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「子宮頸がんの生存率」はご存知ですか?ステージ別の治療法も解説!【医師監修】

 公開日:2024/10/03
「子宮頸がんの生存率」はご存知ですか?ステージ別の治療法も解説!【医師監修】

子宮頸がんは、若い世代でも発症率が高いとされている疾患です。初期症状が出にくい傾向にあり、発見が遅れるケースも少なくありません。

「もし子宮頸がんの発見が遅れたら」と不安な方も少なくないでしょう。

本記事では、子宮頸がんの概要・5年生存・治療方法・再発について詳しく解説していきます。ぜひ一読ください。

馬場 敦志

監修医師
馬場 敦志(宮の沢スマイルレディースクリニック)

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筑波大学医学群医学類卒業 。その後、北海道内の病院に勤務。 2021年、北海道札幌市に「宮の沢スマイルレディースクリニック」を開院。 日本産科婦人科学会専門医。日本内視鏡外科学会、日本産科婦人科内視鏡学会の各会員。

子宮頸がんとは?

子宮頸がんは子宮頸部とよばれる子宮の入り口に近い部分にできるがんで、子宮頸がんの罹患者数は女性特有の病気でみると乳がんに次いで発症率の高い病気です。
20代後半から子宮頸がんの発症率は増加し、40代以降でほぼ一定数の発症率になっていきます。子宮頸がんの主な原因はヒトパピローマウイルス(HPV)です。
HPVは性交渉によって感染するため、若い世代の発症リスク増加に大きく関わっています。ただし、HPVに感染すると子宮頸がんも発症するわけではありません。
ほとんどの場合、HPVに感染しても人体の免疫機能によりウイルスが排除され、2〜3年で感染が自然治癒します。
しかし、何らかの原因でウイルスが排除されず持続感染すると、子宮頚部の細胞ががん化します。
このがん化は前がん状態と呼ばれ、子宮頸がんになる確率は約20%です。残りの約80%は前がん状態のまま経過するか、一部が自然消失します。
子宮頸がんは早期発見しやすいがんですが、症状が進行すると治療が難しくなるため早期発見が重要です。

子宮頸がんの5年生存率

子宮頸がんに限らず、がんの治療成績を示す指標の1つが生存率です。生存率は、がんと診断されてからある一定の期間経過した時点で生存している割合を指しています。
がんの治療成績を表す生存率は、診断から5年後の生存割合を使用するのが一般的です。

ステージ1の5年生存率

5年生存率はステージ全体での割合になります。ステージ1の5年生存率は以下のとおりです。

  • 1年:99.0%
  • 2年:97.3%
  • 3年:95.7%
  • 4年:94.3%
  • 5年:93.3%

1年目と5年目では6.3%も生存率が下がります。

ステージ2の5年生存率

ステージ2の5年生存率は以下のとおりです。

  • 1年:96.0%
  • 2年:88.4%
  • 3年:83.1%
  • 4年:79.5%
  • 5年:76.5%

上記からもわかるとおり、ステージ1の5年生存率とステージ2の5年生存率の差は16.5%にもおよびます。
ステージが1つ上がるだけで15%以上も生存率が低くなる程、子宮頸がんは恐ろしい病気です。

ステージ3の5年生存率

ステージ3の5年生存率は以下のとおりです。

  • 1年:90.6%
  • 2年:78.7%
  • 3年:70.4%
  • 4年:65.4%
  • 5年:62.2%

ステージ1の5年生存率とステージ3の5年生存率の差は31.1%にもおよびます。5年生存率は年齢や手術の有無を問わず、子宮頸がんを発症した罹患者数から実測で割り出された数値です。

ステージ4の5年生存率

ステージ4の5年生存率は以下のとおりです。

  • 1年:62.9%
  • 2年:42.2%
  • 3年:32.7%
  • 4年:27.7%
  • 5年:25.1%

ステージ1の5年生存率とステージ4の5年生存率の差は68.2%にもおよびます。ステージ4の恐ろしいところは2年目から急激に50%を下回っていくことです。
数値では一目瞭然ですが、子宮頸がんが進行すればする程、5年生存率は著しく低下していくため注意が必要です。

子宮頸がんの治療方法

ここからはステージに合わせた治療方法を解説していきます。

ステージ1の治療方法

ステージ1の治療方法は子宮頸部円錐切除術です。
電気メス・超音波凝固装置などで切除します。1A期であっても、将来の妊娠・出産希望がない方へは子宮摘出術が推奨されています。
では、ここでステージについて簡単に解説しましょう。ステージはがんの進行期のことで、がんの大きさ・粘膜内のがん侵入度・リンパ節転移や肺などの遠隔臓器への転移の有無などにより分類されます。
ステージは1〜4までありますが、詳しい内容はそれぞれの項目で解説します。ステージ1はがんが子宮頸部のみに認められ、ほかに広がっていない状態です。
がんの進行段階によって、A期・B期に分類されます。このA期・B期はさらに細かく以下のとおりに分けられます。

  • 1A1期:周囲の組織への侵入深さが3mm以下
  • 1A2期:周囲の組織への侵入深さが5mm以下
  • 1B1期:腫瘍が2cm以下
  • 1B2期:腫瘍が2~4cm以下
  • 1B3期:腫瘍が4cmを超えるもの

