「子宮頚管ポリープが悪性の確率」ってどれくらい?症状や検査方法も解説!
子宮がん検診や妊娠時検査で子宮頚管ポリープを指摘されて、不安を感じていませんか。
子宮頚管ポリープは自覚症状がない場合が多く、検診時に偶然発見されることが少なくありません。子宮頚管ポリープのほとんどは良性ですが、ごくまれに悪性のこともあり、組織学的検査での鑑別が必要です。
放置することで潜在的な合併症につながることもあるため、早期発見と適切な治療が重要です。
この記事では、子宮頚管ポリープが悪性の確率と、診察方法・治療方法・検査について解説します。治療後の注意点もご紹介しているので参考にしてみてください。
監修医師:
馬場 敦志(宮の沢スマイルレディースクリニック)
目次 -INDEX-
子宮頚管ポリープとは
子宮頚管ポリープは、子宮の入り口である子宮頚管部の内側にできる、茎を有する小さな良性腫瘤です。悪性疾患を伴うことはまれであり、その発生率は0.2%~0.4%といわれています。
子宮頚管ポリープは、子宮頚部の粘膜組織が限局的に増殖することによって生じ、大きさは数mmから数cmまでさまざまです。単体で発生することが多いですが、複数形成される場合もあります。成人女性のおよそ2~5%にみられ、出産を経験した30~50歳代の女性に発症しやすい傾向がみられます。
女性ホルモンの影響・慢性的な炎症が関係していると考えられていますが、原因は明らかになっていません。自覚症状がない場合がほとんどで、定期的な婦人科検診や妊娠時検査などで偶然発見されることが一般的です。自分では気付きにくい子宮頚管ポリープですが、女性が人生のうちで経験する可能性がある疾患といえます。
子宮頚管ポリープの悪性の確率と診察方法
子宮頚管ポリープのほとんどは良性ですが、まれに悪性のことがあります。悪性の確率としては、2,246例のうち約0.1%に悪性・約0.5%に異形成がみられたとの報告があり、全体の1割未満となっています。
子宮頚管ポリープの悪性の確率は低いものといえますが、定期的な検診で早期発見・早期治療が重要です。
ポリープの多くは良性
子宮頚管ポリープの9割以上は良性のものです。1,366例の組織診で1例も悪性所見がみられなかった報告もありますが、肉眼的に鑑別することは難しいため、原則的には切除し組織学的検査を行うことが一般的です。
診察には腟鏡を使用
子宮頚管ポリープの診察には腟鏡を使用して内診を行います。腟鏡診は、腟から腟鏡と呼ばれる器具を挿入し、腟を広げることによって腟の奥深くにある子宮頚部の様子を視覚化できます。
子宮頚管ポリープの存在・位置・大きさ・数を確認するためには、腟鏡を使用した内診が不可欠です。
子宮頚管ポリープの治療法と検査
子宮頚管ポリープの治療は切除術が一般的です。不正出血などの自覚症状がない場合は経過観察となることもありますが、ポリープ自体、自然治癒することはほとんどありません。悪性との鑑別のためにも、切除し組織学的な診断を行うことが望ましいと考えられています。
茎の細いポリープは、簡単な処置のため、外来での切除が可能です。ポリープが大きい場合・基底部が広く切除時に出血が多くなる可能性がある場合などは、入院して麻酔下での切除を考慮します。
主なポリープ切除術は、ペアン鉗子による捻除術・メスや鋏による切除術・電気メスによる焼灼切除術などが一般的です。それぞれの切除術について以下で詳しく解説します。
ペアン鉗子による捻除術
ポリープの根元部分をペアン鉗子で持ち、一方向に捻じることによって、ポリープを切除する方法です。麻酔をかける必要がなく、外来で行える簡単な処置で、痛みもほとんど伴いません。
わずか数秒で切除が完了し、傷が小さく出血量が少なくすむため、治療後の処置が少ない点が特徴です。
メス・鋏による切除術
ポリープの茎部分が太いポリープに対して行われる手術方法です。ポリープを縛って血流を滞らせた状態で、メスや鋏を用いて切除します。外来では完全に切除することが難しいため、麻酔下で切除を行います。
電気メスによる焼灼切除術
