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「舌癌と口内炎の違い」は舌のどこをチェックすれば良い?見分け方を医師が解説!

 公開日:2025/11/16
「舌癌と口内炎の違い」は舌のどこをチェックすれば良い?見分け方を医師が解説!

舌がんと口内炎の違いをご存知ですか? 舌がんの初期症状は口内炎と見分けがつかない場合がほとんどで、放置して進行してしまうケースが少なくありません。 舌がんは早期治療すれば5年生存率90%以上で、舌の機能もほとんど損なわれません。 本記事では、舌がんの早期発見のために知っておくべき以下の内容を解説します。

  • 舌がんの症状
  • 舌がんと口内炎の見分け方
  • 舌がんの早期発見が重要な理由
舌がんの早期発見につなげるために、参考になれば幸いです。

熊谷 靖司

監修歯科医師
熊谷 靖司(歯科医師)

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熊谷歯科医院 院長

舌がんとは

舌がんは、お口のなかにできる口腔がんの一種であり、口腔がんの約半数は舌がんです。
舌はお口を開けて目に見える部分を舌体といい、舌の奥側3分の1は目に見えない舌根といいます。舌根にもがんができる場合がありますが、分類上は舌がんではなく中咽頭がんとなります。
舌がんの症例数はがん全体の1%程度ですが、日本でも毎年約3,000人が命を落としているがんです。舌がんは口腔内の目に見える部分にできるため、患者さん自身でも早期発見がしやすく、早期治療すれば根治を目指せるがんです。
 

舌がんと口内炎の違いとは

舌がんの初期症状は口内炎と似ていますが、舌がんと口内炎はまったく別の疾患です。
口内炎は口腔内の傷や一時的な炎症であり、舌がんは浸潤と転移を伴う悪性腫瘍です。口内炎と異なる舌がんの特徴を解説します。

原因

舌がんの原因ははっきりとはわかっていませんが、舌がんのリスクを高めるとされるのは以下の因子です。
  • 喫煙
  • 飲酒
  • 噛み合わせの悪さ
  • 不十分な歯科治療
  • むし歯・歯周病
  • 口腔粘膜疾患
お酒やタバコに含まれる物質による化学的刺激のほか、噛み合わせの悪さや不十分な歯科治療に伴う機械的な刺激の繰り返しも、舌がんのリスクを高めると考えられています。
むし歯や歯周病などお口の病気を放置すると、口腔粘膜の炎症を生じ、炎症ががんへと進行することも少なくありません。

症状

舌がんは舌の目に見える部分にできるため、初期から患者さん自身でも気がつきやすいがんです。舌がんの主な兆候は、以下の症状があるときです。
  • 舌のしびれ・痛み
  • 舌にしこりができる
  • 舌から出血する
  • 舌に白斑・紅斑ができる
舌がんの初期症状は口内炎やほかの病気と類似しており、詳細の検査を受けなければ、がんかどうかを区別するのは困難です。
舌の違和感が自然に治らない場合は、早めに歯科医院か口腔外科を受診しましょう。

舌がんと口内炎の見分け方

舌がんの初期症状は、口内炎と見分けがつかないことが少なくありません。
口内炎は自然と治る場合がほとんどですが、舌がんは治らずにどんどん進行していきます。以下のような症状があれば、舌がんの可能性があるため早めに受診しましょう。
  • 舌の両側の縁にできやすい
  • 形がいびつで境界線がはっきりしない
  • 痛みが軽く白い斑点がある
  • 2週間経っても治らない
それぞれの詳細を解説します。

舌の両側の縁にできやすい

舌がんは舌の中心部や前側にできることは少なく、舌の側面にできることが大半です。舌を噛んだ覚えがないのに舌の側面に違和感がある場合は、舌がんの可能性があります。

形がいびつで境界線がはっきりしない

舌がんは口内炎のように傷から発生するわけではないため、境界線がはっきりしないケースがあります。舌を噛んだり火傷したりしてできた口内炎は、傷口の境目がはっきりしていますが、境界線が曖昧なただれ・しこりなどには注意しましょう。

痛みが軽く白い斑点がある

舌に白い斑点や苔のようなものがこびりつくのは、口腔粘膜疾患の白板症や扁平苔癬の可能性があります。口腔粘膜疾患から舌がんに進行するケースもあるため、ぬぐっても取れない白い斑点や苔癬を見つけたら、歯科医院を受診しましょう。

2週間経っても治らない

通常の口内炎は、ほとんどの場合2週間以内に自然治癒します。2週間以上経っても口内炎が治らず、痛みや強くなったり範囲が広がったりする場合は、舌がんの可能性があります。

