「50代の悪性リンパ腫の生存率」はどれくらい?再発する可能性についても解説!
悪性リンパ腫は、大きな不安をもたらす病気です。しかし、現代医療の進歩により、希望は失われていません。本記事では50代で悪性リンパ腫と診断された場合の生存率について以下の点を中心にご紹介します。
- ・50代で悪性リンパ腫と診断された場合の生存率
- ・悪性リンパ腫の治療方法
- ・悪性リンパ腫の再発可能性
50代で悪性リンパ腫と診断された場合の生存率について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。
監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
目次 -INDEX-
悪性リンパ腫とは?
悪性リンパ腫はリンパ系組織やリンパ外臓器に影響を及ぼす血液のがんで、B細胞やT細胞などのリンパ球が異常増殖する病気です。主な症状にはリンパ節の腫れがあり、治療法は病型や進行度に応じて異なり、化学療法や放射線治療、造血幹細胞移植などがあります。悪性リンパ腫の診断には血液検査、画像検査、病理検査が必要で、悪性リンパ腫のタイプに応じた治療が選択されます。進行度や全身症状の有無によって治療方針が決定され、経過観察から積極的な治療までさまざまです。
悪性リンパ腫のタイプ
悪性リンパ腫に種類はあるのでしょうか。以下では悪性リンパ腫の主な種類について解説します。
ホジキンリンパ腫
ホジキンリンパ腫は悪性リンパ腫の中でも特異的なタイプで、全悪性リンパ腫の約5%を占めています。この病気は主にリンパ節の腫大を特徴とし、診断と治療には精密な医学的評価が必要です。ホジキンリンパ腫はその病理学的特徴に基づいて古典的ホジキンリンパ腫と結節性リンパ球優位ホジキンリンパ腫の2つに分類されます。治療法は病型や進行度に応じて変わりますが、主に化学療法や放射線治療が用いられます。
非ホジキンリンパ腫
非ホジキンリンパ腫は悪性リンパ腫の一種で、多様な亜型が存在します。まず、亜型とは、ある病気や状態において、基本的な特徴は共有しながらも、細かい違いや特性を持つ異なる形態や種類のことを指します。主に医学や生物学の分野で用いられ、病原体、遺伝的変異、疾患の特定の表現型などを区別する際に使われます。亜型はリンパ系の細胞が異常に増殖することにより発生し、症状や治療法はこれらによって大きく異なります。進行度に応じた治療が行われ、化学療法や放射線治療が主な治療法です。
悪性リンパ腫のタイプ別の治療
悪性リンパ腫の治療は、そのタイプによって大きく異なります。化学療法や放射線治療が用いられますが、ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫では治療法が異なることがあります。以下では、ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫の治療法について詳しく紹介します。
ホジキンリンパ腫の治療
ホジキンリンパ腫の治療は、病気の進行度や患者さんの全体的な健康状態に応じて行われます。主な治療方法には化学療法と放射線治療があり、早期段階では放射線治療単独、または化学療法との組み合わせで治療が進められます。化学療法でがん細胞を全身から減少させた後、放射線治療を用いて残存するがん細胞を狙い撃ちします。このアプローチは、治療の有効性を高めるとともに、副作用のリスクを抑えることが目的です。進行したケースでは化学療法が中心となり、場合によっては高度な治療法が適用されることもあります。ホジキンリンパ腫の化学療法は、複数の薬剤を組み合わせてがん細胞を攻撃する治療法のことを指します。代表的な治療プロトコルにはABVD療法があり、これはドキソルビシン、ブレオマイシン、ビンブラスチン、ダカルバジンの4種類の薬剤から成り立っています。化学療法は、全身治療としてがん細胞を体内のあらゆる部位で狙い撃ちできることが期待できます。
非ホジキンリンパ腫の治療
