女性に多い「スキルス胃がんステージ3」になると”症状や生存率”はどうなる?【医師監修】

スキルス胃がんは、一般的な胃がんよりも進行が速いとされています。
では、もし医療機関でスキルス胃がんのステージ3と診断された場合、それはどのような状態なのでしょうか。
今回の記事では、ステージ3のスキルス胃がんの主な症状や5年生存率、ステージングの詳細と診断方法などについて解説します。

監修医師:
本多 洋介(Myクリニック本多内科医院)
目次 -INDEX-
スキルス胃がんのステージ3とは?
一般的な胃がんは胃粘膜が隆起したような腫瘍を形成しますが、スキルス胃がんの場合は胃壁が肥厚し固くなりながら広がっていくのが特徴です。
隆起性の病変よりも内視鏡で診断しにくい場合があり、また初期には自覚症状が出ないことも少なくありません。そのため、スキルス胃がんは進行した状態で発見されることが多いがんといえます。
では、どのような症状を自覚したら胃がんが疑われるのでしょうか。また、もし発見時にステージ3のスキルス胃がんと診断されたら、生存率はどれくらいなのでしょうか。
主な症状
胃がんは胃の粘膜から発生するがんの総称で、スキルス胃がんについても一般的な胃がんと症状に大きな差はありません。
胃がんの患者さんに多い自覚症状としては、下記のようなものがあります。
- 胃の痛み
- 胃部不快感
- 胸やけ
- 嘔気
- 食欲不振
その他、胃がんがもとで出血が起きている場合の症状としてみられるのが貧血・黒色便(血便)です。
ただし、胃がんは症状が現れにくい場合もあり、また胃の粘膜に炎症や潰瘍が起きている場合にも上記のような症状が現れる可能性があります。
生存率
2009〜2011年の地域がん登録生存率データによると、胃がん全体での5年相対生存率は66.6%です。これは、胃がんと診断された患者さんが5年後に生存している割合を、日本全体での生存率と比較した指標です。
しかし、同じがんでも病気の広がりにより5年相対生存率は大きく変化します。例として、1993年〜2011年の診断例を対象とした地域がん登録によるがん生存率データをもとに一般的な胃がんのステージごとの5年相対生存率を記載します。
まず、がんが胃の組織内に限局している場合の5年生存率は96.7%ですが、周囲のリンパ節に広がっている状態では 51.9%です。
さらに、がんが離れた臓器に転移している場合には 5年相対生存率は6.6%にまで下がります。
このなかでステージ3に該当するのは、がんが周囲のリンパ節に広がっているものの遠隔転移はない状態です。
ただし、スキルス胃がんは一般的ながんよりも進行が速い傾向にあり、腹膜播種も起こしやすいとされています。腹膜播種とは、腹腔内にがん細胞が散らばり成長することをいいます。
このような点も踏まえると、ステージ3のスキルス胃がんは一般的なステージ3の胃がんよりも5年生存率が低い可能性があります。
スキルス胃がんのステージ3の分類
スキルス胃がんと一般的な胃がんで、ステージの分類方法は同じです。
ステージ3の大まかな基準については前述のとおりですが、ステージ3は腫瘍の深達度(深さ)やリンパ節転移の個数によって、さらに3A〜3Cの3段階に分かれます。
ここからは、それぞれの分類について簡単に解説します。
なお、がんの深達度を示す際に用いられるのが胃壁を構成する組織の名称です。
胃の壁は、胃の内側から外側に向かって粘膜層・粘膜下層・固有筋層・漿膜下層・漿膜の順番で組織が層状になっています。がんは胃の内壁にあたる粘膜層から発生して漿膜(外側)に向かって浸透するように広がります。
スキルス胃がんのステージ3:IIIA
がんの広がりとリンパ節転移の個数から、スキルス胃がんのステージ3Aには下記の4パターンがあります。
- がんが固有筋層に達し、リンパ節転移が7~15個
- がんが漿膜下層に浸潤し、リンパ節転移が3~6個
- がんが漿膜を超えて胃の表面に達し、リンパ節転移が1~2個
- がんが胃の表面から他臓器に広がっているが、リンパ節転移はない
スキルス胃がんのステージ3:IIIB
スキルス胃がんのステージ3Bには下記の3パターンがあります。
- がんが粘膜から固有筋層の範囲にとどまるが、リンパ節転移が16個以上
- がんが漿膜下層から胃の表面にとどまり、リンパ節転移が7~15個
- がんが胃の表面から他臓器に広がっており、リンパ節転移が1~6個
スキルス胃がんのステージ3:IIIC
スキルス胃がんのステージ3Cには下記の2パターンがあります。
- がんが漿膜下層より深くに広がり、リンパ節転移が16個以上
- がんが胃の表面から他臓器に広がっており、リンパ節転移が7個以上
なお、遠隔転移がみられる場合は胃における深達度や領域リンパ節転移の数に関わらず、ステージは4となります。
遠隔転移とは、がんが隣接する臓器でなく離れた臓器・器官に転移することです。
スキルス胃がんステージ3の診断方法
スキルス胃がんのステージを決めるまでには、まず胃内視鏡検査や胃X線検査で胃にがんがあるかどうかを調べます。
