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「乳がんの再発」で現れる症状はご存知ですか?再発した場合の治療法も解説!

 公開日:2024/10/08
「乳がんの再発」で現れる症状はご存知ですか?再発した場合の治療法も解説!

乳がんは女性が罹患しやすい病気のひとつです。早期発見での完治も珍しくなく、治療後も不自由のない日常生活を送っている人も大勢います。

ですが、完治した後でも乳がんが再発したり、ほかの箇所に転移したりするケースもある点に注意が必要です。

万が一、乳がんの再発が発覚した場合も、迅速かつ適切に判断して治療を受けることで生存率が上がります。

とはいえ、なかには2度目以降の乳がんの罹患時に、乳房を残せなくなるのではないか・妊娠や出産に影響が出るのではないかと心配になる方もいるでしょう。

本記事では、乳がんの再発・転移が発覚した、もしくは身近にそうした人がいる方々へ向けた適切な対処方法を解説します。

上 昌広

監修医師
上 昌広(医師)

プロフィールをもっと見る
東京大学医学部卒業。東京大学大学院修了。その後、虎の門病院や国立がん研究センターにて臨床・研究に従事。2010年より東京大学医科学研究所特任教授、2016年より特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所理事長を務める。著書は「復興は現場から動き出す(東洋経済新報社)」「日本の医療格差は9倍 医療不足の真実(光文社新書)」「病院は東京から破綻する(朝日新聞出版)」「ヤバい医学部(日本評論社)」「日本のコロナ対策はなぜ迷走するのか(毎日新聞出版)」。

乳がんとは?

乳がんは乳房の内側にある乳腺に悪性の腫瘍ができるもので、40〜50代の女性が発症しやすいがんです。
なかには30代以下や60代以降で発症するケースもありますが、早期発見により90%以上の確率で治ります。病状の進行によりがんが乳房以外の箇所へ転移すると、ほかのがんと同様に日常生活に多大な影響が出るため注意が必要です。

乳がんの再発・転移の特徴

乳がんを治療して完治した後でも、見えないがん細胞が潜伏している場合がある点が厄介です。
現在は医学の進歩により再発・転移の頻度が徐々に少なくなっていますが、それでもリスクがなくなるわけではありません。万が一、がん細胞の潜伏があった場合は時間の経過とともにがん細胞が成長し、乳がんの再発もしくはほかの箇所へ転移によって表面化します。

再発(局所再発)

最初に乳がんが発生したときと同じ箇所・もしくは近い箇所に再び腫瘍ができている状態です。がん細胞ができた箇所の近くにある皮膚やリンパ節に出るケースなどが挙げられます。

転移(遠隔転移)

乳がんをきっかけに、乳房以外の箇所にもがん細胞が発生した状態です。転移しやすい箇所として肺・肝臓・骨などが挙げられますが、大腸や脳などに転移するケースも確認されています。

乳がんの再発・転移で出る症状

乳がんが再発した場合もしくはほかの箇所へ転移した場合に確認できる症状には、乳房内部のしこり・皮膚の赤み・骨の痛み・転移した臓器での症状などが挙げられます。
それぞれの症状の詳細は以下のとおりです。

しこり

乳房の内部に、固くて石のような感触がある状態です。ご自身の触診による乳がんのセルフチェックで確認できるほか、明らかに乳房の形が変わっている・へこみができていることもあります。

皮膚の赤み

炎症が伴う場合は、皮膚の表面に赤みが出ていたり変色していたりします。
皮膚に不自然な厚みが出る・ひきつれている・不自然に毛穴が目立つなど、通常の皮膚の状態とは明らかに異なるため注意深く観察しましょう。

骨の痛み

がん細胞が骨へ転移した場合は、該当する箇所に痛みが生じます。腰痛・胸や背中の痛み・肋骨や骨盤の痛みなどが主な例です。
なお乳がんの場合は、腕(肘から手にかけて)や膝より下への転移はほとんど起きないとされています。

転移した臓器に症状が出る

臓器への転移であれば、骨と同様に痛みが出るケースがあります。例えば肺であれば咳や痰が出たり息苦しくなったりする・脳であれば頭痛やふらつき・吐き気が起こったり意識障害が起きたりなどの症状です。

