「ゲップがよく出るのは胃がん」の初期症状?ゲップの特徴も解説!医師が監修!
ゲップは人間の生理現象の一つなので、出ること自体は問題ありません。しかしたびたびゲップが出てそれがいつまでも続く状態にある場合は、何らかの病気を抱えている可能性があります。
この記事ではゲップと胃がんとの関係を中心に、ゲップの原因や検査方法などについて解説します。
普段よりもゲップの回数が増えたように感じる方は、ぜひご覧ください。
監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
目次 -INDEX-
胃がんとは
胃がんは胃粘膜にできる腫瘍で、何らかの原因により粘膜の細胞ががん細胞となった状態が胃がんです。
胃の粘膜にできる悪性腫瘍
胃粘膜に発生したがん細胞は、粘膜下層から固有筋層、漿膜へとどんどん外側へ進行します。
粘膜下層まで広がった状態を早期胃がん、固有筋腫より外へ広がったものが進行胃がんです。
胃がんが進行すると漿膜の外側まで広がり、大腸・膵臓・肝臓などほかの臓器にも広がります。
リンパ液や血液の流れに乗り胃から離れた臓器へ転移するがん細胞や胃の壁を硬く厚くしながら広がるスキルス胃がんというタイプもあります。
スキルス胃がんは診断が難しいうえに進行が早い胃がんです。
発症率・好発年齢
すべてのがん罹患数のなかで、胃がんの罹患数は男性が前立腺・大腸に次ぐ3位で、女性は乳房・大腸・肺に続く4位です。総数では、大腸・肺に続く3位となっています。
胃がんの発症率は、男性で約11%(9人に1人)・女性で約6%(18人に1人)という調査結果が報告されています。
胃がんに罹患しやすい年齢は60代で、全体の30~40%を占めています。近年では70~80代の罹患数の増加が目立っており全体の40%近くを占めるようになってきました。
早期胃がんが発見される平均年齢も、次第に高くなっていると報告されています。
胃がんでゲップがよく出る原因
一般にゲップとは、体内に入った余分な空気が口から排出されたものです。一時的に胃や食道の状態が悪くなった場合にもゲップがよく出ますが、胃がんが原因でゲップが出る場合もあります。
腫瘍が胃と腸をつなぐ経路を狭くするため
胃にできた腫瘍が大きくなり、胃と腸をつなぐ経路が狭くなると、食べ物や空気が胃から腸へスムーズに流れなくなります。
そのため胃の中に空気がたまり、ゲップが出やすくなるのです。胃のなかの腫瘍によって、胃の容量が小さくなった場合も同じようにゲップがよく出る状況が起こりやすいといわれます。
胃の筋肉の動きが制限されるため
胃がんが進行して胃粘膜が硬くなると、胃の筋肉が動きにくくなります。すると食物や空気が腸へ移動しづらくなり、空気が食道の方へ逆流してゲップという現象が増えることもあります。
胃がんの初期症状でよく出るゲップの特徴
ゲップがよく出るというだけで胃がんの初期症状とはいえませんが、次のような症状に当てはまる場合は注意が必要です。
ゲップの回数が多い
平常に比べて異常にゲップをする回数が多かったり、特に食後にゲップが増えたりする場合は、胃や食道に何らかの問題が発生している可能性があります。
ゲップの回数が多すぎると気になるときは、できるだけ早く医療機関で受診してください。
異臭がある
胃がんの初期症状と考えられるゲップは、胃酸や胃液の逆流を伴います。そのため、通常のゲップとは異なった異臭があります。
ゲップとともに酸っぱいような異様な臭いを感じたときは、医療機関に相談してください。
胸焼けが伴う
胃がんによるゲップの場合は、胸やけや吐き気・胃の痛みなども感じる場合が多いです。もしこのような症状に心当たりがある場合は、医療機関で受診し、必要ならば検査を受けましょう。
ゲップがよく出る場合の検査方法
ゲップがよく出て胸やけをするなどの症状がある場合、医療機関では以下のような検査を行い、その原因を突き止めます。
上部消化管内視鏡検査(胃カメラ検査)
胃カメラ検査とは上部消化管内視鏡検査と呼ばれるもので、内視鏡を鼻や口から挿入し胃の内部や食道・十二指腸を確認して腫瘍や炎症を疑う病変がないかを調べる検査です。もし病変が見つかった場合には、細胞を取って病理診断を行うこともあります。
上部消化管内視鏡検査を嫌がる人は多いようですが、鼻から挿入する検査は口から挿入する場合に比べると嘔吐反応もひどくないといわれています。医療機関によっては希望すれば鎮静剤などの使用も可能です。
