を予測するうえでとても大切な要素です。今回の記事では、肺がんにはどのような種類の組織型があるのか、種類によってどのような違いがあるのかを中心に解説していきます。

武井 智昭

監修医師
武井 智昭(高座渋谷つばさクリニック)

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【経歴】
平成14年慶應義塾大学医学部を卒業。同年4月より慶應義塾大学病院 にて小児科研修。平成16年に立川共済病院、平成17年平塚共済病院(小児科医長)で勤務のかたわら、平成22年北里大学北里研究所病原微生物分子疫学教室にて研究員を兼任。新生児医療・救急医療・障害者医療などの研鑽を積む。平成24年から横浜市内のクリニックの副院長として日々臨床にあたり、内科領域の診療・訪問診療を行う。平成29年2月より横浜市社会事業協会が開設する「なごみクリニック」の院長に就任。令和2年4月より「高座渋谷つばさクリニック」の院長に就任。 日本小児科学会専門医・指導医、日本小児感染症学会認定 インフェクションコントロールドクター(ICD)、臨床研修指導医(日本小児科学会)、抗菌化学療法認定医
医師+(いしぷらす)所属

肺がんとは?

鼻やお口から取り込まれた空気は、気管という管をとおり、さらに枝分かれした気管支を経て肺胞という袋状の器官に運ばれます。この気管支や肺胞の細胞ががん化する病気が肺がんです。
2020年の統計では、年間で新たに肺がんと診断された人数(罹患者数)は123,418人であり、日本では大腸がんに次いで罹患者数の多いがんといえます。
一方、同じく2020年の統計において肺がんによる死亡者数は75,585人であり、全がんのなかで最多となりました。

肺がんの種類

肺がんには、がん細胞のタイプ(組織型)によってさまざまな分類があります。しかし、そのなかでほかの組織型のがんと治療方法の選択肢に差があるのが、小細胞がんとよばれるタイプです。
そのため、肺がんの治療方法を考えるうえでは、小細胞がん・非小細胞がんという2つのグループに分類することがあります。

小細胞肺がん

小細胞肺がんは、非小細胞肺がんと比べると転移しやすい傾向があるといわれるがんです。進行の程度によって限局型と進展型に病期が分類され、この病期によって治療方法の選択肢も変化します。
例えば、限局型の場合は肺がんステージの2A程度までであれば、手術も選択肢となります。なお、非小細胞肺がんであればステージが2B・3Aまでが手術を第一選択とするステージの目安です。
一方、進展型ではこれよりも早い段階でも全身状態から手術による切除が難しいと判断されて、薬物療法や放射線療法を優先することがあります。

非小細胞肺がん

小細胞がん以外の組織型を持ったがんを総称して非小細胞肺がんといいます。
さまざまな組織型のがんが含まれるため細かい特徴はそれぞれ異なりますが、非小細胞肺がんは基本的に小細胞肺がんよりも増殖が遅く転移しにくいタイプです。
そのため、小細胞肺がんよりも手術を適応できる可能性が高いがんともいえるでしょう。

肺がんの組織型分類

ここまで紹介した分類は、肺がんの組織型をもとに、さらに大きく2つのグループに分けたものです。
では、肺がんの組織型にはどのようなものがあるのでしょうか。今回は、肺がんのなかでも主流となる4つの組織型を紹介します。

腺がん

腺がんは気管支の末端に発生しやすいがんで、肺がん全体の半数以上を占める組織型となっています。肺がんの罹患者数が増加するなかで、特に腺がんの患者さんは増加傾向にあります。
また、喫煙習慣がない方や若年層にも発症するという点でも注目されているがんといえるでしょう。

扁平上皮がん

扁平上皮がんは肺がんのうち約3割を占めています。扁平上皮(へんぺいじょうひ)とは、肺に限らず消化器や女性生殖器など、中が空洞になっている器官の内側を覆う粘膜にある細胞です。
扁平上皮がんの特徴として、気管が肺につながっている部分(肺門)に好発し、喫煙の影響を受けやすいことが挙げられます。ただし、近年は肺門だけでなく肺野での発生頻度も増加傾向にあるようです。
なお、扁平上皮がんは腺がんや大細胞がんとは薬剤への反応が異なります
そのため、非小細胞がんに分類される細胞型を、さらに扁平上皮がん・非扁平上皮がんの2グループに分けるとする分類方法もあります。

大細胞がん

大細胞がんは気管支の末端に発生しやすく、肺がんのうち5%程を占める細胞型です。
腺がんや扁平上皮がんとしての性質をもたない悪性腫瘍であり、薬物療法・放射線療法の効果が出にくく進行が速い細胞型といわれています。

小細胞がん

小細胞がんは神経内分泌腫瘍の1つであり、肺がんのなかでは1割程を占めています。扁平上皮がんと同じく、特に喫煙習慣と発症率の関連性が高いがんといわれています。

肺がんの症状

肺がんにはさまざまな組織型があることを紹介してきましたが、実際に肺がんに罹患した場合どのような症状が現れるのでしょうか。
今回は肺がんの患者さんが自覚する代表的な症状を紹介しますが、目立った症状は現れない可能性も高いことや、ほかの呼吸器疾患でも現れる症状である点には留意してください。