ポリープの茎がわかりにくい場合や、根が深い場合に検討される手術方法です。電気メスでポリープを焼き切る治療法です。レゼクトスコープと呼ばれる子宮内をみる内視鏡を用いて、病変を詳しく観察したうえで行います。
切除後の病理検査
切除したポリープは、病理組織学的検査に提出し病理診断を行います。悪性腫瘍などほかの疾患ではないことを確かめるためです。診断結果は7~10日でわかります。
子宮頸管ポリープの症状
子宮頚管ポリープの症状は、多くの場合自覚症状がないため、定期検診や妊娠時検査などで偶然発見されることがほとんどです。
しかし、子宮頚管ポリープの組織はもろくてやわらかい性質のため出血しやすく、以下の症状がみられることがあります。
不正出血
一般的な症状の一つは不正出血です。生理ではない時期の出血・生理中の出血量の増加・閉経後の出血などがみられることがあります。
スポーツ・性交後の出血
スポーツや性交渉による刺激で出血することがあります。
おりもの異常
おりものが増加する・おりものに血が混じる・白っぽいおりものがみられることがあります。
貧血
不正出血や過多月経が続くことで、貧血につながる場合があります。貧血は自分で気付きにくい症状です。健康診断などをきっかけに発見されることもあります。
子宮頚管ポリープの悪性の確率についてよくある質問
ここまで子宮頚管ポリープの悪性の確率・診察方法・治療方法・検査などを紹介しました。ここでは「子宮頚管ポリープの悪性の確率」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
切除するときに痛みはありますか?
馬場 敦志医師
ポリープの茎が細いものは、麻酔がなくても痛みはほとんどありません。処置は数秒程度で終了します。ポリープの茎が太いものの場合も、麻酔をして切除するため痛みは感じません。
切除後の注意点について教えてください。
馬場 敦志医師
切除した部位からわずかに出血を伴うため、数日は茶色のおりものがみられますが、おりものシートに付着する程度です。ほとんどの場合、数日でおりものは正常化します。大きなポリープの場合は、まれに出血が続くことがあります。出血量が多い・1週間以上続く場合は、早めに受診してください。ポリープ切除当日の入浴は、切除後の出血がほとんどなければ問題ありません。ただし、出血が多い場合はシャワーだけにしてください。また、切除した部位が治癒するのに数日はかかりますので、性行為はおりものが正常化してから行うようにしましょう。
編集部まとめ
今回は子宮頚管ポリープが悪性の確率と、診察方法・治療方法・検査について解説しました。悪性の確率は低いことがわかり、気持ちが落ち着いた方もいるでしょう。
子宮頚管ポリープは自分では気付きにくい、女性が経験する一般的な疾患です。子宮頚管ポリープへの理解を深めることは、適切な医療を受けるための第一歩です。
無症状であっても、早期発見のため・再発予防のために定期検診を受け続けましょう。
子宮頚管ポリープと関連する病気
「子宮頚管ポリープ」と関連する病気は4個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する病気
- 子宮内膜ポリープ
- 粘膜下筋腫の下垂
- 尖形コンジローマ
- ポリープ状に発生する悪性腫瘍
子宮頚管部のポリープ状病変の多くは子宮頚管ポリープですが、内膜ポリープ・粘膜下筋腫の下垂・尖形コンジローマ・ポリープ状に発育する悪性腫瘍などとの鑑別が必要です。定期的な検診を行って早期発見・早期治療を目指しましょう。
子宮頚管ポリープと関連する症状
「子宮頚管ポリープ」と関連する症状は6個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
これらの症状は子宮頚管ポリープ特有のものではなくほかの婦人科疾患と類似しているため、正確な診断が必要です。子宮頚管ポリープはほとんどの場合良性であり、がんに進行することはまれですが、感染・貧血・肥大などの合併症を引き起こす可能性があります。症状がみられたり、合併症が疑われたりした場合には、専門の医師に相談しましょう。