「スキルス胃がんを全摘出」した場合の”生存率”は?初期症状も医師が解説!

近年、胃がんは早期発見・早期治療によって完治する割合の高い病気とされています。しかし、スキルス胃がんは発見が難しく、5年生存率が低いがんです。
ではスキルス胃がんの治療で胃を全摘出をした場合に生存率はどのくらいなのでしょうか。また生存率は年齢によって変わるのでしょうか。
この記事ではスキルス胃がんで胃の全摘出を行った場合の生存率について、症状・治療法を併せて解説します。
スキルス胃がんの生存率についてよくある質問にも回答しています。

監修医師:
本多 洋介(Myクリニック本多内科医院)
目次 -INDEX-
スキルス胃がんとは?
胃がんは、肉眼的な特徴から6つに分類されています。そのなかでもびまん浸潤型に分類されるスキルス胃がんの特徴は、以下のとおりです。
- はっきりとした潰瘍がみられない
- 潰瘍周囲の盛り上がりがない
- 胃壁に厚みがある
- 胃壁が硬くなっている
- 病巣と周囲の粘膜の境界がわからない
このような状態の進行胃がんをスキルス胃がん(4型胃がん)といいます。胃がんは早期発見・早期治療の進歩が著しく、完治する人も増えてきています。
しかしスキルス胃がんは、90%以上がステージII〜IVの進行がんで発見時にはステージIVであることがほとんどです。これはスキルス胃がんの進行スピードが早いこと、早期の場合、隆起ではなく色調変化などなので見つけにくいことが、早期がんの時点での発見を困難にしているためです。
発症原因
胃がんの発生リスクは複数あり、以下のような行動や刺激が原因の一部になると考えられています。
- 喫煙
- 塩分
- ストレス
- アルコール
- 刺激物
- ピロリ菌への感染
日々の生活習慣のなかで禁煙・減塩・食黄色野菜の摂取・適度な運動を行ったり、ピロリ菌の除菌をしたりすることでこれらのリスクを下げることへとつながります。
検査
胃がんでは、2つの目的で検査が行われます。1つ目の目的は、がんかどうかを調べることです。がんの有無を調べるためには、内視鏡検査やX線検査を行います。内視鏡検査でがんの疑いがある部分が見つかった場合は、その部分をつまんで採取して病理検査をする生検を行います。2つ目の目的は、がんの進行度を調べることです。
がんの進行度を調べるには、以下の検査を行います。
- CT検査
- MRI検査
- PET検査
これらの検査によって、がんの深さ・リンパ節転移の有無・胃の周囲の臓器へのがんの浸潤の有無を調べることができます。さらに腹膜播種が疑われる場合には、内視鏡検査や全身麻酔での審査腹腔鏡が行われることもあります。
診断
胃がんの診断は、内視鏡検査で行われます。一般的には胃カメラと呼ばれる検査です。上部消化管内視鏡検査では、胃の中を内視鏡で直接観察して組織を採取します。そして、採取した検体のがんの有無を病理検査で確認し、胃がんの診断が行われます。
スキルス胃がんを全摘出した場合の生存率・余命
スキルス胃がんの生存率や余命に関しては、公的・正確な集計をされているデータがありません。そのため、胃がん全体のデータからスキルス胃がんの生存率・余命に関する情報を解説します。
スキルス胃がんは発見が難しいため、診断時にはステージIVであることがほとんどです。胃がんステージIVの5年相対生存率は、7.2%といわれています。スキルス胃がんは、ほかの胃がんよりも生存率が低いとされているため、実際には7%未満と推測できます。
スキルス胃がんで全摘術の対象になるのは、ステージI〜IIIの状態です。この場合の5年相対生存率はステージIで97.4%、ステージIIで65.0%、ステージIIIで47.1%とされています。
スキルス胃がんの症状
スキルス胃がんの初期には、ほとんど症状が現れないこともあります。そのなかでも初期症状として起こりやすい症状と進行後に起こる症状について解説します。
初期症状
スキルス胃がんの初期症状には、以下の4つがあります。
- 食後の腹部不快感
- 胃もたれ
- 胃痛
- 食欲不振
このほかにも食べ物が通過しにくくなるなど消化に関する問題が現れることもあります。しかしこれらの症状は、スキルス胃がん特有のものではなく、ほかの胃の病気でも現れる症状のため識別は難しいとされています。
進行期の症状
進行したスキルス胃がんは、以下の症状を引き起こします。
- 持続する胃痛
- 食欲不振
- 体重減少
- 吐血
- 黒色の便が出る
- めまいなどの貧血症状
- 腹部膨満感
スキルス胃がん以外の胃がんでも、同様の症状がみられることは少なくありません。
スキルス胃がんの治療法
スキルス胃がんだからといって特別な治療は行いません。スキルス胃がんとほかの胃がんの治療法に違いはなく、同じような治療が行われます。