肺がんは初期症状が現れにくい病気ですが、症状のなかで早期に現れやすいのが咳です。肺がんの患者さんの咳はゴホゴホという低い咳ではなく、コンコンという高い音の咳が出やすいといわれています。
しかし、咳は幅広い呼吸器疾患の患者さんにみられる症状であり、肺がんの患者さんでも湿った低い咳の場合もあります。
そのため、咳が2~3週間以上続いたり徐々にひどくなったりといった症状があれば、まずは医療機関で検査を受けるのがおすすめです。

痰・血痰

痰そのものは健康な方でも出ることがありますが、肺がんの場合は組織が傷つき血の混じった痰がよくみられます。
ただし、透明に近い痰に血性の痰が少しだけ混ざる場合も多く、よく見なければ気付かないかもしれません。
また、肺がんの患者さんでも血痰ではなく感染症のときのような黄色がかった膿性の痰がみられることもあります。
特に、喫煙習慣がある方は健康でも痰がでることも多く、肺がんの症状として痰がでても気付きにくい場合もあるでしょう。

胸の痛み

肺がんにより胸の痛みを感じることもありますが、胸部付近の痛みは呼吸器疾患に限らず循環器疾患や消化器疾患など、幅広い領域の疾患でみられます。
また、肺がんの症状のなかには、胸の痛み以外にも全身倦怠感・手のしびれなど肺がんが原因とイメージしにくい症状もあるため注意が必要です。
なお、肺がんで痛みを感じる場合は病状が進行している可能性があります。

息苦しさ・動悸

肺がんが進行すると、腫瘍により空気のとおり道が狭くなったり、胸水が溜まったりすることにより息苦しさをおぼえる患者さんもいます。
また、動悸と聞くと心疾患に関連した症状というイメージがあるかもしれません。しかし、酸素は血液により体内の各所に運ばれているため、酸素が足りないと多くの酸素を運搬しようと心拍数が増えて動悸を感じる方もいます。
その他、循環に関わる症状として肺がんが大きくなったりリンパ節に転移すると、心臓に戻る血液の流れが滞り顔や上肢のむくみが現れることもあるでしょう。

発熱

肺がんに限らず、がんになると抵抗力の低下や炎症により発熱する場合があります。
また、肺がんの患者さんは腫瘍により気管支が狭くなり、閉塞性肺炎を併発して発熱している可能性もあるため注意が必要です。
今回は、どの種類の肺がんにも見られる可能性がある少女運を中心に紹介しました。
このほかにも、小細胞がんではランバート・イートン筋無力症候群を併発することで下腿を中心とした筋力低下がみられるなど、肺がんの種類ごとに特有の症状もあります。

肺がんの種類についてよくある質問

ここまで、肺がんの分類や主な症状などを紹介しました。ここでは「肺がんの種類」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

一番多いのはどの組織型の肺がんですか?

肺がんのなかで特に多い組織型は、腺がんです。前述のとおり肺がん全体の半数以上を占め、近年は増加傾向にあります。次に多い組織型は扁平上皮がんで全体の約3割を占めますが、喫煙者の減少に伴い減少傾向にある細胞型です。

小細胞肺がんと非小細胞肺がんの進行速度の違いを教えてください。

小細胞がんは、前述のとおり細胞の増殖が速く転移しやすい細胞型であり、進行速度が速いといえます。早期発見が難しく診断を受けたときにはすでに進行していることも珍しくありません。一方の非小細胞肺がんは、小細胞がんと比べると細胞の増殖は遅い場合が多く転移しにくいといわれています。しかし、非小細胞がんのなかでも大細胞がんは増殖が速い傾向があり、また腺がんのなかにも早期の段階で転移するがんもあります。

編集部まとめ

ひとくちに肺がんといっても、がん細胞の組織型によって好発部位や増殖の速度などには違いがあります。

そのため、組織型を調べることは肺がんの予後や効果の出やすい治療を予測することに役立つといえるでしょう。

ただし、実際には同じ分類のなかでも異なる経過をたどるものもあります。

実際の治療では、組織型以外の検査結果や治療の効果も確認し、主治医と話し合いながら治療方針を決めていくことが大切です。

肺がんと関連する病気

「肺がん」と関連する病気は2つ程あります。
各病気の症状や原因など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 肺気腫
  • 慢性気管支炎

肺気腫や慢性気管支炎は慢性閉塞性肺疾患とも呼ばれ、罹患することで肺がんの発症リスクが高まるといわれています。

肺がんと関連する症状

「肺がん」と関連する症状は6つ程あります。
各症状から考えられる病気や原因など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

これらの症状は肺がんの代表的な症状ですが、ほかの呼吸器疾患でもみられます。気になる症状があれば、まずは医療機関を受診し検査を受けることをおすすめします。

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