非ホジキンリンパ腫の治療は、その種類や進行度によって異なります。主に化学療法、放射線療法、免疫療法、および造血幹細胞移植が用いられます。化学療法はがん細胞を殺す薬を用いてがんを治療する方法です。放射線療法では、がん細胞を破壊するために高エネルギー放射線を使用します。免疫療法は、患者さんの免疫システムを活用してがんと戦う治療法で、がん細胞を認識し攻撃する能力を高めます。造血幹細胞移植は、高用量の化学療法または放射線療法により損傷した骨髄を修復するために行われます。病気の進行度や患者さんの健康状態に応じて、これらの治療法を単独で使用したり、組み合わせて使用したりします。新しい治療法には、標的治療薬や免疫チェックポイント阻害剤も含まれています。
50代の悪性リンパ腫の生存率
日本における悪性リンパ腫の5年生存率は、1993~1996年は48.5%でしたが、2009~2011年には67.5%(男性66.4%、女性68.6%)まで改善しています。医療技術の進歩により、多くの患者さんの生存率は改善しているといわれています。
あるがんセンターの実測生存率のデータによると、50代で悪性リンパ腫に診断された場合の生存率は、50歳未満の悪性リンパ腫の患者さんよりも5%程度低いですが、60歳代の患者さんとは生存率に大きな差はなく、70歳代の患者さんよりも5%程度高く推移しています。
また、生存率を左右する因子は年齢のほかにも、リンパ腫のタイプ、病期、および治療応答に大きく依存します。早期発見と適切な治療が生存率を向上させる重要な要素です。
悪性リンパ腫が再発する可能性
悪性リンパ腫の再発可能性については、寛解後も一定のリスクが存在します。初期治療の成功後、最初の数年は再発のリスクが高く、その可能性は時間が経つにつれて徐々に減少します。再発した場合の治療選択肢には、再び化学療法、放射線療法、免疫療法、あるいは高度治療として造血幹細胞移植が含まれます。造血幹細胞移植は、がんなどの血液疾患を治療する方法で、患者さんまたは適合するドナーから採取した造血幹細胞を用いて行われます。この治療は、患者さんの骨髄や免疫システムを、高用量の化学療法や放射線療法で破壊した後に再構築することを目的としています。移植には自己移植と同種移植の二種類があり、選択は患者さんの状態や治療の目的によって異なります。悪性リンパ腫が再発のリスクを評価し、適切なフォローアップと監視を通じて早期発見と治療が重要です。
悪性リンパ腫についてよくある質問
ここまで悪性リンパ腫治療法と再発の可能性などを紹介しました。ここでは「悪性リンパ腫」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
悪性リンパ腫の主な症状は何ですか?
中路 幸之助(医師)
悪性リンパ腫の主な症状には、リンパ節腫脹、発熱、夜間の発汗、体重減少などがあります。これらの症状は非特異的であり、ほかの多くの状態と共通しているため、診断には専門的な検査が必要です。
悪性リンパ腫は何が原因で発症しますか?
中路 幸之助(医師)
悪性リンパ腫の発症原因は解明されていませんが、遺伝的要因、環境要因、ウイルス感染(例:EBウイルス、HIV)などが関与すると考えられています。これらの要因が複合的に作用し、体内のリンパ球が異常に増殖することで発症する可能性があります。
まとめ
ここまで、50代で悪性リンパ腫と診断された場合の生存率についてお伝えしました。
要点を以下にまとめます。
- ・50代で悪性リンパ腫と診断された場合の生存率は、改善しているといわれている
- ・悪性リンパ腫の主な治療方法には化学療法と放射線治療がある悪性リンパ腫の再発可能性については寛解後も一定のリスクが存在する
悪性リンパ腫と関連する病気
悪性リンパ腫と関連する病気は2個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法などの詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
血液内科の病気
- HIV感染症
- エプスタイン・バールウイルス感染症
具体的な症状や治療法については、担当の医師と相談しましょう。
悪性リンパ腫と関連する症状
悪性リンパ腫と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- リンパ節腫脹
- 疲労感
- 発熱
- 夜間の多汗
- 体重減少
これらの症状が持続する場合、または新たにあらわれた場合、医師の診察を受けることが大切です。