見逃しやすい「口唇がん」と口内炎の”見分け方”とは?早期発見のコツも医師が解説!

口唇がんの症状をご存じでしょうか。
口唇がんはあまり聞き慣れない病名かもしれませんが、これは口腔がんの一種です。口腔がん自体の発生率は、すべてのがんのなかで1〜3%と大変少ないため、あまり知られていないかもしれません。
口腔がんは、目で直接確認できる部位に発生するため早期発見が可能ですが、一般的な認知度が低く見逃されやすい病気でもあります。
この記事では、そのなかでも特に口唇がんに焦点を当て、その症状や治療法について解説します。

監修歯科医師:
中嶋 麻優子(歯科医師)
目次 -INDEX-
口唇がんとは?
口唇がんは、口唇の表面にある扁平上皮細胞が変異し、がん化する病気です。統計的に、女性よりも男性の方がかかりやすく、特に50代以降に発症しやすい傾向があるがんです。
原因はまだ明確には解明されていませんが、飲酒・喫煙・炎症・ヒトパピローマウイルス(HPV)、および口腔内の不衛生が関与しているとされています。そのなかでも喫煙は発がん性物質を多く含んでおり、喫煙者は非喫煙者に比べて約5.2倍の確率でがんを発症するといわれています。
また、飲酒者も非飲酒者に比べて、がんの発症率は約3.8倍です。さらに、喫煙と飲酒の両方を行っている場合は4.1倍のリスクがあるとされています。検査方法としては、身体診察・内視鏡検査・生検・剥離細胞診などがあります。
身体診察とは、医師が口唇を直接触診することです。内視鏡検査では、がんが転移している可能性のあるリンパ節を観察し、組織サンプルを採取します。剝離細胞診では、口唇から脱脂綿やブラシを用いて細胞をこすり取り、サンプルを採取します。
内視鏡検査や剝離細胞診で採取されたサンプルにがんの徴候がないかどうかを確認するのが生検です。さらに、転移が疑われる場合には、MRI・CT検査・食道造影・PETスキャン・骨スキャンなどの検査も行われることがあります。
口唇がんの見分け方は
症状としては、口唇に潰瘍ができたり、硬い塊に触れたりすることが挙げられます。また、口唇の色が変化したり、痛みを感じたりすることもあります。これらの症状が2週間以上経過しても改善しない場合は、注意が必要です。
唇にただれや潰瘍ができる
唇の粘膜がただれたり、潰瘍ができたりする場合は、がんの可能性があります。
唇に硬いしこりができる
この症状は、一見すると口唇ヘルペスのように見えることもありますが、がんの兆候である場合があります。
唇から出血がみられる
がんが進行すると、唇から出血が見られることがあります。
唇の色が変わる
通常、唇の粘膜はピンク色ですが、白色・紅色・黒色に変化した場合は注意が必要です。
唇に痛みやしびれがある
病期が進行すると、痛みやしびれが現れることがあります。
口唇がんを早期発見するポイント
口唇がんは、自分の目で確認できるがんです。定期的に口腔内のセルフチェックを行い、早期発見に努めましょう。異常を見つけた場合は、すぐに病院を受診することをおすすめします。
月に1回セルフチェックを行う
お口の中のトラブルを早期に発見するためには、健康な状態の口腔内をしっかりと把握しておくことが重要です。月に1回はセルフチェックを行う習慣をつけましょう。以下の方法を参考にしてください。
- まず明るい場所でチェックできるよう環境を整え、大きな鏡を準備します。この際、お口のなかを引っ張ったり、指で触れたりするため、両手が使えるように自立型の鏡が適しています。
- お口のなかを正確に確認できるように入れ歯を外しておきましょう。
- 上下の口唇を確認します。このときに、口唇の内側も忘れずに観察しましょう。内側が見えにくい場合は、優しく引っ張って確認します。
ここまでが口唇がんのセルフチェック方法です。さらに、頬を引っ張って内側を観察したり、舌を触ってしこりや肥大がないか確認したり、歯肉の表裏を観察することで、口腔がんのセルフチェックも行うことができます。ぜひ、これらも含めてチェックするようにしましょう。
なかなか治らないただれやしこりに注意する
