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「小児がんを予防」することはできるの?小児がんの種類や症状も解説!

 公開日:2024/11/16
「小児がんを予防」することはできるの?小児がんの種類や症状も解説!

小児がんは、子どもに発生する深刻な病気です。本記事では、小児がんの概要、予防方法、検査・治療方法について以下の点を中心にご紹介します。

  • ・小児がんについて
  • ・小児がんについて
  • ・小児がんの検査・治療

小児がんについて理解を深めるために、ぜひ最後までお読みください。

武井 智昭

監修医師
武井 智昭(高座渋谷つばさクリニック)

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【経歴】
平成14年慶應義塾大学医学部を卒業。同年4月より慶應義塾大学病院 にて小児科研修。平成16年に立川共済病院、平成17年平塚共済病院(小児科医長)で勤務のかたわら、平成22年北里大学北里研究所病原微生物分子疫学教室にて研究員を兼任。新生児医療・救急医療・障害者医療などの研鑽を積む。平成24年から横浜市内のクリニックの副院長として日々臨床にあたり、内科領域の診療・訪問診療を行う。平成29年2月より横浜市社会事業協会が開設する「なごみクリニック」の院長に就任。令和2年4月より「高座渋谷つばさクリニック」の院長に就任。

日本小児科学会専門医・指導医、日本小児感染症学会認定 インフェクションコントロールドクター(ICD)、臨床研修指導医(日本小児科学会)、抗菌化学療法認定医
医師+(いしぷらす)所属

小児がんについて

小児がんは、子どもに発生する深刻な病気です。以下で小児がんの概要、特徴、予防について説明します。

小児がんとは

小児がんは、15歳未満の子どもに発生する悪性腫瘍の総称で、日本では毎年約2,000〜2,500人が診断されており、子どもの死亡原因のなかで大きな割合を占め、5〜9歳では第1位、1〜4歳では第3位、10〜14歳では第2位となっています。小児がんには白血病、脳腫瘍、悪性リンパ腫、神経芽腫、胚細胞腫瘍などさまざまな種類があり、大人のがんとは異なる特徴を持ちます。

小児がんになりやすい子どもの特徴

小児がんになりやすい子どもの特徴は明確には存在しません。大人のがんとは異なり、喫煙や食事などの生活習慣や環境要因が原因ではなく、小児がんは成長の過程で異常な細胞が発生し、異常な細胞の増殖によって起こります。一部のがん、例えば網膜芽細胞腫やウィルムス腫瘍は遺伝的要因が関与することがありますが、特定の特徴を持つ子どもが小児がんになりやすくなることはありません。

小児がんは予防できるの?

小児がんの予防は難しいとされています。大人のがんとは異なり、小児がんの原因は明確に解明されておらず、生活習慣やウイルス感染などが関与しないため、予防策を講じることが困難です。ただし、一部の小児がん、例えば網膜芽細胞腫やウィルムス腫瘍は遺伝的要因が関係していますが、予防できる方法は確立されていません。

小児がんの種類

小児がんは、白血病などの血液がんと、脳腫瘍などの固形がんに大別されます。主な小児がんの種類について解説します。

  • ・白血病: 小児がんの約38%を占める血液のがんで、急性リンパ性白血病と急性骨髄性白血病に分かれ、貧血や出血、発熱などの症状が現れる
  • ・脳腫瘍: 小児がんの約16%を占める頭蓋骨内にできるがんで、頭痛や嘔吐、意識障害、視野障害(複視など)などが現れる
  • ・リンパ腫: 小児がんの約9%を占め、免疫機能を担うリンパ組織から発生するがんで、リンパ節の腫れや発熱、寝汗が主な症状
  • ・胚細胞腫瘍: 小児がんの約8%を占め、精子や卵子の元となる未成熟な細胞から発生するがんで、発生部位により症状が異なる
  • ・神経芽腫: 小児がんの約7%を占め、交感神経のもとになる細胞から発生するがんで、初期は無症状で進行すると腹部の腫れなどが現れる

小児がんの罹患率は1万人当たり約1人と低いですが、しっかり治療すれば7〜8割が治るとされています。

小児がんの症状

小児がんの症状は多岐にわたり、早期発見が重要です。以下に主な症状を説明します。

発熱

小児がんでの発熱は、必ずしも高熱が続くわけではなく、微熱や解熱を繰り返すことがあります。原因不明の発熱が2週間以上続く場合、小児がんの可能性が否定できません。白血病では、約半数の患者さんに発熱が見られ、感染症による長引く風邪症状も発熱の原因となることがあります。不明熱の約10%が小児がんに関連しているため、ほかの症状とともに注意深く観察することが重要です。

頭痛

小児がんによる頭痛は、嘔気がなく早朝の嘔吐を伴うことが多く、脳腫瘍が疑われます。歩行時のよろめきや不機嫌、読み書きが困難になるなどの症状が見られる場合も注意が必要です。
子どもの頭痛は片頭痛や緊張性頭痛が多いようですが、脳腫瘍や白血病が原因の可能性もあるため、これらの症状が長引く場合は医療機関での診察を受けることが重要です。

リンパ節の腫れ

小児がんでは、首のまわりや耳の後ろ、顎の下、足の付け根などのリンパ節が腫れることがあります。この腫れは痛みを伴わないですが、辺縁が不整で固い特徴があります。そのため、子どもが自発的に症状を伝えることが難しい場合があります。特にリンパ腫や白血病に関連していることが多く、がんが原因かどうかを確認するためには病理組織診断が必要です。風邪などほかの病気でもリンパ節は腫れますが、その場合は痛みを伴うことが多いようです。

