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「子宮頸がんになる」とどんな『しこり』が現れるのか?しこり以外の症状も解説!

 公開日:2025/12/03
「子宮頸がんになる」とどんな『しこり』が現れるのか?しこり以外の症状も解説!

子宮頸がんの影響でしこりができることはあるのでしょうか?

本記事では、子宮頸がんとしこりについて以下の点を中心にご紹介します。

  • 子宮頸がんとは
  • 子宮頸がんのしこり以外の症状
  • 子宮頸がんでしこりができる場所

子宮頸がんとしこりについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。

馬場 敦志

監修医師
馬場 敦志(宮の沢スマイルレディースクリニック)

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筑波大学医学群医学類卒業 。その後、北海道内の病院に勤務。 2021年、北海道札幌市に「宮の沢スマイルレディースクリニック」を開院。 日本産科婦人科学会専門医。日本内視鏡外科学会、日本産科婦人科内視鏡学会の各会員。

子宮頸がんとは

子宮頸がんは、子宮の入り口付近に発生するがんで、30〜50歳代に多く見られます。このがんの主な原因は、ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染です。

初期段階ではほとんど症状がなく、不正出血や下腹部の痛みなどの症状が現れたときには、進行している場合が多い傾向があります。そのため、定期的な婦人科検診が重要です。 また、ヒトパピローマウイルス(HPV)に対するワクチンの接種もおすすめです。

子宮頸がんでしこりができる場所

子宮頸がんが進行し、首の付け根(ウィルヒョウ)にあるリンパ節や足の付け根である鼠径部(そけいぶ)のリンパ節に転移すると、しこりが現れる場合があります。

子宮頸がんのしこり以外の症状

前がん状態であるCIN(子宮頸部上皮内腫瘍)やAIS(子宮頸部上皮内腺がん)の段階では、おりものや出血、痛みなどの症状は見られない傾向があります。しかし、がんが進行するにつれて、さまざまな症状が現れるようになります。

進行した子宮頸がんの症状として、月経中でないときや性交時の出血、においを伴う濃い茶色や膿のようなおりもの、水っぽいおりものや大量の粘液の分泌などが挙げられます。

また、がんが子宮の外に広がると、多量の出血や骨盤、下腹部、腰の痛み、尿や便に血が混じる、下肢のむくみなどの症状が出る場合もあります。

気になる症状が少しでもあるときは、ためらわずに婦人科を受診することが大切です。 早期発見と適切な治療により、予後を良好にする可能性があります。

子宮頸がんになりやすい人の特徴

子宮頸がんの主な原因は、ヒトパピローマウイルス(HPV)への感染が持続することです。このウイルスは性交渉を通じて感染するため、性交渉の頻度が多い方やパートナーの数が多い方は、リスクが高い傾向にあります。

また、喫煙や免疫力の低下も子宮頸がんと関連があるとされています。 さらに、出産回数が多い場合や、経口避妊薬(ピル)を長期間使用もリスク要因とされています。

さらに、免疫力が低下している方はHPV感染後にウイルスを排除する力が弱くなるため、子宮頸がんのリスクが高くなる可能性があります。なかでも、HIV感染者や免疫抑制薬を使用している方、長期間のストレスや不規則な生活を送っている方は、免疫力が低下しやすい傾向があります。

免疫力を高めるためには、バランスのよい食事、十分な休息、適度な運動が重要です。 これらの生活習慣を見直すことで、子宮頸がんのリスクの減少が期待できます。

子宮頸がん以外でしこりができる病気

子宮頸がん以外の病気でもしこりができる場合があります。 以下で詳しく見ていきましょう。

外陰がん

外陰がんは、大陰唇や小陰唇、陰核などの外陰部に発生するがんです。 若年女性の外陰がんは、子宮頸がんと同様にヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が関連している可能性があります。

外陰がんは、初期段階では自覚症状が現れない場合が多いとされていますが、進行すると外陰部にしこりやかゆみ、ほてり、痛みなどの症状が見られるようになります。

ただし、外陰部にできるしこりには良性のものもあるため、異常を感じた際には医師の診断を受けることが重要です。

バルトリン腺嚢胞

バルトリン腺嚢胞は、腟口の左右にあるバルトリン腺が詰まることで生じる嚢胞です。嚢胞の大きさはエンドウ豆程度の小さなものから、ゴルフボールよりも大きくなるものまでさまざまです。通常、片側にだけ生じますが、感染を起こして膿瘍となる場合もあります。

