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「悪性リンパ腫ステージ4の生存率」はどれくらい?検査・治療法も解説!【医師監修】

 公開日:2025/02/15
「悪性リンパ腫ステージ4の生存率」はどれくらい?検査・治療法も解説!【医師監修】

悪性リンパ腫のステージ4は、がんが体のほかの部位に広がっている状態を指します。
本記事では悪性リンパ腫ステージ4の生存率と治療法について以下の点を中心にご紹介します。

  • ・悪性リンパ腫の主な症状
  • ・病期と生存率
  • ・悪性リンパ腫の治療方法

悪性リンパ腫ステージ4の生存率と治療法について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。

山本 佳奈

監修医師
山本 佳奈(ナビタスクリニック)

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滋賀医科大学医学部 卒業 / 南相馬市立総合病院や常磐病院(福島)を経て、ナビタスクリニック所属/ 専門は一般内科

悪性リンパ腫とは

悪性リンパ腫は、リンパ球という白血球の一種ががん化する病気です。実に100種類以上もの病型があり、がん細胞の特徴によってB細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫・NK細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫の大きく3つに分類されます。B細胞リンパ腫とT細胞リンパ腫・NK細胞リンパ腫は、非ホジキンリンパ腫とも呼ばれています。
2020年のがん罹患数予測では、悪性リンパ腫は子宮がんや食道がんを上回り、8位に位置しています。血液のがんのなかでは半数以上を占める病気で、近年患者数が急増しているのが特徴です。

悪性リンパ腫の主な症状

悪性リンパ腫の初期症状は、首や脇の下、足の付け根などのリンパ節が腫れてくることです。痛みを伴わないしこりが特徴的ですが、まれに痛みを感じることもあります。がんが進行すると、38度以上の発熱や倦怠感、体重減少、皮膚の異常などさまざまな症状が現れます。
リンパ節の腫れが気道や血管、脊髄を圧迫すると、呼吸困難や血流障害、まひなどの深刻な症状を引き起こす可能性もあります。また、がん細胞がほかの臓器に転移すると、転移先に応じた症状が出現します。肺や気道では咳や呼吸困難、肝臓では黄疸や腹水、骨では骨痛などです。

病期(ステージ)と生存率

国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センターの全国がん罹患モニタリング集計によると、日本の悪性リンパ腫の5年相対生存率は、1993~1996年が48.5%だったのに対し、2009~2011年では67.5%まで向上しており、医療技術の進歩に伴い改善していることがわかります。
悪性リンパ腫の病期には、Ⅰ期〜Ⅳ期まであります。以下で、悪性リンパ腫の病期(ステージ)と予後について解説します。

Ⅰ期

Ⅰ期の悪性リンパ腫は、がんがリンパ節やリンパ組織の1ヵ所のみ、あるいはリンパ節以外の臓器の1ヵ所だけに見られる状態を指します。
生存率は年齢や性別、血液データなどの予後不良因子の有無によって変動しますが、64歳以下の若年層や女性の方が生存率は高い傾向にあります。

Ⅱ期

悪性リンパ腫のⅡ期は、リンパ節やリンパ組織の中に2つ以上のリンパ腫が見られるが、横隔膜を境にして上半身か下半身のどちらか一方にだけ見られる状態を指します。
また、リンパ節以外の臓器に1ヵ所とリンパ節にも1ヵ所以上のリンパ腫が見られるが、やはり上半身か下半身のどちらか一方だけに限局している場合もⅡ期に分類されます。
ただし、38度以上の発熱などの全身症状を伴う場合はⅡB期に分類され、予後はより厳しくなります。

Ⅲ期

悪性リンパ腫のⅢ期は、リンパ腫が横隔膜を境に上半身と下半身の両方に見られる状態を指します。
がんが体の広範囲に広がっている状態であり、全身への影響も大きくなります。ただし、著しい発熱や寝汗、体重減少などの全身症状がない場合はⅢA期に分類され、予後はやや良好です。一方、全身症状を伴うⅢB期の場合は、予後不良因子の一つとされています。

Ⅳ期

悪性リンパ腫のⅣ期は、リンパ腫がリンパ節以外の臓器や皮膚、骨髄、血液中などに広範囲に広がっている状態を指します。
がんが全身に広がり、重要な臓器にも影響を及ぼしている可能性が高い病期です。Ⅳ期の悪性リンパ腫は、治療が難しく、予後不良であることが多いとされています。

悪性リンパ腫の検査方法

悪性リンパ腫の検査方法には、リンパ節生検やPET検査、血液検査や尿検査があります。
それぞれの検査方法について解説します。

リンパ節生検

リンパ節生検は、悪性リンパ腫の確定診断に欠かせない検査です。腫大したリンパ節の一部または全体を、局所麻酔下で切除し、採取します。病理医が顕微鏡で細胞の形態を詳細に観察し、病理学的分類を行います。
さらに、染色体検査や遺伝子検査にも組織の一部が用いられ、悪性リンパ腫のタイプを特定するのに役立ちます。結果を総合的に判断し、最終的な診断が下されます。

