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「70代の悪性リンパ腫の生存率」はどれくらいかご存じですか?医師が解説!

 公開日:2025/11/18
「70代の悪性リンパ腫の生存率」はどれくらいかご存じですか?医師が解説!

悪性リンパ腫は、年齢が進むと生存率に変化はあるのでしょうか?本記事では悪性リンパ腫の分類や生存率に関与する予後因子について以下の点を中心にご紹介します。

  • ・悪性リンパ腫とは
  • ・悪性リンパ腫の種類
  • ・悪性リンパ腫の生存率

70代の悪性リンパ腫の生存率について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

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大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

悪性リンパ腫とは?

悪性リンパ腫は、リンパ系の細胞ががん化した病気です。リンパ系は、免疫系の一部であり、リンパ節、リンパ管、脾臓などから構成されています。悪性リンパ腫は、リンパ節の腫れ、発熱、倦怠感、体重減少などの症状を引き起こすことがあります。
悪性リンパ腫の患者さんは、治療だけでなく、生活習慣の改善も重要です。バランスの良い食事を摂り、十分な睡眠をとり、適度な運動をすることが大切です。また、ストレスを溜め込まないようにすることも大切です。

悪性リンパ腫の種類について

悪性リンパ腫には、大きく分けてホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫の2種類があります。以下では、悪性リンパ腫の種類について詳しく解説します。

悪性リンパ腫は100種類近くある

まず、悪性リンパ腫は、リンパ系の細胞ががん化した病気です。リンパ系は、免疫系の一部であり、リンパ節、リンパ管、脾臓などから構成されています。悪性リンパ腫は、リンパ節の腫れ、発熱、倦怠感、体重減少などの症状を引き起こすことがあります。
悪性リンパ腫には、大きく分けてホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫の2種類があります。ホジキンリンパ腫は、リンパ節に腫瘍が形成される病気です。非ホジキンリンパ腫は、リンパ節だけでなく、骨髄、脾臓、肝臓、消化管などにも腫瘍が形成される病気です。
非ホジキンリンパ腫は、さらに100種類以上のサブタイプに分類されます。サブタイプは、腫瘍の細胞の種類や性質によって分類されます。

ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫

ホジキンリンパ腫は、リンパ節に腫瘍が形成される病気です。非ホジキンリンパ腫は、リンパ節だけでなく、骨髄、脾臓、肝臓、消化管などにも腫瘍が形成される病気です。
ホジキンリンパ腫は、日本では約10%の割合で発生します。非ホジキンリンパ腫は、さらに、B細胞性リンパ腫とT細胞性リンパ腫に分類されます。B細胞性リンパ腫は、リンパ節に腫瘍が形成される病気です。T細胞性リンパ腫は、リンパ節だけでなく、骨髄、脾臓、肝臓、消化管などにも腫瘍が形成される病気です。
非ホジキンリンパ腫は、さらに、進行速度によって、高悪性度、中悪性度、低悪性度に分類されます。高悪性度リンパ腫は、急速に進行する病気です。中悪性度リンパ腫は、中程度の速さで進行する病気です。低悪性度リンパ腫は、ゆっくりと進行する病気です。
ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫の違いは、腫瘍の発生部位、発生頻度、進行速度などです。正確な診断は、治療方針を決定するために重要です。

進行スピードによる分類(非ホジキンリンパ腫)

非ホジキンリンパ腫は、進行速度によって、高悪性度、中悪性度、低悪性度に分類されます。高悪性度の非ホジキンリンパ腫は、急速に進行する病気です。数日や数週間で症状が悪化することがあります。しかし、化学療法によく反応し、治癒する可能性が高いです。
中悪性度の非ホジキンリンパ腫は、中程度の速さで進行する病気です。数ヶ月から数年で症状が悪化することがあります。化学療法や放射線療法で治療します。
低悪性度の非ホジキンリンパ腫は、ゆっくりと進行する病気です。数年から数十年かけて症状が悪化することがあります。化学療法や放射線療法で治療しますが、治癒が難しい場合があります。
非ホジキンリンパ腫の進行スピードは、腫瘍の細胞の性質によって決まります。高悪性度リンパ腫の細胞は、急速に増殖し、正常な細胞を破壊します。中悪性度リンパ腫の細胞は、中程度の速さで増殖し、正常な細胞を破壊します。低悪性度リンパ腫の細胞は、ゆっくりと増殖し、正常な細胞を破壊します。
非ホジキンリンパ腫の進行スピードは、治療方針を決定する上で重要な要素です。高悪性度リンパ腫は、早期に治療を開始することが重要です。中悪性度リンパ腫は、症状の進行度に応じて治療を開始します。低悪性度リンパ腫は、症状が進行するまで治療を開始しないこともあります。

悪性リンパ腫の生存率

悪性リンパ腫という病気を患ったとき、私たちは自然と「生存率はどのくらいなのだろう」と不安に駆られるのではないでしょうか。
以下では、悪性リンパ腫の生存率について詳しく解説します。