自覚症状が出ないケースもある

特に初期段階では、上記の自覚症状が確認できない場合もあります。早期の乳がんでは珍しくないことですが、放置すると症状が進行して自覚症状が現れるため油断はできません。
少しでも違和感や心配なことがあれば、すぐに専門の医師に診てもらいがんの有無を確認してください。なお、再発や転移が発覚した場合は今後の方針についても指示を仰ぎましょう。

乳がんが再発・転移した場合の治療法

乳がんが再発もしくはほかの箇所へ転移した場合の治療方法は、主に手術・放射線治療・薬物療法の3種類です。なお症状によって、治療法を併用したり異なる治療に切り替えたりする場合もあります。

手術

乳房のがん細胞がある箇所を切除します。がんの進行度によっては、乳房を温存したままの手術も可能です。なお乳房をすべて摘出した場合でも、治療後に乳房の再建手術を行えます。
症状によって、摘出と同時に再建を行う場合か、数ヵ月から数年の間を置いて再建を行う場合のいずれかを実施する流れです。身体にメスを入れるので多少の痛みが伴います。

放射線治療

乳がんに限らず、がん全般の治療法として主要な方法のひとつです。身体の外から放射線を当てるもので、主に手術後もしくは薬物療法と並行して行われます。
放射線を当てることでがん細胞のDNAを切断して破壊する仕組みです。手術とは違って治療中の痛みはありませんが、毛髪が抜け落ちる・皮膚の色素沈着が起きる・食事や排せつに影響が出るなどの副作用もあります。

薬物療法

こちらもがん治療の主要な方法のひとつで、主に手術後の完治を前提として再発を防ぐ目的・完治が困難ながんに対する痛みの緩和目的と2つのケースがあります。
薬は1種類だけを用いる場合・複数種類を組み合わせる場合とがあり、症状に応じて方針を決める流れです。通常はほかの治療と並行して行われますが、緩和目的の場合は薬物療法のみを行い、苦痛を和らげます。

乳がんの再発についてよくある質問

ここまで乳がんや乳がんの再発・転移などを紹介しました。ここでは「乳がんの再発」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

乳がんの再発は手術後何年くらいで起こるケースが多いですか?

上 昌広医師上 昌広(医師)

再発(局所再発)は、手術後の2年もしくは5年で起きる可能性が高い傾向にあります。ただし、時期には個人差があり、なかには10年以上経ってから再発が確認されるケースもあるため油断はできません。定期的にセルフチェックを行い、少なくとも1〜2年に1度は定期検診を受けましょう。検診の内容は、マンモグラフィ検査・乳房超音波検査・細胞診や組織診(針を刺して細胞を採取する手法)を組み合わせて行われます。通常の検診では主にマンモグラフィのみを行い、結果に異常がある場合は一歩踏み込んだ特殊なマンモグラフィ・超音波・細胞診や組織診も用いるケースが多いです。

再発の発見が早い方が生存率は上がりますか?

上 昌広医師上 昌広(医師)

再発した場合の発見は早いに越したことはありません。ただし、近年では早期発見の可否を問わず、生存率はいずれも同じとするデータがある点も事実です。発見後に適切な治療を受けることも、早期発見と同じだけ大切なことといえます。発見が遅れたからと気落ちしすぎることなく、専門の医師と相談しながら今後の治療方針を決めていきましょう。

編集部まとめ

過去に乳がんを治療して完治した場合も、残念ながら再発したりほかの箇所に転移したりするケースはあります。

長年の研究により再発や転移するリスクは減少していますが、万が一おかしいなと感じたら、すぐに検査して異常がないかを確認しましょう。

すでに再発や転移が認められている場合、手術・放射線治療・薬物療法のいずれか適切な治療を受ける流れになります。

生存率を上げたり苦しい症状を和らげたりするためにも、違和感を放置せず早めに対処するようにしましょう。

乳がんと関連する病気

「乳がん」と関連する病気は4個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する病気

乳がんとは異なり治療の必要がないものも含まれますが、状況に応じて手術が伴う場合もあります。気になる症状があれば早めに専門の医師の診断を受けましょう。

乳がんと関連する症状

乳がんと関連している、似ている症状は5個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 乳房のしこり
  • 乳房のくぼみ
  • 乳頭もしくは乳輪のただれ
  • 乳房の形が左右非対称になる
  • 乳頭から分泌物が出る

乳房に関する症状がほぼすべて該当します。目に見える症状・自分でなかなか気がつけない症状の両方が存在するため、気がついた時点で早めに医師へ相談し、適切な治療を行いましょう。

この記事の監修医師