バルトリン腺嚢胞は多くの場合、症状を引き起こさないとされていますが、嚢胞が大きくなると座る、歩く、性交の際に不快感を感じる場合があります。

また、痛みがなくても腟口付近のしこりや外陰部の左右の形の違いに気付き、嚢胞の存在を知る方もいるようです。

梅毒

梅毒は、梅毒トレポネーマという細菌によって引き起こされる性感染症です。性行為を介して、粘膜や皮膚の小さな傷から感染します。 感染後、性器や肛門、口唇にしこりができたり、全身に発疹が現れたりしますが、これらの症状は一時的に消える場合があります。 そのため、治ったと誤解され、発見が遅れる危険性があります。

梅毒の検査や治療が遅れたり、治療せずに放置したりすると、細菌が脳や心臓に合併症を引き起こす可能性があります。 また、梅毒はHIV感染のリスクを高める場合もあります。

早期発見と適切な治療が重要であり、症状が消えた後でも医療機関の受診が推奨されます。

子宮頸がんステージごとの治療方法

ここでは、ステージごとの子宮頸がんの治療について解説します。

微小浸潤がん(ステージ1A1期)

微小浸潤がんは、早期の子宮頸がんです。この段階では、子宮頸部円錐切除術を行い、腫瘍のある部分を局所的に切除します。

病理診断でステージ1A1期と確定した場合、原則として子宮を切除する手術を追加で行いますが、卵巣は温存できるとされています。

若年の患者さんには妊孕性温存治療として、円錐切除術のみで子宮を摘出しない方法も選択できます。この治療により、術後も妊娠・出産が行える可能性があります。

早期浸潤がん(ステージ1A2~2B期)

早期浸潤がんでは、70歳以下の方に対して手術治療が計画されます。 子宮と腟の一部、周囲の組織を広範囲に切除し、骨盤内のリンパ節も同時に摘出します。

卵巣も原則摘出しますが、ステージ1B2期までの扁平上皮癌の場合は卵巣温存できます。 手術後は排尿障害が起こる可能性がありますが、できる限り神経を温存する手術が行われます。

手術後、ステージ2B期やリンパ節転移陽性、腟の切除断端陽性が確認された場合は、放射線治療が行われます。なかでも再発リスクが高い場合、体外照射と抗がん剤(シスプラチン)を同時に行う同時化学放射線療法が用いられます。

放射線治療では強度変調放射線治療(IMRT)を用いて、腸管への被曝を抑えます。腟の切除断端が陽性の場合には腔内照射も行われます。 手術が困難な方や75歳以上の方には、体外照射と腔内照射を組み合わせた放射線療法や放射線のみの治療が選択され、放射線治療科と連携して治療が進められます。

進行期浸潤がん(ステージ3A~4B期)

進行期浸潤がんでは、ステージ3および4A期の患者さんに対しては、75歳未満の場合は同時化学放射線療法、75歳以上の場合は放射線単独治療が計画されます。

ステージ4B期の患者さんには、主に薬物療法(化学療法)が計画され、薬剤は点滴注射で投与されます。この薬物療法は、腫瘍内科での診療となります。

子宮頸がんについてよくある質問

ここまで子宮頸がんとしこりについて紹介しました。ここでは「子宮頸がん」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

HPVに感染するとかならず子宮頸がんになりますか?

根来 和輝根来 和輝 医師

子宮頸がんは、主に性交渉によるHPV(ヒトパピローマウイルス)感染が原因で発生します。しかし、HPVに感染したからといって必ずしも子宮頸がんになるわけではありません。

子宮頸がんと子宮体がんは違うがんですか?

根来 和輝根来 和輝 医師

子宮頸がんと子宮体がんは、発生する部位が異なる別のがんです。 子宮頸がんは子宮の入り口にできるがんで、主にヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が原因です。 一方、子宮体がんは子宮の奥、赤ちゃんを育てる子宮体部にできるがんで、エストロゲン(女性ホルモン)の長期的な刺激が主な原因とされています。 発症年齢も異なり、子宮頸がんは20代後半から増えるのに対し、子宮体がんは40代以降に多く見られます。

まとめ

ここまで子宮頸がんのしこりについてお伝えしました。 要点をまとめると以下のとおりです。

⚫︎まとめ

  • 子宮頸がんは、子宮の入り口付近に発生するがん
  • 子宮頸がんは初期段階ではほとんど自覚症状がない
  • ウィルヒョウリンパ節や足の付け根である鼠径部にしこりができる

子宮頸がんと関連する病気

子宮頸がんと関連する病気は3個ほどあります。 各病気の症状・原因・治療方法などの詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

婦人科の病気

具体的な症状や治療法については、担当の医師と相談しましょう。

子宮頸がんと関連する症状

子宮頸がんと関連している、似ている症状は3個ほどあります。 各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

これらの症状が持続する場合、または新たにあらわれた場合、医師の診察を受けることが大切です。

この記事の監修医師