舌がんの早期発見の重要性

舌がんは口腔内の目に見える部分にできるため、早期発見しやすいがんです。
舌がんが進行すると、手術で舌を全摘出せざるを得ない場合もあり、命は守れても生活の質が劇的に低下してしまいます。ほかにも、舌がんの早期発見が重要な理由を解説します。

5年生存率が90%

早期発見された舌がん患者さんの5年生存率は90%以上あり、命を失うリスクを大幅に小さくできます。手術の場合でもがんが小さければ舌の一部を切除するだけで、食事や発音の機能を保てるでしょう。
進行した舌がんの手術は舌を半分以上切除するか、全摘出せざるを得なくなる場合もあります。

リンパ節への転移

舌は頸部リンパ節と近いため、舌がんが頸部リンパ節に転移するケースも少なくありません。
リンパ節に転移した場合は、再発を防ぐために周辺の組織ごと切り取る頸部郭清術が必要となります。首を通る神経や血管を保存できない場合や、気管を切開して気道を確保するなど大変な手術となることもあります。

ほかの臓器への遠隔転移

舌がんがリンパ節からほかの臓器へ遠隔転移した場合、手術でがんをすべて切除するのは困難です。
この場合は抗がん剤や放射線療法でがんの進行を抑えて、症状を緩和する保存療法となります。命だけでなく生活の質を守るためにも、舌がんは早期発見して早期に治療しましょう。

定期的にセルフチェックが大切

舌がんの患者さんのほとんどが、自分で症状に気付いて歯科医院や口腔外科を受診しています。
早期発見すれば舌の機能を残したまま治療できるため、舌がんは定期的なセルフチェックが大切です。毎日の歯みがきの際に、以下のポイントをチェックしてください。
  • 舌にただれやしこりがないか
  • 舌に白い斑点や苔状の異変がないか
  • 舌からの出血や痛みがないか
  • 2週間以上治らない口内炎がないか
症状のない初期の舌がんは、歯科検診で発見される場合もあります。むし歯や歯周病など口腔環境の悪化が舌がんの原因となる場合もあるため、定期的な歯科検診を受けて口腔内の健康を保ちましょう。

​​舌がんと口内炎の違いについてよくある質問

ここまで舌がんの症状やセルフチェック方法などを紹介しました。ここでは「舌がんと口内炎の違い」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

舌がんは何科を受診すればよいですか?

舌がんの治療は口腔外科が担当しますが、歯科で発見される場合も少なくありません。舌の痛みや出血などの症状がある場合は、まずお近くの歯科医院を受診すればよいでしょう。歯科医院で舌がんの疑いがあるとされた場合は、口腔外科で詳しい検査を受けてください。

治療後の日常生活への影響はありますか?

舌がんの治療は、手術によってがんを切除するのが標準療法です。切除する範囲はがんの大きさや広がりによって決まり、舌の部分切除であれば機能的な影響は少ないとされています。がんを切除した後も、術後補助療法として抗がん剤や放射線療法を行うことがあります。副作用として吐き気や下痢、味覚の変化などがあり、生活への影響は少なくありません。舌を半分以上切除した場合は、腹部などから筋肉を移植して再建手術を行いますが、舌の機能をすべて維持するのは難しくなります。

編集部​​まとめ

舌がんと口内炎の違いやセルフチェック方法を解説してきました。 舌がんは進行すると舌の半分以上を切除せざるを得なくなり、食事や発音の機能が大幅に低下します。 命は守れても生活の質は劇的に低下するため、早期発見して早期治療することが第一です。 口腔内の目に見える部分にできるがんであるため、早期発見のためにもセルフチェックを心がけましょう。 ほとんどの場合は単なる口内炎ですが、症状が治りにくかったり増大していく場合は、早めに歯科医院にご相談ください。

舌がんと関連する病気

「舌がん」と関連する病気は4個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
白板症や紅板症などの口腔粘膜疾患は、がんに進行する確率は10%程度あるとされています。舌の白板症は舌がんに進行する可能性があるため、放置せずに治療しましょう。また、舌がんのリスク因子とされる飲酒や喫煙は、喉頭がんや咽頭がんの原因となります。このため、舌がんと同時に喉頭がんや咽頭がんが発見されるケースも少なくありません。

舌がんと関連する症状​​

「舌がん」と関連している、似ている症状は4個程あります。
各症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 舌のただれ・しこり
  • 舌の痛み・出血
  • 舌の斑点や苔癬
舌がんの初期症状は、口内炎をはじめとした口腔内の病気と見分けがつかないことが少なくありません。口内炎は2週間以内に自然治癒することがほとんどで、2週間以上治らない症状がある場合は、早めに受診しましょう。

この記事の監修歯科医師