もし胃がんがあれば、CTやMRIでがんの広がりを確認してステージを決定します。
それぞれどのような検査なのか簡単にまとめました。
胃内視鏡検査
お口から管のようなカメラを入れて胃の中を観察する検査で、胃カメラとも呼ばれます。粘膜の様子などを直接観察できるため、検査としての精度は高いといわれています。
なお、腫瘍がみつかった場合には、組織を採取することも可能です。採取した組織を検査することで、悪性か良性か、どのようなタイプの腫瘍か調べます。
胃X線検査
胃X線検査は、胃の内部が移りやすいように造影剤を飲んだ状態でX線撮影を行う検査です。
胃がんの発見には内視鏡検査が有用であるといわれますが、スキルス胃がんに関しては胃X線検査がより特徴的な所見をとらえやすい場合があります。
エコー・CT・MRI検査
上記の検査で胃がんと診断された場合や、胃がんの疑いが強い場合は、エコーやCT・MRIなどを行って病気の広がりや深さを確認します。
また、必要に応じてPET検査を行う場合もあるでしょう。
エコー検査は超音波、CT検査はX線、MRI検査は磁気を使用して身体の中の様子を映像化する検査です。
がんはステージにより選択する治療方法が変化するため、がんの広がりや深さの確認は治療方針を決めるために大切なことです。
スキルス胃がんの予防と早期発見のポイント
胃がんは自覚症状が出にくく、特にスキルス胃がんでは発見時にすでに進行しているケースも珍しくありません。
では、スキルス胃がんを予防・早期発見するためにできることはあるのでしょうか。
定期的に検診を受診する
無症状のうちに胃がんを発見するためには、定期的に検診で胃X線検査や胃内視鏡検査を受けることが有効です。
推奨される頻度については明確なデータはありませんが、2年に1回程の胃がん検診を推奨する医師が多いといわれています。
なお、早期胃がんの治療後などリスクの高い方は、1年に1回の検診が推奨されます。
ピロリ菌を除去する
多くの胃がんは、ヘリコバクター・ピロリ菌への感染が原因で起こるといわれています。そのため、ピロリ菌の検査で陽性を指摘された場合には、薬剤により除去することが予防につながるでしょう。
ピロリ菌の検査には、内視鏡検査と同時に行うもののほか呼気・血液・尿・便を用いるものがあります。
また、胃がんの発症には過度のアルコール摂取・喫煙習慣・肥満などが関わっているといわれています。
そのため、健康的な生活習慣を身に付けることも胃がんの予防に有効と考えられるでしょう。
スキルス胃がんステージ3についてよくある質問
ここまで、ステージ3のスキルス胃がんについて生存率・症状・検査方法などを紹介しました。ここでは「ステージ3のスキルス胃がん」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
スキルス胃がんステージ3は完治しますか?
がんが完治したとみなす指標として、5年間再発がないことが挙げられます。スキルス胃がんに限定した再発率の全国的な統計はありませんが、スキルス胃がんは一般的な胃がんよりも進行が早く再発率や腹膜播種が起こる確率も高いとされています。胃がん全体におけるステージ3の5年相対生存率が52%程であることも併せて考えると、スキルス胃がんのステージ3は完治が難しい状態といえるでしょう。
スキルス胃がんになりやすい年齢を教えてください。
一般的な胃がんは50代から徐々に罹患者数が増え始め、80代が罹患者数のピークとなります。しかし、スキルス胃がんは50代未満の若年層でもみられるがんです。なお、胃がん全体の患者数は女性よりも男性が多いですが、スキルス胃がんの患者さんは女性に多いとされています。
編集部まとめ
胃がん自体が自覚症状が現れにくいことも多い病気であり、またスキルス胃がんは進行が早い傾向があります。
そのため、自覚症状によりスキルス胃がんがみつかった場合にはすでにステージ3など進行している場合も珍しくありません。
自覚症状が現れる前にがんを発見するには、検診を定期的に受けることが大切です。
スキルス胃がんと関連する病気
「スキルス胃がん」と関連する病気は4つ程あります。
各病気の症状や原因など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
ヘリコバクター・ピロリ菌への感染は、胃がんの発症に大きく関わっているといわれます。
また、胃のポリープや潰瘍・炎症は胃がんと似た症状を自覚する可能性がある病気です。
スキルス胃がんと関連する症状
「スキルス胃がん」と関連する症状は5つ程あります。
各症状から考えられる病気や原因など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 胃の痛み
- 胃部不快感
- 胸やけ
- 嘔気
- 食欲不振
上記の症状は胃がんの方によくみられますが、記事の前半でもお伝えしたとおり胃の炎症・潰瘍などにより起こることもある症状です。
参考文献