骨や関節の痛み

小児がんでの骨や関節の痛みは、白血病や骨肉腫、ユーイング肉腫などが原因で起こります。神経芽腫の転移による痛みも考えられます。この痛みは断続的で、眠れなくなる程強くなることもあります。長引く場合や腫れを伴う場合は病院での診察が必要です。骨の痛みは成長痛や良性の骨腫瘍でも見られるため、痛みを我慢せず、適切な医療機関での評価を受けることが重要です。

筋肉・胸・お腹のしこり

小児がんでは筋肉、胸、お腹にしこりが現れることがあります。筋肉のしこりは手足や顔、性器にでき、痛みや発熱を伴うことがあります。しこりが大きくなると関節の動きが制限されることもあります。胸のしこりは白血病やリンパ腫、神経芽腫が原因で縦隔に生じ、気管や心臓を圧迫し息苦しさや動悸を引き起こすことがあります。お腹のしこりは1歳から5歳の子どもに多く、腸や尿路を圧迫し腹水を引き起こす可能性があり、注意が必要です。

貧血や出血

小児がんでは、貧血や出血が主な症状となることがあります。特に白血病では、血小板が十分に作られなくなるため、出血が止まりにくくなり、あざができやすくなったり、鼻血が止まりにくくなったりすることがあります。貧血になると、顔色が悪くなり、元気がなく、疲れやすくなります。あざは膝から下やお尻にできやすく、ぶつけた覚えがないのに頻繁に現れる場合は注意が必要です。

小児がんの検査・治療

小児がんの検査・治療について、専門医療機関と治療法の詳細を以下で説明します。

小児がん拠点病院とは

小児がんは、大人のがんとは異なる治療が必要な場合が多いため、専門的な医療機関での治療が推奨されます。日本には、先進的な医療と支援を提供する小児がん拠点病院が15ヵ所あり、厚生労働大臣により指定されています。これらの病院は、小児がん連携病院と協力して診療を行い、地域ごとに適切な医療を提供しています。
小児がん連携病院は診療内容に応じて分類され、子どもの成長・発達に配慮した設備が整っています。病院選びの際には、医療設備だけでなく、療養環境や自宅からの距離などの考慮が重要です。国立成育医療研究センターなどのWebサイトから、各病院の詳細情報を確認することをおすすめします。

小児がんの治療法

小児がんの治療には、放射線療法、薬物療法、手術療法、造血幹細胞移植などがあり、がんの種類や進行度に応じて組み合わせて行われます。

放射線療法は、がん細胞に放射線を照射して遺伝子を損傷させる方法で、負担が少なく、手術後の補助治療としても使用されます。
薬物療法は、化学療法剤や分子標的薬を用いてがん細胞を攻撃し、白血病やリンパ腫の治療に有効です。
手術療法は、がんを切除する方法で、脳腫瘍や神経芽腫の治療に適用されます。
造血幹細胞移植は、血液がんや免疫不全症に対する治療法で、治癒を目指します。

小児がんの治療には、成長途中の子どもに多彩な合併症を引き起こす可能性があるため、長期的な観察が重要です。緩和ケアも治療初期から取り入れ、心と体のつらさを和らげることが推奨されます。

小児がんについてよくある質問

ここまで小児がんの予防について紹介しました。ここでは小児がんについてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

小児がんの発生原因は大人とは異なりますか?

武井 智昭 医師武井 智昭 医師

小児がんの発生原因は大人のがんとは異なります。小児がんは成長・発達の過程で発生した異常な細胞の増殖が主な原因とされ、生活習慣が原因となることは少ないです。また、遺伝的な要因や偶然生じる細胞の異常が関与していることが多いようです。具体的な発生原因が明らかになっていないため、予防は難しく、気になる症状があれば専門医療機関での診察が重要です。

小児がん治療で生じる合併症について教えてください

武井 智昭 医師武井 智昭 医師

小児がん治療では、手術、化学療法、放射線療法が用いられますが、成長期にある子どもに特有の合併症が生じることがあります。放射線療法による成長障害や知能の発達遅れ、化学療法による不妊症、心臓障害、二次がんの発生などが挙げられます。晩期合併症も多く、小児がん経験者の約5割が治療後10年以降に何らかの合併症を発症します。こうしたリスクを考慮し、専門の医師による治療が推奨されます。

まとめ

ここまで小児がんについてお伝えしてきました。小児がんの要点をまとめると以下のとおりです。

  • ・小児がんとは、0〜14歳の子どもに発生する悪性腫瘍の総称で、日本では毎年約2,000〜2,500人が診断される
  • ・小児がんの予防は難しく、原因が明確に解明されていない。遺伝的要因が関与する場合もあるが、予防策はない
  • ・小児がんの治療法は、放射線療法、薬物療法、手術療法、造血幹細胞移植などがあり、がんの種類や進行度に応じて組み合わせて行う

小児がんと関連する病気

小児がんと関連する病気は6個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法などの詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。


神経科


泌尿器科

  • 腎芽腫(ウィルムス腫瘍)

眼科

  • 網膜芽細胞腫

具体的な症状や治療法については、担当の医師と相談しましょう。

小児がんと関連する症状

小児がんと関連している、似ている症状は8個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 頭痛
  • リンパ節の腫れ
  • 骨や関節の痛み
  • 筋肉のしこり
  • 胸のしこり
  • お腹のしこり
  • 血液細胞の異常

これらの症状が持続する場合、または新たにあらわれた場合、医師の診察を受けることが大切です。

この記事の監修医師