PET検査

PET検査は、悪性リンパ腫の広がりを評価するための検査です。ブドウ糖に類似した放射性物質を含む薬剤を注射し、全身の臓器や組織への薬剤の集積度合いを調べます。がん細胞は正常細胞よりもエネルギー消費量が多いため、薬剤の取り込みが亢進します。この特性を利用して、悪性リンパ腫の全身への広がりを評価し、病期の診断に役立てます。

血液検査や尿検査

血液検査や尿検査は、悪性リンパ腫の患者さんの全身状態を評価するための役割を果たします。主に、肝臓や腎臓の機能を確認し、治療に耐えうる状態かどうかを判断します。また、病勢を反映するマーカーとして、乳酸脱水素酵素(LDH)、C反応性蛋白(CRP)、可溶性インターロイキン-2受容体(sIL-2R)などを測定します。

悪性リンパ腫の治療方法

悪性リンパ腫の治療方法には、放射線療法や化学療法、造血幹細胞移植の3つが存在します。それぞれの治療方法について紹介します。

放射線療法

放射線療法は、高エネルギーのX線を用いて悪性リンパ腫細胞を破壊する治療法です。リンパ腫の広がりが限局的な場合に有効といわれ、病巣部への集中的な照射により根治を目指します。
主な副作用は、粘膜の炎症や食欲不振、吐き気などですが、治療後1〜2週間で軽快することが多いようです。照射部位により口内炎や唾液減少などの症状も現れることがあります。

化学療法

化学療法は、悪性リンパ腫に対する中心的な治療法で、抗がん剤を用いてがん細胞の消滅や増殖の抑制を目的とします。
化学療法は、診察や画像診断で確認できる病変だけでなく、微小な病変にも効果が期待できます。ただし、大量の抗がん剤を投与するため、骨髄抑制や消化器症状、脱毛、発熱などの副作用が現れることがあります。

造血幹細胞移植

造血幹細胞移植は、標準的な化学療法や放射線治療では再発リスクが高い悪性リンパ腫に対して行われる治療法です。大量の化学療法や全身放射線治療によって、がん細胞を徹底的に除去した後、事前に採取しておいた造血幹細胞の移植によって、損なわれた骨髄機能を回復させます。
悪性リンパ腫は全身を循環するがん細胞の性質上、局所的な治療だけでは不十分なことが多いため、造血幹細胞移植のような全身に届く治療が必要となる可能性があります。

悪性リンパ腫の再発を防ぐために

悪性リンパ腫は治療後も再発のリスクがあるため、定期的な経過観察が欠かせません。再発の多くは臨床症状によって発見されますが、CT検査などで早期発見できる場合もあります。

悪性リンパ腫についてよくある質問

ここまで悪性リンパ腫ステージ4の生存率と治療法などを紹介しました。ここでは悪性リンパ腫についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

悪性リンパ腫は何歳からが発症のピークになりますか?

山本 佳奈医師山本 佳奈(医師)

悪性リンパ腫の発症のピークは70歳代とされています。リンパ腫の発症率は年々増加傾向にあり、高齢化の進行と関連があると考えられます。ただし、リンパ腫は若年層でも発症することがあるため、年齢に関わらず注意が必要です。

悪性リンパ腫は転移しやすいですか?

山本 佳奈医師山本 佳奈(医師)

はい、悪性リンパ腫は全身に転移しやすい傾向があります。リンパ系組織が体中を巡っているため、リンパ管や血管を通じてがん細胞が容易にほかの部位へと広がるためです。
リンパ腫は、リンパ節や脾臓、胸腺などのリンパ系組織から発生しますが、リンパ球は血流に乗って全身を循環する性質を持っているため、がん化したリンパ球も同様に体のあらゆる場所に転移する可能性があります。

まとめ

ここまで悪性リンパ腫ステージ4の生存率と治療法についてお伝えしてきました。悪性リンパ腫ステージ4の生存率と治療法についての要点をまとめると以下のとおりです。

  • ・悪性リンパ腫の主な症状は、リンパ節の無痛性腫脹が初期症状で進行すると発熱、倦怠感、体重減少等が現れる
  • ・病期はI期からIV期まで分類され、I期の5年生存率は高いが、病期が進む程生存率は低下する
  • ・放射線療法、化学療法、造血幹細胞移植が主な治療法である

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悪性リンパ腫と関連する病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法などの詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

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具体的な症状や治療法については、担当の医師と相談しましょう。

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この記事の監修医師

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