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「高齢者の急性骨髄性白血病」はなぜ治療が難しい?主な症状も医師が解説!

 公開日:2026/01/07
「高齢者の急性骨髄性白血病」はなぜ治療が難しい?主な症状も医師が解説!

高齢者の急性骨髄性白血病は、治療成績が低下することをご存知ですか?

白血病は血液のがんで、どれだけ強力な化学療法を行えるかが治療成績を大きく左右します。

高齢者はさまざまな要因で強力化学療法を行えないため、若年者に比べて治りにくいケースが少なくありません。

本記事では、高齢者の急性骨髄性白血病の特徴・治療方法・生存率などを解説します。

がんの予防だけでなく、がんの早期治療につなげる参考になれば幸いです。

山本 佳奈

監修医師
山本 佳奈(ナビタスクリニック)

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滋賀医科大学医学部 卒業 / 南相馬市立総合病院や常磐病院(福島)を経て、ナビタスクリニック所属/ 専門は一般内科

急性骨髄性白血病とは?

急性骨髄性白血病(AML)は、血球を作る細胞ががん化して、異常な白血病細胞が増殖してしまう血液のがんです。白血病はがん化した白血病細胞の由来によって骨髄性とリンパ性に分けられ、症状の進行が急性か慢性かでも分類されているのです。
急性骨髄性白血病は、骨髄由来の白血病細胞が急速に増加して症状が進行します。その症状と原因、検査方法などを解説します。

症状

急性骨髄性白血病では、異常な白血病細胞が増殖することにより、正常な血球が減少してしまいます。正常な血球の減少による症状が急速に進行するのが特徴で、主な症状は以下の3つです。

  • 赤血球の減少により貧血になる
  • 血小板の減少により出血しやすくなる
  • 白血球の減少により感染症にかかりやすくなる

貧血による動悸・息切れ・立ち眩みなどの症状がひどくなり、急性骨髄性白血病が発見されるケースも少なくありません。鼻血が出やすくなったり、小さな傷からの出血が止まりにくかったりなどの症状も注意が必要です。

原因

白血病は、特定の化学物質の曝露や放射線被ばく・ウイルス感染・遺伝子の異常などの原因が明らかな場合を除き、原因がわからないケースがほとんどです。
特に、AMLは染色体・遺伝子異常の種類によって予後良好群・予後中間群・予後不良群の3つに分けられ、それらにより治療法が異なってきます。
米国の調査では、急性骨髄性白血病患者さんの年齢中央値は67歳であり、加齢もリスク因子のひとつです。

検査方法

急性骨髄性白血病の診断に必要な検査は、血液検査と骨髄検査です。骨髄検査では、穿刺と呼ばれる針を胸骨か腸骨に刺して骨髄液を採取します。採取した検体を顕微鏡検査・染色体検査・表面マーカー検査・遺伝子検査などで白血病細胞を特定していきます。

急性骨髄性白血病の高齢者治療が難しい原因

急性骨髄性白血病の治療成績は、若年者に比べて高齢者では低下する傾向があります。白血病は血液のがんであるため、大腸がんや肺がんのように手術で腫瘍を切り取ることはできません。
抗がん剤による化学療法が基本となるため、患者さんが抗がん剤治療に耐えられるかどうかが、治療方針と予後を大きく左右します。高齢者の場合は、以下のような理由により抗がん剤治療が難しくなる場合があります。

  • 合併症のあるケースが多いため
  • 臓器の機能低下のため
  • 骨髄異形成症候群の要素を併せ持つことが多いため

それぞれの内容を解説します。

合併症のあるケースが多いため

化学療法で用いられる抗がん剤は、がん細胞と一緒に正常な細胞も殺してしまうため、副作用が強く現れます。白血病では正常な白血球が減少しており、化学療法でさらに減少すると、感染症のリスクが極めて高くなります。
高齢者では感染症の合併によって、危険な状態となることも少なくありません。免疫機能を保つのが難しいと判断された場合は、強力な化学療法はできなくなります。

臓器の機能低下のため

強力な化学療法は臓器にもダメージを与えるため、臓器の機能が低下している高齢者では適応になりません。化学療法の副作用で肝機能障害や腎機能障害を起こすこともあるため、すでに臓器の機能低下が見られる患者さんでは、低強度で緩和的な治療が選択されます。

骨髄異形成症候群の要素を併せ持つことが多いため

骨髄異形成症候群とは、血球を作る骨髄の造血幹細胞に異常が生じる病気です。高齢者の急性骨髄性白血病では、骨髄異形成症候群と合併しているケースが少なくありません。
どちらも血球を作る細胞の異常ですが、骨髄異形成症候群はがんではないため抗がん剤は効きません。症状を緩和しながら、生活の質を保つ治療を続けていくことになります。

