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「子宮ポリープ」になると現れる”5つの症状”はご存じですか?原因も医師が解説!

 公開日:2025/12/15
「子宮ポリープ」になると現れる”5つの症状”はご存じですか?原因も医師が解説!

子宮ポリープの症状をご存じですか?不正出血は子宮ポリープが原因だったということもあります。

ここでは子宮ポリープの原因と症状について解説します。検査や治療についても触れますので参考にしてください。

馬場 敦志

監修医師
馬場 敦志(宮の沢スマイルレディースクリニック)

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筑波大学医学群医学類卒業 。その後、北海道内の病院に勤務。 2021年、北海道札幌市に「宮の沢スマイルレディースクリニック」を開院。 日本産科婦人科学会専門医。日本内視鏡外科学会、日本産科婦人科内視鏡学会の各会員。

子宮ポリープとは?

ポリープとは、皮膚や粘膜などの面から突出した、茎をもつ腫瘤のことをさします。子宮ポリープではどの部分にポリープができたかによって名称が異なります。子宮頸管ポリープと子宮内膜ポリープにわけられますので、それぞれのポリープについて詳しく説明します。

子宮頸管ポリープ

子宮頸管ポリープとは、子宮の入り口部分である子宮頸管にできたポリープのことです。頸部の上皮細胞が増殖し形成されます。大きさは3mm程度から1cm程度であることがほとんどですが、大きくなることもあり、大きくなりすぎると子宮口の外まで出てくることもあります。
良性の腫瘍でありますが、悪性腫瘍がポリープに見えている場合もあるため、切除治療をし病理検査をすることが望ましいでしょう。組織学的には全体の約0.1%が悪性、約0.5%が異形成であったとの報告もあります。

子宮内膜ポリープ

子宮内膜ポリープは、子宮の奥にある内膜にできたポリープのことです。大きさは、1cm以下から数cmまでさまざまです。
1つだけでなく、複数のポリープができることもあります。良性の腫瘍であることがほとんどですが、閉経後の女性のポリープでは、約1〜10%に子宮内膜異型増殖症や子宮内膜がんが発見されたとの報告があります。

子宮ポリープの原因

それぞれのポリープの原因と考えられている原因因子について下記で述べていきます。

子宮頸管ポリープの原因

子宮頸管ポリープの原因は明確になっていません。慢性的な炎症や女性ホルモンの影響、感染症との関連が考えられています。妊娠を経験した30〜50代の女性に発生しやすいといわれています。

子宮内膜ポリープの原因

子宮内膜ポリープの原因は明確になっていません。子宮頸管ポリープと同様に、慢性的な炎症や女性ホルモンの影響、感染症との関連が考えられています。
子宮内膜にできるポリープですので、出産や流産が原因とも考えられています。乳がんの治療薬であるタモキシフェンは子宮内膜に影響を与えるとの報告があります。
服用している閉経女性では、子宮内膜ポリープの発生率が8〜36%という報告もあります。

子宮ポリープの症状

子宮ポリープの症状を下記に示します。ご自身にあてはまるものはないか確認してみてください。

無症状のこともある

子宮ポリープは無症状であることがほとんどです。ポリープが大きくなったり、刺激により出血したりすることで異変に気付き病院で受診するか、定期検診で偶然発見されることがほとんどです。

不正出血

子宮ポリープができることで、ポリープ部分から出血しやすくなります。ポリープが小さい状態では性交時や激しい運動後、排便時のいきみによって出血します。
出血量はそれ程多くありませんので、おりものに血液が混じり茶褐色のおりものとして認められるでしょう。ポリープが大きくなるにつれ、細胞の血流が悪くなり組織が壊死していきます。その場合、組織が繊細になりますので、何も刺激がなくても出血することがあります。

感染

子宮頸管ポリープの場合、性交時に出血することがあります。この出血自体は子宮頸管ポリープによるものであり、ポリープそのものが感染を引き起こすわけではありません。ただし、出血している状態が続くと、感染のリスクが高まることがあります。
感染する可能性のある細菌はさまざまで、大腸菌・ブドウ球菌・淋菌・クラミジアなどです。感染を起こすことでおりもの量の増加・おりものから悪臭がする・おりものの色が黄色になるなどの症状が出ることがあります。子宮頸管炎を放置すると卵管炎・卵巣炎など別の疾患につながることがあるので注意が必要です。

