「子宮頸がん検診後の性行為はいつから」できる?細胞診前後の注意点も解説!
女性特有のがんである子宮がん、そのうち約7割を占める子宮頸がんは幅広い年代の女性で発症します。
若年層である20歳代でも発症するため、子宮頸がんの発症が妊活に支障をきたしてしまうこともあるでしょう。
そのため、20歳を過ぎたら2年に1度は検診を受け、予防をしていくことが必要です。
今回は、そのような子宮頸がんの検査内容や注意点について解説します。
監修医師:
馬場 敦志(宮の沢スマイルレディースクリニック)
目次 -INDEX-
子宮頸がんとは
子宮がんは子宮頚がんと子宮体がんの2種類があり、子宮頸がんは子宮の入口に近い部位である子宮頸部に発生するがんのことをいいます。
発症割合としては子宮頸がんが子宮がんのうち約7割を占め、発症する年代としては20~50歳代と幅広いです。子宮頸がんの原因のほとんどがヒトパピローマウイルス(HPV)とされています。
このHPVは男女問わず感染する可能性があり、主な感染経路は性的接触です。そのため、性交経験のある女性のほとんどが感染している可能性がありますが、90%の人は自分の免疫の力でHPVを自然排除できます。
しかし、なかには自然治癒できない場合があり、そういったケースでは子宮頸がんを発症する可能性があります。
子宮頸がん検診後の性行為はいつから?
子宮頸がん検診では子宮頚部を調べるため、検診後、炎症や出血を伴うことがあるでしょう。この状態で性交渉を行うと炎症の改善の遅れや、さらなる出血を引き起こす可能性があります。
性行為を控えた方がよい期間
子宮頸がん検診で行われる細胞診は子宮頚を傷つけてしまう検査のため、検診後は性交渉は避けた方がよいとされています。具体的な日数としては2~3日程度です。
検診後に生じやすい症状
細胞診によって傷つけられた部位から出血することがあり、通常3日程度で止血します。しかし、稀に4~5日程度出血が続く場合があるため、出血が止まるまでは入浴は避けてシャワーで済ませた方がよいでしょう。
また、出血以外の症状として下腹部の痛みや発熱といった症状が出現することがありますが、その際は早めに受診し医師に相談してください。
子宮頸がんの検診内容
子宮頸がん検診では問診・内診・細胞診などが行われます。子宮頸部を傷つける検査もあるので、出血を伴う生理時は検診を避けた方がよいとされています。
問診
問診では、一番最近の生理・妊娠や出産の経験・生理以外の性器出血の有無などを聞かれます。検診を受ける際はいつ頃生理がきたかなど、事前に情報を整理しておく必要があるでしょう。
視診・内診
視診ではクスコという器具で子宮頚部の状態を確認します。内診は左手の指を膣の中にいれ、右手でお腹を押して子宮の大きさを確認する検査です。
細胞診
細胞診は子宮頸部の細胞を専用のブラシやヘラで採取する検査です。細胞を採取する際に、子宮頸部を傷つけてしまうので、多少の出血や違和感を伴うことがあるでしょう。
また、細胞診だけでは子宮頸がんと診断できません。あくまで細胞診は、子宮頸がんの可能性があるかどうかのみを調べることができ、結果によっては精密検査を行う必要があるでしょう。
HPV検査
HPV検査は細胞診と併用することで、診断の精度を上げることができる検査です。
HPV検査では、細胞診で採取した細胞がHPVに感染しているかを調べることができます。細胞診とHPV検査のそれぞれの結果によって、次回の検診間隔も変わってくるでしょう。
また、HPV検査で一度陰性であったとしても、検診後に性行為などのHPVに感染する行為を行えば陽性になる可能性もあります。そのため、2年に1回は定期的な検診を行うことが推奨されています。
細胞診前後の注意点
細胞診は子宮頸がんの診断を行ううえで重要な検査ですが、検査を受けるときの注意事項はどういったものがあるのでしょうか。特に、出血を伴う生理中に検査を受けてよいか迷う方もいるでしょう。
以下、細胞診を行ううえでの注意事項について解説していきます。
生理期間を避けて予約する