口唇にしこりやただれがあっても、「治るだろう」と放置するのは大変危険です。2週間以上経過しても治らない場合は、早めに病院を受診することをおすすめします。受診する科は、耳鼻咽喉科や歯科口腔外科、頭頸部外科が適切です。
口唇がんの治療方法
治療方法にはさまざまな選択肢がありますが、病期によって適切な治療方法が異なります。Ⅱ期までは、手術や放射線療法に加えて、外照射療法や内照射療法が選択されることが多いです。Ⅲ期では、すべての治療方法の中から、適切なものを医師が提案してくれるでしょう。Ⅳ期になると、放射線療法や薬物治療が主な選択肢となることが一般的です。各術式の概要は以下のとおりです。
手術
口唇がんでは、病期に関わらず手術が一般的に行われます。手術は、広範囲局所切除術・頸部郭清術・形成手術の3つに分かれます。
広範囲局所切除術では、がんとその周囲の正常組織の一部を切除します。頸部郭清術は、がんが口唇だけでなく外部にまで広がっている場合に行われる手術です。形成手術は、がんを切除するだけでなく、外観の改善を目的とした手術です。
薬物療法
薬剤を用いてがん細胞を殺傷したり、細胞分裂を妨げたりする治療法です。これにより、がん細胞の増殖を抑制することができます。薬物の投与方法には、経口投与と静脈内や筋肉内への注射があります。
放射線治療
放射線療法は、がん細胞を死滅させたり、増殖を阻止したりするための治療法です。放射線療法には外照射療法と内照射療法がありますが、口唇がんの場合には主に外照射療法が行われます。転移が認められる場合には、内照射療法が適用されることがあります。
これは、針やカテーテル、ワイヤーなどに放射性物質を入れ、がん組織の内部や周辺に直接留置する方法です。また、放射線量の照射方法についても一度に全照射線量を照射する方法と、全照射量を少量ずつに分割し1日1回よりも短い間隔で照射を行う多分割放射線療法という方法があります。
口唇がんの見分け方についてよくある質問
ここまで口唇がんの症状・治療方法などを紹介しました。ここでは「口唇がんの見分け方」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
口唇がんの初期は症状が出にくいですか?
初期段階では、病変部位が白色に変色したり、しこりが触れたりすることがありますが、痛みや出血を伴うことはほとんどないといわれています。
リンパ節に転移した場合どのような症状が出ますか?
転移したリンパ節の部位によって症状は異なります。例えば、顎の下に腫れやしこりを感じたり、嚥下時に違和感を覚えたりする場合は、リンパ節に転移している可能性があります。
編集部まとめ
口唇がんの症状や治療法についてご紹介しました。
口唇がんは、異変に気付いても受診をためらうことがあるがんです。日頃から口唇の正常な状態を把握し、異常に気付けるようにしておくことが重要です。
そして、異変を感じたら、自分で不用意に触らず、すぐに病院を受診することをおすすめします。大きな病院が近くに無い場合は、お近くの歯科医院でもいいので、ためらわず受診することをおすすめします。
口唇がんと関連する病気
「口唇がん」と関連する病気は6個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
関連する病気
- 上歯肉がん
- 頬粘膜がん
- 舌がん
- 舌歯肉がん
- 口腔底がん
- 硬口蓋がん
これらはすべて総称して口腔がんと呼ばれます。今回の記事でご紹介したセルフチェックによって、これらのがんを早期発見できる可能性があります。定期的にセルフチェックを行い、異常を感じた際にはすぐに病院を受診するようにしましょう。
口唇がんと関連する症状
「口唇がん」と関連している、似ている症状は2個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- しこりができる
- 潰瘍ができる
口唇がんの初期症状は、口内炎やヘルペスと間違えやすく、見逃されがちです。症状が2週間以上続いても改善しない場合は、早めに病院を受診することをおすすめします。
参考文献