月経過多

月経とは、子宮のなかで厚くなった内膜が剥がれ落ちることで起こるものです。子宮ポリープがあると、通常の月経による出血だけでなく子宮ポリープも刺激を受け出血することがあります。
通常の月経だけでなく、子宮ポリープからの出血も合わさることで月経過多として認められることがあります。出血が続くことで貧血症状である立ちくらみやめまいが生じることもあるでしょう。

不妊症

子宮内膜ポリープができることによって不妊症につながる可能性があります。妊娠の成立には受精卵が子宮内膜に着床することが必要です。ポリープによって受精卵の着床を妨げてしまうことがあるので不妊症のリスクになります。

子宮ポリープの治療方法

子宮頸管ポリープと子宮内膜ポリープでは治療方法が異なります。下記ではそれぞれの治療について解説します。

子宮頸管ポリープの治療方法

子宮頸管ポリープの治療では、切除術が行われることがほとんどです。ポリープがそれ程大きくないときには、一般診療でその日のうちに数分で摘出できます。摘出にはペアンという細長いペンチのようなものでポリープを摘み、捻ることでポリープの茎を切断し治療終了です。
痛みはないことがほとんどですし、出血もその日のうちに収まることがほとんどです。ポリープの根元がしっかりとついている場合には、レーザーを使用して焼き切ることもあります。
切除したポリープは病理検査を行い良性か悪性かの判断を行います。一度切除しても繰り返すことがあるため、定期的な治療後も定期的な検査をするのがよいでしょう。

子宮内膜ポリープの治療方法

子宮内膜ポリープの治療では、子宮内膜細胞診を行い悪性がないことを確認、結果に問題がなければすぐに摘出治療を行わず経過観察をすることがあります。妊娠希望の方は不妊症の原因になりますので、すぐに摘出治療をおすすめされることもあるでしょう。
子宮内膜ポリープの摘出方法には、内膜搔爬術と子宮鏡下術があります。内膜搔爬術では、子宮をつかみ動かないようにするための胎盤鉗子と、ポリープを搔爬するためのキュレットという器具を使用し一般診療で治療が行われます。
子宮鏡下手術は、子宮用の細い内視鏡である子宮鏡で子宮内を観察しながら電気メスでポリープを切除する方法です。子宮内膜ポリープの大きさと個数によって治療方法が決定されます。
基本的に一般診療で治療できますが、入院が必要になることもあるので医師に確認しましょう。ポリープの大きさや手術の方法によっては静脈麻酔や腰椎麻酔を行うこともあります。摘出されたポリープは病理検査にかけられ、良性か悪性かの診断が必要です。悪性の場合、子宮を大きく切除する手術が必要になることもあります。小さな子宮内膜ポリープを切除した後も再発する可能性があるので、定期的に検査をするのがよいでしょう。

子宮ポリープの症状についてよくある質問

ここまで子宮ポリープの原因・症状・治療法などを紹介しました。ここでは「子宮ポリープ」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

子宮ポリープがある場合性行為は控えた方がよいですか?

子宮頸管ポリープの場合は性行為が刺激となり出血するリスクがあります。ただ、ポリープの大きさや位置などによっては性行為によっても出血を起こさない場合があるため、性行為を控えなければならないというわけではありません。

子宮ポリープが疑われる場合どのような検査を行いますか?

子宮頸管ポリープと子宮内膜ポリープでは検査方法が少し異なります。子宮頸管ポリープは、腟鏡を使用し診察することで診断できます。子宮内膜ポリープは超音波検査やMRI、子宮鏡で検査を行います。子宮内腔に生理食塩水を注入して超音波検査を行うSHG(ソノヒステログラフィ)という検査もあります。閉経後やタモキシフェン内服中の場合には、子宮内膜組織診を行います。

編集部まとめ

子宮ポリープは無症状であることがほとんどですので、症状が出たときにはポリープが大きくなっている可能性も少なくありません。わずかではありますが、悪性の腫瘤である可能性もあります。

子宮内膜ポリープがあることで不妊症につながることもあります。定期的に婦人科で検査を行うのがよいでしょう。一度治療しても再発することもあります。

子宮ポリープと関連する病気

「子宮ポリープ」と関連する病気は6個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する病気

子宮ポリープが悪性だった場合、各所のがんになってしまいます。どれも症状がでないことがほとんどな女性特有の疾患です。定期的な検査をするのがよいでしょう。これらの疾患も不妊症になる可能性がありますので、妊娠希望の方は注意が必要です。

子宮ポリープと関連する症状

「子宮ポリープ」と関連している、似ている症状は3個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

これらの症状は、今回は見逃されやすい症状です。ご自身の体調の変化に敏感になり、少しでも異変を感じたら病院で受診するようにしましょう。

この記事の監修医師