悪性リンパ腫の5年生存率

悪性リンパ腫の5年生存率は、種類や進行度によって大きく異なりますが、適切な治療を受けることで、約65~70%程とされています。種類は全5種です。ホジキンリンパ腫は約85%、非ホジキンリンパ腫は約60%、びまん性大細胞B細胞リンパ腫は約60%、濾胞性リンパ腫は約80%、マントル細胞リンパ腫は約70%といわれています。
進行度による5年生存率は、I期は約90%、II期は約80%、III期は約70%、IV期は約50%といわれています。しかし、5年生存率はあくまで統計的な数字であり、個々の患者さんの予後は、年齢、性別、基礎疾患、治療に対する反応など、さまざまな要因によって左右されます。

悪性リンパ腫は70代以上で生存率に差がでるのか

悪性リンパ腫の5年生存率は、種類や進行度によって大きく異なりますが、適切な治療を受けることで、約65~70%程とされています。しかし、年齢や血液データなどの呼ぼ不良因子といわれる因子によって生存率は左右されるため、高齢者よりも64歳以下の年代の生存率は高いとされています。
例えば、ある県で行われたがん診療の院内がん登録によると、70代以上の悪性リンパ腫患者さんの5年生存率は60歳代以下の方よりも5〜10%程度低いというデータが出ています。80歳代になるとさらに生存率は低下し、70代の方と比べて40%程度低くなっています。
これは、高齢者では、若年者と比べて、体力や免疫力が低下していることや、合併症を抱えていることが多いことが原因と考えられています。また、高齢者では、治療に対する反応が若年者と比べて悪い場合もあります。
そのため、70代以上の悪性リンパ腫患者さんは、若年者と比べて、より慎重な治療方針の検討が必要となります。具体的には、患者さんの体力や合併症の有無などを考慮して、化学療法や放射線療法などの治療を組み合わせて行うことが重要です。

悪性リンパ腫の予後因子とは

悪性リンパ腫の予後因子とは、治療の効果や予後を予測する因子です。悪性リンパ腫の予後因子には、年齢、血清LDH(乳酸脱水素酵素)値、パフォーマンスステータス(PS)、病期、節外病変数があります。
これらの予後因子の数によって、悪性リンパ腫の予後を4つのリスクグループ(低リスク、低中間リスク、高中間リスク、高リスク)に分類できます。
悪性リンパ腫の予後因子は、治療方針の決定にも用いられ、高リスクの悪性リンパ腫では、より積極的な治療が必要になる場合があります。なお、悪性リンパ腫の予後因子は、あくまでも統計的なデータであり、個々の患者さんの予後を予測することはできません。
悪性リンパ腫と診断された場合は、医師と相談しながら、治療方針を検討することが重要です。

悪性リンパ腫についてよくある質問

ここまで悪性リンパ腫の生存率や種類などを紹介しました。ここでは悪性リンパ腫についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

悪性リンパ腫の診断について教えてください。

根来 和輝根来 和輝 医師

リンパ節から組織を採取して、顕微鏡で観察するリンパ節生検。CT検査、MRI検査、PET検査などを行い、腫瘍の広がりを調べる画像検査。血液中のリンパ球の数や、腫瘍マーカーの値を調べる血液検査があります。これらの検査の結果から、悪性リンパ腫の種類や進行度、予後などを判断します。

悪性リンパ腫の治療後の問題点について教えてください。

根来 和輝根来 和輝 医師

悪性リンパ腫の治療後には、白血病などのほかの血液腫瘍を含む二次がんや不妊症、心臓や肺などの臓器障害、糖尿病などの生活習慣病骨粗しょう症の問題点が起こる可能性があります。
また、これらの問題点は、治療の種類や期間によっても異なります。治療後も、医師の指示に従って定期的に検査を受けることが重要です。職場や地域の検診にも積極的に参加し、早期発見・早期治療に努めましょう。

まとめ

ここまで、悪性リンパ腫の分類や生存率に関与する予後因子についてお伝えしました。
要点を以下にまとめます。

⚫︎まとめ

  • ・悪性リンパ腫は、リンパ系の細胞ががん化した病気
  • ・非ホジキンリンパ腫は、進行速度によって、高悪性度、中悪性度、低悪性度に分類される
  • ・悪性リンパ腫の予後因子とは、治療の効果や予後を予測する因子

悪性リンパ腫と関連する病気

悪性リンパ腫と関連する病気は9個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法などの詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

血液内科

  • 肝癌
  • バルトネラ
  • バーキットリンパ腫
  • 血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)
  • リステリア症
  • キャッスルマン病
  • TAFLO症候群
  • 有毛細胞白血病

具体的な症状や治療法については、担当の医師と相談しましょう。

悪性リンパ腫と関連する症状

悪性リンパ腫と関連している、似ている症状は6個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • リンパの腫れ
  • 息切れ
  • 食欲不振
  • 皮膚の赤み
  • 体重減少

これらの症状が持続する場合、または新たにあらわれた場合、医師の診察を受けることが大切です。

この記事の監修医師