上部消化管内視鏡検査は胃がんの早期発見には大変重要な検査ですので、医師が必要だと判断したときは嫌がらずに受けましょう。
胃部X線検査(バリウム検査)
胃部X線検査は、バリウムという造影剤を飲んでX線写真を撮影し、胃の形や粘膜の状態を確認する検査方法です。一般的に上部消化管内視鏡検査よりも体の負担が少なく費用も抑えられるとされています。
しかし胃液の多い患者さんがバリウムを飲むと、バリウムがうまく胃の壁に付着せず、病変が検出しづらいという点はデメリットです。また平べったい胃がんが発見しにくいことや、便秘がちの方はバリウムがスムーズに体外へ排出されずに腹痛や下血が見られる場合があるなど、患者さんの状態によってはかえって苦痛を感じることもあります。
上部消化管内視鏡検査を行うか胃部X線検査を行うかは、患者さんの状態や症状・希望によって選択されます。
超音波検査
超音波検査とは、プロープと呼ばれる超音波が出る機械を体に当てて、臓器から跳ね返ってくる超音波を映像化することで異常を検査する方法です。エコー検査とも呼ばれており、がんの形や大きさ・周辺の臓器の様子などが確認できます。検査の数時間前から食事を抜く必要はありますが、上部消化管内視鏡検査・胃部X線検査と比べると患者さんの負担は軽く済みます。近年では、超音波検査によって胃がんが早期発見される例も多いので、異常を感じたときはできるだけ早く検査を受けてください。
ゲップがよく出る胃がんについてについてよくある質問
ここまでゲップの原因やゲップがよく出るときに注意する点や胃がんとの関係などを紹介しました。ここでは「ゲップや胃がん」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
過度なゲップが気になったら何科を受診すればよいですか?
中路 幸之助(医師)
いつもよりもゲップがよく出て、その状態が長期間続くときは、消化器内科で受診してください。もしかかりつけの医師がいる場合は、まずはそちらで受診しても問題ありません。近隣に消化器内科の病院がないときは、内科で受診してください。
ゲップ以外におならがよく出るのは胃がんと関係がありますか?
中路 幸之助(医師)
おならがよく出る症状で胃がんを心配する必要はあまりありません。ただ普段よりもおならが出る場合は、消化器官に何らかの異常がある可能性が高いです。過敏性腸症候群や慢性胃炎・呑気症などが原因でおならがよく出ているのかもしれません。おならの回数が長期にわたり多い場合は、医療機関で受診することをおすすめします。
編集部まとめ
今回は、ゲップと胃がんとの関係を中心に解説しました。
胃がんの初期症状の可能性が高いゲップは、回数が多い・異臭がする・胸やけや吐き気を伴う ・胃の痛みがある場合が多いです。
ゲップが多く出る症状は胃がん以外の病気が隠れている場合も考えられます。ゲップが気になりながらも、検査を受けたくないという方もいるでしょう。
しかし現在行われている上部消化管内視鏡ラ検査は口から挿入する場合よりも楽な鼻から挿入する方法も多く、胃部X線検査や身体の負担が少ない超音波検査もあります。
ご自身やご家族のなかでよくゲップが出るようになったと感じている方がいるなら、できるだけ早く医療機関を訪れることをおすすめします。
胃がんと関連する病気
「胃がん」と関連する病気は6個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法などの詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
食道裂孔ヘルニアは、横隔膜の横を通っている食道から胃が飛び出した状態のことです。生活習慣の改善と薬物療法による治療が一般的です。
呑気症とは、食事の際や無意識下で空気を多く吸ってしまう症状で、過度なストレスが要因と考えられています。
胃がんと関連する症状
「胃がん」と関連する症状は6個程あります。
各症状・原因・治療方法などの詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 胸やけ
- 吐き気
- 胃痛
- 膨満感
- 胃の不快感
- 食欲不振
胸やけや吐き気などの症状は、過度なストレスや暴飲暴食によっても現れます。しかし、大きな病気が隠れている場合も考えられます。
家族やご自身に以上のような症状がある場合は、できるだけ早く医療機関で受診してください。