子宮頸がんは進行しやすく危険な病気です。どれだけ小さいがん細胞や腫瘍であっても摘出することが求められます。また、1B期に該当する場合には放射線治療も選択肢の1つです。

ステージ2の治療方法

ステージ2の治療方法は放射線治療や開腹手術です。ステージ2の分類内容は以下のとおりです。

  • 2A1期:腟壁に4cm以内
  • 2A1期:腟壁に4cm以上
  • 2B期:子宮頸部の周囲の組織に腫瘍が拡大・骨盤壁までに達していないもの

2A期は子宮頸部の周囲の組織へは広がっていないものが前提で、開腹手術には広汎(こうはん)子宮全摘術が適用されます。しかし、広汎(こうはん)子宮全摘術の合併症として排尿障害が起こる可能性もあります。
合併症を極力軽くするため神経温存術式が取り入れられますが、腫瘍が大きい場合や子宮周囲へがんが進行している場合には神経温存術式は適応されません。
子宮周囲へがんが進行している場合には、放射線治療と抗がん剤治療を同時に行う治療方法が推奨されます。

ステージ3の治療方法

ステージ3の治療方法は同時化学放射線療法(CCRT)です。ステージ3の分類内容は以下のとおりです。

  • 3A期:腫瘍は下方部分の1/3に達するが、骨盤壁にまでは達していないもの
  • 3B期:腫瘍が骨盤壁にまで達しているもの・水腎症や腎臓が無機能となったもの
  • 3C1期:腫瘍が骨盤リンパ節にのみ転移が認められるもの
  • 3C2期:腫瘍が傍大動脈リンパ節に転移が認めらえるもの

同時化学放射線療法は約2ヵ月かけて行われるのが一般的です。

ステージ4の治療方法

ステージ4の治療方法は同時化学放射線療法(CCRT)や抗がん剤による化学療法です。ステージ4の分類内容は以下のとおりです。

  • 4A期:膀胱粘膜または直腸粘膜へ腫瘍が進行しているもの
  • 4B期:小骨盤腔を超えるもの

4B期の場合には、原則的に抗がん剤による化学療法が適用されます。

子宮頸がんが再発した場合の症状・治療方法

子宮頸がんの再発率は円錐切除術後の切除断端陽性例で9〜16%、切除断端陰性例では2〜4%です。
再発してしまった場合の症状・治療方法を解説していきましょう。

再発時の症状

子宮頸がんが再発したときの症状は、以下のとおりです。

  • 骨盤内・腰・背中の痛み
  • 下肢の痛み
  • 不正出血
  • おりもの増加
  • 下肢のむくみ

上記の症状が急に現れたり、複数の症状が重なっていたりする場合には注意が必要です。
気になる症状がある場合は、早めに受診しましょう。

再発時の治療方法

子宮頸がんが再発した場所により、治療方法は異なります。前回の子宮頸がん治療で放射線を当てた部位に再発した場合は、薬物療法が一般的です。
同じ部位に手術や放射線治療をすると合併症の発症リスクが高くなります。しかし、薬物療法では子宮頸がんの治療効果があまり期待できません。
対症療法にはなりますが、痛みを和らげる治療も検討されます。放射線を当てていない部位に再発した場合は、放射線治療や同時化学放射線療法(CCRT)が検討されます。
ほかにも骨盤内に再発した場合は、直腸や膀胱などを摘出する骨盤除臓術・細胞障害性抗がん薬・分子標的薬などの薬物療法が適用されることもあります。

子宮頸がんの生存率についてよくある質問

ここまで子宮頸がんの5年生存率・治療方法・再発などを紹介しました。ここでは「子宮頸がんの生存率」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

5年生存率は子宮頸がんを発症した年齢によっても変わりますか?

馬場 敦志医師

5年生存率は子宮頸がんを発症した年齢に限らないと考えられています。発症した年齢よりも子宮頸がんを早期発見・早期治療できるかどうかが5年生存率に大きく影響します。

生存率のネット・サバイバルとはどのような意味ですか?

馬場 敦志医師

ネット・サバイバル(純生存率)とは、がんのみが死因となる状況を仮定して計算する方法のことです。異なる集団や患者さんの平均的な予後の把握などを比較するために用いられます。がん治療でどれくらい生命を救えるかを示す指標の1つです。国際的にも広く採用され、日本では2010年10年生存率と2014〜2015年の5年生存率から、ネット・サバイバルが採用されました。

編集部まとめ

子宮頸がんの概要・5年生存・治療方法・再発についてだけでなく、よくある質問をピックアップして詳しく解説していきました。

子宮頸がんをいかに早期発見・早期治療に努めることが大変重要です。

もし、気になる症状や子宮頸がんについて疑問がある場合には、専門の医師に相談しましょう。

子宮頸がんと関連する病気

「子宮頸がん」と関連する病気は3個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する病気

上記はがんになる前の状態を経てから、がんになる病気です。発見が難しい傾向にあるため、定期健診を受けるよう留意しましょう。

子宮頸がんと関連する症状

「子宮頸がん」と関連している、似ている症状は3個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 性交時の出血
  • 濃い茶色や膿うみのようなおりもの
  • 水っぽいおりものや粘液が多く出る

子宮頸がんは月経でないときに上記のような症状が現れます。上記の症状が当てはまる場合には注意が必要です。

この記事の監修医師