手術
手術は、胃がんの腫瘍と胃の一部または全部を切除する外科的治療法です。スキルス胃がんの手術ではほとんどの場合、胃の一部のみの切除ではなく全摘になります。また、手術時には同時に胃の周りのリンパ節を取り除いたり、食べ物の通り道を新たに作る消化管再建術が行われたりします。
胃の切除後の消化管再建は、食道と腸を縫い合わせて新たな食べ物の通り道を作るための方法です。胃の周囲の臓器にがんが浸潤している場合には、胃の切除時に他臓器合併切除というかたちでほかの臓器の一部を合わせて切除することもあります。
化学療法
化学療法とは、薬物商法のうち抗がん薬による治療を指します。胃がんに対する化学療法の目的は、以下のとおりです。
- 手術適応とならない進行がんの治療
- 再発予防
- 手術との併用で手術効果を高める
抗がん薬は、細胞が増殖する仕組みの一部を邪魔することでがん細胞を攻撃する薬です。この治療効果を高めるために、患者さんに合わせて内服や注射を患者さんに合わせて選択したり組み合わせて使用したりします。
内視鏡的切除
早期胃がんのうち、一部のがんに対しては内視鏡で切除が行われることがあります。内視鏡での切除の適応はリンパ節転移の可能性が極めて低いことと、がんが一括切除できる大きさと部位であることです。
内視鏡での胃がんの切除には、EMR(内視鏡的粘膜切除術)とESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)の2つの方法があります。
放射線療法
胃がんのがん細胞は、放射線にあまり反応しないという特徴があります。また胃の周囲の臓器は放射線に対して弱いため、放射線治療が第一選択に上がることはほとんどありません。再発した胃がんの補助的な治療・痛みの強い患者さんの症状の軽減・リンパ節や腫瘍からの出血コントロールなどがその目的です。
スキルス胃がんの全摘出生存率についてよくある質問
ここまでスキルス胃がんの進行速度・症状・治療法などを紹介しました。ここでは「スキルス胃がんの全摘出生存率」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
生存率は年齢によって変わりますか?
胃がんの生存率は、年齢ではなく進行度による影響を大きく受けます。しかし過去のデータ上は、年齢によっても生存率が異なることがわかっています。例えば、胃がんステージⅣの40歳未満の実測生存率は4.2%です。しかし以降はどの年代でもやや数値が高く、そのデータは6〜9%となっています。また長期にわたりがん罹患後の生存率をみた場合には、年齢が高くなる程がん以外の原因でなくなる可能性が高くなることがわかっています。
スキルス胃がんは完治しますか?
スキルス胃がんはその性質上、完治が難しいタイプのがんです。完治が難しいのは、そのほとんどが進行してから発見されることや、発見時には腹膜播種やリンパ節に転移している可能性が高いという理由のためとされています。そのためスキルス胃がんであっても、初期段階で発見され、腹膜播種・リンパ節転移のない段階で手術で切除できれば完治は可能です。
編集部まとめ
今回はスキルス胃がんで胃を全摘術した場合の生存率について解説しました。
スキルス胃がんは発見が特に難しいがんですが、その他の胃がん同様に検診で早期発見を心がけることが大切です。
進行が早く、生存率も低いとされるがんの一種ですが、完治しないがんではありません。
ご自身やご家族の症状が進行してしまう前にスキルス胃がんの治療が開始できるよう、生活習慣の見直しと検診を心がけましょう。
スキルス胃がんと関連する病気
「スキルス胃がん」と関連する病気は2個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
関連する病気
- 胃潰瘍
- ピロリ菌感染
胃潰瘍とは、胃の粘膜に傷がついた後に胃酸などの刺激によって傷が深くまで達して、胃壁の内部にくぼみを作った状態です。胃潰瘍は胃がん同様にピロリ菌が原因の一つであり、腹痛や吐き気など症状も胃がんと類似しています。
スキルス胃がんと関連する症状
「スキルス胃がん」と関連する症状は6個程あります。
各症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
スキルス胃がんは胃がんの種類のため、その他の種類の胃がん同様の症状が現れます。初期の胃がんは無症状であることが少なくありません。またこれらの症状は胃がん特有のものではなく、ほかの消化器疾患の場合にも現れることがあります。そのため、気になる症状があった場合には自己判断せず、医療機関で受診することをおすすめします。