出血を伴う生理中はできるだけ避けた方がよいでしょう。これは、生理で出血が多いと正しい検査結果が出にくいためです。事前に自分の生理日を計算してから、予約するようにしましょう。
細胞診の前日は性交渉を控える
細胞診前の性交渉は避けた方がよいとされています。これは、性交渉によって膣の中が傷ついてしまう危険性があるからです。また、性交渉によって一時的に菌も増えてしまうことが報告されており、細胞診後の感染症を予防するためにも細胞診前の性交渉は避けた方がいいでしょう。
また、細胞診前の膣洗浄は行う必要はありません。これは、検査前に膣洗浄をしてしまうと検査結果が不正確になるためです。
出血にはナプキンで対応する
細胞診による出血があった場合、ナプキンを当てて対応することがあります。検査してから数日から1週間程度は、少量の出血やおりものがあるでしょう。
検査当日はシャワーにする
入浴など体温を上げる行為は出血が助長される恐れがあるので、検査当日は入浴は避けシャワーのみにしておくのがよいでしょう。
過度な運動・飲酒は控える
過度な運動は傷口を開き、飲酒は出血を止める凝固系の機能を低下させる可能性があるので、どちらも細胞診後は避けた方がよいでしょう。細胞診後の1週間程度は過度な運動や飲酒は控えてください。
子宮頸がん検診後の性行為についてよくある質問
ここまで子宮頸がん検診後の性行為がいつから大丈夫か・子宮頸がん検診の内容・細胞診前後の注意点などを紹介しました。ここでは「子宮頸がん検診後の性行為」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
子宮頸がん検診後に生理が早まることはありますか?
馬場 敦志医師
子宮頸がんの検診後に生理が早まることはありません。なぜなら、生理は女性ホルモンの影響によって起きるからです。子宮頚がん検診では女性ホルモンに影響を与えないので、生理の周期には関係しないでしょう。
子宮頸がん検診の結果はどのように通知されますか?
馬場 敦志医師
ベセスダシステムと呼ばれるクラス分類を用いて、異常なしか精密検査が必要か通知されます。異常なしの場合はNILMと通知されますが、NILM以外の場合は精密検査が必要です。ただし、精密検査を行うことが、がんの診断をくだされたということではありません。精密検査を行ったとしても、ほとんどが良性の腫瘍かがんに変化する前段階のものです。しかし、放置しているとがん化するものもあるでしょう。がんに発展する前に治療するために、早期発見は重要です。2年に1回は定期健診を受けることや、異常を感じたらすぐ受診するなど早期発見につなげましょう。
編集部まとめ
子宮頸がんの原因のなかで大半を占めるHPVは、男女ともに性的接触を通して感染している可能性があります。
感染しないように予防することは難しいでしょう。そのため、子宮頸がん検診を定期的に受けることが必要です。
検診を受けて異常があったとしても、がんが確定するわけではありません。むしろ、検診は早期発見につなげる有力な手段です。
不正出血などの異常を感じている方は、早めに検診を受け医師に相談してみましょう。
子宮頸がんに関連する病気
「子宮頸がん」と関連する病気は2個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
子宮体がんは、子宮頸がんと同じく子宮にできるがんです。また、この2つの疾患はどちらも子宮付近に発生し、子宮頸がんと似た症状が出現します。ただし、症状のみからどの病気か判断することはできません。どの病気かを早期に知って治療を開始するためには、早めの受診をおすすめします。
子宮頸がんに関連する症状
「子宮頸がん」と関連している、似ている症状は3個程あります。
各症状で疑われる病気・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
初期の子宮頸がんでは自覚症状がほとんどない場合が多いでしょう。しかし、病気が進行するにしたがって上記の症状が現れることがあります。がん治療において、良好な予後につなげるためには早期発見・早期治療が重要です。これらの症状が長引いていると感じたら、ぜひ医療機関で受診してください。