急性骨髄性白血病の代表的な治療法

急性骨髄性白血病は悪性度の高い血液のがんですが、適切な治療によって長期生存率は向上しています。高齢者であっても、身体が健康であれば若年者と同じ治療を受けられます。急性骨髄性白血病の代表的な治療方法は、以下の2つです。

  • 化学療法(抗がん剤治療)
  • 同種造血幹細胞移植

それぞれの内容を解説します。

化学療法(抗がん剤治療)

化学療法はいわゆる抗がん剤治療で、薬剤によって白血病細胞を減少させる治療です。急性骨髄性白血病の化学療法は、治療の強度によって以下の3つに大別されています。

  • 完全寛解を目指す強力化学療法
  • 治療強度の弱い化学療法
  • 緩和的支持療法

治療強度の選択は、患者さんが抗がん剤治療に耐えられる状態かどうかによって左右されます。

同種造血幹細胞移植

同種造血幹細胞移植とは、化学療法によって破壊された造血幹細胞をヒトから移植する治療方法です。骨髄バンクや臍帯血バンクからドナーを探し、強力化学療法の後に移植を行います。
化学療法は強すぎると正常な造血幹細胞まで破壊されて自力で回復できなくなりますが、移植が可能であれば強力化学療法も可能になります。高齢者の場合は移植後の生着不全や合併症のリスクが高まるため、適応できるかどうかは慎重な判断が必要です。

研究が進んでいる治療法

高齢者の急性骨髄性白血病は、若年者と同じような強力化学療法が難しいため、治療成績は低くなっていました。しかし、高齢者にも適応可能な治療方法の研究は進んでおり、治療成績が向上する可能性もあります。近年報告されている、高齢者の急性骨髄性白血病治療法を紹介します。

ベネトクラクスとアザシチジンの併用

ベネトクラクスとアザシチジンはどちらも既存の抗がん剤で、ベネトクラクスは日本ではリンパ性白血病の治療薬として保険適用されています。
米国のアッヴィ社が行った試験では、高齢による強力化学療法ができない患者さんにベネトクラクスとアザシチジンの併用療法を行ったところ、有意な治療成績の改善が示されました。
アザシチジン・プラセボ群に比べて、ベネトクラクス・アザシチジン併用群では死亡リスクが34%減少しています。

ダウノルビシン・シタラビン

ダウノルビシン・シタラビンは、急性骨髄性白血病の治療に用いられる代表的な抗がん剤です。完全寛解を目指す強力化学療法では、ダウノルビシン・シタラビン併用によって完全寛解率7割・長期生存率5割と報告されています。
高齢者であっても、身体の状態がよければ治療成績は若年者と同様です。この2つを配合した新たな薬剤も開発されています。

高齢者の急性骨髄性白血病についてよくある質問

ここまで急性骨髄性白血病の症状や治療方法などを紹介しました。ここでは「高齢者の急性骨髄性白血病」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

白血病の高齢者の生存率はどのくらいですか?

65歳以上の急性骨髄性白血病では、初回治療による寛解導入率は60~64%・予測4年無再発生存率は9~18%という報告があります。

入院期間はどのくらいですか?

治療の内容によって異なりますが、一般的に必要な入院期間は7~9ヵ月程です。この期間中も外出は可能ですが、免疫機能が大きく低下しているため、感染対策は徹底する必要があります。

編集部まとめ

高齢者の急性骨髄性白血病の特徴や治療方法を解説してきました。

白血病は血液のがんであるため、手術で腫瘍を取り除くことはできません。

このため、化学療法によって白血病細胞を減少させる治療が基本となり、患者さんがどれだけ化学療法に耐えられるかが治療成績を左右します。

全身の状態がよくない高齢者の場合は、強力化学療法を行えないため、治療が難しくなることもあります。

普段からの健康維持は、がんにならないためだけでなく、がんになったときに強力な治療をするためにも重要です。

より長く質の高い生活を維持するためにも、生活習慣の改善と早期の受診を心がけましょう。

急性骨髄性白血病と関連する病気

急性骨髄性白血病と関連する病気は1個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する病気

  • 急性リンパ性白血病

急性リンパ性白血病は、リンパ性の白血病細胞が異常に増殖する血液のがんです。症状は、鼻血や歯茎からの出血・動悸・息切れ・あざ・発熱・だるさなど、急性骨髄性白血病の症状とほとんど同じで、急速に進行するため、早期に治療しないと致死的になることもあります。

急性骨髄性白血病と関連する症状

急性骨髄性白血病と関連している、似ている症状は3個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

急性骨髄性白血病では、異常な白血病細胞の増加に伴って正常な血球が減少していきます。初期にはただの体調不良と感じる方も少なくありませんが、症状が急速に悪化して数週間以上治らない場合には、早めに医療機関を受診してください。

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